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2008年4月17日 (木)

「福袋」 角田光代

福袋 福袋

著者:角田光代
販売元:河出書房新社
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あぁやっぱり角田さんの本は安心して読める気がする。
もちろん、最近のヤツ。直木賞前のやつは、ちょっと勇気いりますが。
そうそう、関係ないですが、この本サイン本なんですよー幸せ。
角田さんのサイン本は見つけるのが大変です。伊坂さんよりはマシだが。

「白っていうより銀」
二人で決めた事なのだから、二人で終わらせようと龍一が言うので、
私たちは、婚姻届を出したあの日と同じように有給休暇を使い、
今日離婚届を出しに役場へとやってきた。
もう会うこともないのだろう。龍一と別れ六年間の結婚生活を思い出し
ぼんやりしていると、電車のホームで若い女に声を掛けられた。
「この子を見ていていただけませんか」
手渡されたその子どもは、まだ一歳にも満たない赤ん坊で、
しかし具合の悪そうなその母親に突き返すわけにもいかず、
私は赤ん坊を抱きあやす事しか思いつかなかった。
幸せそうに笑う赤ん坊は狂おしいほど可愛かった。
私の授かり得なかった赤ん坊…離婚の原因はそれにあるのだろうか。

「福袋」というタイトルにも相応しく、
どれをとっても安心して読める短編集であった。さすが角田さん。
特には「白っていうより銀」や「母の遺言」、「カリソメ」あたりが
私は好きだった。今回はいつしかのような妙なつながりはなく、
それぞれが独立した話になっている。「白っていうより銀」では、
子どもを授からなかった夫婦が、六年経った今離婚してしまう話で、
突如用意された擬似親子関係によって、
「もしかして私たちに子どもが出来ていたら、離婚しなかったのでは…」
という空想を描く話である。けれど、締めくくりは、
子どもがいたからといってこうなったわけではなく、
なるべくしてなった今なのだと、「私」は思い立ち終わる。
子どもが出来ないから…それは当事者たちにとったら、
それは辛い事だろうと思う。けれど、「だから離婚した」とするのは、
やはりどこか間違っていて、授からなかった場合でも、
愛情や恋情を保ち続けられるのが夫婦であり、
結果離婚したのであれば、それはそれまでの関係だった、となるのだろう。
最後の「福袋」を読めば分かるのだが、
この本には、「福袋」の福袋たる要素がふんだんに描かれている。
福袋の中には何が入っているか分からなくて、
それを来るべき時に自分が引いてゆく。
人生のうちめぐり合うべき出来事はすでに決まっていて、
その中から無作為に、気付かぬうちに選び取り、私たちは生きているのだ。
遺言もそう、子どもが出来ず離婚するのもそう、見栄をはるのもそう、
この短編集は、そんな「福袋」の中身のような小説であった。
ところで、最近角田さん離婚の話が多い気がするんですけど…
大丈夫でしょうか、伊藤さんと上手く行っていないのか…?
などと、要らぬ心配をしつつ。楽しい時間をくれた角田さんに感謝。

★★★★☆*89

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