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2008年4月

2008年4月30日 (水)

■雑談:2008年4月に読んだ本

■2008年4月に読んだ本(14冊)

4.06 ★★☆☆☆*75 「恋愛中毒」 山本文緒
4.10 ★★☆☆☆*79 「Re-born はじまりの一歩」アンソロジー
4.13 ★★★★☆*88 「レベル7」 宮部みゆき
4.14 ★★★☆☆*79 「イニシエーション・ラブ」 乾くるみ
4.15 ★★★☆☆*78 「慟哭」 貫井徳郎
4.16 ★★☆☆☆*65 「団欒」 乃南アサ
4.17 ★★★★☆*89 「福袋」 角田光代
4.19 ★★★★☆*87 「僕はパパを殺すことに決めた」 草薙厚子
4.21 ★★★☆☆*85 「真夜中のマーチ」 奥田英朗
4.22 ★★★★☆*89 「私の男」 桜庭一樹
4.24 ★★☆☆☆*79 「三面記事小説」 角田光代
4.26 ★★★☆☆*80 「鬼平犯科帳1」 池波正太郎
4.28 ★★★☆☆*87 「モモ」 ミヒャエル・エンデ
4.29 ★☆☆☆☆*-- 「スローモーション」 佐藤多佳子

■2008年4月に観た映画(2本)

4.07 ★★★☆☆*80 「転々」
4.08 ★★★☆☆*80 「サッド ヴァケイション」

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2008年4月29日 (火)

「スローモーション」 佐藤多佳子

スローモーション (ピュアフル文庫) スローモーション (ピュアフル文庫)

著者:佐藤 多佳子
販売元:ジャイブ
Amazon.co.jpで詳細を確認する


あああ…この話し口調どうにかならんのか…。
これだけで、かなり読む気失せるんです。
そもそも、なぜギャルしゃべりの女を主人公にするのか…、
私個人は生理的にパスです、すみません。

私の兄ちゃんは昔交通事故を起こして左足が悪い。
本当ならリハビリをすれば治るはずなのに、
何を思ってか兄ちゃんはそれについて何もしようとしないのだ。
その上、悪趣味な事に、兄ちゃんの部屋には、
その事故の瞬間を収めた写真が飾ってある。
まったく何考えてんだがわかんない。
母親がちがくて、微妙に気を使う私の家…ギクシャクする摩擦が、
次第に大きくなり始めた頃、私はとあるクラスメイトと、
密接なかかわりを持つ事になった。及川周子、のろまで変わり者。
しかしいつもゆっくり動作をするのには、理由があった…

うーん?というところである。
押し出したい「スローモーション」なのは、
人間の摩擦を避けるため、と言うのが、かなりインパクトが弱い。
その上に、この話し口調…どうにかならんのか?
と個人的に思いながら読んでいたので、
どちらかと言えばイライラしていた部分の方が多かった気がする。
佐藤さんの少年のしゃべり口調は好きなのだけど、
ギャルっぽい感じとか、ちょっと個人的ではありますが好きになれません。
なぜ、ギャルにする必要があるのか、
という根本的なところに辿り着きます。
だってこの話だと、普通の女の子でも成り立よ?と。
ギャルにするからには、それなりのギャル的な訴えたいこと、
というようなものを押し出して欲しいと思う。
ちょっと変わった雰囲気にしたので、ギャルにしてみました、
というのは何だかとてもいただけないなぁ、と思ったのでした。
そんなこんなで、文章短っ。ですが、このへんで。
梨木さんの「西の魔女が死んだ」以来の、
文章が原因の途中放棄を考えました。佐藤さんは好きな作家です。
その点は、重々、押しておきます。「一瞬の風になれ」は★5です。

★☆☆☆☆*--

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2008年4月28日 (月)

「モモ」 ミヒャエル・エンデ

モモ (岩波少年文庫(127)) モモ (岩波少年文庫(127))

著者:ミヒャエル・エンデ
販売元:岩波書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する


この本は昔から有名であるし、たぶん三回目くらいだと思う。
けれど毎度読んだ内容を覚えていないのは、
私と相性が悪いのか、ひらがなが多すぎるのか、印象が薄いのか…
私はおそらく「印象が薄い」のだと思うのです。理由は下記参照

とある時代のとある場所にモモと言う少女がいた。
円形劇場の廃墟に住むモモは両親がおらず、
みすぼらしい格好をしていたが、人の話を聞くのが上手かった。
彼女の元には、毎日たくさんの住人がやってきては、
モモに色々な話を聞いて貰い、笑顔が溢れている。
しかし、ある時街には灰色の男たちが溢れ始めた。
時間銀行を名乗る彼らは、時間の節約を促し、
おかげで街中はせかせかゆとりのない生活に追われるようになった。
何の楽しみもない効率だけを考えた世の中…果たしてこのままで
いいはずがない。モモは灰色の男たちから街を救おうとする。

で、「印象が薄い」理由ですが、簡単に言ってしまえば
私は自分の時間を盗まれていないと思っているからです。
もしくは、盗まれていることに気づいているからです。
だからこの本を読んで「そうだよねゆとりを忘れちゃいけないよ」
と考えさせられる前に、私はどうも自分自身の中で
常にそう思っている節があるのです。
私は昔から本を読むのが好きでした。
周りの皆が漫画を読んでいようとも、外で遊んでいようとも、
図書室に引きこもっているような変わり者でした。
と言うのも、本が大好きでしたから、死ぬまでの間に、
自分は一体何冊の本が読めるんだろう、と中学生のとき思ってました。
そんな静かな生きがいを持っていた私は、時間に追われながらも、
しっかりと自分のゆとり(読書時間)を確保し、
生活していたように思うのです。ですから、この本を読んでも、
「何当たり前のこといってるの」とおもうわけです。
確かに、このせかせかした世の中に呼びかけるのは、
とっても重要なことだと思います。
全てが自動化されりゃいい、そんな時代は望んでいませんし、
望むべきではないと思います。私は旧式な人間なので、
ほぼすべてアナログのものが好きです。散歩が好きです。
まぁそう言った意味で、「とてもいい本」であることに、
何ら違いはありません。是非幼い頃に読んで欲しい本の一つですね。
一つ気になるのは、途中で語りの視線が変わることです。
最初は街の人間目線で始まるのですが、
いつの間にかモモ目線で語られ始めます。とても巧妙なので、
気にならない人は気にならないと思いますが……。
むしろ童話に多い感じになっていますね。ただ後半やたら
モモの感情が描写に含まれるため若干の違和感があるのです。
まぁそんなところで。ひらがなが多くて大変でした。

★★★☆☆*87

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2008年4月26日 (土)

「鬼平犯科帳1」 池波正太郎

鬼平犯科帳〈1〉 (文春文庫) 鬼平犯科帳〈1〉 (文春文庫)

著者:池波 正太郎
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する


昔よく読んでたんですよ。多分10巻くらいまでは記憶があるんですが、
気になったので、もう一度読み直すことにしました。
特に三巻以降面白かった記憶があったのですが、
一巻はどんなだったかな、と。まぁあんまり面白くは…

「血頭の丹兵衛」
血頭の丹兵衛と名乗る、劣悪な盗賊が現れた。
金を奪いに押し入った先で、女子どもに手を出し、
片っ端から人を惨殺してゆく。それを知った盗賊改め方の
長谷川平蔵は、捕虜にされたいた盗人・粂八に事情を聞き、
また密告者として、政府の犬になって働くように命じた。
幼い頃、丹兵衛に育ててもらった恩のある粂八は、
「そいつは偽者の血頭の丹兵衛だ」と言って憚らなかったが、
実際後を追ってみると、そこに居たのは血頭の丹兵衛本人であった。
昔の節度をもった盗みを行う丹兵衛はどこへ行ったのだろうか…。

連続短編集なのであるが、最初の3~4編、とてもつまらない。
と言うのも、鬼平犯科帳が、そう呼ばれるゆえんの「鬼の平蔵」が、
かなり蚊帳の外の話が続くからである。
この時代に、いかにして平蔵が町に馴染み、恐れられていたかが、
違う人目線で描かれているのだ。読み始め、小野と言う人から始まり、
こんな始まりだったっけなぁ、と私は思ってしまった。
後半「血頭の丹兵衛」辺りからは、平蔵の裁量が発揮され、
面白くなってくる。一つ一つの話はどうってことのない話だけれど、
「血頭の丹兵衛」のように、「自分の中で美化していた思い出」や
「老後歪んでしまった人間ほど手に負えない」など、
少しずつ教訓めいたものも盛り込まれていて、
読んでいてやはり心地いいのである。
この本が面白い理由の一つが、書き手(語り手)が現代人である、
と言う点である。まぁ「水戸黄門」も、どっちかと言えばそうだけど、
普通、小説で時代物を書くとなると、書き手もその時代の人になる。
だけど、この本はところどころの比喩が、やけに現実的だったりして、
そんなところからも少し人間味を感じるのであった。
あと、下手に隠すことなく、エロス…というか、
黄表紙を書くのも、面白く読める理由の一つかもしれません。
確か三巻以降が面白かったと思いますよ、と言うことで。

★★★☆☆*80

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2008年4月24日 (木)

「三面記事小説」 角田光代

三面記事小説 三面記事小説

著者:角田 光代
販売元:文芸春秋
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なんか、どれも同じですよね。とか思ってしまった本でした。
角田さんには珍しい、最近のものの中では久々につまらんなぁ、
という感情を抱きながら読んでしまいました。
これは「福袋」から時間を空けて読むべきでした、本当。

「愛の巣」
見合いで結婚した姉夫婦は、あまり上手くいっていないようだった。
毎月毎月、夫の浮気を不安がる電話を寄越してくる。
適度な恋愛をし、結婚した房枝にとって、
それは何だか可愛そうに思え、また少しの優越感を抱いていた。
しかし姉はあるときから変わってしまった。
毎月かかってきていた電話が、二ヶ月たっても来ない。
さすがに心配になった房枝が、姉夫婦の家を尋ねてみると、
そこにあったのは、城壁とも言うべき鉄線が張り巡らされていた。
異様に変貌した家、けれど姉夫婦は以前より親しげに見える理由は…。

先日「福袋」を読んだばかりだったので、
最初にこの「愛の巣」を読んだ時点で、あぁまた同じですか、
と思ってしまった。角田さんの書く女性は、二割ぐらいの確率で、
不妊について悩んでおり、三割くらいが離婚の話を持ち出す。
いや、別に分からなくないし、実際専業主婦をしている人間なんて、
きっとそんな事を考えるしか、話題はないのだろう。
けれども、しかし主人公の女性が全員同じ人に見えるのは、
気を抜いている証拠のなのではなかろうか…とか思えてくる。
それはさて置き。この本はというと、実際にあった「三面記事」の
事実を角田さんが脚色し物語りを作ると言う話である。
とても個人的なところではあるが、私はとてもそれが好きになれない。
例えば、同じような事件だとしても、章扉にある、
そこ(三面記事)も角田さんが書いて欲しかったと思う。
おまけに角田さんはミステリ?みたいな事件的な、
人物の感情を書いてくれないので、事実と小説の融合が出来ていない。
いや、むしろそのちぐはぐな感じがいいのだ、醍醐味なのだ、
と言われてしまえばそれまでなのだが、
この本に出てくる主人公は、同じような感情の起伏の持ち主で、
「殺したい」とか「悪いことをしよう」と考えるキレ方が一緒で、
大変面白くない。まぁどれも同じ人に見えるのだからね…。
うーん…すでにラストが決まっているって言うのが、
角田さんの作風に合わないのだろうか、とか、
思ってみたりなんかもしたりして。今回は共感できない部分も、
何だか多かった気がする。毒物を入れてしまう少女の感情も
なんだか「?」という感じがしたし、そもそも「何かされた」という
何かが描かれていないので、伏せすぎ感がある。
嫌がらせサイトも「?」男側がとても中途半端に終わってしまって、
往復の旅費は?みたいな。その彼女の魅力もよく分からんし。
全体的に、「現実」のはずの「三面記事」が、
ぜんぜん「現実味のない話」になっていた、というのが感想です。
それを狙ったのか…?それならそれは成功していると思います。
でも、私の好みではなかったため…すみません角田さん。

★★☆☆☆*79

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2008年4月22日 (火)

「私の男」 桜庭一樹

私の男 私の男

著者:桜庭 一樹
販売元:文藝春秋
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うわぁ…気持ち悪…。と多分正常な神経の人は中盤思うでしょう。
まぁよかったはよかったんですけど、個人的に。
あの「赤朽葉」よりは数倍よかったですよ、はい。でもしかし、
これで直木賞かーみたいな。三浦さんの時もそうだったけど。

私は、淳悟から離れることが出来ない。
彼は「お父さん」で「私の男」で、いつも湿った雨の匂いがした。
震災で両親と兄弟を失い、一人ぼっちになった私を、
淳悟はまるで犬を飼うのかのように育ててくれた。
私は彼から何か言いようのない安心感と、少しの恐怖心、
それから嫌悪感と、親愛の情を得た。
私は今日美郎と結婚する。ようやく淳悟と離れる時がくる。
そうしなければならない時がやってきたのに、
しかし私は淳悟を求めている。
淳悟…それは秘密を共有した「私の男」の名である。

桜庭さん、まだまだ成長するように思うんですけどね、
そう思いませんか?とか偉そうなことを言ってみたりして。
うん、でもまぁ三浦さんの時よりは、個人的には
納得してる気がするんですが、それでも「うーん?」という
疑問符が消えないところである。以下ネタばれご注意。
比較すると「赤朽葉」より数倍素晴らしいと思いますので、
いや、本当去年それで受賞してたら、私は卓袱台返しますよ、本当。
で、内容はと言うと、過去に逆行する形式となっており、
最後の章にたどり着くことで、ようやく「私の男」が
一体どんな男なのかを知ることが出来る。
最初のシーンでは「私の男」は義父であり、
もしや恋愛関係にあるのか?という所から始まる。
そして最後は、愛情の欠損した男が、実の娘を姦淫している、
というとても異様な真実を見せつけられ、終わる。
愛しそうに支えあう二人が、実はそんな関係であると、
徐々に書き表されてゆく様子は、何だか寒気が走った。
寒気が走ったと言うことは、きっと桜庭さんの狙い通りであろう。
ただ二つほど私が残念に思ったことがある。
一つ目は情景描写。後半の舞台の殆どは、北海道なのだが、
ただ単に「流氷が」とか固有名詞が書いてあるだけで、
雰囲気が全然寒そうじゃない点。寒いところに住んだことの
ある人なら、きっともう少しリアルに書けたと思う。
二つ目は主人公・花が大人になり始め、淳悟から離れたい、
と少しでも思い始めるその描写が欲しかった。
この本を後ろの章から読んでゆけば分かるが、
他の感情はしっかり描かれているのに、この離れたいと
思い始めたきっかけみたいなものがさっぱり描かれていない。
「親子だから離れる時が来る」みたいな曖昧な感じで。
でも、別にここまで狂った親子なら、一生一緒にいても
いいんじゃないの?とか一方で思ってしまうので、
やっぱりこの描写は必要だと思うんですよね、個人的に。
と、以上です。気持ち悪いけど読み終わって「あぁ」と、
深いため息をつける小説です。実はサイン本だったりして、
宝物です。直木賞だし、初版だし。笑

★★★★☆*89

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2008年4月21日 (月)

「真夜中のマーチ」 奥田英朗

真夜中のマーチ (集英社文庫) 真夜中のマーチ (集英社文庫)

著者:奥田 英朗
販売元:集英社
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中途半端…奥田さん、どこを目指したんだ?と思わず呟いてしまう。
いや、面白いんですけど、うん、人間味がありすぎるというか…
まぁむしろそこが奥田さんのいいところであったりするのだが。
もうちょっとキャラが非現実的だったら、違う世界を描けたかも。

若干二十五歳の横山健二こと、ヨコケンは出会い系パーティ屋だった。
医者の卵をパーティに呼び寄せては、サクラの女とやらせ、
後ほど言いがかりを付けて大金をぶんだくるのを職にしている。
ある日開いたパーティで、三田物産の息子、三田総一郎を発見し、
さっそくサクラの女を掴ませた。いよいよ金をせしめようとした時、
どうやら三田が、三田物産の息子ではなく、三田物産の社員の三田、
だという事を知り、計画がおじゃんになった。
ヤクザに目をつけられたヨコケンは、とある部屋の契約人にさせられたが、
どうしても気になって見に来たその部屋では、闇の賭博が行われた。
大金がうなるマンションの一室…ヨコケンは金を奪ってやろうとするが…

最初3人が集合するまで、とても読むのが面倒になる。
何だか分からないが、すごく読みづらいのだ。
中盤にかけては、奥田さんのテンポに引き込まれ、
とても軽快に読むことが出来る。
一番気になったのは、キャラクターの設定であった。
三田はどうしても私には伊良部にしか見えなかった。笑
いや、傾向がですが、そういうキャラを目指しているのかなぁと。
ところで、奥田さんはこの本で何を目指したんだろうか…。
ただの滑稽な金盗り合戦か…?
確かに面白いのだけれども、この本を読んで思い出したのは、
伊坂さんの「陽気なギャングは地球を回す」であった。
これも強盗であるが、出てくる強盗四人は、それぞれ特技を持っている。
時間を正確に刻める女だったり、演説が上手い男だったり、
けれども、この本では、それが至極曖昧である。
三田は記憶力がいいといいながら、中国人の名前を忘れているし、
黒田もイマイチ特技が分からない。横山に到っては、
中盤から視点が変わるため、ただ恋に溺れる変な男、と化していて、
前半で見せた知的な部分はさっぱり生かされていなかった…。
と、キャラ設定がよく分からないまま進む話は、
なんとも中途半端な気がしてならなかったのだった。
例えば三田が超記憶力がよく、でもそそっかしくて、
黒田は悪の名案王で、でもファザコン&ブラコンで、
ヨコケンは知的で、でも黒田にめろめろで…
ともっとめりはりをつけて描かれていたら、何割かくらいは、
より面白く感じたのではないか、と思う。
そして、またしても恒例の登場人物全員参加の珍騒動も有。
何度も言うけど、私はそこがどうにも好きになれない…。
と、いうことで。そう言えば映画化らしですよね。

★★★☆☆*85

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2008年4月19日 (土)

「僕はパパを殺すことに決めた」 草薙厚子

08042001
今後は小説以外も読んでいこうかと思います、はい。
まぁ今までも読んでいたことには読んでいたのですが、
感想って書きにくいから、うん、ちょっと犬猿していたのですが、
まぁ、これ読んだよくらいのメモとして書いておきます。

小説以外はあらすじ省きます。
この本は少し前に話題になっていました、
調書流出事件で、精神科医が捕まってしまった例の事件です。
高校一年生の男子生徒が、父親を殺すに到ったまでの、
もろもろな物語が書かれています。勿論、実話です。
ところで、特に気に留めて読まなかったので、
一体どこからどこまでが流出してしまった調書なのか
分からなかったのですが、かなりふんだんに引用が使われていました。
実父、実父の両親、継母、実母、実母の両親……
出てくる大人たちがあまりに残酷な人間に見え、
読むのが辛かったほどでした。
学歴社会が生んだ、歪んだ親の愛情。
こんな教育を受けている子どもは少なくないのではないか、と思います。
幼稚園から掛け算九九を始め、小学校の塾では飛び級。
出来ない問題があると、実父が殴る蹴るの暴行を加える。
結果積もり積もった少年の思いが爆発し、
継母、兄弟二人を殺害する放火事件へと発展してしまうのだ。
勉強の軋轢から逃れるため……
しかし、この事件で一番怖ろしい、というか呆れてしまうのは、
実父や、実父の両親が、少年が優秀な高校に入ったことに、
ちっとも後悔していないことである。
幼稚園の頃から殴られながら勉強し、性格を歪ませよい学校に入った、
というのに、ちっとも罪悪感がないのだ。
その現実に私は愕然とした気持ちを覚えた。
まるで優秀でなければ我が子でないようなことを言う。
そんな人間ではないような親を排除しない限り、
このような事件は減らないのではないかと、私は思いました。
ところで、この本は読むことによって、
様々な事を知ることが出来るし、読んでよかったとも思う。
しかし、調書流出というのは、やはりいけないもので、
そのような犯罪を犯してまで訴える方法がなかったのか?
と考えると、とても疑問である。

★★★★☆*87

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2008年4月18日 (金)

4/18つばき@下北沢CLUBQワンマンLIVE『スペシャルリクエストライブ&ついでにバースディ』

A20080418

4/18つばき@下北沢CLUBQワンマンLIVE『スペシャルリクエストライブ&ついでにバースディ』

■セットリスト

 踵
 30分
 片道キップ
 アセロラ
 夢のあとさき
 雨音
 街風
 悲しい鳥
 猫
 カーテン
 風向き
 ループ
 その訳は
 瞬き
 妄想列車
 夢見がち
 東京の空
 サヨナラ
 来る朝燃える未来
END
 中央線(Vo.岡本さん、Gt.一色さん)
 運命と花
 冬の話

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2008年4月17日 (木)

「福袋」 角田光代

福袋 福袋

著者:角田光代
販売元:河出書房新社
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あぁやっぱり角田さんの本は安心して読める気がする。
もちろん、最近のヤツ。直木賞前のやつは、ちょっと勇気いりますが。
そうそう、関係ないですが、この本サイン本なんですよー幸せ。
角田さんのサイン本は見つけるのが大変です。伊坂さんよりはマシだが。

「白っていうより銀」
二人で決めた事なのだから、二人で終わらせようと龍一が言うので、
私たちは、婚姻届を出したあの日と同じように有給休暇を使い、
今日離婚届を出しに役場へとやってきた。
もう会うこともないのだろう。龍一と別れ六年間の結婚生活を思い出し
ぼんやりしていると、電車のホームで若い女に声を掛けられた。
「この子を見ていていただけませんか」
手渡されたその子どもは、まだ一歳にも満たない赤ん坊で、
しかし具合の悪そうなその母親に突き返すわけにもいかず、
私は赤ん坊を抱きあやす事しか思いつかなかった。
幸せそうに笑う赤ん坊は狂おしいほど可愛かった。
私の授かり得なかった赤ん坊…離婚の原因はそれにあるのだろうか。

「福袋」というタイトルにも相応しく、
どれをとっても安心して読める短編集であった。さすが角田さん。
特には「白っていうより銀」や「母の遺言」、「カリソメ」あたりが
私は好きだった。今回はいつしかのような妙なつながりはなく、
それぞれが独立した話になっている。「白っていうより銀」では、
子どもを授からなかった夫婦が、六年経った今離婚してしまう話で、
突如用意された擬似親子関係によって、
「もしかして私たちに子どもが出来ていたら、離婚しなかったのでは…」
という空想を描く話である。けれど、締めくくりは、
子どもがいたからといってこうなったわけではなく、
なるべくしてなった今なのだと、「私」は思い立ち終わる。
子どもが出来ないから…それは当事者たちにとったら、
それは辛い事だろうと思う。けれど、「だから離婚した」とするのは、
やはりどこか間違っていて、授からなかった場合でも、
愛情や恋情を保ち続けられるのが夫婦であり、
結果離婚したのであれば、それはそれまでの関係だった、となるのだろう。
最後の「福袋」を読めば分かるのだが、
この本には、「福袋」の福袋たる要素がふんだんに描かれている。
福袋の中には何が入っているか分からなくて、
それを来るべき時に自分が引いてゆく。
人生のうちめぐり合うべき出来事はすでに決まっていて、
その中から無作為に、気付かぬうちに選び取り、私たちは生きているのだ。
遺言もそう、子どもが出来ず離婚するのもそう、見栄をはるのもそう、
この短編集は、そんな「福袋」の中身のような小説であった。
ところで、最近角田さん離婚の話が多い気がするんですけど…
大丈夫でしょうか、伊藤さんと上手く行っていないのか…?
などと、要らぬ心配をしつつ。楽しい時間をくれた角田さんに感謝。

★★★★☆*89

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2008年4月16日 (水)

「団欒」 乃南アサ

団欒 (新潮文庫) 団欒 (新潮文庫)

著者:乃南 アサ
販売元:新潮社
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アクが強すぎます。一瞬中島らもを思い出すような…
いや、でもそれ以上に何か嫌悪感なるものを私は感じた気がした。
そう…女性版荻原浩のような。というか、人殺して、うふふあはは、
とか書かれると、何だか読む気がなくなるのは私だけでしょうか…。

「ママは何でも知っている」
俺は加奈と結婚し、漆原学園長の婿養子として嫁ぐ事になった。
愛らしい加奈のためなら、多少の苦労も厭わないし、
婿養子という負い目の立場も、打破してみせる。
そんな俺の意気込みをよそに始まったのは、平穏な漆原家の生活だった。
「お義父さんお義母さんじゃなくて、パパママと呼んで下さらないかしら」
義母は笑顔で俺にそういい、結婚を歓迎してくれた。
上品な家庭の、温かい生活が始まったはずだったが、
それは度の越えた「家族愛」を見せつけられる始まりであった。
漆原家では歯ブラシを家族で共有し、風呂も一緒に入る。
一見温和に見える家族愛は、次第に歪んで見え始めるのだった。

だからどうしたのだ、とつっこみたくなる話満載。
というか、むしろそれを狙っているのかも知れないのだが、
どれも素直に笑うことが出来ない、失笑の生まれる話ばかりだった。
特に一番最初に読んだからか、「ママは何でも知っている」は
とても強烈で、私は顔を引き攣らせて読む羽目になった。
そもそも、上品な家庭でバスローブを着るような人間は、
下着で家の中を行き来しないと思う。
痰をはかないと思う。歯ブラシを共有しないと思う。
これらはテーマとして掲げられている「家族愛」とはかけ離れている。
それに作者が気付かず書いているので(わざと?)、拒否反応がでた。
娘の排卵日を気にして、婿に「おつとめ」を頼むのは、
度が過ぎているものの「家族愛」だ。風呂を一緒に入るのも「家族愛」だ。
しかし、下着で家の中を行き来するのは、家族愛ではない。
わざと書かれているだろうと思うのだが、
この話でそれを書くべきではないと思う。
書いてしまったら、それは笑い話になってしまうからだ。
だけど、この本には書いてある。そして最後に主人公が死んでしまう。
死んでしまいその理不尽な死に方に対し、その「家族」は、
うふふあはは、と笑うのだ。個人的に言わせて貰うなら、
「笑えるか、こんなシーンで」というところだった。アクが強すぎる。
そして私に合わない。下品な事を洒落でなく平気で書くから。
乃南さん初めてだったんですけどねぇ…ダメそう。
ずっと前に読みかけて、放置していた理由を思い出しました。

★★☆☆☆*65

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2008年4月15日 (火)

「慟哭」 貫井徳郎

慟哭 (創元推理文庫) 慟哭 (創元推理文庫)

著者:貫井 徳郎
販売元:東京創元社
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初、貫井さんでした。非常に読みにくい。
なぜなら400Pちょっとの話だというのに、場面が69あるのだ。
くるくると場面が入れ替わるので、疲れる、と言うのが一言目。
もう一言目は、犯人が半ばで分かってしまうのが難点。

幼い少女ばかりを狙った痛ましい連続殺人事件が発生した。
捜査本部が設置され、その指揮として就いたのは佐伯だった。
若くして捜査一課長に就任した佐伯であったが、
署内ではキャリア組みの成り上がりだと批判を受けており、
評判は芳しいものではなかった。おまけに妻との仲も悪く、
愛人との逢瀬を繰り返す日々を繰り返していた。
捜査は難航し、被害者は増えるばかり…ついには犯人から
手紙が届くという新たな展開を見せたが、しかし解決には到らなかった。
そうこうしているうち、狙われたのは佐伯の娘恵理子であった。

一体何に比重をおきたい小説なのかよく分からなかった。
娘を殺される事によって、狂ってしまった優秀な男。
その描写と、それから新興宗教に溺れてゆく様子は、
とても力を入れているのは分かるのだが、そもそもの背景描写が希薄である。
例えば、なぜ佐伯は結婚前に妻が上司の娘だと気付かなかったのか。
同僚から持ちかけられた話であったなら、
きっと噂になるはずである。それさえもないのは、
余程鈍感なのか、それとも結婚詐欺かのどちらかだろう。
絵美を愛していたのは確かである、とされているので、
前者になるのだろうか?よくわからない。
よって佐伯が娘をどのように愛しているのかがさらによくわからない。
父親は多分に漏れず娘を愛す、という偏見は間違いであるように思う。
それから、捜査の展開がかなり杜撰である。本来こんなもんなのか?
本当を知らないので偉そうな事は言えないが、
奥の手として取ってあるはずのビニール袋がさっぱり出てこない。
それに冷静沈着だったはずの佐伯が「犯人を挑発してみよう」
となるのも何だかおかしな感じもしないでもなかった。
そもそも事件が三ヶ月にも長引いているのに、
ずっとマスコミが騒ぎ尽くしているのもおかしなもので。
この事件の合間にも、絶対に違う事件が起き、存在が薄れるはずである。
それから、これは仕方のないことかもしれないのだが、と断っておくが、
新興宗教の描写がとても陳腐である。いや、でもこれは、
実際の活動がそうなのだと思うので、結果そうなるのは否めない。
けれども、黒魔術にはまる大人たちの描写は何だか想像しがたく、
一歩引いて読んでしまった感がある。それに多分、貫井さん自身も、
たぶん宗教にそれほど関わっているわけではなく、
本を読んで書いた感が漂っているのが残念である。
昨日読んだ「イニシエーション・ラブ」同じく、
最後に「実はこの人だったんですよ」的なラストだったので、
少々読み飽きた感が…とこれは個人的な感想ですが。
デビュー作とのことで、これだけ書けたらそりゃ賞を貰えるでしょう。
しかし、万人に対し面白いかどうかは別ですけどね。
同じ雰囲気でいくと雫井さんの「犯人に告ぐ」の方がスリリングで○。

★★★☆☆*78

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2008年4月14日 (月)

「イニシエーション・ラブ」 乾くるみ

イニシエーション・ラブ (文春文庫 い 66-1) イニシエーション・ラブ (文春文庫 い 66-1)

著者:乾 くるみ
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する


自分、凄い。と思った本でした。いきなり何ですか、って感じですが、
私は始めから騙されませんでした。はい。
何だよ、私の思った通りじゃないかと思い、読み終わってかなり凹みました。
ミステリ慣れしすぎているからか…。

さえない僕は、友人の誘いによって、
人生初めての合コンに参加することになった。
男四人女四人、その中で僕は一人好みの女の子を見つけてしまう。
初めは合コンに参加する女なんて…と毛嫌いしていたものの、
実際彼女と二人きりで話すうち、それは恋愛感情に変わっていた。
彼女が他の男と話しているとイライラする。
他のメンバーには内緒で、そんな刺激を受けるうち、
二人の愛は燃え上がっていった。僕も彼女も交際が初めて同士。
何もかもが順風満帆に進んでゆく、しかし…

悪いけど、私は引っかからなかった。本当に。
この感想を読むとネタバレになりますから、まだ読んでない方は、
早々に切り上げて、実際に読んでみることをお薦めします。
私が最初に気付いたのはマユ(彼女)が「タックって知ってる?」と言った時。
その時点で、何か伏線っぽくね…? と疑い始め、数ページ後に
「たっくんにしよう」と言った時点で、「あぁやっぱり」と思いました。
ここの時点で、「きっとこのマユは夕樹を誰かの影にしようとしている」
と分かってしまったため、「side-B」が始まった時には、
きっとこの「僕」は「side-A」の「僕」ではない、
と気付いてしまいました。とても残念でした。
読んでゆくうち、Bの僕はパチンコが趣味で本好きではないと分かるし、
何より「アインシュタイン」で何も反応を示さない。
その時点でこれは「僕」が同一人物ではないと確証を得ました。
そうやって前半から疑いをもって読んだものだから、
全然わくわくすることもなく、裏切られもせず、
やっぱりそうなりましたか、と思っているうち、
「解説」になってしまいました。
一つ、この小説の全貌を考えつつ、これはちょっとと思ったのは、
「side-A」と「side-B」に出てくる繭子が、どうも同一人物に見えない、
という致命的な部分でした。Aの方は結構クールビューティな雰囲気ですが、
Bの方は何だかベタベタ甘々系の女に見えました。私だけか…?
まぁAもBもそれぞれ違う男からの視点ですから、
少し違ったくらいの方が、それらしいのかもしれないですけどね。
まぁ、うん最後まで気付かずに読んだ方が、絶対楽しめます。
気付かないで読めたら、もっと面白かっただろうなと悔しがりつつ、
けれど途中で分かってしまうのは、ヒントが多いから、
のような気がしてなりませぬ。
そう言えば乾さん男性なんですよ、知ってました?
文章はとても好きなんですが、これ以上くどい感じにされると、
私はきっと読む気を失くすと思いました。文章的には丁度よかった。
何たって、ごてごての恋愛小説なのに、私が一日で読めたのですから。

★★★☆☆*79

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2008年4月13日 (日)

「レベル7」 宮部みゆき

レベル7(セブン) (新潮文庫) レベル7(セブン) (新潮文庫)

著者:宮部 みゆき
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


この本は多分2回目でした。最初のシーンで、「レベル7って何?」
と不穏な空気が持ち上がる辺りの描写がとても秀逸で、
そこのイメージばかりが残っていたため、中盤~後半にかけて、
すっかり内容を忘れていました。まぁ、楽しかったですが、うーん。

男は目が覚めると、記憶をなくしていた。
自分が何故この部屋にいるのかもわからず、名前も思い出せない。
だから、当然ながらベッドの隣に寝かされていた女性のことも知らず、
途方に暮れるしかなかった。真新しい内装に、真新しい家具、
それに水道もガスも使われた形跡もない。
不穏な空気が漂う中、さらに男を混乱させたのは、
腕に印された「Level7 M-175-a」という不可解な文字列だった。
レベル7…一体これは何を表しているのだろうか。
不安を抱きつつとにかく情報を集めるめ、男は女と相談し部屋の外に出た。

あらすじがとても妙な部分で止まっているが、まぁいいや。
私はこの本の中で一番魅力的なのは、この冒頭部分であると思う。
自分の腕に「レベル7」と印字され、途方に暮れる記憶喪失の男女。
その様子が、とても秀逸に描かれているからである。
記憶がなくなった状態の描写も、かなり的確(私がそうなったことは
実際ないから、想像する上でもっとも上質であると思う)だから、
読者も共に混乱と不安を味わうことが出来る。
だが、この本を絶賛お薦めを私が出来ない理由も少しある。
この話の欠点は、大きな筋書きが簡単に読めることだ。
早いうちから、精神病を専門とする病院が出てくるため、
「レベル7」がゲームなどの経験値的要素ではなく、
何らかの医療的段階だろうと、予想がついてしまう。
そうすると、タイトルから感じることのできる、
わくわくした感じがなくなってしまい、残念だった。
しかし、その他の展開においては、かなり緻密に計算され、
進んでゆくことがわかる。二つの視点から構成されており、
その相互から絶妙なテンポでヒントが小出しにされ、
「次、どうなるの?」とハラハラさせる力は、さすが宮部さんだった。
そうした事を除き、この作品の一つだけ気になる箇所は、
記憶の回復状況だった。そもそも、彼、彼女は、
一体どれだけの記憶をなくしていたのだろうか?
事件や自分の周辺全部、行動という体で覚えたもの以外は忘れていた、
ということだったが、事件解決当時、一体どの程度まで思い出していたのか、
その割合というか、状況が分からず少し曖昧だった気がするのだ。
最後に指輪をはめ、男は記憶を完全に思い出す。
と、言う事は、事件解決当時は完全ではなかったわけで。
まぁ記憶なんて見えないから表現しようがないですが、
失っていた記憶が思い出され、靄が晴れるような清々しさは、
本編では感じられなかった(最後の一行で済まされている)のが、
なんとも言いがたいラストのような気がしてならなかった。
そんなことを言いつつ、宮部作品ですから、面白いことは間違いなし。

★★★★☆*88

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2008年4月12日 (土)

4/12つばき@渋谷TOWERRECORDS覚醒ワールド発売記念インストアライブ

4/12つばき@渋谷TOWERRECORDS覚醒ワールド発売記念インストアライブ

■セットリスト

 悲しみの中からはじめよう
 ブラウンシュガーヘア
 money&honey
 年下
 タブレット
 亡霊ダンス
 覚めた生活
END
 羽の在処
 今日も明日も

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2008年4月10日 (木)

【アンソロジー】「Re-born はじまりの一歩」

Re-born はじまりの一歩 Re-born はじまりの一歩

著者:伊坂 幸太郎,瀬尾 まいこ,豊島 ミホ,中島 京子,平山 瑞穂,福田 栄一,宮下 奈都
販売元:実業之日本社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


アンソロジーに総合的な感想を書くって結構大変ですわ。
とりあえず、豊島さんと伊坂さん以外、読めたものでは…
確かにあんまりお名前をお聞きしない方々かも、
と思いつつ、タイトルとミスマッチが多すぎると指摘しておく。

「瞬間、金色」
私が転校した先で、ナナミはクラスの中でハブられていた。
気が合い、次第に仲良くなった二人だったが、待っていたのは、
悪質さが二乗された最悪のいじめだった。
頑張って頑張って耐え抜き、高校生になった頃、
ナナミは家族に捨てられ、彼氏に裏切られた。
「生まれてこなければよかった」ナナミは言った。絶望を味わっていた。
しかし、数年たった今、そんなナナミから、
私は無事彼女子どもを生んだことを知らされた。
「生まれてきてよかった」きっと彼女がそういうだろうと私は思う。

内容的にも、タイトル一致的にも、豊島さんの短編が一番よかった。
主人公は中学生で、文章もかなり遊んだ感じなので、
そう言った意味では好きになれない作品だったのだが、
でもやっぱり「瞬間、金色」の意味を知った時、
ジーンとくるものがあったし、縄跳びを飛んでいるときの
スローモーションや、女二人のはしゃぎ様などが、
とても秀逸に描かれていて、読後感がとてもよかった。
大タイトル「はじまりの一歩」という意味でも、
暗かった気持ちを出産によって振り切る清々しさと、
その後の微笑ましい明るさが「はじまり」に合っていたと思う。
伊坂さんもまぁ、伊坂さんらしく、というか。
悲しいことは陽気に……という彼のポリシーらしく、
離婚し、バラバラになる家族の陽気なコメディを味わえる。
何だか最後は「そりゃないぜ」、って感じなのに、
みんな納得して終わる、変な話ですが、
元々離婚したのに陽気な時点で「そりゃないぜ」って感じなので、
まぁ総合的に伊坂ワールドでした、ということにしましょう。
他の作家さんは、ちょっと「……」という感想。
「あの日の二十メートル」なんかは、主人公の老人に対する
傲慢な態度にイライラして、物語どころではありませんでした。
他の作品も個人的にツッコミを入れてしまうほど、
肌に合わない人たちだったので、この本全体の感想は低めです。
豊島さんと伊坂さんだったら★4つでもおかしくないと思うのですが。
うむ、アンソロジーに総合的な感想を書くって結構大変ですわ。

★★☆☆☆*79

■収録
-----------------------------------------------
「よろこびの歌」 宮下奈都
「あの日の二十メートル」 福井栄一
「ゴーストラーター」 瀬尾まいこ
「コワリョーフの鼻」 中島京子
「会ったことがない女」 平山瑞穂
「瞬間、金色」 豊島ミホ
「残り全部バケーション」 伊坂幸太郎

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2008年4月 8日 (火)

【映画】サッド ヴァケイション

080409b
石田えりさんのどこにでもいそうなお母さんの「ウザさ」が、
かなり秀逸で、見ていて気分が悪くなりました。
もちろんいい意味ですが、それにしても胃がむかむかしました。
すべてはその人のせいなのに、気づかない人間は救いようがない。

中国人密航者の手引きだった健次は、
孤児となった中国人の男児を引き取ることになった。
健次はすでに知的障害を負った友人の妹と共に暮らしており、
小さなアパートで三人で住む形になった。
密航者の手引きを辞め、車の代行として働き始めた健次は、
偶然にも幼い頃自分を捨てた母親と再会してしまう。
昔のことなど、何もなかったかのように接してくる母親は、
健次たちを、自分たちの家に住むように勧めた。
平穏を装いながら始まった新たな生活だったが、
全ては健次の母親に対する復讐劇の準備であった。

始めにも書いたのだが、石田えりさんの「ウザさ」は完璧でした。
この母親が居ることによって、段々に周りが狂ってゆく様子が、
とても上手く描かれていたように思います。
しかし気にかかったのは、一番最初に出てくる中国人密航のシーン。
ものすごく仰々しい感じで始まり、日中共同映画…?と、
一瞬思ってしまうような場面があるのだが、
その部分があまりに濃厚すぎて、後ほどの平穏な生活が、
とても不思議な様子に私には映った。もちろんそれが狙いかもしれない。
けれども、この中国人密航シーンがなくても、
そして中国人の子どもを引き取るという設定がなくても、
きっとその土臭い雰囲気を作ることは出来たと思う。
日本らしい、あのどろどろとした、人間の血縁関係、
それから、ぎくしゃくとした雰囲気。
これだけの豪華メンバーだったなら、簡単に作り出せたように思う。
不可思議な、そして歪んだ様子を作り上げるのに、
中国と言う反日的な要素を加えて調理してあるあたりが、
なんだかそれだけにイメージを頼っているようで、好きになれなかった。
とかなんとかいうと、原作がどう、とか、
そういうものを求めていた、とか、根本的なところで叩かれそうなので、
もうこれ以上は言わないことにします。
とりあえず、異様な雰囲気を味わいたいのには最適ですね。
カットの取り方はとても好きでした。

★★★☆☆*80

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2008年4月 7日 (月)

【映画】転々

080409a
転々…というから、もう少し事態が豹変して、
転々と転がるように楽しめる映画なのだろうか、
と思っていたので、正直肩透かしを食らった感がある。
「時効警察」好きな方にはたまらない映画となってます。

大学八年生の竹村は、借金取りに追われていた。
学生証と免許証を取り上げられ、絶体絶命の危機に陥ってしまう。
しかし、これと言って名案は浮かばず、竹村は町をぶらぶらしていた。
落し物の鞄をネコババしてみるものの、
中に入っていたのは無数のだるまと、天狗の鼻。すこぶるついていない。
そんな時、また借金取りが竹村の元へとやって来た。
「俺の散歩に付き合ったら、100万やる。借金は帳消しだ」
怪しげな取引を持ちかけられ、しかし金のない竹村は、
散歩に付き合うしかなかった。東京をぶらぶら、
何の当てもなく歩く東京散歩。果たしてそこの目的は……

雰囲気はまんま「時効警察」である。
監督も同じだし、オダギリジョーだし、その他脇役メンバーも勢ぞろい。
文句のつけようのないキャスティングの中行われる、東京散歩。
くだらない。くだらなすぎる。全てにおいて脱力系全開の展開が、
根強いファンの心をくすぐることでしょう。
お決まりの思わずくすくす笑ってしまうシーン満載でした。
一つ残念だったのは、過去が、と言うか、
事件の経緯がよくわからない点でしょうか。
借金取りは、妻を殺してしまった、と言って東京散歩しますが、
殺した経緯が皆無(奥さんの浮気となってはいますが)なので、
その悲しみや悔しさがまったくないまま、
楽しげな脱力系の散歩が続いていくのが、
何となく理不尽でなりませんでした。
もちろん奥さんが無念、とう言う意味でもあるのですが。
対する竹村の家族の居ない過去という描写も、
何だか押しが足りなかったような気もして、
オダギリジョーがカレーを食べて泣いている時に、
あまり共感して泣く…という感情まで達しなかった。
「親父」と呼んで小突きあうシーンや、
一瞬だけジェットコースターで過去を振り返るシーンは、
ぐっと来たのですが、何とも物足りなさを感じたのでありました。
まぁこの映画は別に感動を求めているわけではないとは思いますけど。
「時効警察」ファンは必見です。

★★★☆☆*80

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2008年4月 6日 (日)

「恋愛中毒」 山本文緒

恋愛中毒 (角川文庫) 恋愛中毒 (角川文庫)

著者:山本 文緒
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する


長い道のりでした、はい。珍しく三週間くらい読んでました。
そもそも、恋愛小説を私が読もうとしたのが間違いだった。
そしてこれは「恋愛」に「中毒」している話なんだろうか?
よく分からないけど、面白くはなかった。

僕の会社には、水無月という古株のおばさんがいる。
社内では社長の愛人であるという噂が立っているような人で、
この人には逆らわない方がいいと先輩が言っていた。
そんな彼女とある時二人きりで酒を飲まなくてはならなくなった。
社交辞令として聞いた彼女の恋愛話だったはずなのに、
彼女は自分の過去を淡々と語り始めた。
恋愛に「中毒」になった女が明かす、深く熱く暗い過去を。

果たして「中毒」とはどのような状態を言うのであろうか。
辞書を引くと、「毒にあたること」とかしか出てこないのだが、
要するに麻痺して何度も同じ事を繰り返してしまうことだろう。
もしくは、その甘美な世界に酔いしれることである。
麻薬とか、薬とか、そんなところと同じじゃないだろうか。
それで考えなくてはいけないのは、前の語「恋愛」との関係である。
「恋愛」に「中毒」になるということは、どんなことか。
酷い別れ方をして、もう男となんか付き合うものか、
と思い、けれど新たな男に惚れてしまう……
簡単に思いつくのは、こんなところじゃないだろうか。
これが一般的である。しかし、この小説は毒がある。
そもそもこの水無月という女の「恋愛」という要素が、
かなり偏屈で偏っているのだ。
男が自分のものにならないと必要に付きまとうという性悪な、
ストーカー的性質を持った女である。
そんな女の恋愛中毒。かなりあくが強すぎて、どこをどう楽しんで
「恋愛中毒」とすればいいのかよく分からないのである。
おまけに私は恋愛小説が嫌いである。
山本さんだからいけるだろうか……と思ったのだが、
少し甘かったらしい。残念。もう少し大人になったら読みましょう。
大人になっても変わらないかなぁ。

★★☆☆☆*75

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