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2008年7月 1日 (火)

「マリオネット園《あかずの扉》研究会首吊塔へ」 霧舎巧

マリオネット園(ランド)―“あかずの扉”研究会首吊塔へ (講談社文庫) マリオネット園(ランド)―“あかずの扉”研究会首吊塔へ (講談社文庫)

著者:霧舎 巧
販売元:講談社
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久しぶりにごてごてのミステリを読みました。いいですね、やはり。
というか、『風の影』を思いっきり放置しているんですけど…
まぁいいか。好きなものを好きなときに読むべし。
それに吉田さんの新刊も手元にあるので、かなり後手に回りそう。

霧舎巧ことニ本松翔―ぼくは、ミステリ小説家の道を約束されていた。
ぼくの書いた物語、前回の流氷館での事件が、なんと小説として
出版されることになったのだった。しかし、編集担当の女性・水上と
打合せをしようという時、メンバーとある女の子が部室へとやってきた。
その女の子の制服を見たぼくは、目を見張った。言わずと知れた
お嬢様高校…そして前回の事件の被害者の通う学校だった。
彼女の話と、持ち出した一通の手紙を読みとくうち、
ぼくたちはロッカーの中から首のつられた人形を見つけ出した。
怪しげな匂いを辿るうち、段々と事件へと手繰り寄せられることになった。

これ、たぶん二巻目なんですよね。一巻目から読めばよかったなぁ、
とちょっと後悔しつつ。久しぶりにごてごてのミステリを読んだので、
なかなか楽しめた。この本を一言で表すと、さっきから言っているが、
「ごてごてのミステリ」である。ご本人もあとがきで「特盛り」と
書いているように、ミステリでありがちなトリックや、
殺害方法、推理技法、描写、登場人物など、ありとあらゆるものが
盛大に盛り込まれている。まさに、これでもか、と言う感じ。
特に良かったのが、一方の語り手を一人称にしていることと、
(それによってワトソン君的面白さがこれまた増えている)
説明をするときの例えが、とても簡易的なものである点。
大きさを説明する際に「ティッシュ箱二個分」など、
とても親近感の湧く例えをしてくれるため、とても想像しやすい。
逆に難点だったのが、視点が飛んでしまう点が数箇所あった点。
これは三人称で書いていると難しいところだが、
ある一定の線引きを、気づかぬうちに飛び越えていると違和感がある。
あと、キャラクターの個性がイマイチで、混ざる。
なぜ後動と鳴海さん…探偵が二人いるのかも謎。
あと、最後の地図上に浮かび上がる「自殺図」は、
なんともパロディ臭くて、おいおいと言う感じだった。
いや、とてもいいのだし、その下らないトリックもいいのだが、
最後の最後に解き明かされるので「え?ここで?」と言う感じである。
主人公たちにとって解き明かされる意味が、まるでない。
そもそもの話「あやつり」ということに対して、押していないので、
その不気味さとか、言いなりになる心理状態(恐怖やトランス?)が
上手く描かれていないので、惜しい気もしてくる。
意味のない「あぁそうだったのかー」で終わりになっているのが、
とても残念な点で。しかし、この小説は後半まで犯人が不明でよかった。
…と、まぁ「この二人のどっちかだろう」と思っていた片方でしたが…。
後ほど続編も読んでみようと思います。

★★★☆☆*86

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