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2008年9月29日 (月)

「蹴りたい背中」 綿矢りさ

蹴りたい背中 蹴りたい背中

著者:綿矢 りさ
販売元:河出書房新社
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芥川賞ってこんな軽かったのか? ちょっと飾った言葉で
書き連ねれば、取れてしまう賞らしい。この本で取れて、
なぜ島本理生の「ナラタージュ」で取れないのか謎である。
と、書いてしまうほど、面白くない。

わたしはクラスに馴染めていない。
それは自分でも気づいているし、別に撤回する気も起きやしない。
ただ、同じようにハブられている男子、にな川の存在が、
ちょっとばかり気になった。にな川は生物の授業中、
女性向けファッション雑誌を捲っている。オリチャンという、
ファッションモデルの熱狂的な”ファン”であるにな川は、
わたしの見る限り、変人だった。部屋にはオリチャングッズの
詰まった衣装ケースがあり、その中を見たわたしは得体の知れない
興奮を覚えたのだった。にな川はオリチャン以外を見ていない。
そんな狭い世界にしか目を向けないその背中を蹴ってやりたいと思った。

非常に微妙。芥川賞をかなり疑った。
へぇこれで取れちゃうんだ、みたいな。確かに、文章は、
全然書いていない人よりは上手いだろう。でも無理やり編んだような、
比喩の多用で、「これだけ比喩を使ってるんだから、凄いでしょ?」
みたいな、意図が滲み出ているようで、好感を持てなかった。
主人公たちの雰囲気から高校生活を思い浮かべられない。
ストーリもよく分からない。勿論「背中を蹴りたい」という理由は
わかる。狭い世界しか見れなかった自分をにな川に重ねて、
その恥ずかしさを蹴り飛ばしてやりたいのだ。
けれども、ただそれだけを言いたいがために、
こんな回りくどくよく分からない文章しかかけないのか?
と思うと、賞には値しないように個人的には思うのだった。
いや、もしかしたら、私が分かっていないだけで、
本当はもっと言いたい何かがあったのかもしれないが、
これだけのボリュームで、言いたいことを伝えられないのなら、
それはやっぱり表現が下手なのだと、言わざるを得ないのではないか。
と思ってならない。これに比べてしまえば、「夢を与える」の
方が、ちょっとは勉強した感が漂っていて、いいと思う。
まぁしかしあの破滅への一途を辿る物語は、
綿矢さんが書くべきストーリーではないと、いろいろ書かれていますが、
それを差し引いても、この本で賞をとるよりはマシだと、私は思う。

★★☆☆☆*65

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