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2008年5月13日 (火)

「リリイの籠」 豊島ミホ

リリイの籠 リリイの籠

著者:豊島 ミホ
販売元:光文社
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なんかね、ただ量産すればいいってわけじゃないと思うのです。
確かに面白いし、納得できる話もあるけれど、
でもさ時間がたって、五十年後とか百年後とかに読まれたとしたら、
よくわからない本だなぁ、と思われるような気がするのです。

「ポニーテール・ドリーム」
私は高校生の時、大人になったら髪を伸ばそうと思っていた。
それはその時流行っていたドラマの主人公がそうだったからで、
長い髪をポニーテールするのは恋の魔法なのだと考えていた。
しかし教師になり高校に戻ってきた私は、髪は長くなったものの、
相変わらずダサくて、恋のかけらなど見つけるのが難しい。
スカートをギリギリまで短くし、ギャアギャア騒ぐ由貴を見ていると
きっと私が高校生だったら友達になりたくないと心の中で呟いた。
でも、私はつい心に留めていたポニーテルの話を、
由貴にしてしまった。なぜ話してしまったのか…私は後悔する。

豊島さんは若い女の人の偏屈な気持ちを書くのがとても上手いので、
どれを読んでもまぁ楽しむことが出来る。
でも冒頭にも書いたけれど、これがさ時が経って読まれたら、
あまり受け入れられないような話が多い気がするのだ。
まず第一に、背景描写が希薄である。
読んでいる私たちは現代人だから、いちいち説明されなくても、
ただ読むだけで理解できるけれど、どうもいきなり話しに
足を突っ込んでしまったような感じのする話が多く、
何だが安っぽい、軽い話に見えてならなかった。
もちろん、その素朴な感じがよいのだ、というのも分かるけれど、
うーん書くテーマが細かいのか…。高校生は何万人もいて、
それぞれ違った青春があるわけだから、
それくらいの話を書いてもいいのかもしれないけれど。
さておき、短編集だったのだが「ポニーテール・ドリーム」と
「ゆうちゃんはレズ」が好きだった。私も女子高だったので、
まぁそんな友人がいたにはいたのだが、いつだったか、
「レズ」と「ゲイ」について熱く語ったことがあった。
そんなことが出来てしまうのも、女子高ならではだけど。笑
結論は確か対等関係だから、というものだった気がする。
自己顕示欲が強い女性は、権力関係が対等である女を好きになり、
あるいは、男性同士が関係を持つのを傍観する趣味がある。
とか、何とか。まぁ話はかなり脱線しましたが、
誰にでもそれは起こりうる心境の変化、という意味で、
「ゆうちゃんはレズ」はよかったかな、と思う。
何か、もっとしっかりした豊島さん読みたいなぁ。
まぁ前回読んだ「ぽろぽろドール」より楽しめました。

★★★☆☆*85

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