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2008年5月11日 (日)

「子どもたちは夜と遊ぶ 上」 辻村深月

子どもたちは夜と遊ぶ(上) 子どもたちは夜と遊ぶ(上)

著者:辻村 深月
販売元:講談社
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お薦めされたので読んでみました。なるほど、読みやすかったです。
下巻が楽しみ。それにしても女性作家ばかり読んでいて、
私はほとほと疲れてまいりました。しかも感想が追いついていない。
誰か男性作家でよい本をお薦めしていただけれると嬉しいです。

三校の大学が協賛し、とある論文コンクールが開催された。
最優秀賞に輝いたものには、三年間の留学経験が与えられ、
衣食住すべての面倒を学校が見てくれる、という。
選考結果発表当日、受賞者は狐塚か、木村のどちらかだろう、
と噂されていた。二人とも頭脳明晰・おまけに同じ研究室の
生徒だったが、彼らの論文が他より優れていることは明確だった。
しかし、発表された結果の最優秀賞の欄に彼らの名前はなかった。
「i」ただそれだけ記された匿名の論文が、受賞すると言う異例の事態。
そしてその「i」をめぐり、連続殺人事件が起き始める。

予想以上に読みやすくて驚いた。「冷たい校舎の時は止まる」を、
途中で放棄して以来、「私この人の本読めんわ」と思っていたのだが、
この本はかなりよかった、非常に読みやすい。
だが、それが好きか…というと、それもまた別問題なんだけど、
と捻くれたことも言ってみたりして。原因として辻村さんの文章は、
とても女っぽいのだ。いや、ぶりぶりしている、というわけではなく、
私はもしも名前を伏せられて文章を読んでも、
これは若い女性の書いた文章だ、と判る自信がある。
例えば、比喩とか、話口調とか、人間関係とか、若者特有なのである。
というようなことを思いながら読んだので、それほど「好き」な
わけではないのだが、差し引いても読みやすかった。
話は…というより、まず人物の設定に引き込まれる気がする。
殺人事件が起きて行くが、その発生の仕方や、描写は、
失礼ながら漫画的だと思う。もちろん決して悪い意味ではない。
だけど、その他の人物の感情や、こんな生い立ちがあるから、
このキャラクターの性格は歪んでいるのだ、という設定が、
かなり大部分を裂いて説明されているのだ。
だから、こんなに長いんだよ、と言いたい。笑
人物の描写を減らしたら、物語自体は一冊で終わるのではないか。
しかし、この本は上下二巻あり、おまけに上下段に分かれている。
それはその辻村さんの意気込みと言うか、
起きてしまった虚しい事件の真相を練ろうと言う心意気を感じ、
とてもよいなぁと思った。読むの疲れるけどね、長いから…。
そんな読者を疲れさせないような文章を書けるようになったとき、
辻村さんは何か大きい賞を取れるような気がする。
ところでこの本でミスを見つけた…出版社に言うと何か貰えるのかな?

★★★★☆*85

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コメント

良かった・・!
凄い酷評されたら切ないなあとハラハラしていたんだけどね。

辻村さんはねぇ・・私的に「下巻で一気に盛り上がる」んだよね。
既刊の本を全制覇したんだけど、上巻はお分かりの通り説明とか描写が細かくてダラダラした印象を受けるんだけど、下巻なんだよ、下巻(笑)

もう一気に惹き込まれるっていうね。

しかも、この本をめちゃくちゃお薦めするのはとにかく登場人物が素晴らしいってことだねえ。
下巻で「えー!?」という設定もあったりするけど、最後でちょっと泣きそうになった。

辻村作品でも一番お薦めだなあ。これは。

あと、秋先生が出てくる「僕のメジャースプーン」を読んで、「凍りのくじら」にも繋がるし、最新刊の「名前探しの放課後」にも関連してくるので。

「名前探し~」を読む前には、必ず「僕のメジャースプーン」を読むと二倍に面白いはず。

長々コメントごめんね。つい熱が入りすぎた(笑)

あと全然関係ないけど、今度会った時につばきのCDを買った時についてたおまけ(3つくらいあった)をあげるね^^

投稿: すきま風 | 2008年5月14日 (水) 22:24

>すーちゃん

毎度ごめん、遅くなって…
このブログメール通知機能があるはずなのだが(涙)
探してみよう。

辻村さん、よかった。予想以上にすらすら読めて、
あの「冷たい校舎~」の読みづらさは何だったんだ?と思ったよ。
下巻で一気に…期待してる(笑)
昨日まで図書館が整理週間で休みだったので、
今日は借りれると思う。いや、しかし上下段は辛いわぁ。
なんか気力が必要と言うかね。
今読んでるやつも上下段で、気が滅入り気味ですわ。

確かに人物描写がいいのかもしれないね。
ちょっと多すぎるような気もするのだけど(笑)
読み終わったら、ボチボチ他のも読んでみようと思うよ^^*

私は最近ヒット作家がいないなぁ…。
まぁまぁ好きな作家はたくさん居るのだが、
これ!という作家に出会えないから、羨ましいよ。
誰かいないかなぁ。特に男性作家を熱望中(笑)
というか、吉田さんの新作でもいいのだけどね。
でるのか?

つばきのおまけありがとう!!(号泣)
大切にします!!
あぁもう、オタク熱が入りそうだわ。
というかむしろ入っているのかもしれない。
サインを貰えたのはうれしかったなぁ。
また一色さんと話できるといいなぁ、と思いつつ。
明日たくさん面白い話をしますわ、お楽しみに(笑)

投稿: るい | 2008年5月23日 (金) 11:16

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» 子どもたちは夜と遊ぶ<上> [No-music.No-life]
優しく触れようとしても壊してしまう、大人になりきれない子どもたちは、暗い恋の闇路へと迷い込んでしまった…。同じ大学に通う仲間、浅葱と狐塚、月子と恭司。彼らを取り巻く一方通行の片想いの歯車は、思わぬ連続殺人事件と絡まり、悲しくも残酷な方向へと狂い始める。掛け違えた恋のボタンと、絶望の淵に蹲る殺人鬼の影には、どんな結末が待っているのか− −−− 辻村深月さんの本です。 前回凍りのくじらで、感動と衝撃をもたらした..... [続きを読む]

受信: 2008年5月14日 (水) 22:26

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