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2008年5月

2008年5月31日 (土)

■雑談:2008年5月に読んだ本

■2008年5月に読んだ本(11冊)

5.06 ★★★☆☆*81 「コインロッカー・ベイビーズ 上」 村上龍
5.08 ★★★★☆*86 「名もなき毒」 宮部みゆき
5.09 ★★★★☆*88 「君は永遠にそいつらより若い」 津村記久子
5.11 ★★★★☆*85 「子どもたちは夜と遊ぶ 上」 辻村深月
5.12 ★★★★☆*86 「たそがれ清兵衛」 藤沢周平
5.13 ★★★☆☆*85 「リリイの籠」 豊島ミホ
5.16 ★★★★☆*88 「太陽と毒ぐも」 角田光代
5.23 ★★★☆☆*81 「夏の階段」 梨屋アリエ
5.24 ★★★☆☆*84 「追憶のかけら」 貫井徳郎
5.25 ★★★☆☆*83 「カソウスキの行方」 津村記久子
5.30 ★★★★☆*86 「映画編」 金城一紀

■2008年5月に観た映画(2本)

5.04 ★★★☆☆*85 「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」
5.31 ★★★★☆*87 「アフタースクール」

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【映画】アフタースクール

20080601
佐々木さん観たさで行ったのですが、堺さんもよかった。というか、
キャスト以前に注意しておくと、この映画、寝たら一巻の終わりです。
きっと真剣に見ていても「え?どういうこと?」って思う人多いはず。
若干間延びしてる気もするんですが、なかなかスリリングです。

中学校で教師を務めている神野の元に、柄の悪い、
同級生の島崎と名乗る男がやって来た。彼は木村を探しているという。
神野が親友である木村に連絡を取ると、朝から姿を消したままだった。
彼はどこに行ったのか……神野は島崎と共に街中を探し始めるのだが、
島崎が駆使する怪しげな闇情報を追いかけるうち、木村は
勤め先の社長を追いかけ、何か事件に巻き込まれたことが分かった。
一体木村はどこへ行ってしまったのか?
嘘つきなチンピラと、同級生をめぐるサスペンスが始まる。

ネタばれします、ご注意。割かし詳しく説明してますので、
映画を観ても全然分からなかった、と言う方は読んでいただければと。
まず「アフタースクール」というタイトルで、学芸会チックな
イメージを抱いている方、綺麗さっぱり捨てましょう。
この映画で教室のシーンは、最後のワンシーンしかありません。
サスペンスなのか、ミステリなのか、よくわからない切り替えの多い
この映画は、私はとても伊坂幸太郎の小説に似ていると思う。
待ち受けるは、最後のどんでん返し。そのどんでん返しまで、
その種を観客に知られてはいけないし、またそのラストが、
意外で驚かせるものでなくてはいけない。
その要点をまさについた構成であるといえる。
物語の話に移ると、この物語の中には、四つの筋がある。
神野の会社社員に神野を探せと依頼された「北沢(島崎)チーム」
総理大臣ととあるホテルで賄賂の受け渡しを計画する「社長チーム」
その社長を内部告発しようとしている「木村と警察チーム」
その賄賂受け渡しの隣のホテルで密売計画をする「暴力団チーム」だ。
そもそもの発端は、暴力団チームの勘違いから始まる。
警察が、本当は総理大臣の賄賂を監視しているのに、
自分たちの密売計画を行っているホテルを見張っていると勘違いした
暴力団チームは、密売計画がバレたルートを片っ端から探ってゆく。
結果一番怪しいのは、親分の元愛人(常盤貴子)ということになり、
次に元愛人を探ってゆくと、一緒に住んでいる「木村」という男
に突き当たった。調べてゆくと、どうやら「木村」は、
その暴力団と深い付き合いのある梶山商事の社員らしいではないか。
親分は、もしかしてその梶山商事が組を警察に売ったのではないか?
それを梶山商事に伝えたところ、梶山商事の社員は、
その男・木村を探すようにと、「北沢(島崎)」に頼むことになった。
そして「北沢」は島崎という偽名を使い、木村の幼馴染「神野」を
尋ねてやってくる。「神野」は、木村が警察と手を組んで、
内部告発しようとしていることを知っていたが、知らないフリをし、
「島崎」と一緒に木村を探し回った……というわけである。
最初はその内部告発の部分と常盤貴子の登場が、
とても上手く隠されているので、まんまと騙される。
映画の構成上、ラストはかなり呆気ない感じになっていたので、
真剣に見ていないと、「え?どういうこと?」と思う羽目になると思う。
面白いのだが、残念なのは張り詰め過ぎている点。ヒントがなさ過ぎる。
と、ヒントがなさ過ぎるために、飽きてきて間延びを感じる点である。
何だかもう少しポップに?やってくれたら面白かったんじゃなかろうか、
と思いつつ、笑えました。大泉さんが出て笑わないわけないでしょう。
堺さんもよかったし、まぁ観てよかった。

★★★★☆*87

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2008年5月30日 (金)

「映画編」 金城一紀

映画篇 映画篇

著者:金城 一紀
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


すみません、最近更新がままならない……。
読書も若干サボり気味です。読みたい本はたくさんあるのだが。
この本は予約してようやく読んだのだけど、
何だか期待していたのとちょっと違って…いや、よかったけどね。

「太陽がいっぱい」
在日朝鮮人である僕は、昔民族学校に通う中で龍一とであった。
生真面目でいつも教室の隅にいるような僕と、
中心で賑やかに騒ぐ龍一には、接点などなかったが、
あるときから、映画に夢中になり意気投合した。
家族に欠陥を抱え、常に虐げられている僕たちにとって、
アクション映画の主人公はいつもヒーローだった。
二人は、気に入らない結末を書き換えてしまうのが好きで、
だから僕はこうして物語を書く仕事に就いた。
そして大人になった僕は、龍一の結末を物語のように書き換えるのだ。

金城さんシナリオ本しか読んだ事がなかったので、小説は初めてでした。
結果、読みやすい。読みやすいのだが、残念ながら
私の好きな文章ではなかった、と自分の趣味と比べてみたりして。
申し訳ない。物語もとても納得できるし、楽しめるものなのだが、
何となく共感しがたい、というかそんな気持ちになる工程が、
複雑で気持ちが追いつかない、というか、そんな感じがした。
特に印象に残っているのが、「太陽がいっぱい」である。
金城さん自身も在日朝鮮人(韓国?)であることから、
ストーリーはとてもリアルで、ラストはとても切なかった。
そうか、韓国の文化を自然に覚えている人間が、
日本に立つと、こんな気持ちになるのか、
と今まで想像でしかなかった感覚を知ることが出来る。
あと、映画の本数には驚いた。きっとこの小説に出てくる、
映画を金城さんは全部観ているんだろうなぁと思うと、
凄い、という一言に尽きる。そこから得られる何かについても、
やはり凄いな、と羨ましいという思いがしたのだった。
けれども、物語については、私にとって何だかちょっと……
と思ってしまうものが多くて、というか、むしろ映画で
自分の人生が上向きになっちゃうよ、みたいな
ポジティブな感情がないからかもしれないのだが。

★★★★☆*86

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2008年5月25日 (日)

「カソウスキの行方」 津村記久子

カソウスキの行方 カソウスキの行方

著者:津村 記久子
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


「君は永遠にそいつらより若い」の方が好きでした。
でも、こっちの方が新しいんですよねぇ…うむ。
この作家さんもっと読んでみたいのだけど、全然出してない。
このやる気のなさ加減が好きな人、結構いると思うのだが。

「カソウスキの行方」
本社で勤務していたイリエは、後輩に課長から嫌がらせを受けている、
と相談されたので、一緒に立ち会って部長にその事実を伝えてやった。
もちろんイリエはその事を他人には言わなかったし、
けれど後輩はその立会いの場で、それはイリエの勘違いだと言ったのだ。
何が何だか分からない。折角助けてやろうとした親切心のため、
イリエは地方の倉庫勤務に飛ばされることになった。
そろそろ取り壊されると噂されるその倉庫では、何もいい事などない。
つまらなくて、冴えなくて、だからイリエは
自分が森川を好きだと仮想してみることにした。

あらすじを読むと、何か面白そーと思っていたのだが、
本編を読んでみると、あまりに変わり映えのない展開に、
進展しない結末で、かなり腑抜けた感じに見える小説だと思った。
しかし、そう思ったのだとしたら、きっと作者の意中にはまっている
証拠ではないだろうかと思う。最初から、劇的な変化など、
イリエは求めていない。取り壊し寸前の、みみっちいことばかり、
せかせかとやる職場の、冴えない社員たち。
今までも湧かなかったのに、当然そうなっては、
恋をしてみるような、ちょっとウキウキした気持ちも
生まれるわけはなく、つまらない日々が過ぎてゆく。
だから「仮想的に自分が好きだと思い込む」事によって、
自ら何らかの変化をもたらそうと努力するのである。
まぁしかし、それは上手くいっていないようなのだが。
何ともやる気のない心持に、やる気のないセリフ。
けれど、なんか気持ちが沈んでいるときの自分を、
小説にしてみたら、こんな感じになるんじゃないのかな、
とか思ったりした。劇的な変化は求めてはいない。
けれど、せめて生活に退屈しないくらいの、少しの刺激を、
自分で見つけ出してみるものいいんじゃないのか、と。

★★★☆☆*83

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2008年5月24日 (土)

5/24つばき@『赤イ彗星』inSHIBUYA-AX

5/24つばき@『赤イ彗星』inSHIBUYA-AX

■セットリスト

 スタイル
 亡霊ダンス
 昨日の風
 雨音
 覚めた生活
 悲しみの中からはじめよう
 君がいなければ(初)

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「追憶のかけら」 貫井徳郎

追憶のかけら 追憶のかけら

著者:貫井 徳郎
販売元:実業之日本社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


私が間違っているのか…いや、そうではないと思う、この本については。
何だかアマゾンで高評価を得ていたので、読んでみたのですが、
うーん……途中までは凄くいいのに、ラストにかけてちゃぶ台を
ひっくり返したくなるのは、きっと私だけではないはず。

わたしが泥酔しおかした過ちにより、妻は怒って家を出て行った。
実家に戻り別居常態になり、頃合を見て迎えに行こうと思っていた矢先、
妻は交通事故に合い帰らぬ人となった。
こんな事ってあるだろうか。わたしは自分の不運に打ちのめされた。
おまけに別居の原因について義父には白い目を向けられ、
娘は結局義父に引き取られる、という形になってしまった。
どうにかして、自分の地位を上げなければ、わたしはこのまま娘と暮らす
ことを許されない。そんなとき、わたしはとある男から耳寄りの情報を
入手した。まだ未公表の作家の手記が見つかったというのである。
大学で国文学の教授をする私にとって、願ってもみないことだった。
手記を読んだ私は、男にあることを持ちかけられるのだった。
それは手記中に出てくる、作者の自殺と関係があるのだが……。

この本のラストを読んでがっかりする理由として、
手記よりも現実が陳腐であるからである。
手記の内容やストーリーは面白い。読んでいると止まらなくなって、
これは凄い、と思いながら読んでいた。しかし、どうしたことだろう。
手記を読み終わり、現実の「わたし」の話になると、
ちっとも面白くないのだ。第一主人公に探究心と用心深さがない。
これって致命的じゃないか、と言いたい。
もっと山崎とタッグを組むとか、だったら面白かったかもしれないが
これじゃ、だたのバカのようじゃないか?と思う。
最初の頃に手記の出所を確かめる必要がある、と言いながら、
ちっとも確かめない主人公に「?」と思っていたのだが、
読んでいくと、何とまぁそれが原因で自体は悪化する。
つーか普通国文学の教授だったら、それ位するだろう。
下っ端の教授だったら、義父ではなかったとしても、
違う大教授に確認を取るのではないかと思う。
そういった実際の信憑性に欠ける描写が多いので、
振り返ってみると何だが納得しがたい。それに、この結末の
陳腐さはなんだろう、あまりにもガッカリしすぎる。
なんだよ、主人公が登場人物を片っ端から「犯人はお前だ」と
言って回っているようなものだ。まるで毛利小五郎状態。
全然面白くない。あんなに面白かった手記が、無残に崩れ去っている。
何だかずかずかと文句を書いているけれど、
いや、本当読んでみればわかります、手記は完璧なんです。
凄いんですよ、でも現代の描写の手抜き具合に白けてしまうのです。
うーん、前回の「慟哭」も何だかポイントがずれていたし、
これは感性の差なのだろうか…と思ってみたところでした。

★★★☆☆*84

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2008年5月23日 (金)

「夏の階段」 梨屋アリエ

夏の階段 (teens’ best selections 13) 夏の階段 (teens’ best selections 13)

著者:梨屋 アリエ
販売元:ポプラ社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


栃木県出身だと言うのでちょっと読んでみました。
そう言えば昔「プラネタリウム」かな、読んだことありました。
そうそう、この本に出てくる「ウズ高」は○木女子高だと思います。笑
多分…設定では共学になってるけど、どうもそうな気がする。

「春の電車」
私とミーヨとキョンちゃんは、マサミィが来るのを待っていた。
中学生最後の日を利用して、記念に映画を観ることになっていたのだ。
しかもそう言いだしたのはマサミィである。
けれどマサミィが来ない理由に一つ思い当たることがあった。
もしかしたらマサミィがウズ高に落ちたかも知れないってことだ。
運良くウズ高に受かった私と、ウズ高ではないが希望の高校に
合格したミーヨとキョンちゃん。ここに来づらいのかもしれなかった。
結局マサミィは来ず、私はウズ高生になった。新しい制服に、
新しい生活。しかし私は高校生になりきれない。
そんな時、私はマサミィに会った。私よりずっと大人になった彼女に。

ウズ高は多分、○木女子高ではないか、と思われる。
ウズ高こと、「巴波川高校」というのだが、○木女子高には
「巴波川パン」という伝統的な購買のパンがあるのだ。笑
あんまり美味しかった記憶はないのだが…それを文字ったのでは?と。
(というか母の弁当だったので、購買をあまり利用しなかったので)
制服にしても、上履き(スリッパだった)にしても、
ことごとく設定が似ていて、親近感を持ちながら読んだ。
何気なく作新高校らしき高校も出てくる。
そうだったからかもしれないが、「春の電車」は凄く好きだった。
運良く進学校に合格した主人公と、落ちてしまった友人。
私もそんな事を経験した。羨望の眼差しで見られる進学校だけど、
入ってみても何だかそこに馴染むことは出来ない。
けれど落ちてしまった友人からみれば、少しばかりは憎らしく、
悔しく思うものである。気づかぬうち、少しの優越感を抱いていた
主人公が、数ヶ月して出会った友人を見て思う、あの気持ち。
それがとても上手く表現できていたように思う。
私も、あったのだ。私が受かったことを隠さず喜んでいたから
かも知れないが、友人は明らかに敵対心を抱いていた。
勿論学校に…という事になるけれど、こちらにしてみれば、
辛いことだった。高校の私はそれはそれは落ちこぼれだったので、
そんな羨ましそうな、攻めるような目で見られても困るのだ、と思った。
そんな懐かしい気持ちを思い出せた本だった。
他の話は、正直うーんと言う感じだったのだが、
まぁこの話を読めたので、私は満足。
やっぱり身近なローカルネタがわかる話を読むのは面白い。

★★★☆☆*81

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2008年5月22日 (木)

■雑談:滞っている理由

更新が滞っていてすみません(涙)
と言っても見て下さっている方がいるかは不明なのですが…

更新が遅ているのも、
バンドのライブなぞに行っておりましたがため、であったりします。
最近「つばき」というバンドに、本当はまっていまして。
続いて24日もライブに行ってきます。
遊びすぎ。
でも楽しいんです、何だか救われる気がするんですよ。

20080521

昨日は、ボーカル・一色さんの弾き語りライブでしたが、
なんとライブ前にコンビニ前で遭遇…!(笑)
や、チケット番号が十番台だったので、
マイクスタンドの目の前をゲットできたり、
や、ライブ終わりに一人で突っ立っていると、、
「ありがとう、また来てね」と、声掛けてもらえたり、
や、うっかりサインをもらえてしまったり、
や、握手をしてもらえたり、と、もう死んでもいいかもしれない、
と思うくらい幸せだったんで、当分やめられそうにありません。
多分、私は最後まで追いかけるでしょうねぇ…、
と我ながら思ったりします。

だってポルノでさえも8年見守っていたのだから。

そんなこんなで、溜まっている感想と、読みかけの本。
・「夏の階段」梨屋アリエ
・「追憶のかけら」貫井徳郎
・「福扇自伝」福沢諭吉
・「あやし」宮部みゆき

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2008年5月21日 (水)

5/21つばき@高円寺CLUB LINER『弾き語りたい夜もある Vol.11 夢見る街高円寺まで』

A20080521

5/21つばき@高円寺CLUB LINER『弾き語りたい夜もある Vol.11 夢見る街高円寺まで』

■セットリスト

 花火
 雨音
 覚めた生活
 a stupid song
 冬の話
 真夏の果実(サザンオールスターズ)
 風追い(※notつばき)
 夢
 タブレット
 光(初)
END
 ブラウンシュガーヘア(with小川さん、岡本さん、マスさん)

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2008年5月16日 (金)

「太陽と毒ぐも」 角田光代

太陽と毒ぐも 太陽と毒ぐも

著者:角田 光代
販売元:マガジンハウス
Amazon.co.jpで詳細を確認する


上質な短編集である。読んでよかったと思わせる、角田さんの素晴らしさ。
「三面記事小説」ではうーん…という感じだったけど、
これは本当、よかった。どれもどうしようもない恋人の話なんだけど、
そのどうしようもなさが、とても頷ける。人間なんてこんなもんだ。

「100%」
野球って競技があるってことをわたしは知らなかった。
野球を知らなかったというより、それは木幡敦士がこんなにも
熱くなれるスポーツとして野球が存在しているなんて知らなかったのだ。
木幡敦士は夜七時になると自室に篭り、出てこない。
巨人が負ければ、機嫌が悪く口も利いてくれないし、
巨人が勝てば、「俺が勝てと願ったからだ」と憚らない。
彼の生活は野球が中心に回っており、わたしのことは二の次なのだ。
巨人が優勝した日、木幡敦士は祝いをしようと言って豪勢な店に、
私を誘う。私の誕生日は、安い居酒屋だったのに…。

どれを読んでも、とても内容が濃く納得させられる話ばかりであった。
特に私が好きだったのは「100%」と「二者択一」であった。
「100%」では、一緒に住み始めて、相手が野球オタクと知った
女の話である。女は自分よりも野球を取る男を見て、
心底うんざりし、終いには怒りを抱く。しかし、一緒に住み始める前、
好きだった彼もまた、自分が知らなかっただけで、野球が好きだったのだ。
自分に彼の100%が見えていなかっただけで、野球を愛す彼もまた彼なのだ。
そして、そんな彼と共にいることで、私もまた100%になる。
そんな事が描かれているのだが、とても納得してしまった。
この短編集全体にいえることだけど、付き合う男女はみな、
100%上手く行くやつらなどいない。お互いに何かを妥協し、
何かを押し付けている。けれども、そんな関係があることで、
互いに自分たちは100%になり、それ以上で、以下でもないと。
それに加え、そんな感情になる前に、二人は出会っていればよかったのに、
と願う「二者択一」もとても共感できる。酒乱ということだけで、
上手く行かなくなった二人は、もしももっと昔、酒を飲めない子どもの頃に
出会っていたとしたら、もっと上手くいっていたかもしれない。
そんな湾曲した希望も、私も感じた事があるので、
その感情が上手く表現されていて、さすが角田さん、と思った。
同じ事を言っているようで、この小説では
どの話も違った味を味わえてよかった。いつしかの「三面記事小説」より、
格段に良いと思います。ので、お薦めです。是非読んでいただきたい。

★★★★☆*88

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2008年5月13日 (火)

「リリイの籠」 豊島ミホ

リリイの籠 リリイの籠

著者:豊島 ミホ
販売元:光文社
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なんかね、ただ量産すればいいってわけじゃないと思うのです。
確かに面白いし、納得できる話もあるけれど、
でもさ時間がたって、五十年後とか百年後とかに読まれたとしたら、
よくわからない本だなぁ、と思われるような気がするのです。

「ポニーテール・ドリーム」
私は高校生の時、大人になったら髪を伸ばそうと思っていた。
それはその時流行っていたドラマの主人公がそうだったからで、
長い髪をポニーテールするのは恋の魔法なのだと考えていた。
しかし教師になり高校に戻ってきた私は、髪は長くなったものの、
相変わらずダサくて、恋のかけらなど見つけるのが難しい。
スカートをギリギリまで短くし、ギャアギャア騒ぐ由貴を見ていると
きっと私が高校生だったら友達になりたくないと心の中で呟いた。
でも、私はつい心に留めていたポニーテルの話を、
由貴にしてしまった。なぜ話してしまったのか…私は後悔する。

豊島さんは若い女の人の偏屈な気持ちを書くのがとても上手いので、
どれを読んでもまぁ楽しむことが出来る。
でも冒頭にも書いたけれど、これがさ時が経って読まれたら、
あまり受け入れられないような話が多い気がするのだ。
まず第一に、背景描写が希薄である。
読んでいる私たちは現代人だから、いちいち説明されなくても、
ただ読むだけで理解できるけれど、どうもいきなり話しに
足を突っ込んでしまったような感じのする話が多く、
何だが安っぽい、軽い話に見えてならなかった。
もちろん、その素朴な感じがよいのだ、というのも分かるけれど、
うーん書くテーマが細かいのか…。高校生は何万人もいて、
それぞれ違った青春があるわけだから、
それくらいの話を書いてもいいのかもしれないけれど。
さておき、短編集だったのだが「ポニーテール・ドリーム」と
「ゆうちゃんはレズ」が好きだった。私も女子高だったので、
まぁそんな友人がいたにはいたのだが、いつだったか、
「レズ」と「ゲイ」について熱く語ったことがあった。
そんなことが出来てしまうのも、女子高ならではだけど。笑
結論は確か対等関係だから、というものだった気がする。
自己顕示欲が強い女性は、権力関係が対等である女を好きになり、
あるいは、男性同士が関係を持つのを傍観する趣味がある。
とか、何とか。まぁ話はかなり脱線しましたが、
誰にでもそれは起こりうる心境の変化、という意味で、
「ゆうちゃんはレズ」はよかったかな、と思う。
何か、もっとしっかりした豊島さん読みたいなぁ。
まぁ前回読んだ「ぽろぽろドール」より楽しめました。

★★★☆☆*85

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2008年5月12日 (月)

「たそがれ清兵衛」 藤沢周平

たそがれ清兵衛 たそがれ清兵衛

著者:藤沢 周平
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


何だか「武士の一分」の原作が載っている「隠し剣秋風抄」を
読んだときは、とても映像的で、かついい話だと思ったのですが、
この本も映画の原作で、あんなに騒がれた割には、うーん、
という気がしてならなかった。いや、面白いんですが。短編集です。

「ど忘れ万六」
万六はまだ五十七歳で、自分は隠居には早すぎると思っていた。
しかし、年々激しくなっている物忘れが極まり、
万六は、とある堤防の調査をしている際、
水門が四時に開くこと忘れてしまった。
危うく手下を殺し兼ねない惨事が起きるところだった。
幸い怪我人もなかったものの、万六はだから家に入ることにした。
そして家に入って気をつけているのは、勝気な婿嫁との仲だ。
隠居をしてただでさえ面倒がられているから、役にたたねばなるまい。
今日に限っては、あの勝気な嫁が涙を見せていた。
ど忘れ万六は、林崎夢想流の力を携え、決闘に向かう。

この本では、世間に疎まれるような、ダサく邪魔な人間ばかりが
主人公になっている。顔が酷く不細工だったり、
垢まみれの体裁だったり、痴呆症のじいさんだったりする。
周りからの視線に気づきながらも、どうしようもない切なさを携え、
彼らは世を生きている。世間の人々が彼らを見くびり、
馬鹿にしているのだが、ある時怒る刀の交え合いで、
彼らの素晴らしい剣術に恐れ入り、驚愕する。
その情景が、何とも滑稽で、それでいてとても清々しい。
「あいつがこんな剣術使いだったとは…!」という、
驚きを、馬鹿にしていた連中に見せつけることで、
読者までも清々した気分になれる。
とりわけ私が好きだったのは「ど忘れ万六」であった。
「たそがれ清兵衛」も「祝い人助八」もよかったが、
あの哀愁漂った痴呆症の老人が、勝気で、その上
自分を疎んじている嫁を助けようと、陰で刀を振るう。
家では腑抜けた老人だが、嫁を脅した小童を、
威嚇と華麗なる剣術によって跳ね返す様は、
どこが切なく、けれど小さな笑みを作らせてくれるのだった。
この本で気になるのは、まぁテーマだから仕方がないが、
みんな剣術の達人である。不細工、だけど剣術の達人。
しかし、不細工、でも剣術もさっぱり、という人もいるだろう。
そんな話を読んでみたくもあったなぁ、と思いつつ。
面白いことには変わりありません。

★★★★☆*86

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2008年5月11日 (日)

「子どもたちは夜と遊ぶ 上」 辻村深月

子どもたちは夜と遊ぶ(上) 子どもたちは夜と遊ぶ(上)

著者:辻村 深月
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


お薦めされたので読んでみました。なるほど、読みやすかったです。
下巻が楽しみ。それにしても女性作家ばかり読んでいて、
私はほとほと疲れてまいりました。しかも感想が追いついていない。
誰か男性作家でよい本をお薦めしていただけれると嬉しいです。

三校の大学が協賛し、とある論文コンクールが開催された。
最優秀賞に輝いたものには、三年間の留学経験が与えられ、
衣食住すべての面倒を学校が見てくれる、という。
選考結果発表当日、受賞者は狐塚か、木村のどちらかだろう、
と噂されていた。二人とも頭脳明晰・おまけに同じ研究室の
生徒だったが、彼らの論文が他より優れていることは明確だった。
しかし、発表された結果の最優秀賞の欄に彼らの名前はなかった。
「i」ただそれだけ記された匿名の論文が、受賞すると言う異例の事態。
そしてその「i」をめぐり、連続殺人事件が起き始める。

予想以上に読みやすくて驚いた。「冷たい校舎の時は止まる」を、
途中で放棄して以来、「私この人の本読めんわ」と思っていたのだが、
この本はかなりよかった、非常に読みやすい。
だが、それが好きか…というと、それもまた別問題なんだけど、
と捻くれたことも言ってみたりして。原因として辻村さんの文章は、
とても女っぽいのだ。いや、ぶりぶりしている、というわけではなく、
私はもしも名前を伏せられて文章を読んでも、
これは若い女性の書いた文章だ、と判る自信がある。
例えば、比喩とか、話口調とか、人間関係とか、若者特有なのである。
というようなことを思いながら読んだので、それほど「好き」な
わけではないのだが、差し引いても読みやすかった。
話は…というより、まず人物の設定に引き込まれる気がする。
殺人事件が起きて行くが、その発生の仕方や、描写は、
失礼ながら漫画的だと思う。もちろん決して悪い意味ではない。
だけど、その他の人物の感情や、こんな生い立ちがあるから、
このキャラクターの性格は歪んでいるのだ、という設定が、
かなり大部分を裂いて説明されているのだ。
だから、こんなに長いんだよ、と言いたい。笑
人物の描写を減らしたら、物語自体は一冊で終わるのではないか。
しかし、この本は上下二巻あり、おまけに上下段に分かれている。
それはその辻村さんの意気込みと言うか、
起きてしまった虚しい事件の真相を練ろうと言う心意気を感じ、
とてもよいなぁと思った。読むの疲れるけどね、長いから…。
そんな読者を疲れさせないような文章を書けるようになったとき、
辻村さんは何か大きい賞を取れるような気がする。
ところでこの本でミスを見つけた…出版社に言うと何か貰えるのかな?

★★★★☆*85

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2008年5月 9日 (金)

「君は永遠にそいつらより若い」 津村記久子

君は永遠にそいつらより若い 君は永遠にそいつらより若い

著者:津村 記久子
販売元:筑摩書房
Amazon.co.jpで詳細を確認する


何だか女の人の本ばかり読んでるな…と思いつつ。
そう思い始めると、男の人の本を読みたくて読みたくて
仕方がなくなっちゃうんですよね。あぁ誰読もう、横山さんでも
久しぶりに読もうか…ところで、この本良かったです。

二十二歳で処女である私は、どうやら変わり者であるらしかった。
公務員試験に受かり、ぐうたらと残りの大学生活を送っているが、
その生活について問題はない。言ってしまえば問題がないのが、
寂しいくらいのもので、しかしそう感じさせないのんべんだらりとした
私を見ると苛立つ人間がいるらしい。傷を抱えた河北を
気付かぬ致命的な失言で激怒させた私は、そのことをいつも
考えるようになっていた。そんなとき、私はイノギさんに出合った。
毎日見かける人に、まさか声をかける日が来るなんて、と思いながら。
色々な物事が済んだ今、私は無性にイノギさんに会いたいのだった。

このタイトル凄くないか、とか思いながら読んだ。
いや、凄いだろう、明らかにこのタイトル。インパクトありすぎる。
そして話の大部分はタイトルとは全く無関係に進んでいくので、
一体どこでこのセリフは使われるのだろうか、と疑問だった。
結果、このセリフは、最後の方でちらりと、しかし話を締めくくる
感じで登場する。だが、そのポイントが、的を得ているようで、
でも得ていないような気もして、これでいいのだろうか?
と思ったのが本音であった。いや、何かもうちょっとうーん。
このセリフは言いし、言いたい事は凄く分かるのだが、
その根源となるはずの、少年を見つける、という意気込みが、
というか、そう思った衝撃みたいなものが、かなり簡略で、
唐突にそう思ったから、となっているのが原因な気がする。
過去の描写がないのに……平穏が脅かされる恐怖が薄いようで。
少年=自分の幼い頃なのか?、自分の何らかの欠如した部分、
という暗喩で、けれど、一方では生き延びているはずのその少年が、
その支配者を思うとき、自分は彼らより永遠に若い=
自分は世間の柵を作る大人より、永遠に若いのだから、
もう少しして、その大人が死んだら、何か自分にも生まれるはずであると。
その部分はとても好きであったのだが。
この本は一文がとても長いのだが、個人的にとても読みやすかった。
これを三浦さんが審査したんだろうか?とか思うと、
むしろこちらの方が魅力を感じるようで、審査って難しいよ、と思った。
話がずれましたが、さっぱりした女性観で私は好きです。

★★★★☆*88

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2008年5月 8日 (木)

「名もなき毒」 宮部みゆき

名もなき毒 名もなき毒

著者:宮部 みゆき
販売元:幻冬舎
Amazon.co.jpで詳細を確認する


この本、去年の夏ごろに予約したんだけど、ようやく回ってきた。
凄いなぁ…宮部さん。いつもながらその筆力に乾杯です。
今回はたぶん「誰か」の続編?みたいなのだが、気付くのが遅く
その「誰か」はまだ回ってきていないので、先に読んでしまった。残念。

今多コンツェルンの広報部で働くわたしのところでは、
現在一人の女性をめぐって問題が起きていた。
アルバイトで雇っていた原田いずみという女性が、
どうも履歴や学歴を詐称して採用されていたと分かったのだ。
たとえ詐称していたとしても、使いものになるならまだいい、
しかし原田いずみはいつまで経っても要領が悪く、
ついには注意されることに逆切れをする始末。
困り果てたわたしが辿り着いたのは、以前同じく詐欺被害にあった
会社の社長だった。いい人を紹介するよ、といい教えてもらった男、
私立探偵の元で、わたしは一人の女の子と出合った。
数年前、コンビニなどの飲料に青酸カリなどの毒物が
混入される事件が続発した、その遺族であった。

今回も安心して読むことが出来た。さすが宮部さんである。
しかし、続編、となるとある程度設定が決まっているからか、
筆が軽快すぎるような部分があって、そこがあまり私は好きではない。
逆にそこがいいのだ、という人のほうが多い気がするので、
強い事は言えないのだが、私は堅苦しい宮部さんの文章を愛している。
特に「理由」なんかの堅苦しさは本当、大好きなのだ。
と、そのへんにしておき、今回は現代社会に蔓延る様々な「毒」を
テーマに話が構成されている。シックハウス症候群であったり、
いじめであったり、土壌汚染であったり、貧乏ゆえに歪む心であったり。
その様々な毒物が世の中の見えない「名もなき毒」であると。
その関係性が、読んでゆくとなるほどね、と思うことばかりで、
あととち狂った女の登場が、いい感じに話を乱してくれて、
「あぁこいつここで出てくるか!」とイラッとするタイミングを、
見事に再現していたように思う。確かにいそうな気もする、あんな女。
一つ残念に思ったのは、主人公が、会社の一社員で、
しかも広報…という、あんまり権力がないような部署にいる
というところだろうか。確かに入り婿ということで、
地位は高いのだが、低い…という微妙なバランスの男、
という魅力もあるのだが、事件に首を突っ込む辺りで、
「こんなことに首を突っ込むのはやめようと思いつつも…」
みたいな言い訳の文章が何回か出てくるので、
こんな事を書かなくて済む位の人間設定にしたらどうだろうか、と思った。
まぁ、突っ込みたくないのに、性分で突っ込んでしまう、
という情けない男は見事に描けているんだけど、好きになれなかった。
そうそう、語りが一人称であることにも関係があるかもしれない。
全ては好みなんですけどね。宮部さんなので、面白くないわけはない。
私は三人称で、尚且つ堅苦しい宮部さんものが好きです。

★★★★☆*86

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2008年5月 6日 (火)

「コインロッカー・ベイビーズ 上」 村上龍

コインロッカー・ベイビーズ (上) (講談社文庫) コインロッカー・ベイビーズ (上) (講談社文庫)

著者:村上 龍
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


あぁ、下巻も読まなくちゃいけないのか…
と珍しくちょっと億劫がっている私です。そもそもの話、
私は龍さんとなんだか色々のものが合わない気がするんですよ。
カンブリア宮殿も、龍さん司会じゃなければきっと見るのだが。

キクとハシは施設で育てられた子どもである。
二人ともそれぞれの母親に育児放棄され、
コインロッカーの中に捨てられた赤ん坊だったのだ。
コインロッカーに捨てられる子どもは、
大体が殺害されてから収納され、生きていたとしても、
発見が遅れ、殆どの場合がその中で死を迎える。
そんな中でキクとハシは類稀なる生存者なのであった。
幼い頃味わった精神的恐怖は、成長する彼らにとって影響を及ぼす。
催眠治療で封じ込めたものの、いつ何時現れるか知れなかった。

そもそも、とまた言うけど、私は龍さんと気が合わないらしい。
これでも結構頑張って手にとってみるのだけど、
途中で放棄したもの数知れず。完読したのは、「五分後の世界」と
「限りなく透明に近いブルー」とたぶんそれだけである。
誰かアクの弱い、私が読めそうな本をお薦めしてください…。
と、それはさておき。この本でも思うことなのだが、
村上龍は現実を書かない。現実を書くのだけど、
自分だけの小説世界を作り上げて、その中で比喩的、
あるいは皮肉った感じに表現するのである。
コインロッカーに捨てられる子ども、という設定も、
その設定にはとても興味深さを感じる。
密閉空間に放置され、生後ほんのわずかのうちに、
生命の危機にさらされた子どもの精神衛生は、きっと歪んでいる。
そしてその歪みはロッカーに限らず、現代の世界がそうなのだと。
しかし、その後の話の展開が、私はどうしてもついていけないのだ。
引き取ってくれた義母は死んでしまい、
そして毒が土壌汚染しているという隔離地域に、逃げてゆく。
その上オカマとして働いてみたり、音楽を登場させてみたり…
これは物語というより、村上龍の趣味の寄集めではないだろうか?
と思ってしまったりするのだった。「五分後の世界」でも、
音楽が強調されているが、かなり強烈にアピールされていたため、
それの登場に強い信念を感じることが出来たのに。
うーん。村上龍を楽しめないのは、私がまだ子どもだからなのか?
よくわからん。よくわかんないけど、下巻を読むのが億劫である。

★★★☆☆*81

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2008年5月 4日 (日)

【映画】ぼくたちと駐在さんの700日戦争

20080507
あら、栃木だったんですか、とそれだけで親近感の湧いた映画でした。
撮影場所は烏山という、それはそれは辺鄙なところです。
えぇ、田んぼしかない。最近栃木を撮影場所にする映画が
多い気がする。東京から近く、田舎を醸し出す絶好の場所なのか?

俺たちはあの駐在のヤローを打ちのめすことにした。
始まりは、こうだ。俺たちの仲間である西条がバイクに乗り、
坂道を走っていたところ、ネズミ捕りをやっていた駐在にキップを
切られ、停学処分になってしまったのだ。
「坂道じゃ自然にスピードがでんに決まってんだよ」
西条の苛立ちを買った俺は、とある作戦を企てた。
そもそも自転車でスピードメーターは反応するのか……
自転車は免許もないのだから捕まらないだろう。
俺たちはチャリンコに跨り、坂道を暴走する。
俺たちと駐在の700日戦争の始まりである。

「どう見てもコイツは肉屋の千葉だろう」
笑えた。あぁ佐々木さんいい味出してる。
というか、このキャラクターあってこその面白さがあるよね、と。
内容は、とにかくギャグギャグギャグ。
笑うこと、悪戯のみを考えて駆け抜けた青春時代を、
上手く描けていたのではないか、と思う。
ただ残念なのが、インパクトがない。
どれも少年たちの悪戯程度で、何となく物足りない気もした。
ちょこちょこと決行する作戦はどれも面白いのだけれど、
最後まで同じような調子で、花火の話も、
何だかそこまで目立ったプロジェクトではなかったかな。
あともう一つは、もう少し人間関係を書いてもよかったような。
西条が流れ者であり……とかそのへんの微妙な感じを、
深く書いておいたら、その西条のために花火を打ち上げる、
他の仲間たちの友情なんてものが、よく伝わったかと。
七人ってのが多すぎるのかも?
いや、やっぱり背景が薄いのだと…。
そう言えば、この監督は「着信アリ2」の監督である。
見終わってから調べて「へぇ」と思ったのだけど、
確かに確かに、そんな感じもしなくもない。
と言っても全面ギャグなんで、怖さのかけらもないのだが。
栃木県民は見ておくべし。

★★★☆☆*85

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