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2008年5月 9日 (金)

「君は永遠にそいつらより若い」 津村記久子

君は永遠にそいつらより若い 君は永遠にそいつらより若い

著者:津村 記久子
販売元:筑摩書房
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何だか女の人の本ばかり読んでるな…と思いつつ。
そう思い始めると、男の人の本を読みたくて読みたくて
仕方がなくなっちゃうんですよね。あぁ誰読もう、横山さんでも
久しぶりに読もうか…ところで、この本良かったです。

二十二歳で処女である私は、どうやら変わり者であるらしかった。
公務員試験に受かり、ぐうたらと残りの大学生活を送っているが、
その生活について問題はない。言ってしまえば問題がないのが、
寂しいくらいのもので、しかしそう感じさせないのんべんだらりとした
私を見ると苛立つ人間がいるらしい。傷を抱えた河北を
気付かぬ致命的な失言で激怒させた私は、そのことをいつも
考えるようになっていた。そんなとき、私はイノギさんに出合った。
毎日見かける人に、まさか声をかける日が来るなんて、と思いながら。
色々な物事が済んだ今、私は無性にイノギさんに会いたいのだった。

このタイトル凄くないか、とか思いながら読んだ。
いや、凄いだろう、明らかにこのタイトル。インパクトありすぎる。
そして話の大部分はタイトルとは全く無関係に進んでいくので、
一体どこでこのセリフは使われるのだろうか、と疑問だった。
結果、このセリフは、最後の方でちらりと、しかし話を締めくくる
感じで登場する。だが、そのポイントが、的を得ているようで、
でも得ていないような気もして、これでいいのだろうか?
と思ったのが本音であった。いや、何かもうちょっとうーん。
このセリフは言いし、言いたい事は凄く分かるのだが、
その根源となるはずの、少年を見つける、という意気込みが、
というか、そう思った衝撃みたいなものが、かなり簡略で、
唐突にそう思ったから、となっているのが原因な気がする。
過去の描写がないのに……平穏が脅かされる恐怖が薄いようで。
少年=自分の幼い頃なのか?、自分の何らかの欠如した部分、
という暗喩で、けれど、一方では生き延びているはずのその少年が、
その支配者を思うとき、自分は彼らより永遠に若い=
自分は世間の柵を作る大人より、永遠に若いのだから、
もう少しして、その大人が死んだら、何か自分にも生まれるはずであると。
その部分はとても好きであったのだが。
この本は一文がとても長いのだが、個人的にとても読みやすかった。
これを三浦さんが審査したんだろうか?とか思うと、
むしろこちらの方が魅力を感じるようで、審査って難しいよ、と思った。
話がずれましたが、さっぱりした女性観で私は好きです。

★★★★☆*88

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