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2008年4月26日 (土)

「鬼平犯科帳1」 池波正太郎

鬼平犯科帳〈1〉 (文春文庫) 鬼平犯科帳〈1〉 (文春文庫)

著者:池波 正太郎
販売元:文藝春秋
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昔よく読んでたんですよ。多分10巻くらいまでは記憶があるんですが、
気になったので、もう一度読み直すことにしました。
特に三巻以降面白かった記憶があったのですが、
一巻はどんなだったかな、と。まぁあんまり面白くは…

「血頭の丹兵衛」
血頭の丹兵衛と名乗る、劣悪な盗賊が現れた。
金を奪いに押し入った先で、女子どもに手を出し、
片っ端から人を惨殺してゆく。それを知った盗賊改め方の
長谷川平蔵は、捕虜にされたいた盗人・粂八に事情を聞き、
また密告者として、政府の犬になって働くように命じた。
幼い頃、丹兵衛に育ててもらった恩のある粂八は、
「そいつは偽者の血頭の丹兵衛だ」と言って憚らなかったが、
実際後を追ってみると、そこに居たのは血頭の丹兵衛本人であった。
昔の節度をもった盗みを行う丹兵衛はどこへ行ったのだろうか…。

連続短編集なのであるが、最初の3~4編、とてもつまらない。
と言うのも、鬼平犯科帳が、そう呼ばれるゆえんの「鬼の平蔵」が、
かなり蚊帳の外の話が続くからである。
この時代に、いかにして平蔵が町に馴染み、恐れられていたかが、
違う人目線で描かれているのだ。読み始め、小野と言う人から始まり、
こんな始まりだったっけなぁ、と私は思ってしまった。
後半「血頭の丹兵衛」辺りからは、平蔵の裁量が発揮され、
面白くなってくる。一つ一つの話はどうってことのない話だけれど、
「血頭の丹兵衛」のように、「自分の中で美化していた思い出」や
「老後歪んでしまった人間ほど手に負えない」など、
少しずつ教訓めいたものも盛り込まれていて、
読んでいてやはり心地いいのである。
この本が面白い理由の一つが、書き手(語り手)が現代人である、
と言う点である。まぁ「水戸黄門」も、どっちかと言えばそうだけど、
普通、小説で時代物を書くとなると、書き手もその時代の人になる。
だけど、この本はところどころの比喩が、やけに現実的だったりして、
そんなところからも少し人間味を感じるのであった。
あと、下手に隠すことなく、エロス…というか、
黄表紙を書くのも、面白く読める理由の一つかもしれません。
確か三巻以降が面白かったと思いますよ、と言うことで。

★★★☆☆*80

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【覚書】★★★★★★★★★☆ 第11回吉川英治文学賞 池波正太郎「鬼平犯科帳」その他の業績に対して 記念すべき「鬼平犯科帳」の第一巻である。時代は、田沼時代が過ぎ去り、松平定信が老中の時代。 本書...... [続きを読む]

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