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2008年10月

2008年10月31日 (金)

■雑談:2008年10月に読んだ本

■2008年10月に読んだ本(21冊)

10.01 ★★★☆☆*83 「婚礼、葬礼、その他」 津村記久子
10.02 ★★☆☆☆*74 「震度0」 横山秀夫
10.05 ★★★★☆*88 「99%の誘拐」 岡嶋二人
10.06 ★★★★☆*88 「扉は閉ざされたまま」 石持浅海
10.07 ★★★★☆*88 「門」 夏目漱石
10.08 ★★★★☆*87 「ファースト・プライオリティー」 山本文緒
10.09 ★★★☆☆*83 「冷たい密室と博士たち」 森博嗣
10.10 ★★☆☆☆*68 「あの空の下で」 吉田修一
10.11 ★★★☆☆*80 「ナイチンゲールの沈黙 上」 海堂尊
10.13 ★★☆☆☆*55 「ナイチンゲールの沈黙 下」 海堂尊
10.14 ★★★☆☆*78 「偏路」 本谷有希子
10.15 ★★★☆☆*84 「殺人の門」 東野圭吾
10.16 ★★★☆☆*80 「黒猫の三角」 森博嗣
10.17 ★★★★☆*94 「八日目の蝉」 角田光代
10.18 ★★★★☆*89 「三四郎」 夏目漱石
10.19 ★★☆☆☆*75 「雪虫」 堂場舜一
10.20 ★★★☆☆*80 「約束」 石田衣良
10.25 ★★★☆☆*75 「モダンタイムス」 伊坂幸太郎
10.27 ★★★★☆*86 「第三の時効」 横山秀夫
10.28 ★★★☆☆*81 「イナイ×イナイ」 森博嗣
10.29 ★★★☆☆*84 「クローバー」 島本理生

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2008年10月30日 (木)

■雑談:肌模様

こんにちわ、るいです。
今日も読書部屋にご足労いただきどうもありがとうございます。

近年稀に見る勢いで読書捗ってます。
これは中学生の引き篭もり時代の記録に近しい。
(※家に引き篭もっていたわけではなく、学校の図書館に、笑)

***

そう言えば、ポルノグラフィティの晴一さんが結婚されましたね。
「わーなんでハセキョーなんだーーー!」
と、ファンを代表して叫んでおきます。
まぁ、いいんじゃないでしょうか。
彼らのファンはこんなことでは減らない気がします。

***

最近、また年上に間違われました。

先日、友人が働いている店に、お高い化粧品を買いに行った時の事。
友人が社割で2割引にしてくれるって言うんで、
とりあえず試しにお安く買わせていただこうと言う魂胆でした。

ずぼらな私は、今まで「ドクター●ーラボ」を使っていたのですが、
良くも悪くもなく、そしてヤツはファンデーションと相性が悪い、
という微妙な状態だったのでした。
なので誕生日も近いし、自分にプレゼントを買うことにしたのです。

買いに行った先が「K●SE」だったのですが、
可愛いカウンタのお姉さんが優しく対応してくれました。
肌の油分を測っちゃったりして(初でした)
そして、「水分が足りませんね」と言われ(涙)、
保湿的な化粧水と乳液を購入してきました。
しめて1万円…。化粧品て高いですね、まったく。

で、帰り際、友人に一言声を掛けようと待っているとき、
「Oさんとはお友達なんですか?」とお姉さんに聞かれたので、
「そうなんですよ、高校の同級生で」と言ったら、絶句されました。
きっとお姉さんは自分より私が年上だと思っていたのでしょう。
童顔な彼女は「大人っぽいですねぇ」と、
しきりに羨ましがっていましたが、
大人っぽくていいことなど、唯の一つもないのです。

えぇ、もう慣れっこですから。しかし、
歳相応というのは難しいものですが、さすがに6つも上に見られると、
「あぁ、私はその6年分の何かを背負ってるんだわ」
と、妙にセンチな気分になるようになってしまいました。

そうそう、もうこれについては、私の容姿を知っている友人たちは、
何も反応してくれなくなりました。
酷いですよ、慰めてください。

いつか見た目を実年齢が越える日を楽しみにしています。笑
越えなかったらどうしようね、やだな。

あ、化粧品の善し悪しは、のちほどまた書けたら書きます。
今2日目ですが、さすが高いだけあるね、という効き目、凄いね。

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2008年10月29日 (水)

「クローバー」 島本理生

クローバー クローバー

著者:島本 理生
販売元:角川書店
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久しぶりに島本さんを読みました。好きなんですけど、
でもなんだかなぁ、と思うのは何故だろう。
そうそう、それと西さんと被るんですよねイメージが。
西さんは関西弁でもう少し軽快ですが、なぜかしらね。

「クローバー」
僕は双子の姉・華子と一緒に暮らしている。
僕にそっくりな、その平凡で花のない容姿を、
少しでも綺麗に見せようと、華子は恐ろしいほどの力の入れている。
その努力のせいか、華子には常に彼氏がおり、
けれどすぐに別れてしまうことを繰り返していた。
そんな時、華子の様子が可笑しくなった。今までとは明らかに違う。
「一目惚れした」という彼女は、奥村と言う格好のいい男に
惚れ込んでいたのだった。結婚を前提に、という華子だったが、
僕にはどうしても2人が似合っているようには見えなかった。

連続短編集です。長編だと思ってちょっと期待していたのですが、
と横山さんの時も言ってましたが、最近個人的に長編ブームです。
だから森さんばかり読みたくなるのか?わかりませんが。
で、この本は、と言うと、ちょっと島本さんらしからぬ感じが
しました。島本さんの以前読んだ短編集「大きな熊~」など
からも、ダークな部分が見え隠れる物語多いイメージがあったのですが、
今回は、そうでもなく、わざと打ち消すように軽やかに書かれています。
一番最初に、この「クローバー」という話が来ていますが、
出来るなら中盤に入れて欲しかったような気もする。
クローバーって3枚だとどうでもいいのに、4枚になると
何であんなに持て囃されるんでしょうね、とか、普段深く考え
ないけれど、言われてみたら「そうそう」というのが
掛け合いに出されていて、とても上手いと思った。
その後の短編も、熊野さんや、雪村さんなど、一風変わった
登場人物と、僕と華子が馴染んでゆく様子が書かれている。
けれど、これは何だか普通かもしれない。だから、
何でもない話を書いた後に、「クローバー」がきたらよかったのにな、
とちょっと残念に思ったのでした。それと、以前から言っていますが、
島本さんは会話文が苦手なようで、いや絶対それ会話で話さないよね、
と言う文と、いや会話にするんだったら、もっと砕けた言葉でしょう、
と言う文が多々見受けられ、少し読みづらかったりする。
「大きな熊~」の方が好きだったなぁ、と言うことで。

★★★☆☆*84

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2008年10月28日 (火)

「イナイ×イナイ」 森博嗣

イナイ×イナイ (講談社ノベルス モF- 38) イナイ×イナイ (講談社ノベルス モF- 38)

著者:森 博嗣
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


何だか邪道な順番で読んでいるような気がするのですが、まぁいいか。
一応シリーズ内では狂わないように読もうかな、と。
それにしてもまんまと森さんにはまっています。トリックとか、
正直微妙だったりするんですが(禁句)好きなんですよね、なぜか。

椙田探偵事務所の助手である小川と、無償ボランティアである真鍋は、
佐竹千鶴から内密な調査を依頼された。兄を探して欲しい。
自分が幼い時に、確かにいたはずの兄を探して欲しいというのである。
どうやらその兄は、豪邸の地下で監禁されているようだ。
2人は半信半疑のまま、美術品鑑定という本来の依頼を調査しながら、
地下牢の存在を確かめるため屋敷を見回っていた。
そんな時、どこからともなく女性の悲鳴が聞こえ、そして、
地下牢から千鶴の妹・千春の遺体が発見された。しかし兄の姿はない。
果たして兄はどこへ消え、千春は誰に殺されたのか……。

森さんの本が好きな理由の一つは、「噛み合わない会話」である。
勿論、意図して外された受け答えなのだが、そのワンテンポずれた
会話が、個人的に妙にツボなのである。スカイクロラシリーズでは、
特に、その噛み合うか噛み合わないかの絶妙な会話がなされ、
しかも噛み合っていなくても、登場人物はスルー黙殺という、
とても斬新な会話文なのだ。素晴らしい。判断は読者に任されている。
と、その話はこの辺にしておき、そんな噛み合わない会話で
繰り広げられる推理劇はとても味がある。
淡々と解決していくのではなく、自然に話は紆余曲折し、
いつの間にか解決路線へ。さすが気づかせない凄さ。
この位飛んだ主人公(真鍋)の方が、私は好きだなぁ、と思った。
しかし、この本はとても単純なトリックだった。
トリック、と言うのも何だか変な話だが、要するに成り済まし、
兼、両人を思いやる庇い合いである。だけど、性別違いって、
ずるいよねぇ、とか思ったりして。双子なのにセックスしたのか?
という微妙な疑惑も持ち上がり、あまりいい気持ちはしない。
それにしてもまた密室だし、ちょっと飽きてきた感もややあるなと。
地下牢・抜け道・喋れない人物・双子・財産贈与……
いろいろミステリィ盛りだくさんで、登場人物紹介編、
として書かれたようです。登場人物紹介編…それだけで一冊
売れる森さんが、本当凄いよね。とか、変なところで関心。
感心していることが失礼。さて、全部読むと何冊あるんだろう。
60越えかな…?笑えない。

★★★☆☆*81

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2008年10月27日 (月)

「第三の時効」 横山秀夫

第三の時効 第三の時効

著者:横山 秀夫
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


アマゾンのレビューが大変高かったのですが、私はそうでもなく…。
というのも、この本が長編だと思っていた肩透かしと、
「第三の時効」というタイトルから、感動ものを期待していたことの
ギャップが原因だと思いますが。この本は連続短編集です。

「第三の時効」
本間ゆき絵は、幼馴染にレイプされた。その直後居合わせてしまった、
幼馴染と夫は、揉み合いの喧嘩になった。ナイフを持っていた幼馴染は、
金属バットを取ろうとした夫を、後ろから刺し殺した。
幼馴染は逃亡を図り、十五年間失踪した。
今日がその第一の時効日である。しかし幼馴染は、その後一週間
海外逃亡をしたから、本当の時効日は一週間後の第二の時効日であった。
ゆき絵宅に待機した警察たちは、今か今かとその時を待ちわびていた。
しかし、一人楠見は違った。「犯人には第三の時効がある」
仲間内にもの知らされない、第三の時効とは…?

タイトルから想像して、迂闊にも感動ものだと思い込んでいました。
身内を殺され、心の癒えるまでの「第三の時効」みたいな。
だから、短編集だと分かったとき、まずがっかりしたし、
「第三の時効」が本当に第三の時効、と言う法的処置だと分かった
あたりから、「なんだぁ…」とちょっと残念に思いました。
と、勝手な思い込みにより、一人がっかりしていて、
迷惑極まりないのは承知の上なのですが、うん、ホント凹みまして。
しかし、全体を通して、とてもよかったです。
警察と言う閉鎖的な組織の、人間関係、軋轢、競争、嫉妬、
様々な様子が、とてもリアルに描かれています。
連続短編になっているので、一つ目の話に出てきた主人公が、
2話目で少し語られていたりして、さすが横山さん読者が喜ぶことを
知っていますね、と言う感じでした。特に良かったのは、
本人の心理描写と、他人が語るその人物とでは、
微妙なずれがあることです。これは実際においてもそうだと思うけれど、
自分の考えていることと、周りから見られている部分は違うもので、
同じものだけど、少し違うというところを、さり気なくこなして
話が描かれている部分に、話の完成度も合わさって、
貫禄の作品であることは間違いないな、と言う感じがしました。
あぁ、でも私は横山さんの感動ものを読みたい…。

★★★★☆*86

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2008年10月26日 (日)

【美術館】ジョン・エヴァレット・ミレイ展

Mirei
土曜日に渋谷Bunkamuraの【ジョン・エヴァレット・ミレイ展】
を観て来ました。実は開催直後の平日とニ回目でした。
休日に行くもんじゃありませんね、おまけに最終日前日。
殺人的な混み具合でした。去年の【エッシャー展】よりは、
まだましかな、って感じでしたが、どちらにしろ、
展示を観ている気分にはなれないもので…
是非皆さん期間限定展覧会は、平日に行って下さいね。
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/08_jemillais/

ミレイは私の中で好きな画家の三本指に入ります。
その中でも一番長く好きな作家で、初めて出会ったのは中学校の時です。
美術の資料集に「オフィーリア」が載っており、
あぁなんて美しい絵を描く人なんだろうと思っていました。
その時はその絵の少女が死んでいるだなんて考えもしなかったのですが。
ミレイは「オフィーリア」を描くために、婦人を浴槽に入れ、
モデルになってもらっているのですが、数ヶ月にも及ぶ、
その製作が終わる頃には、すっかり婦人は肺炎になり、
婦人の父親にこっぴどくしかられた、と言う話です。
そんな話を聞くと、今まで単に美しいとだけ思っていたその絵が、
何とも深く、そしてミレイの精神が刷り込まれているのだろう、
と考えるようになりませんか?ミレイの描く絵は、人物画が多く、
ほとんどにモデルがいます。人物そっくりのその絵を描いている時、
果たして彼は何を考えていたのだろうかと、思いを馳せるのです。

展覧会自体は、個人的に期待していた絵がなかったり…と、
ちょっと残念だったのですが。「盲目の少女」とか、
「花嫁の付き添い」とか、「ジョンラスキン」とか。
でも、まぁ、二回もしっかり観れたので、いいとします。ちなみに
「ああ、かようにも甘く、長く楽しい夢は、無残に破られるべきもの」
という絵がとても好きです。あと、風景だと「穏やかな天気」。
もちろん、「オフィーリア」は格別ですが。

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2008年10月25日 (土)

「モダンタイムス」 伊坂幸太郎

モダンタイムス (Morning NOVELS) モダンタイムス (Morning NOVELS)

著者:伊坂 幸太郎
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


作者すら疑問を持つ「伊坂人気」の追求…と言ったところでしょうか。
いくらなんでも遊びすぎですよ、伊坂さん。
私は伊坂さんの小説が好きですが、この本は嫌いです。理由は、
あからさまに読者を試しているからです。

勇気は実家に忘れてきました。
システムエンジニアである渡辺は、先輩社員の逃亡により、
不可解なプロジェクトを命じられた。仕事を頼まれているのに、
クライアントの顔さえ分からない。連絡を取るのもメールで
しか行えず、作業は難航していた。そんな時、頼まれていた
「検索システム」に、特殊な仕掛けが施されていることを知る。
「安藤商会」や「カウンセリング」何の変哲もないある単語を
組み合わせて検索すると、怪しげなサイトが表示されるのだ。
そして、そのサイトを見たものは、次々に事件に巻き込まれてゆく。
果たして渡辺はこの事件の真相に辿り着けるのか。

あとがきで言い訳するくらいなら書かないで下さい。
物語の中に作者が出てくるほど、読者が嫌うものはありません。
もしも、作者が出てきて、それでも尚面白いと評価されたのなら、
それなりの作家とでも言えるのでしょうか。
あきらかにこの小説は読者を試しています。
例えば、ここで私が「よくぞ言った伊坂さん、その通り」とでも
書いて、賞賛したとしたら、それを読んで笑うのでしょう。
そして今書いているように「ありえない」と批判するなら、
さもありなんと笑うのでしょう。どちらにしろ、読者を試して
いるに変わりがありません。たとえその目論見に気づかない
伊坂ファンへの戒めなのだとしても、もっと他にやり方は
あったと思います。自分への正当な評価がなされていないのは、
なにもマスコミだけの問題ではないのです。
売れすぎることに苦しむ伊坂さんの心境を垣間見るのも心苦しいですが、
こんな方法でなく、もっと読者に気づかせる物語を書いて欲しいです。
試される位なら、恐ろしくつまらない小説を読んだ方がましです。
と、酷評しましたが、「ゴールデンスランバー」も合わせ、
私は最近伊坂さんの小説を好きになれません。物語のどこかに
「有名になりたいけど、なりたくない」という伊坂さんの心が
見えるようでならないのです。勿論、ご本人が直にそう思っている
のかどうかは分かりませんが、直木賞候補を拒否されたことからも、
その傾向は分かると思います。個人的な思いですが、伊坂さんは
売れない方がいい作家なのだと思います。悪い意味ではなく、
売れすぎて有頂天になる自分を極度に恐れている方だからで、
その様子を見ているのが辛いからです。きっと「重力ピエロ」の
頃の方が、ご本人的にもやる気に満ちていたんじゃないですかね。
分かりませんが。しかし、「新しい小説」という枠で、
読書離れの続く若者や非読者層も、読書の世界へと導いてくれた
「新しい作家」として、もっと胸を張って欲しいと思います。
死んでから評されるのも一里ですが、「時の人」として輝き、
死んでからも評されるという功績を残していただきたい。
だから、こんな遊びすぎた小説書いてないで、今思う時を
書いて欲しいと思います。と偉そうなこと言ってますがお許しを…。
心から応援しています。でも、この本は許せません。
内容の感想書いてませんが…勇気は実家に忘れてきました、と言う事で。

★★★☆☆*75

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2008年10月23日 (木)

10/23つばき@下北沢BASEMENT BAR『YOU REALLY GOT ME!VOL.22』

10/23つばき@下北沢BASEMENT BAR『YOU REALLY GOT ME!VOL.22』

■セットリスト

 冬の話
 ブラウンシュガーヘア
 ドライブ(斉藤和義.Cover)
 新曲(ややアップテンポ)
 coffee
 花火
 花火(歌い直し)
ED
 夢

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2008年10月22日 (水)

■雑談:尋ねる

時間が少しだけあったので、
でも感想を書く時間はなので雑談で埋めることにする。
今日も読書部屋に来てくださり、どうもありがとうございます。

タイトルにも書きましたが、「尋ねる」という行為について。

私は元来人に物を尋ねない人間なのですが、そうですね、
例えばいくら道に迷っても、時間がある限り「どうにかなるさ」
と思って、道順を尋ねずに、自ら迷子になります。
自業自得と言うヤツです。

けど不思議なことに、私はよく道を訪ねられるんですよ。
全く知らん初めての道を歩いていても、
「あのぉすみません」と声を掛けられ、
「すいません、私も初めて通るんで」と断る事が多いのだ。
非常に申し訳ないと思う。

それは、何だろう、あれか、私がデカイ顔して歩いているから、
「あいつはこの辺の住人に違いない」とか思われているのだろうか。
それにしても、先週は特に凄かった。二日間に4人である。

【10/4】女子高生2人に「中村高校ってどこですか」と聞かれる。
いや、中村高校知らんし。随分素朴な名前の高校ですね、
と思いつつも、「多分あっちの出口の方だと思うよ」と、
随分適当なことを言ってその場を去る。
でも、こっち側の出口に高校はないので、そう言うしかない。

【10/4】狼狽したおばさんに「○○劇場はどちらですか」と聞かれる。
あぁ、それならこの先真っ直ぐ、つーかもう見えてるし、
と思いつつ、「この道を真っ直ぐですよ、あの大きい建物です」
と適切なことを言うと、なぜかおばさんにげんなりした顔をされた。
たぶん、相当歩き回ったんだと思う、けどそれは八つ当たりだ。

【10/4】半蔵門線大手町駅で「Is this Yamanote Line?」
と外国人のお姉さん2人に声を掛けられる。いや、全然山手じゃない。
とりあえず「No,This is Hanzomon.」と言ってみたものの
説明が出来そうにないので、近くにいた駅員を捕まえ、押し付ける。
もっと英語がしゃべれそうな人に声を掛けてください。

【10/5】男子高校生3人に「中村高校ってどこですか」と聞かれる。
中村高校…!人気だな、おい。と思いつつ、先日と同様、
「多分あっちの方だと思うよ」と、適当なことを言ってその場を去る。
この説明で辿り着けたら、凄いよ君たち、と思う。

と、こんな風に、多忙な二日間でした。
皆偉いな、分からないことをちゃんと人に聞くんだから。
でも、大切なのは、ちゃんと分かっていそうな人間に、
質問しなくちゃいけないって事ですよ。
間違っても、私のような人間ではなくて。

私も今度道に迷ったら、人に聞くようにしようかな。
そうすれば、もう少し無駄な時間が減るかもしれない。
散歩は別として。

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2008年10月21日 (火)

■雑談:久しぶりに雑談でも

こんにちわ、るいです。
いつも時間を割いて見に来てくださっている方、
どうもありがとうございます。

なんだか最近恐ろしいスピードで読書をしているのですが、
読み終わっても感想を書く時間がなくってさ、
という悪循環に見舞われています。

どれくらい本に日常が浸っているかと言うと、
読書をしているばっかりに、体重が減ってしまったくらいです。
食べるくらいなら、読んでる方がいいと、脳が判断するようで、
読書ダイエットが成功している模様です。
しかもその読書意欲は睡眠をも上回っているみたいで、
気がつくと寝るのは午前様、三時過ぎとかなってます。

あぁ、よくないよくない。
読書は適度に楽しむのがいいのだ。

しかし、本を読むとやっぱり気分が落ち着きますね。
いい本を読むと、何にもない日ですらも
「今日一日捨てたもんじゃなかったぜ」と悦を感じます。
だからやめられないんですよねぇ。

と、言うわけで感想遅れ気味ですが、後ほど更新しますので、
お時間のある方は見ていただければと思います。

今読んでいる本は、
・「恋恋蓮歩の演習」森博嗣著
・「モダンタイムス」伊坂幸太郎著
・「第三の時効」横山秀夫著
・「それから」夏目漱石著

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2008年10月20日 (月)

「約束」 石田衣良

約束 (角川文庫 い 60-1) 約束 (角川文庫 い 60-1)

著者:石田 衣良
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する


問題なのは、石田さんを許せるかどうか。許せる、と言うのも変な
話で、どちらかと言えば許容できるか、と言う辺り。要するに好み。
この安易過ぎる何とも言えない薄めの設定の中に、
どのような思いを馳せるかが、最大のポイントである。

「約束」
カンタにとってヨウジはヒーローだった。
何も取り得のないカンタにとって、勉強で、スポーツで、
ヨウジが活躍する姿は一段と輝いて見えて、
自分が幼馴染であることを誇りに思うほどだった。
しかし、事件は突然起きた。下校中の二人の前に、
気の狂った不審者が現れ、襲い掛かってきたのだ。
驚き、立ちすくむ二人だったが、次の瞬間、
ヨウジはカンタを突き飛ばし、自分の身代わりになった。
死んでしまったヨウジ。カンタはショックを受け自分を責め続けるが……。

ここに書かれている話は、とてもいい話である。
私がこのように批判してはならないほどの、とてもいい話である。
最後の話なんかは、とてもぐっと来て泣きそうだった。
だから、何だかとても残念なのである。そういう思いを、
大切に思っているという共感が嬉しいのに、とてももったいなく思う。
私がどうしても好きになれない理由として、話を作るという
スタンスでの意識が微妙に石田さんと違うからではないか、と思った。
それは「ぼくとひかりと園庭で」のときも思ったのだが、
石田さんはその大切な感情を、「簡単に」伝えようとするのである。
簡単な設定で、簡単に伝えることにより、
読者にも簡単に分かってもらおう。そんな風に私は感じる。
けれども、それって何だか違うのではないかと、私は思うのだ。
大切なことは、「簡単に」するのではなく、「分かりやすく」
する必要があると思う。間違っても「簡単=分かりやすい」ではない。
だって「友達が死にました。悲しいです、でも頑張ります」
って言う簡単よりも、「友達とはこんなに仲がよかったんです。
でも死んでしまい、悲しいです。あなたも仲のいい友人を亡くしたら、
こんな気持ちになるかもしれませんよ」という分かりやすさと、
気持ちの浸透が重要なのではないか、と私は思うからだ。
この薄い設定だと、そこのところがあまりに省略されているようで、
「あとは自分で考えてくださいって事かしら」とちょっと残念である。
あんまり突き放しすぎると、折角いいことを書いているのに、
気づいてくれない読者も現れるのではないかと思う。
まぁこの本は逆にストレート過ぎる、という感じも受けなくもない
のだけれど。うーん、石田さん嫌いじゃないんですけど、
最近そんなことを考え始めたら、そればかり気になっちゃってダメです。
それと久しぶりに読んで思ったのですが、石田さんの文章は、
形容詞と比喩が多いですね。今まで気づかなかったのですが。

★★★☆☆*80

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2008年10月19日 (日)

「雪虫」 堂場舜一

雪虫 (中公文庫) 雪虫 (中公文庫)

著者:堂場 瞬一
販売元:中央公論新社
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久しぶりに主人公の性格を許せずに、あまり楽しめませんでした。
うーん、新しい作家さんを掘り出すのは大変ですね。
たぶんこれはデビュー作ですが、他の本なら楽しいのかもしれないし、
とか思うと、もう一冊くらい……と思わなくもないのだが。

新潟県の片田舎で、老婆が何者かに刺し殺される事件が起きた。
目撃者はほぼ皆無。情報も限りなく少なく、
事件は暗礁に乗り上げるかと思われたが、
ある情報から被害者の老婆が宗教団体の教祖だったことが分かった。
祈祷と言いながら治らない治療をし、数十万円を受け取っていたらしい。
それらを調べを進めるうち、五十年前にその宗教団体で起きたと言う、
殺人事件が浮かび上がった。今回の事件は、その事件に関連している
に違いない。了は重点的に捜査を始めるのだが……。

そもそもの話、警察に資料がないって言うのが破綻しているように思う。
そして、もしないのだとしたら、当時の刑事を尋ねるのが先決だろう。
間違っても新聞記者に頼ったりしない。そこでも本当にヒントが
なかったら今度こそ外部の人間を頼ると思うのだが。
それは警察が、と言うよりも会社的な組織内の常識だろう。
ましてや警察の秘密が漏れたら、捕まる殺人犯も捕まらないじゃないか。
そしてこの本で私が一番気になったのは、主人公の傲慢な性格だった。
まだ二十代後半の癖して、上司にタメ口、部下に鷹揚な態度。
物語以前に、なんだこの性格設定は、と疑問に思った。
例えば三十台後半だったら、分からなくもないし、性格の曲がった
人間が重大事件で性格を更正…というなら納得だが、その要素は皆無。
若造のくせして威張り散らす主人公の利点は何なのか謎だった。
それと話の筋として、事件、と言うよりは、主人公の心理重視なので、
父親との関係に悩んだり、昔の恋人に靡いてみたりと、
余分な文章が多くて、相当な分量が増えている。
捜査に至っては、予想していたことが、そのまままんまになる、
と言うことが多くて、ちょっと面白みに欠けるし、
この程度の物語なら、こんなに分量いらないんじゃないですか、と思った。
うーん、すっきりした文章は好きなんですが、
いまいち「?」と思うところが多くて楽しめませんでした。

★★☆☆☆*75

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2008年10月18日 (土)

「三四郎」 夏目漱石

三四郎 (新潮文庫) 三四郎 (新潮文庫)

著者:夏目 漱石
販売元:新潮社
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久しぶりに再読しました。あぁ、やっぱり夏目さんいい。
私は願わくばこの堅苦しい文章の時代に生まれたかった。
来客があってすぐに茶を出さずにいることが可笑しい、
そんな疑問すら浮かばないだろう慣習に浸りたかった。

熊本の片田舎から上京した三四郎は、東京の大学に通い始めた。
都会には電車も走っているし、物価の単価も、田舎に比べたら
雲泥の差である。少しずつ馴染み始めたつもりであったが、
ただ一つ分からないことがあった。
知人を通して知り合った女・美禰子の心情である。
傍におり、不適に微笑む彼女に次第に恋心を抱く三四郎だったが、
その微笑の理由が、全くもって分からない。謎めく彼女との会話に、
自分はここではまだ迷子なのだと、三四郎は思う。

上にお茶のことを書きましたが、内容とはさほど関係がありません。
この本に書かれているのは、田舎者の主人公と、都会娘・美禰子との
絶妙なやり取りである。絶妙というのは2人の会話が、
というのではなくて、絶妙な雰囲気を夏目さんが描いてくれているのだ。
いつの時代でも、男は女の心を分からない……確かそんな
キャッチフレーズがこの小説にはついていた気がするのだが、
まさに、その女の謎めく雰囲気と、上京したての不安な青年の心を、
丹念に書き連ねている。そこには夏目さんらしい洒落っ気もあり、
はたまた当時直面している俄かな問題も、自然に表されていて、
ただ読むだけで、当時の風景画さらりと画に浮かぶようで、
毎度ながら、本当に秀逸な文章だと思った。だって、今の作家で、
これが出来る人あんまりいないと思いますよ。宮部さんくらいじゃ
ないですかね、背景を丹念に伝えてくれるのは。
さておき、この小説での見所はやはり「Stray Sheep」でしょう。
今では、何かに余韻を持たせて引っ張るという手法は当たり前ですが、
その原点は、この夏目さんのような作品にあるだろう。
美禰子が不敵に呟く「Stray Sheep」。主人公は意味が分からず、
けれどその意味を知ったとき、それはまるで自分のようであり、
その姿を浮き彫りにするのは美禰子の存在があってこそ知りえた
自分の象徴だと、気づくのだ。「Stray Sheep」、最後に三四郎が
呟くこの一言は、恋が台風のように過ぎ去った戸惑いのようでもあり、
自分が不確かなところに立っていると気づかされ途方に暮れている
ようでもあり、それを呟いた美禰子の姿が過ぎ去るとき、
そっと三四郎の心を掬ってゆくのだろう。まるで、知れず不敵に。
素敵な作品ですね、あぁ本当に生まれる時代を間違えたと、
私は思います。けれどまぁ、後世に残ったからこそ、
輝き味が染み出るという利点もあるのかもしれませんが。

★★★★☆*89

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2008年10月17日 (金)

「八日目の蝉」 角田光代

八日目の蝉 八日目の蝉

著者:角田 光代
販売元:中央公論新社
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恐ろしい女になったな、角田さん…と読み終わった後に驚愕した
本でした。少し前の著書を差し置いて格段にレベルアップしています。
一体この人はどこまで上り詰めるのだろう。一体どこまで掘り深める
のだろうか。そんな期待と怖さを押し付けられる本です。

赤ちゃんを抱え、私は走り出していた。
鍵の掛かっていない家から盗み出した、あの人の子ども。
本当は私が生むはずだった、赤ちゃん。胸に抱いたその顔を見ると、
私は幸福と言う波に襲われた。この子は私が育てる、
絶対に手放したりはしない。そう心に誓った。
本当は連れ出すつもりなどなかった。けれど泣き出した赤ん坊の
声を聞くうち、体は勝手に動いて、どうすることも出来なかった。
もう後戻りは出来ない。私は混乱する頭を抑え、
必死に逃げ、そして生き抜くことを考える。

この鳥肌は何だろうか、読み終わる数ページ、
私は途中途中文字を追うのをやめた。ぞわぞわと這い上がるような
その感覚は、まるで「私」のその思いを味わっているようで、
耐えられなかったのである。角田さん、あなたは恐ろしい。
子どもを泥棒した女、そして四年後に無事家に帰された子ども。
この話を端的にまとめてしまうとこんな陳腐な言葉になる。
それはあまりに大事件過ぎて、真実味がないし、
そもそも、他人が理解できるような事件ではないからだ。
「赤ちゃんなんて盗むわけないじゃん」皆そう言うだろう。
そう、赤ちゃんなんて普通盗まない。見るからに面倒そうだし、
他人の子どもなど、愛情が生まれる確率の方が低い。
ましてや愛人の妻の子どもなのだ。けれども、この本を読むと、
読者は恐ろしい感覚を味わうことになる。自分も赤ちゃんを
盗むかもしれない、と思い始めるのだ。登場人物には、
どうしようもない大人ばかりが現れて、みな不倫や逢引を繰り返す。
だけどそれが隠されない事実なのだと気づき、その弱さを
自分に認めたとき、きっと「私」を理解することが出来るだろう。
そして、赤ん坊だった子ども・恵理香が語る「第二部」。
ここで交わされる言葉は、何よりも重い真実である。
壊れた家庭の、戻らない過去と、「私」への怒り。
だけど、その恵理香もまた大人になることで「私」を理解する
その瞬間、人間の無情と呼ばれる何かを感じたような気がした。
人は大抵子孫を残し死んでゆく。一見ホームドラマのようなほのぼの
したものを思い浮かべ、しかし一方では人間も動物なのだと私は思う。
ただ子孫を残し死んでゆくだけ。それだけでいいのに、
人はなぜ愛を持って生まれ、その不自由な愛に苦しむのだろうと。
一端が拗れた糸は絡まって、それでも人は生き続けるから、
その愛がそこにあると気づけただけ、私は恵理香の人生は
捨てたものではないと思う。勿論、それがいいわけではないけれど。
と、褒めておいて難ですが、前半もうちょっと説明があっても
よかったかなぁ、と。なんで子どもを盗んでいるのか、さっぱりで、
「私」の語る言葉はどことなくうそくさくて、ちょっと気になった。
まぁ、それが狙いなのかもしれないけれど。

★★★★☆*94

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2008年10月16日 (木)

「黒猫の三角」 森博嗣

黒猫の三角―Delta in the Darkness (講談社文庫) 黒猫の三角―Delta in the Darkness (講談社文庫)

著者:森 博嗣
販売元:講談社
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初っ端から禁じ手。シリーズ第一巻ですが、ちょっと魅力に欠けました。
これなら、S&Mシリーズの方が私は好きです。
今回は主人公が探偵もの。まぁ王道中の王道ですね。
それにしても森さんは密室が好きだな。まぁミステリの永遠のテーマか。

探偵である保呂草潤平のところに、久々の依頼があった。
四年前から続く連続殺人のターゲットに、選ばれたようだ、
という女性の身辺護衛依頼である。同じアパートに住む友人を引き連れ
見張りを張り切る保呂草であったが、結局依頼者は殺されてしまった。
しかもそれは密室殺人事件であり、犯行の手口も連続殺人と
全く同じであった。推理から、犯人はパーティに来ていた
メンバーであることが色濃くなってくる。果たして保呂草は
犯人を突き止め、新たな殺人を食い止めることが出来るのか。

あらすじを書いていて、馬鹿らしくなってきました。
と、言うのも、上に書きましたが「禁じ手」の物語だからです。
何が禁じ手かって? それを今から話しますが、
相当なネタバレなので、気になる方は下を読まないで下さい。
そもそも、主人公が犯人、はやってはいけないミステリベスト3
位には入ると私は思うのですが、どうでしょうか。
まぁこの小説では、巧に「主人公ではない」とフィルターがけ
されていますが、シリーズものだとしたら、
第一巻でしか許されない、重度の禁じ手だと私は思いました。
だって秘密が明かされたときの脱力感が虚しすぎる。
頑張って推理して読んでいたと言うのに、主人公(語り手)が
嘘をついてました、ごめんなさい。と、終わるのである。
許せない。笑 と言うわけで、何だか面白さをとてもマイナスに
してくれる微妙な設定だったといっていいだろう。
それと、もう一つ気になるのは、キャラクターが多すぎて覚えられない
ことである。S&Mシリーズは犀川と、萌絵がツートップだったので、
2人の会話を主に楽しめばいいわけだが、このシリーズは、
主要キャラが4人+その夫の刑事、という具合に、視点が5個もあるため、
いまいち読むのが疲れる。オマケに主人公が犯人。
ね、ちょっと頂けないでしょう。と、まぁ楽しいは楽しいので、
文句はこれくらいにしておきますが、S&Mシリーズは学校もので、
こちらは探偵もの、と書き分けられていて、面白いと思います。

★★★☆☆*80

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2008年10月15日 (水)

「殺人の門」 東野圭吾

殺人の門 殺人の門

著者:東野 圭吾
販売元:角川書店
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なんともまぁ、暗い話でした。人が「殺人の門」を超えるまでの話。
東野さんの小説は、ドロドロ、ベタベタしたのが好きなので、
「ガリレオ」などよりは好きでしたが、イマイチ乗り切れない感じで、
これなら「白夜行」や「手紙」など、テーマがはっきりしている方が○。

祖母の葬式が済む頃、祖母は母に毒殺されたのだという噂が町に流れた。
喧嘩が絶えない両親は離婚をし、私は父方に付くことを望んだ。
様々な騒動が済んだ私に待ち受けていたのは、劣悪な町の風評と、
ひつようないじめであった。毎日繰り返される暴力や嫌がらせに、
次第に怒りを覚え始めた。だから私は殺人計画を立てることにした。
人を殺すためには、それなりの動機と憎悪が必要である。
いじめの中心人物をその標的に考えたが、
殺すと言うことは自分が捕まるかも知れないということでもあるから、
私はそいつらを確実に殺すために、より憎悪を増やす必要があった。

そもそも、この主人公は忍耐力がある。
私だったら、この本の中間地点で倉持を殺しているだろう。
そう思って読んでいたからか、まだ殺さないのか、まだなのか、
と恐ろしい感情で読み終えることになった。
まぁ、そう思わせるほどの巧みなイライラ感や、
殺したいけど、まだいいか、みたいな様子はとても上手いと思う。
けれども、残念なのは途中から、ねずみ講に嵌ったり、
倉持にまんまと騙されることばかりが続き、
「いい加減気づけよ」と主人公をしかってやりたくなった。
それに、殺人計画と言うのは、そんなに甘いものではないと思う。
例えばもっと尾行を入念に行ったり、ターゲットの一週間の予定を、
事細かにカレンダーに書き込んでみたり、盗聴してみたり、
という、ちょっと狂った一面を見せてもらえないと、
計画を練っているその様子が、全然恐ろしい心境に思えない。
まず、タイトルのように「殺人の門」という門を越えるのが、
人を殺す直前だと言う設定が、ちょっと間違っているような気もするし。
計画するような殺人をする人間は、その門を越えたら「殺す」ではなく、
「殺してやる、殺してやる」と憎悪を自ら煮詰めてゆき、
最後の一歩を怨念を込めて自ら越えるのだと思う。
だから最後の「越えたのだろうか」という主人公の心境なら、
それは今まで呪ってきた倉持への気持ちがもったいないだろう。
私は、主人公を殺そうと襲ってきた藤田のような人間こそが、
計画殺人としてよく描くことが出来そうだなぁ、と思うのだが、
どうでしょう。人を殺すことは、一瞬の過ちであるか、
生涯の達成あるか、どちらかであるように思う。
最後まで暗い話なので、十分にご注意を。

★★★☆☆*84

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2008年10月14日 (火)

「偏路」 本谷有希子

偏路 偏路

著者:本谷 有希子
販売元:新潮社
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読み始めるまで脚本だとは知りませんでした。
が、まずまず楽しめました。しかし、本谷さんは好きなんですけど、
どうも好きになりきれない理由は、マンネリにある気がする。
だって、いつもテーマ一緒じゃないですか。なんだかなぁ。

東京で劇団員をしていた若月は、出戻りすることになってしまった。
劇団が色恋沙汰でドロドロになり、解散になったのだ。
とりあえず実家に帰ってみようとしたものの、
そもそも実家が嫌で嫌で仕方がなかったから飛び出したのであって、
今更その空気に馴染むことが出来ないのだった。
父親を始め、親戚一同は、劇団員として若月を送り出した苦労話
ばかりをし、早く有名になってくれとせがむ。
若月は葛藤の末、劇団が解散になったことを伝えるが……。

舞台で見たら、きっと面白いだろうなぁ、と思いました。
ところどころ実際の舞台の写真が入っていて、
よりイメージを膨らますことが出来ましたし、
ありそうな家族をコメディ調に書かれていて、好感が持てます。
しかし、一つ気になったのが、上記にも書いたように、
ストーリーのマンネリが目立ちます。今回の話は、
役者になろうとして実家を出たものの、鳴かず飛ばずで、
出戻りした惨めな女が主人公。あれ?この光景どこかで……、
と思い返してみると「腑抜けども悲しみの愛を見せろ」でも、
「ほんたにちゃん」でも、そのような設定だったではありませんか。
と、言うことはあれですかね、毎度イメージはご自身なんでしょうか?
と考えてしまった次第でした。「腑抜けども」でも「江利子と絶対」
でも分かるように、あの絶望感を描ける人と言ったら、
本谷さんの右に出る人はいないと思います。けれども、
その絶望をいつも同じ設定でしか使えないのなら、
それは残念なことだなぁ、と勝手に思いました。
今回も、面白いんですが「あぁまたこの設定ですかぁ」
と言う感じで、あんまり楽しめませんでした。
本谷さんの舞台は見てみたいですね、興味があります。

★★★☆☆*78

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2008年10月13日 (月)

「ナイチンゲールの沈黙 下」 海堂尊

ナイチンゲールの沈黙(下) [宝島社文庫] (宝島社文庫 C か 1-4 「このミス」大賞シリーズ) ナイチンゲールの沈黙(下) [宝島社文庫] (宝島社文庫 C か 1-4 「このミス」大賞シリーズ)

著者:海堂尊
販売元:宝島社
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読むのではなかった、と思いました。最近忙しいので、
つまらない本を読むと、時間がもったいないと思います。
と、ぶしつけに失礼なことを書いていますが、
理由は下記で述べたいと思います。しかし、続巻を出す気力が凄い。

看護士・小夜の担当している少年・瑞人は、網膜芽種……眼球のガン
であり、放っておくと眼球を摘出しなければならなくなる。
それを避けるためにも、どうしても手術を行わなければならなかった。
けれども、瑞人の父親は無職であり、酒に明け暮れているような、
最低な父親だった。金がないから、死なないのであれば手術はしない。
断固として譲らない父親だったが、突然契約書にサインをすると
小夜は呼び出しを受けたのだった。はやる心を抑えきれず、
喜び勇んで父親の元に向かったが、小夜はそこで乱暴を受けることに
なった。このままでは……小夜は懸命に赤い手袋に手を伸ばした。

かなりネタバレしますから、嫌な方は読まないよう……。
大変不愉快になった理由は、今回の主要キャラクターである小夜が、
「私を助けるためにお父さんを殺してくれてありがとう」
と言ったところから派生している。いや、なんか違うだろう、みたいな。
上巻から一貫して、過去に辛い思い出を抱える、か弱い女性、
として描かれてきた小夜であったが、このへんから、
その理由が分からなくなってくる。極めつけは、
「一ついい方法があるの」と言って、瑞人に提案した、
自分の父親を解剖しろ、と言う看護婦とは思えない残酷な一言だ。
そんなことしたら、瑞人が手術を受けられなくなってしまうのが
目に見えているではないか。一番簡単なのは、小夜が自首することなのだ。
「沈黙のナイチンゲール」と題されたこのテーマ(テーマかどうかも
怪しいのだが)を無理に描くために、殺人が軽視されている。
おまけにまたまた登場した白鳥に加えて、玉村や、加納と言った、
白鳥系列のうざいメンバーが追加され、かなりうんざりした
感じになっている。そもそも、警察関係で遊びすぎだと思う。
ある程度の節度と、礼儀をもって、ギャグを描くべきだと思う。
この小説にはそれが一切ない。読み終わった感想は、「大変不愉快」
まぁ個人的な感想なので、どうぞ他の方の感想もご覧になってみては。

★★☆☆☆*55

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2008年10月12日 (日)

【映画】容疑者Xの献身

20080810
観る気は全く、と言っていいほどなかったのですが、
実家に帰ろうとした所「今日は映画を観る日なんだ」と父が言うので、
半ば強制的に映画館に同伴しました。よくよく考えてみると、
うちの家族は、結構昔からよく映画を観る家族だと思う。

靖子は元夫である富樫の事を絞殺してしまった。
金をせびりに来る恐怖から必死に逃げていたのに、
富樫はまたもや居場所を発見し、靖子の前に現れたのだった。
怯える娘も気がかりであったから、娘が富樫に手を挙げた瞬間、
靖子の恐怖心は殺意に変わった。
今殺さなければ、私たちは一生付きまとわれるに決まっている……。
しかし、動かなくなった富樫の姿を見て、靖子は絶望感を覚えた。
自首をするしかない。娘のことを案じつつそう思い始めたとき、
玄関のチャイムが鳴った。鳴り止まぬ鼓動を抑えつつ、
靖子が出ると、そこには石神という隣人が立っていた。
「僕に出来ることがあったら言ってください」

何だか観る前から嫌な噂を聞いていたので、これは多分観ないな、
と決めていたのですが、上記の都合により観ることになりました。
しかし、予想以上に良かった気がします。
ドラマも私も数回観ていたのですが、ドラマのファンである父は
「柴咲コウの出番が少なかった。福山雅治の計算式を観れなかった」
とちょっと煮え切らない様子でしたが、小説ファンである私としては、
なかなか忠実に映像化してくれた作品だと思いました。
しかし、まぁあの雪山はいらない……と、ネタバレになるので、
この辺にしておきますが、推理解決の部分まではとてもいい感じです。
子役の子もしっかりしているし、脇役もドラマで慣れているから、
かなりマッチしている。サブ主役は堤真一であるから文句なし。
なので役者陣は完璧であった、と言って問題はない。
唯一つ文句があるとするならば、最後の湯川が真実を語るシーン。
何故刑務所内になってしまったのか? 究極の謎である。
この真実は、本人に語られるべきなのではなくて、
やはり靖子に語られるべきなのである。そして期待すべきは、
靖子が弁当屋の前で泣き崩れるシーン。それがなぜ
設定されなかったのか、とても疑問である。だってせっかく
松雪泰子なんだからさぁ、いい演技してくれると思うのに。
と言うわけで、最後の最後でぶち壊してしまい、
ほんの少し残念な物語になっていますが、ドラマ性を抑えて、
原作「容疑者Xの献身」に忠実に作られたこの作品は、
賞賛されるべきものだと思いました。深い、愛。
東野さんが伝えたかったその思いを、
この映画で感じることの出来る人間が増えたらそれでいいと思う。

★★★★☆*87

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2008年10月11日 (土)

「ナイチンゲールの沈黙 上」 海堂尊

ナイチンゲールの沈黙(上) [宝島社文庫] (宝島社文庫 C か 1-3 「このミス」大賞シリーズ) ナイチンゲールの沈黙(上) [宝島社文庫] (宝島社文庫 C か 1-3 「このミス」大賞シリーズ)

著者:海堂尊
販売元:宝島社
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何ともいやぁな予感を持ちつつ、上巻を読み終えました。
「チームバチスタ」のときも思ったのですが、
作者が描写で描く主人公と、主人公の心の呟きが、
かなり性格不一致に思います。うーん、下巻も辛そうですわ。

看護士・小夜の担当している少年・瑞人は、網膜芽種……眼球のガン
であり、放っておくと眼球を摘出しなければならなくなる。
それを避けるためにも、どうしても手術を行わなければならなかった。
けれども、瑞人の父親は無職であり、酒に明け暮れているような、
最低な父親だった。金がないから、死なないのであれば手術はしない。
断固として譲らない父親だったが、突然契約書にサインをすると
小夜は呼び出しを受けたのだった。はやる心を抑えきれず、
喜び勇んで父親の元に向かったが、小夜はそこで乱暴を受けることに
なった。このままでは……小夜は懸命に赤い手袋に手を伸ばした。

問題として、この本は読者のことを考えていない。
「チームバチスタ」の時も思ったが、あちらの方がまだマシであった。
今回は前作が人気だったため、「勿論前作は読んでくれたでしょ?」
みたいな感じで、あまり注意せずに書いた、という嫌な印象を受ける。
その原因は医療関係のことに説明が少なすぎる、というところ。
多分、医療関係者や看護士さんは、とても楽しめるのではないだろうか
と思うのだが、医療をさっぱり分からない人間には確実に説明不足。
おまけに人物の行動描写が少なすぎるので、
そこに一体何人の人間がいて、誰がしゃべっているのか不明。
登場人物だけが勝手に盛り上がっているという感じもする。
そう言った意味で、とても残念な本だった。
せっかく医療という専門的な分野を武器にストーリーが書けるのに、
そのいい所が生かせていないのは、非常にもったいない。
それと今回のストーリーは、あまりチーム的な躍動感がないから、
「チームバチスタ」で好きになった人は肩透かしを
食らうかもしれないなぁ、とも思う。キャラクターの
個性が、あるようで、ないような、「チームバチスタ」のように、
主要人物が上手いこと確立していないので、
一体どこら辺までが主要人物で、どこからが脇役なのか曖昧。
と、ボロボロに書いてしまったのは、折角いいものを書けるのに、
奢りが見えるような気がするためであって、文章は好きです。
下巻も楽しめるといいのですが。いよいよミステリ、ですから。

★★★☆☆*80

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2008年10月10日 (金)

「あの空の下で」 吉田修一

あの空の下で あの空の下で

著者:吉田 修一
販売元:木楽舎
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待ってました、吉田さん!と勢い込んで発売日に買いましたが、
残念なことに約半分エッセイ本です。吉田さんご本人と小説は好きですが、
私はエッセイがあまり好きではありません。L25で凝りましたが、
吉田さんはエッセイを書くのは不向きだと、僭越ながら勝手に思います。

「東京画」
もう二十年も会っていない親友は今、少し有名な小説家らしい。
この二十年の間に雅夫は結婚をし、子どもも儲けた。
「今幸せか?」と聞かれたら、「いや、そんなことないですよ」
と謙遜するくらいの幸福感は持っているつもりだ。
ところで雅夫はその親友・島本を自分の結婚式に呼ばなかった。
自分も呼ばれなかったし、元来付き合いの悪いあいつは、
くるはずがないとも思った。こうして二十年目にして企画された
同窓会に、島本から「間に合ったらいく」と連絡があった。
彼に会いたいような、会いたくないような、雅夫はそっと彼を思う。

この本、あんまり面白くないと思う。ANAで配られていた雑誌?
に掲載されていたと言うこの小説は、ほとんど旅行や、アジア旅行もの。
おまけに間に挟まれているエッセイもそんな感じなので、
似たり寄ったり、寄せ集めた話ばかりで、若干のマンネリを感じた。
はっきり言わせていただくと、吉田さんはSS~短い短編に
非常に向いていないと思う。その原因として、吉田さんは多分、
とてもきちんとした性格の方だからか、どんなに短くても、
起承転結を作ろうとしているところにあると思う。
その文章具合は、長編であればとても心地のよい終息になり、
この部分が好きである読者も多いのではないだろうか。
しかし、「女たちは二度遊ぶ」でも周知のように、
何かしらオチを作らねばならない、と固執してしまうために、
いつも同じような展開で、同じように減速して、終わる……
というパターンが出来てしまっていて、この本もまさにそれであった。
久しぶりの吉田さんだから~と思って、かなり力を入れて読んだ
はずなのに、読み終わった後に印象に残っている物語がない。
非常に残念だし、こんな短いストーリーにしてしまわないで、
是非長編で生かして使ってくださいよ、もったいない、
と「女たちは二度遊ぶ」と同じ感想を持ちました。
と、ずたボロに書いてますが、私の一番好きな作家は吉田さんです。
こんなにたくさん作家読んでますが、好きであり続けるのは、
私にとってとても凄いことです。新刊楽しみにしてます。

★★☆☆☆*68

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2008年10月 9日 (木)

「冷たい密室と博士たち」 森博嗣

冷たい密室と博士たち (講談社ノベルス) 冷たい密室と博士たち (講談社ノベルス)

著者:森 博嗣
販売元:講談社
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面白いんだけど、つまらなかった。どっちですか、って感じですが、
キャラクターやトリックの構想は面白いのに、推理がつまらなかった。
読者置いてきぼり。ある意味、デビュー作の方が面白いのも凄い話
なんですが。森さんは感情の変化を書くのが苦手なのかしら……。

犀川は、萌絵をつれ極地研の研究室にやってきていた。
同じN大学でも車で移動しなくてはいけない奥まった場所にある
その実験施設では、プラットホームを設置するための実験が
予定されていたのだ。零下30度にもなるその実験室内では、
研究員が宇宙飛行士のような防寒服を着て作業を行っていた。
実験は滞りなく終わり、教授や研究員たちは、犀川と萌絵を交え、
打上げパーティを行うことにした。実験室内で用意された
食べ物や酒で盛り上がり、数名が帰宅し始めた頃、姿を見かけない
2名の生徒がいることに全員が気づいた。2人はどこへ行ったのか?
捜索するうち、鍵の掛かった部屋で血塗れの遺体が見つかったのだった。

読み終わった後、大変失礼であるが、なぜつまらなかったのか、
と半ば本気で考えていたのだが、理由をいくつか思いついた。
一つ目は読者に推理のヒントが皆無。ラストシーンになり、
犀川が事件を語り始めるまで、読者は犯人を一切特定することが
出来ない。普通の(と纏めてしまうのは間違いかもしれないが)
推理小説の場合、大抵一人以上アリバイが怪しかったり、
疑わしい動機を持っている人物がいるはずだが、この本では誰もいない。
従って、読者はどの人間も怪しむことが出来ず、むしろ
ここにいない誰かが犯人ではないか、とすら思えてくる。
二つ目は動機が微妙。これも↑の内容に関係してくるのだが、
この話の中での人物の描写はあまりに乏しい。情報は、
ほぼ全て事件調書という「紙」という状態で提供されており、
生の人間が動いている状態の描写が極端に少ないのである。
しかも被害者の女子生徒なんかは、顔すら出てこないのだ。
これだけ親密な位置関係で殺人事件が起きているのに、
なぜ顔も見たことのない人間の推理にしてしまうのか、非常に残念。
まぁ「推理のための小説」と割り切ってしまうなら、
無駄な感情がなくていいだろうけれども。
三つ目「冷たい」密室である必要がない。この話では折角
冷たい…すなわち死後硬直を変動できるという設定なのに、
それを飛び越えて推理解決。え?冷たい意味なくない?みたいな。
ただ顔が見えなければ出来てしまう犯罪で、
なぜ冷たい部屋を選んだのか、大変謎である。もったいない。
……と色々書いてしまったが、最初に書いたように、
つまらない反面、この本は面白い。それは犀川シリーズの魅力である。
だから、願わくば、もう少し事件の方も練られてるといいなぁ、
というところで。犀川が好きなら、きっと楽しめるはず。

★★★☆☆*83

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2008年10月 8日 (水)

「ファースト・プライオリティー」 山本文緒

ファースト・プライオリティー (角川文庫) ファースト・プライオリティー (角川文庫)

著者:山本 文緒
販売元:角川書店
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31人分の31歳の物語。山本さんは短編の方が好きだな。
SSだったので、ちょこちょこ読んで二ヶ月くらい鞄に入っていた
かもしれない。そう言えば、私は31という数字がとても好きである。
ご覧の通り、このブログも31……理由を誰かに話したことはない。

「旅」
私は週末になると旅に出る。別に目的の場所はないから、
帰り道、金券ショップを覗いては、安くいけそうな場所を
探してそのチケットを買って、一人で旅行するのだ。
今日は鹿児島行きのチケットが安かった。
私は早速それを購入して、「出張のついでに」と言いながら、
宿に向う。値段の割りにいい宿で、一人のんびりするのだった。
31、その微妙な歳に何を思うのか。

一番この話が良かったのだが、いい話は他にもたくさんあった。
「嗜好品」や「空」も私の好みだった。まぁ、「嗜好品」は
麻薬の話であるし「空」どっちつかずな女の話なのだが、
そのSSとして区切られた一瞬の虚しさや想いが、
この話の中には絶妙に詰まっている気がするのだった。
全ての主人公が31歳であると、私は中盤になってようやく気づいた。
未だ到達していないその年齢に、一体どんな意味があるのだろうか、
と未知数な期待が膨らむ。その頃までには、願わくば子どもがいると
いいなぁ、と思うのだが、まぁそれは運というものだろうか。
私は最近31歳の頃の母を思う。また、31歳の頃の祖母を思う。
もちろん父だって祖父だってそうなのだろうが、
子どもを生み育てる彼女たちは、果たして何を思っていたのだろうと、
今頃真剣に考えるのである。私を育てるために犠牲にしたその時間が、
今の私にもゆくゆく訪れるのだろうと思うと、何だか奇妙な気持ちに
なるのだった。と、本の話とずれてしまいましたが、
いろんな意味で31と言う年齢は考えさせられる歳なのだと思う。
30を越え、もう20代には戻れないと言う強かな思いも生まれ、
子孫を残すべきかの選択が待ち受けているのである。
いつしか訪れるその歳までに、私は一体何が出来るだろうと、
本当に、今更考えた本だった。そう思わせる31歳の胸の空く思いが、
詰まった本なのである。もちろん31を越えた人間でも存分に
楽しめる話である。私もその頃にもまた読みたいと思う。

★★★★☆*87

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2008年10月 7日 (火)

「門」 夏目漱石

門 (新潮文庫) 門 (新潮文庫)

著者:夏目 漱石
販売元:新潮社
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折角だから『三四郎』と『それから』を先に読めばよかった、と後悔。
夏目さんは中学高校と読み続けていたので、大抵の本は読んで
いるはずなのだが、『門』のラストのあたりは、はて、
どんな終わりだったかしら、といつも忘れてしまう。

宗助と御米は横丁の隅でひっそりと暮らしていた。
自ら何をするでもなく、ただ淡々と過ぎてゆく毎日。
しかし、今がここにあり、こうして細君が隣にいるだけで、
宗助は全ての自分の人生が尽きていると思うのだった。
自分たちは罪人である。町を転々として、ようやく落ち着いた東京の
隅であったが、風の噂を聞くなり不安になる。
全ては神経衰弱のせいであろうが、その神経衰弱の原因は、
自らと御米の過ちであった。誰も門は開けてはくれぬ。
入るなら自分で空けろと、人は言うのである。

あぁ、読み終わってから本当に後悔。なんで『三四郎』から
読まなかったんだろう……、まぁ、いいか過ぎたことだ。後で読もう。
この本は、夏目さんのいいところである、過去回想が『こころ』同様、
とてもいい感じに盛り込まれている。もちろん『こころ』の
右に出るものはないと思うのだが、この始めのページと、
それから最後のページを捲るときのページの重みの違いに、
いつも心が震えるのである。序盤、家の中でごろごろするばかりで、
どうにも役に立ちそうにない宗助は、ただのぐうたら人間に見える。
しかし読み進めるにつれ、彼のイメージはは略奪愛という
重苦しい罪悪感に苛まれる惨めな男へと変わってゆく。
さらには、そんな罪を犯す前の、至って紳士な彼の姿を見ると、
あの最初のシーンで縁側に蹲る彼の様子は、とても心苦しい。
気障で洒落た好青年が、神経衰弱のボロボロの男に成長する。
それは成長、と言っては可笑しいのかもしれないが、
その変化をもたらす御米との愛が、果たして本当に良かったのか、
とどうしても疑わずにはいられないのだった。
子どもの生まれない二人に下る天罰は、まだあるのだろうか?
宗教に縋りつつも拭えないその罪悪感は、
きっと死ぬまで二人の心に刻まれ続けるだろう。
二人は逃げに逃げ続けて、けれどふと疲れて立ち止まっては、
また歩き出し、その永遠に続くかと思われる懺悔の日々に
押し潰されて、いつしか自ら死を選ぶような気がしてならない。
この本は、そんな夫婦の姿を克明に描いている。
もしかしたら、この物語に続きはないのかもしれない、と。

★★★★☆*88

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2008年10月 6日 (月)

「扉は閉ざされたまま」 石持浅海

扉は閉ざされたまま (ノン・ノベル) 扉は閉ざされたまま (ノン・ノベル)

著者:石持 浅海
販売元:祥伝社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


この本も気になっていたので読んでみました。
と言うか、本当に最近ミステリしか読んでいないような……。
まぁいいや、面白かったので。予想ですが、たぶんこの物語は、
後ろから考えられたのだろうと思った。みんなそう思うのでは?

伏見亮輔は新山和弘を殺し、完璧な密室を作り上げた。
まずバッグから新山の着替えを取り出し、眼鏡と時計を外す。
それから睡眠薬で眠っている新山を担ぎ、顔をお湯を張った風呂に沈め、
心臓の音を止めてやった。あとは服を脱がして裸にし、
湯船につからせる。これで「薬を飲んだ後入浴しようとして、
そのまま湯船で眠って溺れた男」が完成した。
伏見はドアにロックが掛かるよう工夫して廊下に出た。
伏見の行動は完璧だと思われた。
しかし、それは「彼女」が語り始めるまでのことだった。

この本の魅力はスタイリッシュでありながら、
実は恐ろしいほどに緻密に練られた会話によって事件が扇動されている
というところだろう。事件はなんてことはない。ページを捲ると
同時に主人公が殺人を犯すシーンが出てくるので、犯人はばればれ。
その代わりに、主人公が「犯行を隠す技」を楽しむことが出来るのだ。
雰囲気的に言うと、「古畑任三郎」系の小説と言っていい。
一つ違うのは、その騙し合いが、死体が発見されてから行われるの
ではなく、このタイトルにもあるように「扉は閉ざされたまま」
会話の中だけで、推理が進んでいくところだ。それだけを考えると
「花の下にて春死なむ」なんかもこれに近いかもしれない。が、
それはさておき、舌を巻くのはやはり会話と行動の穴である。
この話で一番好感を持てるのは、殺し方がとても原始的である、
という点である。一番怪しまれずに、頑張れば事故死を装える。
それと同時に人間の行動も至って「普通に」行われているように
見せかけながら、実は漏れがある、例えば目が悪い新山は、
風呂に入るとき眼鏡を枕元には置かない、とか、ふと「普通の」人間が
見落としてしまいがちな事を、正しく描いているので、
よりスリリングな推理合戦を楽しむことが出来るのだ。
唯一つ残念だったのは、「もしかして中で倒れてるんじゃない?」
となった時、みんながいきなり窓を壊そうと言い始めたところ。
今までぐずぐずしていたのに、ひらりと翻り、おや?と思った。
それと、殺人の動機も、ちょっとイマイチだったようにも。
しかし、優佳のような人間がいたら、殺人をしようなんて、
私だったら思えませんけどねぇ、とか。笑 だって怖すぎますよ。
まぁ、楽しかったです、総合的に。上に裁かれず優佳に裁かれる
ラストも個人的に好きでした。むしろ彼女は神なのか、とか。推理のね。

★★★★☆*88

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2008年10月 5日 (日)

「99%の誘拐」 岡嶋二人

99%の誘拐 (講談社文庫) 99%の誘拐 (講談社文庫)

著者:岡嶋 二人
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


共著と言うことで、気になっていた作家さんでした。
さすが二人の知恵を出し合うと、面白いものが出来るものだな、と。
絶賛、と言うわけではないけれど、最後まで安心して読むことが出来る、
ミステリ小説でした。最近森さんといい、ミステリばかりだなぁ。

12年前、5千万円を要求する誘拐事件が発生した。
生駒は会社の復興資金として用意していた全財産を、
金の延べ棒に換金し、犯人と息子を取り戻す取引をした。
無事息子を取り戻すことは出来たが、会社は大手製造メーカーに
吸収合併されることになり、生駒の夢は尽きたのだった。
その記憶は死に際の生駒の頭に鮮明に蘇っていた。これから
大きくなり、誘拐の事実を知るであろう息子に向け無念の手記を書く。
それを読んだ息子・慎吾は、あることを思いついたのだった。
12年前の犯人に復讐するための、完璧な誘拐を。

とても安心して読めるミステリ小説。中盤12年前の誘拐事件に対して
容疑者が少なすぎるので、大体犯人の目星が付いてしまうのだが、
たぶんこの小説はそのことも計算され書かれているため、
第二の誘拐事件によい具合に興味を惹かれてゆき、楽しむことが出来る。
周波数で音声を切り替えるなど、かなり高度なテクニックについて、
さらっと書いてあるので、本当にできるかどうかは不明だが、
そのことを差し引いても、大変魅力的なトリックのように思った。
犯人が語ってゆくので、結末は大いに予想できるので、
そう言った意味での面白みはほとんどないが、
逆に主人公の心理が上手いことがを感じ取れる。
途中、間宮に感づかれた後からは、一瞬慎吾の一人芝居は
大変滑稽なものに見える。真実を知るものと、知らぬものでは、
これだけ感じるものが違うのかと、楽しめるだろう。
唯一つ残念だったのは、会社についての無念、と言うだけで、
息子は父親の復讐を行うものなのだろうか?と思わなくもない。
まぁそこには、自分も人質にされ、事件に巻き込まれた、
という重要なポイントがあるため、理解できなくもないのだが。
もしも人が死んでいたりとか、会社が潰れて路頭に迷ったとか、
そういう劣悪な環境だったらまだしも、吸収合併されて、
今の現状の方がいいような感じがするというのに、
わざわざ気持ちを掘り返せるだろうか、と少し疑問に思ったのだった。

★★★★☆*88

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2008年10月 4日 (土)

10/4つばき@新宿LOFT ガールハントグランプリツアー『ドレミ=ファンダメンタルズ』

081004

10/4つばき@新宿LOFT ガールハントグランプリツアー『ドレミ=ファンダメンタルズ』

■セットリスト

 ブラウンシュガーヘア
 瞬き
 さよなら、嘘つきな二人
 花火
 honey&money
 妄想列車
 君がいなければ

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2008年10月 2日 (木)

「震度0」 横山秀夫

震度0 震度0

著者:横山 秀夫
販売元:朝日新聞社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


これ怒られるんじゃないのかなぁ…とか、思いながら読みました。
誰にって?いや、神戸の人に。あんまり大きな事件が起きたので、
情報が錯綜してしまって、本当は簡単だった事件の証拠さえも、
おざなりになってしまう、ということらしいのだが、何とも。

ある日、N県警本部警務課長の不破が突然姿を消した。
出勤してこないのはおろか、その妻さえもが彼の消息を知らなかった。
そんな時、あの事件が起きてしまった。戦後最大級とも劣らない、
阪神淡路大震災である。あまりの被害の大きさに、情報は錯綜し始めた。
時間を経過するにつれ、鰻上りに増えてゆく死者数は、
テレビ越しで見ている人間さえもを震撼させる力を持っていた。
こんなときに不破は何をやっているんだ? まさか死んだのか?
不安が過ぎる中、懸命の捜索が始まった。

そもそもの話、話の中盤で主要人物の心理描写で
「何千何万人死のうと、遠いところにいる自分たちには関係ない」
みたいな事を言い出すのですが、それってどうよ?と疑問が湧き、
素直に読めなくなった。あれこの本のタイトルなんだっけ?みたいな。
地震とは関係がない、と言いながら、あまりにも大きな事件では、
色んな情報が飛び交ってしまい簡単なことも解決できない、
そんな様子が「震度0」と言っている。失礼極まりないと思う。
とか、思った。もしこの地震が架空のものだったとしたら、
(それは日本が地震大国ではない事も想定の上で)
かなりパラレルで絶賛される本だろう。要するに「日本沈没」、
みたいな状況(ちょっと行きすぎだけど)の中、
主人公は一人の人物をまめまめしく探す、のような。
でも、この本は明らかに阪神淡路大震災が舞台なのだ。
それを考えると、どうしようもなく被害者を労わらない本だよね、
とか嫌な感情が先に来てしまうのだった。不謹慎と言うやつ。
その他、この本は誰が主人公なのかイマイチよくわからなかった。
主に三人ぐらいの視点でぐるぐる回るので、
誰にも感情移入できずに読了。主をころころ変える
利点は何なのだろうか、と疑問に思った小説だった。
あとは、捜査の杜撰さ?「妻の話を聞いてみなくては」という感じの
ところがあって、奥さんも推理参戦ですか?と、若干しらける。
折角警察内部の面白みを書けるのだから、いろいろ、
よく考えて書いて欲しいよ、もったいないよ、と思ったのでした。

★★☆☆☆*74

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2008年10月 1日 (水)

「婚礼、葬礼、その他」 津村記久子

婚礼、葬礼、その他 婚礼、葬礼、その他

著者:津村 記久子
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する


津村さん、いつか芥川賞取ってくれるのを楽しみにしてるんですが、
たぶんこの本では取れないと思う。……というのも、津村さんの
持ち味である、絶妙な感覚?がこの本には描かれていないから。
うーんこの本だったら、頑張った他の誰かが書けそうな気がするので。

「婚礼、葬礼、その他」
誰かを「招く」という経験を幼い頃からしてこなかったヨシノは、
友人からお願いされた結婚式の二次会の司会に当惑していた。
いつも招待される側の人間である自分が、お客のために、
ハガキを買ったり、スピーチを書いたり、ビンゴの景品を用意をしたり
しなくてはならないのだ。そんな未知の挑戦を前に、
少なからず意気込んでいたのだが、その結婚式の最中、
会社の部長の父親が亡くなった事を知らされた。人数が少ない会社
なので強制参加となった葬式に行き、ヨシノは遠くで行われているはずの
二次会と、この葬式を思わず比べてしまう。
同じ日に行われる弔いと祝辞……変な感じである。

何だかこの本にはイマイチぴんと来なかった。
「君は永遠にそいつらより若い」や「カソウスキの行方」は、
その発想自体が面白くて、新鮮さがあり、津村さんのファンになった。
けれども、この本はある意味誰でも思いつけそうな感じで、
あんまり「絶妙さ」を味わうことが出来なかった。
そもそも、本の大部分を占めている、結婚式と葬儀の対比は、
言われなくてもみんな考えることだと思う。
主人公のようにまさか同じ日に結婚式→葬式と行く人は
かなり稀だと思うのだが、次の日とか、同じ週にとか、
言う人はたくさんいるだろうと思う。だって人は死ぬんだからさ。
とか考えていると、当たり前のことを面白げに書いているように
見えてあまり楽しむことが出来なかった。
けれども、あの葬式のときに不意に思い出してしまった、
自分の祖父母のことが、なぜか離れなくて、
あの一緒にいたゆっくりと流れる時間が今も流れている感覚、
その表現はとても好きだった。子どもの頃は、なぜか時間が長く
感じてしまう、その表現が、滑稽さの中に溶け込んでいい味である。
願わくば、あとは「絶妙な」津村さんの感覚を混ぜていただければ、
文句は何もないのですけれども。もう一冊新刊でてたなぁ読んでみよう。

★★★☆☆*83

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