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2008年6月17日 (火)

「風の影 上」 カルロス・ルイス・サフォン

風の影〈上〉 (集英社文庫) 風の影〈上〉 (集英社文庫)

著者:カルロス・ルイス サフォン
販売元:集英社
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久しぶりに海外本を読んでみたりして。何だか最近面白い本に
巡り合えないので、海の向こうに手を伸ばしてみることにしました。
面白いことは面白いんだけどなぁ、けれどもどうも楽しめない。
この本、貫井さんの『追憶のかけら』と傾向が似てます。

父が古本屋を営むダニエルは、幼い頃不思議な場所に案内された。
もう人に読まれることのなくなった本ばかりが集められた、
俗に「本の墓場」と呼ばれるところだった。
そこで父はどれでも一冊好きな本を選んでいいという。
そして、それを選んだら、その本が決して失われぬよう、
全力を尽くして守り抜くことを約束したのだった。
全く無名の作家フリアン・カラックスの手に取ったダニエルだったが、
その本は稀に見る希少価値の高い本だった。正体不明の男が、
見つけるたびに燃やし抹消してしまうと言う謎の本…。
一体どんな真実が隠されているのか、ダニエルは探求を始める。

前半はとても楽しくない。主人公が十歳のところから始まるのだが、
かなり思考が大人びすぎていて「おいおい」と思う。
ダニエルが手に取った、という問題の『風の影』と言う本についても、
内容は不倫の本である。本当の父親は別にいるんだ、
という何ともドロドロとした内容なのに、十歳の少年が、
引き込まれて本の虜になった、とか書いてあるので、
思わずつっこみを入れたくなるのが本音であった。
内容の中に、時間経過が上手く描かれていないので、
読者の気づかぬうち主人公はいつのまにか十四歳になっているのだが、
このあたりからは、少しずつ「ミステリ」と言う分野で面白みを感じる。
しかし、ここでも問題なのは、女性関係である。
一生をかけて守らなければならない本を、「君にプレゼントするよ」
と彼女でもない女にかなり安易な気持ちで上げてしまう、ダニエル。
で、かなり危機一髪な瞬間を味わうのに、ちっとも反省しやしない。
クララはそんなに純粋清楚な女じゃなかったって事だよ、
それに気づいて自分を戒めるくらいしろよ、と言いたいところである。
この本の一番の魅力は、比喩である。大変素晴らしい比喩が、
惜しげもなくふんだんに使われていて、とても想像力が働く。
願わくば、前半の臭すぎる比喩に作者が気づいてくれれば、
もっと良いのではと思うんですけどねぇと、またボソリと言っておく。
下巻も読もう。けれども、それほど読む気になれないのは辛いもので。

★★★★☆*86

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