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2008年5月24日 (土)

「追憶のかけら」 貫井徳郎

追憶のかけら 追憶のかけら

著者:貫井 徳郎
販売元:実業之日本社
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私が間違っているのか…いや、そうではないと思う、この本については。
何だかアマゾンで高評価を得ていたので、読んでみたのですが、
うーん……途中までは凄くいいのに、ラストにかけてちゃぶ台を
ひっくり返したくなるのは、きっと私だけではないはず。

わたしが泥酔しおかした過ちにより、妻は怒って家を出て行った。
実家に戻り別居常態になり、頃合を見て迎えに行こうと思っていた矢先、
妻は交通事故に合い帰らぬ人となった。
こんな事ってあるだろうか。わたしは自分の不運に打ちのめされた。
おまけに別居の原因について義父には白い目を向けられ、
娘は結局義父に引き取られる、という形になってしまった。
どうにかして、自分の地位を上げなければ、わたしはこのまま娘と暮らす
ことを許されない。そんなとき、わたしはとある男から耳寄りの情報を
入手した。まだ未公表の作家の手記が見つかったというのである。
大学で国文学の教授をする私にとって、願ってもみないことだった。
手記を読んだ私は、男にあることを持ちかけられるのだった。
それは手記中に出てくる、作者の自殺と関係があるのだが……。

この本のラストを読んでがっかりする理由として、
手記よりも現実が陳腐であるからである。
手記の内容やストーリーは面白い。読んでいると止まらなくなって、
これは凄い、と思いながら読んでいた。しかし、どうしたことだろう。
手記を読み終わり、現実の「わたし」の話になると、
ちっとも面白くないのだ。第一主人公に探究心と用心深さがない。
これって致命的じゃないか、と言いたい。
もっと山崎とタッグを組むとか、だったら面白かったかもしれないが
これじゃ、だたのバカのようじゃないか?と思う。
最初の頃に手記の出所を確かめる必要がある、と言いながら、
ちっとも確かめない主人公に「?」と思っていたのだが、
読んでいくと、何とまぁそれが原因で自体は悪化する。
つーか普通国文学の教授だったら、それ位するだろう。
下っ端の教授だったら、義父ではなかったとしても、
違う大教授に確認を取るのではないかと思う。
そういった実際の信憑性に欠ける描写が多いので、
振り返ってみると何だが納得しがたい。それに、この結末の
陳腐さはなんだろう、あまりにもガッカリしすぎる。
なんだよ、主人公が登場人物を片っ端から「犯人はお前だ」と
言って回っているようなものだ。まるで毛利小五郎状態。
全然面白くない。あんなに面白かった手記が、無残に崩れ去っている。
何だかずかずかと文句を書いているけれど、
いや、本当読んでみればわかります、手記は完璧なんです。
凄いんですよ、でも現代の描写の手抜き具合に白けてしまうのです。
うーん、前回の「慟哭」も何だかポイントがずれていたし、
これは感性の差なのだろうか…と思ってみたところでした。

★★★☆☆*84

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