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2008年2月24日 (日)

「静かな爆弾」 吉田修一

静かな爆弾 静かな爆弾

著者:吉田 修一
販売元:中央公論新社
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結局買ってしまいました。読んでしました。
この本を読み始めたせいで、順調だった読書計画がぐちゃぐちゃに。笑
「悪人」を直木賞的な重さで書いてくれた吉田さんでしたが、
今回の本はやはり芥川賞に戻ったようで…という雰囲気でした。個人的に。

国境が危ぶまれる南米地域を取材する俺は、
そのテロや、争いがなぜ起きたのかを探るうち、
一体何が正しいのか分からなくなっていた。
誰が本当の事を言い、誰が一番正しいのか。ビッグニュースを掴みながらも
安易に一喜一憂する事が出来ない状態は、酷く俺を不安にさせた。
そんな時出合ったのは、響子という女だった。
耳の聞こえない彼女のそばにいると、妙に落ち着くような、
それでいて末恐ろしいような、不思議な感覚に陥る。今まで
仕事と女を両立出来なかった俺は、彼女と上手くやることが出来るのか。

吉田さんは一人称で語り始めると若干描写が偏るような気がする。
今回の主人公は「パークライフ」の主人公に、性格が似ている気がする。
そして、小説全体の文章の雰囲気は「春、バーニーズで」。(ゲイ要素は無)
率直に感想を言うと、とてもつまらなかった。
読む前から恋愛小説だと知っていたので、
個人的に「東京湾景」のような濃密な描写を期待していたのだけれど、
この本はかなりライトですかすかな感じがしてならない。
と、言うのもきっと吉田さんは海外で意欲的にインタビューをするような
仕事をした事がないのではないか、と思うことと、
聴覚障害の女を、かなりおっかなびっくり書いている節があるからだ。
自分の知識の範囲外のものを書く時、どうしてもボロが出る。
一つの事を説明するのにも、言葉が足りなかったり、
こう言った方が面白くなる、というのを思いつかない。
聴覚障害にいたっては、身近にそんな方がいるのかは知らないが、
何だかちょっと説明不足のような気がしてならなかった。
そもそもなぜ手話を使わないのか、という疑問が浮かび、
「彼女は手話を使えない」という記述もないので、
よく分からないままメモ書きのやり取りがなされている。
余談だが、その聴覚障害については、有川さんの「レインツリーの国」が、
とても描写が上手かったように思う。どうやら旦那さんが
実際に聴覚障害になったことがあるらしく、その障害者が、
どんなことを言われたら傷つき、どうされたら楽なのか、
丁寧に伝わってきた。しかし、この本には一切それがない。
だから「俺」が彼女を好きだといいながら、
例えば帰って来たらライトを点灯させる仕組みとか、
そう言う彼女に気を配ったシーンが全くないので、
聴覚障害と健常者を、むりやり上手くいかせるような物語…
というイメージがしないでもなかった。
それが吉田さんの味なのか…?
いや、何かもうちょっとあってもよかった気がしますよ、やっぱり。

★★☆☆☆*79

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