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2008年2月22日 (金)

「シルエット」 島本理生

シルエット シルエット

著者:島本 理生
販売元:講談社
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デビュー作読んでみました。十七歳?のとき書かれたのでしょうか。
まぁ何歳であっても、十代でこれだけの物語が書けた、
というのはやはり才能のような気がします。乙一さんのときにも、
それをビンビン感じましたけど、今回もまたそう思いました。

「シルエット」
わたしは雨が降り続く中にいた事があった。
それは勿論、実際の雨ではなく、雨が降るような感情の中から、
ちっとも抜け出せぬような、どんよりとした様子だ。
原因はきっと冠くんのことにあった。
付き合って半年以上も経つというのに、冠くんは、
わたしに触れようとしなかった。キスはもちろん、手を繋ぐ事さえも。
そんな彼の行動は、わたしの心を傷つけ、そして別れの日を生む事になった。
そして、その後の私には、雨のような毎日がやってきたのである。

この本は、群像新人賞だが、まさに群像らしいなという話だった。
人々のありふれた事柄を、いかに素敵に描くか。
そう言うと語弊がありそうな気もするが、
ぐるぐる、しとしと、と悩む少女の姿が上手く描けていたように思う。
特に驚愕だったのは、これを書いた時まだ十代だったと思われるのに、
どうにも艶のある文があることだった。
果たして島本さんは高校生の時から、そんな体験をしていたのだろうか?
とお節介ながら、そんな心配をしてみたりした。
今の子たちなら、そんなに珍しい事ではないのだろうか?
私は女子高だったので、よく分からないんですが。笑
一つ残念だったのは、ラストが煮え切らない部分でしょうか。
まぁ確かに、主人公は冠くんに惹かれてるところがあるから、
例えせっちゃんと別れるという話とは別に、
心のどこかで、足を引き止められているような気分になるに違いない。
それは雨の期間が長ければ長いだけ強く思うだろうし、
けれどそれと同時に雨を思い出すのではないかと思う。
そんな描写が後半にかけて欠けていたから、
せっかく前半で作り出した「雨」の雰囲気を無駄にしているようで、
もったいない気がしたのだった。
次は「ナラタージュ」あたりでも、読んでみようかと。

★★★☆☆*83

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