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2008年10月27日 (月)

「第三の時効」 横山秀夫

第三の時効 第三の時効

著者:横山 秀夫
販売元:集英社
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アマゾンのレビューが大変高かったのですが、私はそうでもなく…。
というのも、この本が長編だと思っていた肩透かしと、
「第三の時効」というタイトルから、感動ものを期待していたことの
ギャップが原因だと思いますが。この本は連続短編集です。

「第三の時効」
本間ゆき絵は、幼馴染にレイプされた。その直後居合わせてしまった、
幼馴染と夫は、揉み合いの喧嘩になった。ナイフを持っていた幼馴染は、
金属バットを取ろうとした夫を、後ろから刺し殺した。
幼馴染は逃亡を図り、十五年間失踪した。
今日がその第一の時効日である。しかし幼馴染は、その後一週間
海外逃亡をしたから、本当の時効日は一週間後の第二の時効日であった。
ゆき絵宅に待機した警察たちは、今か今かとその時を待ちわびていた。
しかし、一人楠見は違った。「犯人には第三の時効がある」
仲間内にもの知らされない、第三の時効とは…?

タイトルから想像して、迂闊にも感動ものだと思い込んでいました。
身内を殺され、心の癒えるまでの「第三の時効」みたいな。
だから、短編集だと分かったとき、まずがっかりしたし、
「第三の時効」が本当に第三の時効、と言う法的処置だと分かった
あたりから、「なんだぁ…」とちょっと残念に思いました。
と、勝手な思い込みにより、一人がっかりしていて、
迷惑極まりないのは承知の上なのですが、うん、ホント凹みまして。
しかし、全体を通して、とてもよかったです。
警察と言う閉鎖的な組織の、人間関係、軋轢、競争、嫉妬、
様々な様子が、とてもリアルに描かれています。
連続短編になっているので、一つ目の話に出てきた主人公が、
2話目で少し語られていたりして、さすが横山さん読者が喜ぶことを
知っていますね、と言う感じでした。特に良かったのは、
本人の心理描写と、他人が語るその人物とでは、
微妙なずれがあることです。これは実際においてもそうだと思うけれど、
自分の考えていることと、周りから見られている部分は違うもので、
同じものだけど、少し違うというところを、さり気なくこなして
話が描かれている部分に、話の完成度も合わさって、
貫禄の作品であることは間違いないな、と言う感じがしました。
あぁ、でも私は横山さんの感動ものを読みたい…。

★★★★☆*86

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