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2008年5月25日 (日)

「カソウスキの行方」 津村記久子

カソウスキの行方 カソウスキの行方

著者:津村 記久子
販売元:講談社
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「君は永遠にそいつらより若い」の方が好きでした。
でも、こっちの方が新しいんですよねぇ…うむ。
この作家さんもっと読んでみたいのだけど、全然出してない。
このやる気のなさ加減が好きな人、結構いると思うのだが。

「カソウスキの行方」
本社で勤務していたイリエは、後輩に課長から嫌がらせを受けている、
と相談されたので、一緒に立ち会って部長にその事実を伝えてやった。
もちろんイリエはその事を他人には言わなかったし、
けれど後輩はその立会いの場で、それはイリエの勘違いだと言ったのだ。
何が何だか分からない。折角助けてやろうとした親切心のため、
イリエは地方の倉庫勤務に飛ばされることになった。
そろそろ取り壊されると噂されるその倉庫では、何もいい事などない。
つまらなくて、冴えなくて、だからイリエは
自分が森川を好きだと仮想してみることにした。

あらすじを読むと、何か面白そーと思っていたのだが、
本編を読んでみると、あまりに変わり映えのない展開に、
進展しない結末で、かなり腑抜けた感じに見える小説だと思った。
しかし、そう思ったのだとしたら、きっと作者の意中にはまっている
証拠ではないだろうかと思う。最初から、劇的な変化など、
イリエは求めていない。取り壊し寸前の、みみっちいことばかり、
せかせかとやる職場の、冴えない社員たち。
今までも湧かなかったのに、当然そうなっては、
恋をしてみるような、ちょっとウキウキした気持ちも
生まれるわけはなく、つまらない日々が過ぎてゆく。
だから「仮想的に自分が好きだと思い込む」事によって、
自ら何らかの変化をもたらそうと努力するのである。
まぁしかし、それは上手くいっていないようなのだが。
何ともやる気のない心持に、やる気のないセリフ。
けれど、なんか気持ちが沈んでいるときの自分を、
小説にしてみたら、こんな感じになるんじゃないのかな、
とか思ったりした。劇的な変化は求めてはいない。
けれど、せめて生活に退屈しないくらいの、少しの刺激を、
自分で見つけ出してみるものいいんじゃないのか、と。

★★★☆☆*83

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