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2008年3月 5日 (水)

「真相」 横山秀夫

真相 (双葉文庫) 真相 (双葉文庫)

著者:横山 秀夫
販売元:双葉社
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横山さんを久しぶりに読んでました。個人的に重い長編を読みたいな
と思って読み始めたので、短編集だと気づいた時には、
かなりのショックでした。笑 短編であっても、
一つがこんなに濃厚なのは、なかなか凄いことである気がしますね。

「真相」
息子を殺した犯人が捕まった。篠田は、体が戦慄くのがわかった。
十年間待ち続けた瞬間が、今ようやく訪れたのだ。
この吉報を、篠田は妻に、娘に、知らせたくてたまらず、
またその嬉しさや喜びを分かち合いたかった。
しかし、警察が新聞記者を携え家に訪れたときに、聞かされたのは、
息子が「万引きをした」と言う犯人の供述だった。
佳彦は殺されたんだぞ? それでも尚罪を被らせるつもりか…!
篠田は激昂し、記者や妻たちを攻め始めた。佳彦はそんな子ではない。
だが、娘が語り始めた息子は、篠田の思うような優等生ではなかった。

つい隠蔽して、なかった事のようにし、
ただよい部分だけを思い出や記憶として取っておく。
そうした脳内の処理は、きっと人間が知らず知らずのうちに
行ってしまっているものだろう。殺された息子が、
まるで優等生で穢れのない子どもだったと、錯覚してしまうように、
綺麗な記憶とだけ残してしまうのは、とても頷ける。
そして、実は違ったのだ、と知らされ、
「そう言えば、あいつは俺を嫌ってたじゃないか」とか、
そう隠していた記憶が蘇るときの切なさが、
とてもよく描かれていたように思う。
個人的に「真相」が一番よく、その他は微妙だったように思う。
「花輪の海」などは、なんだか死のこじ付けが激しく、
その後自殺してしまった友人の、妻の様子がとても現実味がない。
とても現実的とは思えない雰囲気が、残念ながら、
他の全ての作品から感じ取ることが取れた。
ちょっと深く描くために、説明が多すぎたのかも?
そういうところからも一番「真相」がシンプルで、
「真相」という、物事の裏側に隠してしまっていた事実、
を描けていたように思う。これは「死者の美化」でしたが、
「殺人の正当化」も書いて欲しかったな、と一言。
せっかく「真相」なのに、さほど「真相」じゃないのが玉に傷。

★★★☆☆*85

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コメント

こんにちわ、遊びに来ました。
今「真相」を読んでいる最中です。
私的には結構面白い。横山秀夫作品には外れが少ない
ので、つい期待してしまいます。
今度は「震度0」を読もうと思っています。
では。

投稿: デジ | 2008年5月10日 (土) 13:18

>デジさん

こんにちわ、コメントどうもありがとうございます^^*
遅くなってしまいすみません。

私も毒舌はいてますが、この本好きです。
ただどうにも「事件の真相」みたいな物語を期待していたので、
肩透かしを食らった感がありました。
横山さんは個人的に長編の方が好きなんですが、
迂闊に手に取ると、どれも短編集で、毎回がっかり…笑
私も「震度0」読んでみようかと。
文庫になってましたよね。
そうそう、でも暗そうだな、って思いますよねやっぱり。
そこで足踏みしてしまう気持ちは分かります。
僭越ながら横山さんでしたら
「クライマーズハイ」をお薦めしておきます。

デジさんも誰か男性作家でよい方がいたら、
ぜひお薦めしてください~。
堅い文章で、かつ読みやすい方が好きです…。

投稿: るい | 2008年5月14日 (水) 11:01

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