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2008年1月30日 (水)

「ブルーもしくはブルー」 山本文緒

ブルーもしくはブルー (角川文庫) ブルーもしくはブルー (角川文庫)

著者:山本 文緒
販売元:角川書店
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精神分裂症の一種かと思いきや。
それにしても、まさか現実にあったなら、恐ろしい話だと思いました。
山本さん、実はコバルト出身なんですねぇ、意外。
でもまぁ角田さんも最初はライトノベルだし、そんな人も多いのかな。

クールでビジネスマンの佐々木と、割烹屋の河見、
二股をかけていた蒼子は、どちらの男と結婚をするのか迷っていた。
結局蒼子が選んだのは佐々木だったが、
しかし良好な結婚生活は一年ももたなかった。
あの時、河見を選んでいたら、自分には明るい生活が待っていたはずだ。
いつしかそんな思いが芽生え、蒼子は彼の住む福岡をうろついた。
まさか会えるはずなどないと思っていた矢先、蒼子は河見を
偶然見つけてしまう。そしてその彼の隣を歩いていたのは……

中盤を読んでいる時、私は北村薫の「スキップ」を思い出した。
不思議な世界や現象に悩まされている、と思ったら、
実は自分が精神障害だったのだ、という類の話である。
この話はある結婚を機に、二極に分かれてしまった蒼子の人生が、
なぜかドッペルゲンガーのごとく二つ存在し、
光と影となって別の物語を歩んでいる。
ある人には双子の姉妹のように二人が見え、
ある人には佐々木蒼子しか認識する事が出来ない。
そんな奇妙な現象を書いた理由は、
現在の自分であっても、河見の妻となった蒼子としても、
大概なにも変わらないのである。それぞれに気に掛かるところがあり、
全てを納得し生きることは出来ない、という事を読者に示すためだ。
そして光と影が逆転する時の、骨肉の争いが、
想像しただけで気が焦るようなリアルな描き方になっている。
最後、結局元に戻る二人は、一人の人間だった。
そんな終わり方をしてくれたのなら、気が強い女の、
離婚を巡る葛藤として、精神障害の中で、蒼子Aが蒼子Bの
人生を経験し帰ってくる、という不思議なストーリーができ、
面白いと思うのだが、二人は二人のままである。
それでもまだ二人いる、というラストが
そこまでして何を伝えたいのか、若干気にかかった。

★★★☆☆*85

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