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2008年10月 1日 (水)

「婚礼、葬礼、その他」 津村記久子

婚礼、葬礼、その他 婚礼、葬礼、その他

著者:津村 記久子
販売元:文藝春秋
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津村さん、いつか芥川賞取ってくれるのを楽しみにしてるんですが、
たぶんこの本では取れないと思う。……というのも、津村さんの
持ち味である、絶妙な感覚?がこの本には描かれていないから。
うーんこの本だったら、頑張った他の誰かが書けそうな気がするので。

「婚礼、葬礼、その他」
誰かを「招く」という経験を幼い頃からしてこなかったヨシノは、
友人からお願いされた結婚式の二次会の司会に当惑していた。
いつも招待される側の人間である自分が、お客のために、
ハガキを買ったり、スピーチを書いたり、ビンゴの景品を用意をしたり
しなくてはならないのだ。そんな未知の挑戦を前に、
少なからず意気込んでいたのだが、その結婚式の最中、
会社の部長の父親が亡くなった事を知らされた。人数が少ない会社
なので強制参加となった葬式に行き、ヨシノは遠くで行われているはずの
二次会と、この葬式を思わず比べてしまう。
同じ日に行われる弔いと祝辞……変な感じである。

何だかこの本にはイマイチぴんと来なかった。
「君は永遠にそいつらより若い」や「カソウスキの行方」は、
その発想自体が面白くて、新鮮さがあり、津村さんのファンになった。
けれども、この本はある意味誰でも思いつけそうな感じで、
あんまり「絶妙さ」を味わうことが出来なかった。
そもそも、本の大部分を占めている、結婚式と葬儀の対比は、
言われなくてもみんな考えることだと思う。
主人公のようにまさか同じ日に結婚式→葬式と行く人は
かなり稀だと思うのだが、次の日とか、同じ週にとか、
言う人はたくさんいるだろうと思う。だって人は死ぬんだからさ。
とか考えていると、当たり前のことを面白げに書いているように
見えてあまり楽しむことが出来なかった。
けれども、あの葬式のときに不意に思い出してしまった、
自分の祖父母のことが、なぜか離れなくて、
あの一緒にいたゆっくりと流れる時間が今も流れている感覚、
その表現はとても好きだった。子どもの頃は、なぜか時間が長く
感じてしまう、その表現が、滑稽さの中に溶け込んでいい味である。
願わくば、あとは「絶妙な」津村さんの感覚を混ぜていただければ、
文句は何もないのですけれども。もう一冊新刊でてたなぁ読んでみよう。

★★★☆☆*83

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