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2008年3月11日 (火)

「SP」 金城一紀

SP SP

著者:金城 一紀
販売元:扶桑社
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500ページ強あるというのに、徹夜で読み終わらせました。
あ、ちなみに昨日買いました。いやぁめっちゃ楽しかったです。
ドラマ「SP」に夢中だった方、是非読むべき。
しかし一つ注意点は、これはシナリオ集です。小説ではありません。

現総理大臣が、その昔選挙の際画策した出来事により、
幼い頃、駅前の路上で両親を殺害された井上は、
目の前の惨劇のショックから、特殊な能力を手に入れる事となった。
意識を集中させ、辺りを見回すシンクロ……それだけで、
どんな些細なことも見逃さず、記憶することが出来る。
SP(Security Police)いわゆる要人護衛職を志望し養成所に入ったが
そのずば抜けた能力を買われ、尾形によって即座に起用された。
要人を守り神経を尖らせるたび、井上の頭には、
幼い頃見た惨劇が思い出される。それは日に日に強くなり、井上自身が
苦しみ始めた頃、やって来た仕事は皮肉にも総理大臣の護衛だった。

しかも、サイン本である。何が「しかも」なのか自分でも分からないが、
こんな楽しい本にサインがしてあると言うだけで、私は幸せだ。笑
正月特番で深夜やっていたドラマSPに母とはまり、
朝5時までやると言うのに、二人で真剣に見てしまった。
その後も、続けてみていたのだが、何とまぁ、さすが私と言う感じで、
最終回だけバイトのために見逃してしまっていた。
見損なってから、私は自分をアホだと責め続けていたが、
この本を読んで、ようやく自分を許すことが出来た……。
ところで、冗談はさておき(いや、九割本当だが)、
この本はシナリオ本としては、最高級の位置にあると思う。
金城さんがあらすじを書き、監督やプロデューサーの指摘などを
手を加えられ、ドラマに即したものになっている。
何と言っても舌を巻いたのは、金城さんの無駄のない的確な文章。
多いわけでもなく、少ないわけでもなく、絶妙な情報量で、
配役の行動が書かれているため、たとえ映像を見たことがなくても、
手に取るようにそれを想像することが出来る。
おまけに演じる役者にとっても、それはかなり親切設計だ。
無理な描写はなく、キャラクターを描く輪郭だけが、
スマートに描かれているから、そこに自分のアドリブ的なものを入れ、
演じることが出来るようになっている。
もちろん、金城さんは、配役が誰だか知っていて書いているので、
その俳優・女優にかなりマッチした動き、セリフなどで、
どれをとっても完璧であった。
それと、シナリオの下段に、金城さんの呟きが書かれている。
これがまた面白いのだった。あそこは実はあぁしたかった、とか、
あのギャグいけてない、とか、諸般の事情でこうなりました、とか、
実はあの映画のあのシーンをイメージして描きました、とか、
舞台の裏話が、こっそりと呟かれているのである。
ここに面白さを感じられるのは、金城さんが撮影現場に何度も足を
運んだんだろうな、と分かる真剣さや、追求するものの品位が、
とても高いためだろうと思う。この本の感じ、というか、
物語のラストを見てみても、SPはまだ続きそうである。
とても楽しみ。そして今度こそ見逃さないようにする。笑

★★★★★*95

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