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2008年1月 4日 (金)

「精霊の守り人」 上橋菜穂子

精霊の守り人 (新潮文庫 う 18-2) 精霊の守り人 (新潮文庫 う 18-2)

著者:上橋 菜穂子
販売元:新潮社
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「ダ・ヴィンチ」のランキング上位にあり、気になったので読んでみました。
これは面白い!!と素直に頷いた本でした。
中途半端なファンタジー・SFが大嫌いな私ですが、これは中途半端じゃない。
迷っている方、一度読んでみる価値はありですよ。

用心棒のバルサはボロボロの服を身に纏い、頭陀袋を頭から被っている。
しかし、見る人から見ればその手ごわさと、武術の強さは歴然である。
そんなバルサの運命は、ある一日を持って大きく変わることになった。
下流に掛かったつり橋を渡っている最中、上流の橋から貴族が落ちたのだ。
バルサは持ち前の機転で川の濁流に飛び込み、その第二皇子を助けたが、
バルサは恩賞も兼ね、更なるお役目を仕ることになってしまった。
三十歳であるバルサが、十歳の第二皇子を守る。
二人は城の追っ手を巧みに交わし逃げ始めるが、途中、
「人間」では敵わぬ力に皇子が狙われている事が分かった。
果たして無事乗り切り、また母子のような二人にどんな感情が生まれるのか。

読み始めて一番衝撃的だったのは、主人公バルサが女で、
しかも三十歳という設定であった事である。
こう言った児童向けの話を読むと、大抵は子供が主人公であったり、
または格好がいい男性が主人公だったりした。
それは暗黙の了解で、一番読み手が納得し、憧れを抱く、という点で、
何も言わずとも書き手が考えてしまう設定だったからだろう。
この話はそう言ったところで、頭からインパクトを与える。
また、まるで歴史物語を紐解いているような、
しっかりとした時代・舞台設定が読み手を引き込んでくれ、
ファンタジーとは思えないような楽しさを感じる事ができるのだ。
私個人としては、このどの時代にも頼らない背景が、
上橋さんのファンタジーを書きたいという思いが滲み出ている、
一番の場所ではないだろうかと思う。
話は、ある意味ありきたりかも知れない。
しかし農民が抱える天候の問題や、貴族と平民との身分差、
精霊という異世界との融合、それらがとてもいい具合にマッチさせるのは、
ファンタジーにおいてとても難しいことだから、
楽しむ事ができる安心感、辛いけれども目を背ける事が出来ない現実、
なんかがとても引き立ち、様々な角度から賞賛を得るのだと思う。
個人的にはラストが一番好きだった。皇子は城に帰りたいくないと嘆き、
しかし、それは決して叶う事はない。幼い少年の意を決めた逞しい表情が、
物語の緻密さにより、輪郭を深く描いてくれるのである。
続編沢山あるので、読んでみようと思います。

★★★★☆*90

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コメント

あけましたおめでとう

おひさしぶりです。
正月からちゃんと読書しててえらいですなーーー。私は最近すっかり読んでないです。「チームバチスタ上下」と「格闘するものに○」くらいかな。三浦しをん氏のトークショーがあったのでいったらなかなか素敵な人で、ついつい読書スイッチが入り読んでしまってそれ以来ですわ。

「守り人」シリーズ。懐かしい!!
姉と二人でファンで、中学だったか高校だったか司書の先生にお願いして注文してもらい、新刊が出るたびに一番に貸してもらっていましたよ。最近でた新刊はもう読んでないんだけどね。。。
ああいう硬派なファンタジーってなかなかちゃんといいものがないから貴重です。その点「勾玉シリーズ」とか「裏庭」とか、結構いいものに若いうちに出会えたことは、ファンタジー好きの姉に感謝しておかなければかしら、と思う今日この頃。

ではでは。今年も書評を楽しみにしてます。
失礼します。

投稿: ふんぎ | 2008年1月12日 (土) 23:45

>ふんぎさん

あけすぎてますね、とじましょうか、こんにちわ。
見つけるのが遅くなってしまった…ごめんよう(涙)
それとテストで死んでて…。
やばい、やばすぎる。

読書はほとんど生活の一部と化したので、
全然億劫じゃないんだけど、金がかかって仕方がないね。
図書館で頑張ろう。

「チームバチスタ」は思っていたよりもかなりポップだったな。
雰囲気だと、奥田英朗とか荻原浩なイメージがあるんだよね。
最初は横山秀夫みたいな硬さなのかと思ってたんだけど。
いいのか、悪いのか。

三浦さんのお名前が本名だった事に私は驚きですよ。
しをんちゃんですよ?可愛い!!
いいなぁ、私もそんな可愛い名前がほしかったですわ。
この間銀座で配っている無料ペーパーに三浦さん出てました。
こんなところまで…!と感心しました。

そうそう上橋さん、たぶん読んでなかったなぁ、小さい時。
本読んでて読んだ事あるかなって思い返しながら読んでたんだけど、
覚えがなかったなぁ。まぁ昔から私はファンタジーを避けていた
節があるので…。もっぱら、推理小説ですよ。
あと歴史もの。頭がちがちもいいところ。
ちなみに「シャーロック」「江戸川乱歩集」「里見八犬伝」
「鬼平犯科帳」、西村京太郎、赤川次郎、宮沢賢治…あたりには、
大変お世話になった覚えがあります。
私も小さい時にファンタジーに目覚めていればなぁ…。
ハリポタで一瞬向上したように見えたけど、
3巻までしか読んでないし…やはりファンタジーはダメなのか…。
あぁ「銀河英雄伝説」は結構読んでたなぁ、というかこれはSFか?

高校では私はさっぱり本を読んでなかったのでそれだけが悔やまれるね。
読んでいたら、もっとマシな成績だったかもしれない!!
いや、そんなことはないな(笑)

投稿: るい | 2008年1月19日 (土) 01:36

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