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2008年1月29日 (火)

「赤朽葉家の伝説」 桜庭一樹

赤朽葉家の伝説 赤朽葉家の伝説

著者:桜庭 一樹
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で、えーとどのへんが伝説なの?
万葉さんが千里眼なところ?それなら万葉の伝説でいいじゃないか。
長い割りにどうにも楽しめない感じでした、個人的に。
それに直木賞候補になった理由がよくわからない。

私の祖母・赤朽葉万葉について、彼女の幼少期から説明しようと思う。
「山の民」と呼ばれる人間に置き去りにされた万葉は、
下級民である多田夫婦に育てられ、後に旧家赤朽葉家に嫁ぐ事になった。
そんな万葉には、特殊な能力がある。死期を予知する、千里眼だった。
万葉は時には子供を生んだ瞬間に、その子が死ぬ様子を見た。
それは波乱万丈な人生であったが、その奇妙な昔話は、
私の母・毛鞠の代へと移り変わり、段々と私の時代へと近づいてくる。
現代私が抱えるこのちっぽけな悩みは、どうしても万葉が語る、
昔の世界と対等だとは思えない。しかし、私には私にしか出来ない事が、
きっとこの紅緑村にはあるはずのだ。

要するに書きたかったことは、親子三世代における時代と、
人間の意識についての移り変わりである。
千里眼などと非科学的な愛称を持っていた祖母の、
ある種神がかりじみた精神世代と、現代の若者の世代との比較対照により、
例えば愛に対したとしても、その意識であるとか、
生きると言う事のポリシーのあり方であるとか、
果たして対等な重さなのであろうか、という事を強く書かれている。
しかし、全体が略年表化してしまっていて、途中までとてもつまらない。
「伝説」というほどだから、何か大事件があるのか?
と思いきや、それらしきものは万葉の千里眼しか出てこない。
主人公「私」が動き始めるまでの、前説が怖ろしく長く、
いや、前説ではなく三部作なのだ、と言われればそう見えなくもないが、
取りあえず、現代ありきの比較対照合戦。
終わりに向かっては、祖母は本当に千里眼だったのか、
本当に人を殺したのか、など、探偵のような感じになり微妙である。
と言うのも、きっと「私」からみた祖母の客観的像がないため、
そもそも人を殺していそうな気にもなってくる。千里眼だし。
伝説の部分と、本当に分かっている部分と…と、
線引きがぐちゃっとなっているため、どうにも楽しめる部分が少なかった。
まぁぐちゃっとなってるのが狙いのような気がしますが、
こんな長いでぐっちゃりやられると、読むほうが相当疲れる、
と言うのが、客観的な判断かも知れません。うーむ、お薦めしない。

★★★☆☆*83

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