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2008年2月

2008年2月29日 (金)

■雑談:2008年2月に読んだ本

■2008年2月に読んだ本(17冊)

2.02 ★★★☆☆*80 「The MANZAI 4」 あさのあつこ
2.03 ★★★☆☆*87 「クワイエットルームにようこそ」 松尾スズキ
2.05 ★★★★☆*88 「国境の南、太陽の西」 村上春樹
2.06 ★★★★☆*90 「その日のまえに」 重松清
2.08 ★★☆☆☆*69 「夜かかる虹」 角田光代
2.09 ★★★☆☆*80 「古畑任三郎 1」 三谷幸喜
2.10 ★★★★☆*88 「ブラック・ティー」 山本文緒
2.15 ★★★★☆*88 「あかんべえ」 宮部みゆき
2.18 ★★★★☆*89 「きよしこ」 重松清
2.19 ★★★★☆*86 「大きな熊が来る前に、おやすみ。」 島本理生
2.20 ★★★☆☆*83 「蛍川」 宮本輝
2.21 ★★★☆☆*80 「夜消える」 藤沢周平
2.22 ★★★☆☆*83 「シルエット」 島本理生
2.24 ★★☆☆☆*79 「静かな爆弾」 吉田修一
2.25 ★★★☆☆*83 「トリップ」 角田光代
2.27 ★★☆☆☆*79 「落花流水」 山本文緒
2.28 ★★★☆☆*87 「ラヴレター」 岩井俊二

■2008年2月に観た映画(6本)

2.01 ★★☆☆☆*80 「陰日向に咲く
2.07 ★★★★★*95 「善き人のためのソナタ
2.13 ★★★☆☆*80 「チーム・バチスタの栄光
2.16 ★★★★☆*90 「キサラギ
2.17 ★★★★☆*88 「虹の女神
2.23 ★★★☆☆*81 「L change the WorLd

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2008年2月28日 (木)

「ラヴレター」 岩井俊二

ラヴレター (角川文庫) ラヴレター (角川文庫)

著者:岩井 俊二
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する


岩井さんの映画はいつも文句なしの作品だと思いますが、
この本は若干映像ありきの文章構成になっていて、
小説的な味わいが薄いのが残念でした。まぁとても多才な事は一目瞭然
なので、脱帽といったところですけどね。それにしても脚本のような小説。

二年前に恋人を亡くした。
それは彼の命日に墓参りに来るたび、強く思い知らされる事だ。
博子はまだ樹を忘れる事が出来なかった。それどころか、
死んでからもまだ何かを求めるように彼の姿を探している。
彼が中学生時代に住んでいた住所を知った博子は、
何となくペンをとり、いないはずの彼に当てて手紙を送ったのだった。
「お元気ですか? 私は元気です」この手紙は誰にも届かなくていい。
だって、届かないこそが、彼に届いているような気がするではないか。
しかし、数日後、驚いた事にその手紙には返事が来たのである。

是非とも映像化して欲しい(してあるけど)と思う第一感想だった。
ストーリーはとても完璧である。きっと岩井映画のこれを観たら、
それはもうボロボロ泣くだろうと思った。
しかし、私の想像力が乏しいのか知れないが、
いい話だとは思いつつ、この本を読んで感動する事はなかった。
ただ、「岩井さんが映像化したら凄そうだ!」という感覚、というか、
ただならぬ秀作である匂いはプンプンし、わくわくした。
でも、どうだろう。この本が岩井さんではない別の監督に映画化されたら…
私はどうも素直に頷く事が出来なかった。
そもそもの問題として、この本はとても脚本的である。
会話がかなりの量をしめ、人の動作描写は必要最低限に書かれているのだ。
それはきっと映像化するとき、その登場人物を演じる役者の味を
加味している?のではないか、と私は思うのだが、
「小説」として見ると、とてもスカスカしていて、文章的味がない。
でもきっとこれは、書き手の職業的な問題もあると思う。
脚本家で、小説も書いている人たちは何人もいるが、
私はその全ての人に対してこんな思いをしていると思うからだ。
本谷さんも、松尾さんも、三谷さんも、みなどこか小説家…というよりは、
やっぱ脚本家でしょう、という雰囲気がした。
と、個人的な趣味の偏りを語ってしまったけれど、
このストーリーを是非映画で見たいと思った。
最後、樹が見せる動揺を、最大にするためどこまで手の込んだものに
なっているのか、とても興味があるところ。
それとこの本は、博子の話ではない、というところがポイントである。
つい前半博子の話に感情移入してしまいがちだが、
この本は「あたし」のための話なのだ。その切り替えが絶妙で、
さすが岩井さんですねぇ、と思った次第でした。

★★★☆☆*87

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2008年2月27日 (水)

「落花流水」 山本文緒

落花流水 (集英社文庫) 落花流水 (集英社文庫)

著者:山本 文緒
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


一つ言い訳をしておくと、私は「主人公の一生を描いた作品」
という本が嫌いである。もちろん、エッセイや暴露本に文句はない。
けれども、小説の中で描かれる人の生涯というものが、どうにも
好きになれないのである。だって作家の思い通り、と思ってしまう。

「もう行かなくては」
私の本当のお母さんは、お姉ちゃんだった。
まだ若い頃に間違って子を授かってしまったから、
子供、すなわち私は母の両親の籍に入ることになった。
だから私がずっと母親だと思っていた人は祖母であり、
本当の母親は、ときおり家に遊びに来る姉だったのである。
祖母が亡くなると、そんな困惑をよそに母に引き取られる事になった。
たまに遊びにやってくるときはやさしい姉だったのに、
引き取られてゆくとそれは酷い扱いを受けた。
私はそろそろ大人になる。ここを出てゆかねばならない。

連続短編集である。最初に一つ目が、ハーフの男の子が主人公、
という、何とも読みにくい本だ。ほとんど外国人と言ってもいい、
ハーフの子供が、一体どんな思いをしているかなんて、
乏しい私の頭では考えられず、かなりの違和感があった。
まぁ山本さんなので、さばさばしていて読みやすいといえば
読みやすいのだが、本当にそう思っているのだろうか…
とおもうとリアリティのなさがあったようにも思う。
この本は、手毬という「私」の一生を描いた本である。
母親だと思っていた人物は祖母であり、
優しいと思っていた姉は、凶暴な実の母親だった。
そして母と義父と手毬の生活が始まる。
手毬は義父に恋をしながら、しかし違う人間を選び結婚。
その後、また違う男駆け落ちをする。
あんなに母親を嫌っていたはずなのに、いつしか自分もまた
同じような道を選んでいる。義父に「なんで君は一緒にいるんだ?」
と聞かれ、黙り込んだように、手毬はどこかで母親を、
憎みきれていない部分があったのだろう。
この本が、と限定するわけではないが、
私は個人的に上にも述べたように、「主人公の一生を描いた作品」
が嫌いである。だって、ストーリーは全て作者が考え描くわけで、
何となくその偏った「人物像」が、「作り物」という気がするからだ。
そんな事を言ったら、普通の小説だってそうじゃないか、
と言われてしまいそうだが、もちろんその通りである。
でも、一般的な「ある一定の期間・出来事」を書いた本は、
その書かれていない部分を読者が想像することが出来る、
と言う点で、私は好きなのだと思う。

★★☆☆☆*79

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2008年2月25日 (月)

「トリップ」 角田光代

トリップ (光文社文庫) トリップ (光文社文庫)

著者:角田 光代
販売元:光文社
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こりゃまた微妙な…いや、悪くはないのですが、「トリップ」の意味が、
なんともいただけない感じで、一体何をこの短編で貫きたかったのか、
とても曖昧になっていた。これはある意味人を繋げない方がいいのでは…
面白いところもあるんですけれどもね、繋がりが。

「秋のひまわり」
ぼくはいじめられている。なんていうか、ださいと思う。
十二歳にもなって、こういうの。ぼくは「ばかとぎょろりのだめじま」
と書かれた体操着を見た。そもそもぼくがいじめに遭う理由は、
この「だめじま」こと「いいじま」という、ぼくの父親がいけない。
そのだめじまは悪い噂がすこぶる多い男で、そのうえ、
お母さんとの間にぼくが生まれた数ヶ月後、他に女を作って逃げた。
だからぼくは、マナベさんが早くうちに来てくれないか、と思う。
そうすれば僕の父親はマナベさんになり、だめじまとさよならできる。
そんな縋る思いでマナベさんを見始めた頃、マナベさんは姿を消した。

「似合わないのに、そこにいなくちゃいけないってことあるよ」
という言葉が、「秋のひまわり」にはあるのだが、
他の短編をさて置き、この本を読んで良かったと思った。
この話の主人公、テンちゃんはとても大人である。
小学六年でありながら、達観しているというか、心得ているところがある。
けれどやはりいじめられるのは辛くて、早く終わって欲しいと思っている。
それがようやく母親の手によって叶えられると思ったのに、
母親はまた同じ事でそれを逃してしまう。
そんな様子を見ているテンちゃんは、大人びた心で思う、
「似合わないのに、そこにいなくちゃいけないってことあるよ」
だから、そんなに頑張らなくてもいいのだと。
他の短編はというと、それぞれ何かから抜け出せない人々を描いている。
話はとても小さな街を舞台に描かれていて、
そこの中の、その通りを、さっきの短編の主人公が通り過ぎる。
そんな光景が目に浮かぶようだった。
一つ難点なのは、一つ前の主人公をストーカーし、
それを又ストーカーし、と何だかネタ切れですか?というような繋がりがあり、
総合して描きたかったものは何だったのか?とよく分からなかった。
「トリップ」とは「トリップ」したいのに、
しきれていない人々、ということなのだろうか。

★★★☆☆*83

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2008年2月24日 (日)

「静かな爆弾」 吉田修一

静かな爆弾 静かな爆弾

著者:吉田 修一
販売元:中央公論新社
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結局買ってしまいました。読んでしました。
この本を読み始めたせいで、順調だった読書計画がぐちゃぐちゃに。笑
「悪人」を直木賞的な重さで書いてくれた吉田さんでしたが、
今回の本はやはり芥川賞に戻ったようで…という雰囲気でした。個人的に。

国境が危ぶまれる南米地域を取材する俺は、
そのテロや、争いがなぜ起きたのかを探るうち、
一体何が正しいのか分からなくなっていた。
誰が本当の事を言い、誰が一番正しいのか。ビッグニュースを掴みながらも
安易に一喜一憂する事が出来ない状態は、酷く俺を不安にさせた。
そんな時出合ったのは、響子という女だった。
耳の聞こえない彼女のそばにいると、妙に落ち着くような、
それでいて末恐ろしいような、不思議な感覚に陥る。今まで
仕事と女を両立出来なかった俺は、彼女と上手くやることが出来るのか。

吉田さんは一人称で語り始めると若干描写が偏るような気がする。
今回の主人公は「パークライフ」の主人公に、性格が似ている気がする。
そして、小説全体の文章の雰囲気は「春、バーニーズで」。(ゲイ要素は無)
率直に感想を言うと、とてもつまらなかった。
読む前から恋愛小説だと知っていたので、
個人的に「東京湾景」のような濃密な描写を期待していたのだけれど、
この本はかなりライトですかすかな感じがしてならない。
と、言うのもきっと吉田さんは海外で意欲的にインタビューをするような
仕事をした事がないのではないか、と思うことと、
聴覚障害の女を、かなりおっかなびっくり書いている節があるからだ。
自分の知識の範囲外のものを書く時、どうしてもボロが出る。
一つの事を説明するのにも、言葉が足りなかったり、
こう言った方が面白くなる、というのを思いつかない。
聴覚障害にいたっては、身近にそんな方がいるのかは知らないが、
何だかちょっと説明不足のような気がしてならなかった。
そもそもなぜ手話を使わないのか、という疑問が浮かび、
「彼女は手話を使えない」という記述もないので、
よく分からないままメモ書きのやり取りがなされている。
余談だが、その聴覚障害については、有川さんの「レインツリーの国」が、
とても描写が上手かったように思う。どうやら旦那さんが
実際に聴覚障害になったことがあるらしく、その障害者が、
どんなことを言われたら傷つき、どうされたら楽なのか、
丁寧に伝わってきた。しかし、この本には一切それがない。
だから「俺」が彼女を好きだといいながら、
例えば帰って来たらライトを点灯させる仕組みとか、
そう言う彼女に気を配ったシーンが全くないので、
聴覚障害と健常者を、むりやり上手くいかせるような物語…
というイメージがしないでもなかった。
それが吉田さんの味なのか…?
いや、何かもうちょっとあってもよかった気がしますよ、やっぱり。

★★☆☆☆*79

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2008年2月23日 (土)

【映画】L change the WorLd

20080225
別に、「デスノート」じゃなくてもいいんじゃないだろうか、
と思ったのが、第一の感想だった。存在感のある「L」という役だが、
それは「デスノート」という物語設定だから映えるもの。
この映画では、切れ者の別の誰かでも成り立ちそうだった。

夜神ライトとの決着が着き、ワタリも亡くなってしまった今、
Lに残されたものと言えば、23日間の命と、
ワタリに宛てられたプレゼント…一人の少年だった。
一方裏社会では、人間の撲滅運動が広がっていた。
自然が破壊され、戻らなくなった今、人間を殺すしかない。
そこで、感染したら死に至るウィルスが秘密裏に開発されたのだった。
しかし、裏切りや策略が横行し、対ウイルスワクチンが消失した。
このままウィルスをばら撒いてしまったとしたら…
Lは、最後の命をかけ、動き出した。

もっともよかった点は、演技がよかった点。
特にウイルスに感染し、死んでしまう役の役者さんどもは、
恐ろしいくらいに演技が上手く、是非ホラー映画に出てください、
と私はお勧めしたいところだった。
対して、何ともいただけなかったのは、
もったいない23日間だった、というところだろうか。
きっと、デスノートファンの皆様は、
Lはずっと夜神ライトのことを考えていてほしかったでしょう。
しかし、この映画は決着は着いてしまっているし、
最初の方で、もう過去のことだ、と思っているふしがある。
それに、デスノートの一番の魅力だったのは、
「目に見えない超越的な力で殺す、殺される」という恐怖だった。
だが、今回はウィルスである。
ウィルスは、見えないとは言えども、実態はある。
そうすると、空想的な面白さがなくなり、
急に現実に引き戻されるような、残念な雰囲気があった気がする。
土臭い、というかね。地道に駆けずり回っている点が。
この映画を素直に楽しめるのは、Lを演じた松山ケンイチと、
そのLを好きな人だけではないか、と思った。
観る前に注意して欲しいのは、この映画は「デスノート」と「死神」
には、一切かかわりがないと言うことです。

★★★☆☆*81

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2008年2月22日 (金)

「シルエット」 島本理生

シルエット シルエット

著者:島本 理生
販売元:講談社
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デビュー作読んでみました。十七歳?のとき書かれたのでしょうか。
まぁ何歳であっても、十代でこれだけの物語が書けた、
というのはやはり才能のような気がします。乙一さんのときにも、
それをビンビン感じましたけど、今回もまたそう思いました。

「シルエット」
わたしは雨が降り続く中にいた事があった。
それは勿論、実際の雨ではなく、雨が降るような感情の中から、
ちっとも抜け出せぬような、どんよりとした様子だ。
原因はきっと冠くんのことにあった。
付き合って半年以上も経つというのに、冠くんは、
わたしに触れようとしなかった。キスはもちろん、手を繋ぐ事さえも。
そんな彼の行動は、わたしの心を傷つけ、そして別れの日を生む事になった。
そして、その後の私には、雨のような毎日がやってきたのである。

この本は、群像新人賞だが、まさに群像らしいなという話だった。
人々のありふれた事柄を、いかに素敵に描くか。
そう言うと語弊がありそうな気もするが、
ぐるぐる、しとしと、と悩む少女の姿が上手く描けていたように思う。
特に驚愕だったのは、これを書いた時まだ十代だったと思われるのに、
どうにも艶のある文があることだった。
果たして島本さんは高校生の時から、そんな体験をしていたのだろうか?
とお節介ながら、そんな心配をしてみたりした。
今の子たちなら、そんなに珍しい事ではないのだろうか?
私は女子高だったので、よく分からないんですが。笑
一つ残念だったのは、ラストが煮え切らない部分でしょうか。
まぁ確かに、主人公は冠くんに惹かれてるところがあるから、
例えせっちゃんと別れるという話とは別に、
心のどこかで、足を引き止められているような気分になるに違いない。
それは雨の期間が長ければ長いだけ強く思うだろうし、
けれどそれと同時に雨を思い出すのではないかと思う。
そんな描写が後半にかけて欠けていたから、
せっかく前半で作り出した「雨」の雰囲気を無駄にしているようで、
もったいない気がしたのだった。
次は「ナラタージュ」あたりでも、読んでみようかと。

★★★☆☆*83

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2008年2月21日 (木)

「夜消える」 藤沢周平

夜消える (文春文庫) 夜消える (文春文庫)

著者:藤沢 周平
販売元:文藝春秋
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藤沢さんだと思って読むと、とても上質なものに見えるのだけど、
それを考えずに読むと、そうでもないような、
そんな感じの本だった。でも凄いよな、書くもの全てが、
自然とお江戸の世界に見える。なぜみんな江戸に惹かれるのかな。

「踊る手」
夜逃げした家族が置いていったのは、年老いたばあさんだった。
家の中には家財道具は一切なく、残っているのは老婆のみ。
その状況を想像し笑ってしまった周りの住人たちだったが、
しだいに老婆の身を心配するようになった。
老婆は飯に一口も口をつけようとしなかったからだ。
もしかして、置き去りにされたことが答え、自害をするのでは…
不安が高まる頃、信次は街中でとある女に会った。

短編集。内容はと言うと、感動、というものはないように思う。
どちらかと言えば、江戸で日常に起きていたのではないか、
という何でもない出来事が、この本では忠実に再現されている。
「踊る手」では借金に首が回らなくなり夜逃げした家族が、
借金取りの手が薄れた頃に、老婆を迎えに来る、という話だ。
特になんでもない話だが、置いてゆかなければならないもの、
というのが老婆、という少し滑稽で、
けれど少し心に響く設定になっている。
こんな情景はきっと江戸でしかありえない。
そして最後に喜びのあまり手で踊り始めるばあさんの姿が、
妙に頭に焼き付いて、離れないのである。
他の話はと言うと、男女のもつれ話が多い。
飲んだくれ親父のために結婚できない娘が、
父親がいなければいいのに、と言う。それを聞いてしまった父親は、
酔いの回った頭でありながら、その家から姿を消してしまう。
これもそれだけの話だが、呆気なく読み終わり、
ふと思い返したとき、不思議と細部まで覚えているのが、
味と面白さの証拠なのかもしれない。

★★★☆☆*80

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2008年2月19日 (火)

「大きな熊が来る前に、おやすみ。」 島本理生

大きな熊が来る前に、おやすみ。 大きな熊が来る前に、おやすみ。

著者:島本 理生
販売元:新潮社
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久しぶりにハッピーエンドの恋愛小説で心が和んだ気がした。
ちなみに私は、実は昔ハッピーエンドの恋愛小説が好きだった。
まだ漫画をたくさん読んでいた頃、「ふしぎ遊戯」や「悪魔で候」
など、茨を駆け抜けた恋が、好きだった。だけど、今はね。笑

「猫と君のとなり」
「僕、ずっと志麻先輩のことが好きだったんです」
そう荻原君が言ったのは、飲み会が終わり家に帰ってきた時だった。
中学生の時の部活の顧問が亡くなったので、
参加した葬儀に荻原君はいて、酔いつぶれた彼を、
一番家の近い私のうちで介抱してあげていたのだ。
別にやましいことは何もない。……はずだったのに、
彼の一言で私は酷く悩むことになった。獣医を目指している
と言う彼を見ながら、彼ならば大丈夫だろうか、と思った。
猫をなでる彼を見るたびに、ふと暴力を振るわれた記憶が蘇る。

私がこの話を好きになれる理由として、
物語の根底に、とてもどす黒いものが沈んでいるからだ。
そして同じ過ちをもう一度繰り返し「今度こそ大丈夫かもしれない」
という淡い希望を持つところが、好きだ。
人間、ポジティブじゃないといけない。
と私が言うと嫌味にしか聞こえないかもしれないが、
とにかく気持ちを切り替えることが大切で、
けれどそれはそんなに簡単なことじゃない。
だから、妊娠してしまった子供だったり、猫だったり、
を媒介にして、「~だから」と条件をつけるひ弱さが、
とても上手に描かれていると思う。
それと、主人公の女性が、とてもモテないところがいい。
だたそれだけではなくて、キラキラと輝いているものや、
キラキラと輝いている男の子が、眩しすぎて、
自分にはちょっと……と逃げ腰なところが。
でも、その「面食い」的な感情は捨てられずにいるところも。
物語は「作り物」だから、最後はハッピーエンドに限る、
と思っていた頃の感情が、とても自然に思い出せた気がした。
しかし、けれど「作り物」と分かるリアリティの薄さ、
がちょっと残念ですけど。最近の若い人の本はみんなそうだと思う。
感情だけ描いても、もしもその本が百年後の読まれたとしたら、
きっと読者はついていけないと思うから。
さて、私も若者の本でも読みますかね。
意図的に避けてるふしがあるんで。笑

★★★★☆*86

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2008年2月18日 (月)

「きよしこ」 重松清

きよしこ (新潮文庫) きよしこ (新潮文庫)

著者:重松 清
販売元:新潮社
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よく人には波長の合わない人がいると言うけれど、
私にとって重松さんの本は、そんな波長の合わない一つだ。
もちろん、文章も素敵だし、物語だって読めば泣ける。
しかし、どうにも読みたくならないのは、やはり波長が合わないから。

少年は幼い頃から吃音に悩んでいた。
「か」行や「た」行の言葉がうまく言えず、
「か、かかか、か、帰ろう」など、酷くどもってしまうのだ。
その原因は、妹を出産するとき、両親に置いてきぼりにされた事
かもしれないし、父親の仕事のせいで、転勤を繰り返しているから、
かもしれなかった。本当の原因など誰にも分からない。
どもってしまうことで馬鹿にされ、悔しくもどかしい思いを何度もした。
そんな少年の物語を、とある吃音に悩む少年に捧げよう。

この話は大部分が実話であるらしい。
重松さんは「か」行の言葉で躓いてしまう人らしい。
冒頭を読んでいるうちから、薄々感づきはしたが、
吃音についてこんなにも悩む人がいるなんて、少し驚いた。
私が小学生の時、海外から転校して来た子も、酷くどもっていた。
彼は頭もよく、明るく、クラスの中で一躍人気者。
そして何の縁かは知らないが、私は中学三年までの間で、
一番一緒の期間が多い子でもあった。だが、言われない限り、
そういえば彼が吃音だったと思い出さない。
この本を読んだ後に、しかしそんな彼のことを、唐突に思い出した。
彼はそれを悩んでいたのだろうか、と思った。
いつも明るく、結構投げやりに人生を送っているようで、
「別にいいんじゃん?」が口癖である彼は、まだ吃音が治らない。
ストレスで太ってしまうこのように、素直に出てこなくなる言葉。
自分ではどうしようもないその現象について、
格闘し、悩み、悔やむ、そんな一人の子供を、
この本を真っ直ぐに描いている。
きっと誰にもこの本に文句をつけることは出来ない。
ひた向きで、しかし前を見据える少年を見ていると、
決してそんな事を思いつかなくなるからだろう。

★★★★☆*89

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2008年2月17日 (日)

【DVD】虹の女神

20080218
★★★★☆
さすが、岩井俊二、と言わせる作品だった。彼の作品には、
いつものことだが、蒼井優や市原隼人がよく似合う。
というのも、岩井俊二も自然体を目指し、
その俳優たちも技術の高い、自然体の演技が出来るからだろう。

あおいが死んだ。それを知ったのは、テレビでやっていた、
飛行機事故のニュースでだった。
あまりにも呆気なく死んでしまったものだから、
俺は一瞬日々の忙しさに忙殺され、現実を受け止められなかった。
あおいが死んだ? あの、あおいが?
呆然と立ち尽くすうち、俺は次々に彼女の姿を思い出した。
映画のフィルム越しに彼女の笑顔が、今もまだ焼きついている。

予想以上にいい映画でした。こんな単調なストーリーを、
よくぞここまで素敵な作品にしてくれました、
と思わず岩井さんを褒めたくなる。
何せストーリー自体は「好き合っていた男女が生き別れ、
女の方が、飛行機事故で呆気なく死んだ」という、それだけの話だ。
そんなことを言うと語弊があるかもしれないが、
とにかくこの作品に出ている俳優の技術がとても高いことを挙げる。
上野樹里、市原隼人、蒼井優。
彼ら三人が織り成す物語は、他の誰でも生み出すことが出来ない。
私は「のだめ」や「冗談じゃない」のイメージが強く、
はっきり言って上野樹里が大嫌いだった。
あんなブリブリ(べたべた?)な演技のどこがいいのだろうか…
と他の人の評価が高い理由に、半ば真剣に悩んでいた。
しかし、この映画を観れば素直に頷くことが出来る。
彼女の演技は完璧だ。
「どこにでもいそうな、恋愛の苦手な女の子」を見事に演じている。
だが、映画全体の雰囲気として、私は少しさっぱりしすぎていて、
ちょっと物足りないかしら、と思った。
岩井さんと言えば、「リリイシュシュ」や「花とアリス」のように、
どこか土臭い、泥臭い部分があるのだが、今回はそれがない。
それはまぁ岩井さん脚本ではないので、という原因がありそうだが。
私は「花とアリス」の方が好きである、と言うことで★4つ。

*88

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2008年2月16日 (土)

【映画】キサラギ

20080216
★★★★☆
完璧な展開と演技に拍手!これは演劇でやるべきだと思いますね。
映画だけでとどめておくのはもったいないような気がしました。
公開中に何でもっとプッシュされなかったのか、謎な映画です。
まぁこうして、名画劇場でやっているのだから、凄いのは凄いですが。

天然グラビアアイドル「如月ミキ」を愛する五人のメンバーが、
ここに集結した。家元、スネーク、ヤスオ、オダ・ユージ、いちご娘。
ネット上だけの繋がりだった彼らが、こぞって集まったのは、
他でもない今日が、「如月ミキ」の一周忌だったからだ。
そう、「如月ミキ」は一年前の今日、自殺をし死んだのだ。
ミキを愛してやまない彼らは、明るいパーティをするはずだったのだが、
オダ・ユージの意外な一言からその会は急展開した。
「ミキは自殺じゃない、殺されたのだ」五人は騒然となり、
自分が持つ知識を駆使し、一年前の「如月ミキ自殺事件」を推理する。

この映画を観た瞬間「12人の怒れる男たち」を思い出した。
それは舞台の演目なのであるが、一つの仮説に対し、
複数の男があーだこーだと議論し、最終的に話が纏まる、という展開だ。
ただそれだけの話だが、推論は推論を呼び、
物語は転がるように形を変えてゆく。
罪の重さが急に軽くなったり、また別の可能性が出てきたり……
一つの要素で、物事はこんなにも形を変えるのだ、
という面白さを味わう事ができる。
この映画では、そこに「容疑」も加わり、「お前が犯人だろ?」という、
要素も加わり、まるでこの場で殺人事件が起こるのでは?
と思うほどのとてもスリリングな運びだった。
そして、ポイントなのは、彼ら五人が一つの画面上にいるということ。
言っておくと、この映画はかなり低予算なはずだ。
だって一つの部屋から、五人は一度も出てゆかないのだから。
一つの舞台セットと、衣装さえあれば、この映画の準備は完成。
だから、この映画の「面白さ」は、この五人の役者の素晴らしさでもある、
と私は思っている。個人的に今まで小出君があまり好きではなかったのだが
この映画を観て、ちょっと見直した気分になった。
彼がいなかったら、この映画の面白みは半分以下だったに違いない。
もちろん他の誰が欠けても、この映画は成り立たないのだけれど、
あのスネークという「ウザキャラ」を好演できる彼がいたからこそ、
笑いと、涙のギャップに感動する事が出来たのだと思う。
ちなみに、この映画は、軽く十箇所以上声を出して笑えるところがある。
むしろ全体の8.5割笑いのためにやっていると言ってもいい。
しかし、思わず鳥肌を立てるシーンがあるり、
そして、最後はなぜか泣けるのだ。ぎゃーぎゃーぴーぴーやったあと、
しっとりとやってくる、意外で、心温まるラスト。
これは、この映画を観なければ味わえない。
こんなに褒めておいて、最後に貶すのは難だが、ラストのラスト。
最後の一分間の映像は、いらない。
多分「ここで行われた議論は推論であり、事実ではない可能性がある」
ということを言いたかったのだろうが、あのラストでは、
「え?もしかしてパート2があるの?」と思われかねない。
だから、いらない。五人の結晶が、最後に崩れてしまったのが残念である。
ので★4つ。後は完璧。

*90

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2008年2月15日 (金)

「あかんべえ」 宮部みゆき

あかんべえ あかんべえ

著者:宮部 みゆき
販売元:PHP研究所
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いやぁ、地味に長かった。面白かったんですけどね。
中盤が「まだこんなにある」と思ってしまい、きつかったです。
私は宮部さんの時代物は短編の方が好きかなぁ…と思ったりしました。
しかし、これを読んでおいた方が、話が繋がって面白いんです。

賄い屋の娘であるおりんは、ひょんな事から引越しをする事になった。
お父ちゃんが、おじいちゃんの店からのれん分けしてもらい、
新しい店を開くからである。早速下見をして回り、
引っ越し先が決まったのだが、おりんは突然の高熱に犯されてしまった。
三途の川を渡る寸前までふらふらと歩いてゆき、やっとのことで
こちらの世界に戻ってきた時、不思議な出来事に見舞われた。
何とおりんはお化けが見えたのである。お侍さんに、遊女の女、
あかんべえをする女の子…おりんは次第に仲良くなってゆくのだが、
そんな時、店にお化けが出ると言う悪い噂が流れてしまった。

宮部さんの時代物は「人情」の描き方が最高に上手い。
本当なら、江戸の雰囲気を描くだけで苦労するところだが、
この本にそんな心配はまったく必要ないのだ。
読んでいるだけでその時代の空気に染まれるような、
巧みな描写で、いつしか頭の中には完璧なお江戸が浮かんでいる。
そこに登場する人物たちの、心意気と、気持ちのいい受け答え、
悩みどころなど、だから思わず頷いてしまうのである。
今回はお化けと対話できる少女のであるが、
何とも痒いところに行き届いている、というか、
必要な描写がとても自然に補われているので、読みやすい。
比較してしまうと悪いのだが、畠中さんの「しゃばけ」シリーズも、
このくらい「お化け」など実態の無い物の描写がされていたら、
もっと評価が高かったんじゃないかなと思う。
面白かったので、然程言う事無く、「まぁ読んでみなよ」
と言いたいところですが、若干説明文が多い点を指摘しておく。
まぁ時代物をあんまり読まない人には、丁度よい位なのかもしれないが、
ここは親切設計。料理の仕方から、長屋の説明まで、
端から端まで説明してくれるので、ちょっとくどいね、と思ったのだった。
おまけに分厚いんで…それでページを喰ってるのかと思うと、
少し残念な気もした、というのが正直なところ。
あとは最後のゴタゴタが、ちょっとこんがらがった?ようにも見えた。
見えている人間と、見えていない人間がいっしょくたにいるシーンでは、
何がなにやら、慎重に読まないと、誰が見えていないのか忘れる。
それに時代物なだけあって名前が「おゆう」「おみつ」「おたえ」など、
人物の名前がとても似ているので、大変だった、と伝えておく。
そんなのは、私だけでしょうかね。笑
まぁ、面白いよ、と言う事で文句はありません。時代劇でいけますよ。

★★★★☆*88

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2008年2月13日 (水)

【映画】チーム・バチスタの栄光

20080214
★★★☆☆
今年二本目の微妙…。これはテレビドラマでいいですわ、
と思わず言いたくなる設定でした。いかんせん竹内結子がちょっと…
殺人の動機も、「殺すの楽しかったんで」みたいに、
狂人という要素が押されていて、納得できませんでした。

素晴らしい成功手術歴をもつ「チーム・バチスタ」だったが、
ある日から突然術内死が続くようになってしまった。
疑いを掛けられた「チーム・バチスタ」の犯罪是非を問うため、
調査を開始した。関係者を一人ずつ面接していくが、しかし
手術について門外漢である主人公は、それ以上の事が分からなかった。
仕方なく白旗を揚げようというとき、厚生省から役人・白鳥がやって来た。
見るからに嫌悪感を抱かせる白鳥と、一連の事件を解決できるのか。

まず一つよかったと思う点は、手術のシーン。
本物の医療機器を使い、医者の指導の下行ったという手術演技は、
かなり見ごたえがあり、「術内死」と言って、
手術後に心配停止音が鳴る時の緊張感や鳥肌が、とても伝わってきた。
しかし、それを凌ぐ勢いで、気になるところはたくさんある。
一つは、殺人の動機が曖昧。
犯人は疲労困憊して、精神的に参っていた。
それに、手術を成功させ英雄と謳われるのは桐生ばかりで、
自分は報われない思いばかりをしている。
また動物実験において、自分は簡単に人を殺せることをしってしまった。
という設定が、原作小説にはある。
だが、映画の設定では、それが完璧に抜け落ちていた。
だから、「何で殺したの?」という主人公の問いかけに、
「殺すのが楽しかったんで、つい」みたいな、
かなりアホくさい理由になってしまい、死者が報われない。
一方、映画にいて、動物実験のくだりをなくしたのは、
動物保護団体から、何かクレームが来そうだ、
と考えたのではと思われ、あまりいい気はしない。
もう一つは、突然出てくるソフトボールの試合と、
ロックコンサートのシーン処理。どう受け取っていいのか、
投げやりすぎてさっぱり分からない。
さらにもう一つは、竹内結子の演技が、天然キャラを目指したらしく、
ボケーっとした感じだったので、主人公に共感する事ができず、
どのシーンでも感動し泣くということはなかった。
奇抜な白鳥の他は、みんな容疑者である。
観客は一体誰に感情移入すればいいのだろうか?
以上のことを考えると、テレビドラマで十分です、といった所だった。
例えると、ドラマから映画になった、「踊る大走査線」や
映画らしいドラマである「Dr.コトー」などよりも、
質が低かったように思う。残念。阿部さんは最高でしたが。

*80

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2008年2月12日 (火)

■雑談:映画日和

どうも、こんにちわ。
久しぶりに雑談してみることにしました。
最近おざなりになっていて申し訳ないです。

え?誰も期待してない?
でしょうね、そうでしょうね…知ってますとも(凹)
お時間がある方は、しばしご歓談にお付き合いいただければと。

***

近頃私の中で空前の映画ブームです。
今月から豊洲で名画劇場やってるんで、
見逃したものを見ちゃおうかな、と張り切っております。
何せ800円で見れますからね。

で、先日見たのが「善き人のためのソナタ」
あぁこれは本当よかったです。
観たかったのに都合が合わず振られまくってましたが、
(飯田橋ギンレイとかでも延長やってたんですよ)
今さらながら映画館で見れてよかったです。

来週は確か「キサラギ」がやるんですよ。
これもちょっと気になってて逃しました。
今週は「それでもボクはやってない」かな?
あと再来週は「アヒルと鴨のコインロッカー」だったかと。
他にもやってるものがあると思うので、
ぜひ気になる方はお調べになってみてください。

http://www.unitedcinemas.jp/news/encore2007/toyosu.html

あとは「チーム・バチスタの栄光」「スウィーニー・ドット」
「潜水服は蝶の夢を見る」あたりでしょうか、迷うのは。
迷うなら、後悔前に、見てしまえ…(五、七、五)
というところでしょうか。
「潜水服は蝶の夢を見る」は特に気になるところです。

しかも、明日(今日)は、レディースデイ!
何か観て来ようかなぁ。

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2008年2月10日 (日)

「ブラック・ティー」 山本文緒

ブラック・ティー (角川文庫) ブラック・ティー (角川文庫)

著者:山本 文緒
販売元:角川書店
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長編かと思ったのですが、短編集でした。
短編集もなかなか面白いです。微妙なところで括られるのは、
ちょっと江國香織に似ているかもしれません。
私はバリエーションがある分、山本さんの方が好きですが…。

「ブラック・ティー」
私は毎日山手線に乗る。他の人と違うのは、
山手線が一周するまでの間に電車から降りないことだ。
大抵の人間は目的があり、その円のどこかで降りてゆく。
けれど私はそのまま二周乗り続け、他人が忘れていったバッグを盗る。
いわゆる泥棒というやつだ。普通のOLをしていたこともあったが、
いつしか恋愛の微妙な駆け引きに嫌気が差すと、戻る事が出来なくなった。
今日私の頭上の網棚には、高価な薔薇「ブラック・ティー」が載っている。
勿論私の物ではない。私はかつて自分も貰ったその薔薇を手に取った。

とても絶妙な位置で切ってくれる短編集である。
個人的にはやはり表題作「ブラック・ティー」が一番良かった。
その他の作品であっても、実は主人公はちょっと猟奇的だ。
泥棒であったり、ストーカーまがいであったり、猫殺し犯であったり…
しかしこれを読むと、決して彼らを怒る事が出来ない。
そんな感情になってしまう現象が、手に取るように分かり、
そう言えば自分にもそんな事があった気がする、と思えてくるのである。
黙々と山手線に乗り、狩を続ける彼女は、
いつしかぐるぐる回る円の上で、感情が麻痺していた。
そして、思いがけなく自分の手に回ってきたその薔薇は、
いつしかの華やかだった時の自分を思い起こさせ、
今までの自分を悲しむような胸に刺さる思いがやってくる。
やけになっていたとは違うような、諦める前の頑張っていた自分が、
少し輝いて見えるような、落ちた自分を後悔するような、
不思議な気持ちになるのである。
心に元気があるときに読むと、尚良さそうな本でした。笑

★★★★☆*88

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2008年2月 9日 (土)

「古畑任三郎 1」 三谷幸喜

20080209
みなさまご存知、三谷幸喜です。
つーか内容うんぬんの前に、文句言っていいですか??
誤字脱字多すぎですよ!!!!私が読んだ本の中で過去最高です。
「事実ね。。」ってこりゃないでしょ。文字校どうなんてんだい、の本です。

「井口薫のレクイエム」
井口はピアノを弾く河合の背後から近づき、スタンガンで彼を殺した。
心臓の持病を抱えた彼にそうすれば、簡単に死ぬ事を知っていたのだ。
そして彼が死ねば、「レクイエム」を弾く代役が井口の元へ回ってくる。
そう踏んだ彼女は、河合が死んだ拍子に切れたピアノの弦を気にしつつ、
その場を後にした。大丈夫、何も問題はない。
次の日予想通り井口には代役を頼む電話がやって来た。
高飛車な気持ちで向かう会場……そこには古畑という慇懃な刑事がいた。

あのドラマからできた小説です。よくドラマを見ていたので、
あぁ、この話テレビで見たなぁと思ったものが、いくつかありました。
一つ残念なのが、今泉さんがいなくなっていることでしょうか…
というかわざと消したような事が、あとがきで書かれている。笑
そして、小説の中では犯人が主人公なのが違うところでしょうか。
しかしながら、古畑任三郎という魅力的なキャラクターが、
事件を不思議に躍らせるように解決してゆく楽しさは健在です。
まんま小説で読める「古畑任三郎」という感じ。
転がるような読みやすさはやはり三谷さん、凄いですねぇと。
短編集なので、ちょっと一息、というときに読むといいかと思います。
そして内容とは別にして文句を言うなら、誤字脱字が半端じゃなく多い。
変換ミス、読点が多いとか、私がさらりと読んだ限りで六箇所…
もうこれ文字校正してないでしょう、といいたい感じですよ。
まぁ面白いのでいいのですが。
この本について多く語ることはないです、面白さは、
もうドラマと三谷幸喜の名で折り紙つきです。

★★★☆☆*80

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2008年2月 8日 (金)

「夜かかる虹」 角田光代

夜かかる虹 (講談社文庫) 夜かかる虹 (講談社文庫)

著者:角田 光代
販売元:講談社
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個人的な感想として、角田さんの本には当たりと外れがある…。
勿論面白いか面白くないか、なんですけどね。
この本は後者です。何が言いたいのかよく分からない本。
読んでいると誰でも成長過程があるのだ、と思います。いい意味で。

「夜かかる虹」
私には、双子に間違われるほど私そっくりな妹がいる。
しかし、見た目の全てが似ていても、性格はまるで違うのだった。
幼い頃から、妹は全ての大人たちを私から奪った。
だから私は、妹をいじめていじめて、いじめ抜くことにした。
口の中に石を詰め込んだり、顔にビニールを被せたりした。
だが、妹は何故か私の真似をしたがった。私の持っている傘、服、
など全てにおいて私の物を奪ってゆく。
きっと妹はいじめる私に仕返しをするために、そうしているに違いない。

テーマはいいとしても、このラストではどういう結末になったのか、
いまいちよく分からない…というのが難点な本です。
堂々巡り?もしや、今後もこのまま続くんじゃない?
って感じで、主人公はちっとも成長していないように見えるのだ。
妹はきっとまた主人公の物を奪いに来るに違いない。
そもそもの話、かなり前の部分で、というか主人公自身は昔から、
妹が自分の物を奪っていくと分かっているはずだ。
なのに恋人との馴れ初めを正直に話してしまったり、
部屋に招いてしまったりするのは、なんか違う気がする。
その上、ずっと離れているより、結婚を考えている男性の方が親密では?
という気もして、普通男の人に相談とかするんじゃない?
とか思うんですよね。それがなんとも…テーマを書きたいばっかりに、
ちょっと心理描写がおざなりになったかなぁ、と印象になっていた。
最近の角田さんを読みたいんですが、
図書館がなかなかかしてくれないんですよねぇ。涙
それまでは、ざくざく過去を掘り返そうと思います。
どんなに詰まらなそうでも…。

★★☆☆☆*69

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2008年2月 7日 (木)

【映画】善き人のためのソナタ

20080207
★★★★★
最高でした。わざわざ映画館で観た甲斐がありました。
久しぶりに感情の奥深くからホロホロと流れる涙を、
味わうことができたような気がします。
気になる方は、ぜひ劇場で観て置いてくださいね。

優秀な拷問士であるヴィースラーは、
ある時ドライマンという芸術家を完全監視する事になった。
時はまだ東と西で対立するドイツ。そんな東ドイツでは、
職業禁止令のために、芸術家たちが自殺する事件が相次いでいた。
彼らの中ではだんだんに反政府意識が強まっている。
だから、盗聴監視し、少しでもそのような素振りを見せたら、
即刻処刑し、東の権力を維持することにしていた。
ある日、ドライマンの友人である芸術家が自殺した。ドライマンは
彼に譲られた”善き人のためのソナタ”を弾き、悲しみに耐える。
そしてヴィースラーもまた盗聴器からその美しい調べを聴き心奪われた。
それを聞いた人は、決して悪いことができないと言われる、その曲を。

恐ろしく悲しい話である。悲しい運命に涙も流れず、
ただその光景を目に焼き付けることしかできない。
”善き人のためのソナタ”を聞き、またドライマンの誠実さを知った
ヴィースラーは、禁忌を犯してしまう。
くしくも対立するドイツの中で、もしや西側に不利益な噂が流れたら、
たまったものではない。四苦八苦する官僚たちと、それに静かに
抵抗するヴィースラーの姿が、痛々しく、そして美しかった。
一見すると、とても冷徹な人間である拷問士・ヴィースラー。
しかし、まるで氷が解けるようにドライマンを思い、見守り、
けれど沈黙を守る彼の存在・演技がとてもいい。
ばれたら、首どころではない下働きが待っているだろう、
分かっているはずなのに、動いてしまったのは
ソナタを聴いてしまったからなのか、
それとも彼自身の優しさなのだろうか。
悲しみを割るような美しい曲により生まれる
「情」の描き方が素晴らしく、とても切なかった。
壁が崩壊した。自分を救った人間がいる。
そう知ったドライマンの驚きと胸に迫る思いは、
ぜひ実際に観て確かめて欲しいと思う。
人生をかけ、自分を助けた人に捧げる”善き人のためのソナタ”
ヴィースラーに贈られたその物語は、
彼にとって世界で一番温かいものであることに違いはない。

*95

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2008年2月 6日 (水)

「その日のまえに」 重松清

その日のまえに その日のまえに

著者:重松 清
販売元:文藝春秋
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重松さんを久しぶりに…ってまぁ「疾走」も読み途中なんですが、
「疾走」は感動というか、別格な重い話ですからね。
今回は感動・泣いちゃう系、私が苦手なタイプを読みました。
「あなたは”死”を迎える覚悟はありますか」と問われる本です。

「その日の前に」
長年連れ添った妻と、故郷を巡る旅に出ることにした。
今までは子育てに手にかかり、また現在の事しか考えられなかったが、
いつしか二人は過去を振り返るようになった。
「あの時は面白かったよね」そういうたび、僕は思い出す。
妻の余命は残りわずかだ。その事が胸を空くように通り抜け、
けれど自分の手でどうすることもできない。
なぜ、妻なのだろうか。僕たちは「その日」に向かい準備をする。

最初の三篇くらいはまったく関係のない家族の話ですが、
読み進めていくと、連続短編集であることが分かる。
「その日」のために、死についての色々なことを考え、
しかしそれは上手くいく事はない。不安な思いがある限り、
気持ちは不安定なまま「僕」を苦しめる。
けれどついに妻が寝たきりになり、意識がなくなり始めると、
なぜか彼女のことを忘れがちになるのだ。
その微妙な心境の変化を自分でコントロールすることはできず、
いつしかやってくる「その日」を迎えるのである。
悲しみを抱えているのはあなただけではない。
そう知らせるように、最初の三篇の登場人物が、
ちょっとずつ「僕」を勇気付け去ってゆく。
その描き方が、とても自然で、だけどそうなるのはとても大変で、
そんな様子を重松さんは特に上手く描いていると思う。
中でも「ヒア・カム・ザ・サン」が私は好きでした。
久しぶりに泣けました。まるで母と弟のようで。
でもしかし、相変わらず重松さんを読むのは大変だと思いました。笑
私には痛すぎる。そして少し気になるのは体言止め。
「~だけれど」で止めるのがとても気になって仕方がない。
けれど、何なのか言ってくださいという感じで、
連発されるとかなり苛立つのは私だけでしょうか。
この本はそれが少なかったので、読みやすかったですけどね。

★★★★☆*90

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2008年2月 5日 (火)

「国境の南、太陽の西」 村上春樹

国境の南、太陽の西 (講談社文庫) 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)

著者:村上 春樹
販売元:講談社
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結局は不倫小説。というとハルキファンに怒られそうですが、
きっと何の感慨もなく読む方は、ただの不倫小説に見えるでしょう。
けれど感じる人には感じる、愛や恋とは別に惹かれあってしまう、
というどうしようもない衝動が描かれています。

僕は島本さんという足の悪い少女に出会った。
それは十二歳という幼い時の事で、けれどそれは
目に見えない強い吸引力のようなもので、惹かれあっていた。
二人はお互い一人っ子だった。だからだろうか、話は合ったし、
それ以上の興味が彼女にはあるような気がした。
しかし、島本さんが転校してから、二人はバラバラになった。
僕は現在の妻と結婚し、二人の娘だって作った。
けれどその生活のどこかで、僕は島本さんを求め続けていた。
今は幸せだ、だけどそれとは別に彼女は僕に必要なのだ。

最初にも書いたけれど、結局は不倫小説である。
幸せなのに、初恋の少女の登場で、三十七歳の僕は不倫に走る。
それだけを聞くとどこにでもありそうな、ありふれた話だ。
だけれども、春樹さんの小説はそんな陳腐なものではない。
そもそも人間は一夫一婦制なのは、どうしてなのか。
愛と恋は別物ではないか。いくら今が幸せであっても、
でも必ず物足りないものはあるはずではないか。
などと深いところまで考えたくなるような不思議な魅力がある。
どうせ不倫でしょう、という見放した判断ではなく、
こんな状況に遭ったら、きっと「僕」でなくても、
みな島本さんの元へ行くだろうと思えるのだ。
もちろん有紀子に文句があるわけではない。
少しの刺激と、昔感じた劣等感を慰めあった心地よい空間が愛しく、
ふと、不倫という線を越えてみたくなるのである。
原因は少しのこと、しかし感情は有か無か、
どちからに振り切れる事しかできない。
結局駆け落ちに成功しない二人は、
だけどこれが一番よい結果に見えるのは私だけだろうか。
よく「結婚するのは、二番目に好きな人」という言葉を思いだした。
単調で、あまり印象のない話なので、私はつい内容を忘れるのですが
読むうちに、文章を追ううちにすっかり思い出す不思議な本です。
四回目くらいか?も。一番最初に読んだ時より、「僕」に
好感を持てるのは、偏った思考が修正されたからかもしれません。

★★★★☆*88

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2008年2月 3日 (日)

「クワイエットルームにようこそ」 松尾スズキ

クワイエットルームにようこそ クワイエットルームにようこそ

著者:松尾 スズキ
販売元:文藝春秋
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若干映画で変更されているところもありますが、
なかなか忠実に描かれているんだなぁ、と思ったしだいでした。
小説も面白いし、映画もそれを生かして描かれている、
という感じのお話です。もう少し奇妙さを出しても面白かったかも?

出版社のライターである私は、目が覚めると精神病棟に寝かされていた。
人の気配を感じ起き上がろうとしたが、両手足と体を五点拘束され、
全く身動きがとれない。そんな時隣の部屋から、奇妙な叫び声が響いた。
静けさに広がる狂った女の声が恐ろしく、
自分がこの場に寝かされていると言う違和感に絶えられなくなる。
その時、笑う事を忘れたような、鋼鉄の仮面の看護婦が入ってきた。
酒で睡眠薬を飲んだのを、自殺未遂だと勘違いされたのだ、
咄嗟にそう言ったのだが、昨日の記憶は抜け落ちよく覚えていなかった。
果たして私はこの狂った病棟から抜け出す事が出来るのか。

今回は映画のほうを先に観た、なかなか私には珍しい感じでした。
結果、なかなかよかったです。小説も悪くなく、映画も楽しめた。
やはり小説で自分の固定イメージをつけるより、
映画で役者のイメージを植え付けてから、物語を読む方が、
すんなり入り込めるのか…?と思わなくもない。
まぁこれは原作が松尾さんなので、そうだったのかも、
と知れませんが、小説で描かれた世界が、
見事に映像に反映されていて、うまいなぁと思いました。
若干映画のほうが内容がシュールなんですけどね。
これをよむと、内田有紀の完璧な演技さがわかりますよ。
あとは小説がもう少し謎めいた感じでもよかったのでは?
と感じました。映画を観たとき、一瞬「ドグラ・マグラ」
を連想させる不穏な感じが流れて好きだったのですが、
文章の中に、その不気味さはなかったですね。
で、まぁ松尾さんすごいなぁ、でまとめておきます。(適当…?)
映画を楽しめた方にはお薦めです。
どうって事ない小説ですが、どうって事ないと
思えるように書けるのは、やはり才能なんだろうなぁと思いますね。

★★★☆☆*87

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2008年2月 2日 (土)

「The MANZAI 4」 あさのあつこ

The MANZAI 4 (4) (ピュアフル文庫 あ 1-7) The MANZAI 4 (4) (ピュアフル文庫 あ 1-7)

著者:あさの あつこ
販売元:ジャイブ
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あーあまた始まった…という印象が。
何がって?あさのさんの長編計画。「NO.6」も「バッテリー」も、
何巻まで続けば終わるのだろう…という不安があった。
悪い言い方をすると、緩急を知らない、という感じでしょうか。

あの夏のおかげで、すっかり町の人気者になった歩と秋本。
町内会や、ママさんバレーにまで呼ばれる人気ぶりだったが、
歩は頑固として出場を拒否していた。
居心地のいい仲間たち、そして応援されるロミジュリ…
ハイテンションで、けれどどこか脆くて切ないこの若さに、
どっぷりはまってしまったとしたら、
きっと抜けられなくなるのではないかと思いがよぎる。
そんな歩の前に、今度は恋の試練が…果たしてメグとの恋の行方は?

例えば、この物語が完結しているのであれば、
最後までいっき読みできるようなライトさと、
面白さを兼ね備えているかもしれない。
けれども、一巻一巻発売される中、一年以上経って出たこの4巻、
果たして面白かったか?と聞かれると、面白くないのである。
なんだよ、ぜんぜん進んでいないじゃないか、と文句の方が強く、
先の興味が失われる…というのが現状だった。
今回のストーリーは色恋ざた。
あれ、いつしか見たような…と思わなくもないが、
その内容についてはとても楽しめる。
思春期の少年少女たちの心がとてもうまく描かれているし、
会話の面白さも拍手ものである。
でも、いつまでも長々と続くという印象が強く、
今回に至っては、漫才が一切ない。
ファンに快く読んでもらうには、楽しみも必要ですねぇ…
とちょっと思ったり。最終巻が出るまで読まないことにしようかな。
と思わなくもない第四巻でした。

★★★☆☆*80

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2008年2月 1日 (金)

【映画】陰日向に咲く

20080201
★★☆☆☆
微妙っ…と思わず呟きたくなる。
いや、キャスティングは完璧です。役者の演技も完璧です。
しかし、映像化してしまうと、劇団ひとりの原作の薄っぺらさが、
かなり目をひく結果になってしまった、というのが現状です。

俺のギャンブル癖は、一向に治りそうになかった。
一時は勤めているバス会社の所長に、50万円工面してもらい、
何とか借金の取立てから凌いでいたものの、
結局パチンコをやめることは出来ず、更なる借金が俺を襲った。
そんな時、バスの休憩で立ち寄った浅草で、一人の女性と出合った。
小柄で、愛嬌のある、どこか気になる顔。ある人を探していると言う。
この日は何事もなく別れたが、数日後また彼女と出会うことになった。
とうとう金が回らなくなり、借金返済について相談する弁護士として…

泣けたか、と言えば、泣けたような気もするが、
それはとても部分的なもので、「役者の演技の上手さ」で泣いている、
と言っても過言ではないだろう。キャスティング・役者の演技、
については文句の言いようがない豪華メンバー。
私の斜め前に座っていた不良の男子高校生三人組が、
「俺、マジ泣いたし」という位の良質な感じだった。笑
が、しかし。原作を読んでいただけると分かるのだが、
文章がかなり稚拙である。いや、それが悪いと言うのではなく、
素人ながらにかなり上手な表現をするものだ、と私は思って読んだ。
だけど、これだけ豪華なキャストで、
ここまで完璧な演技をされてしまうと、物語背景のペラさや、
設定上ちょっとありえなくねぇ?と思う辺りから、
じわじわとちゃっちぃ映画へと変化してしまっている、というのが現状。
そして、私はちょっと記憶が薄れ気味なのだけれど、
この話、こんなに繋がっていなかったと思うだけど…。
主人公(岡田君)が電話をかけている相手がジュピターさんだったり、
ホームレスが宮崎あおいの尋ね人だったり…
主人公のお父さんが、ホームレス新参者だったり…
あれれれ、こんなに繋がっていた?
記憶が本当ないので、確証はないのですが、実際繋がっていたとしても、
かなりくどーい感じだった。いや、ここまで密集するのありえなくね?
みたいな、こじつけがましさが生まれてしまっていた。
ちょっと残念。一話ずつドラマだったら面白かったかもね。そんな軽いノリです。

*80

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