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2007年12月19日 (水)

「窓の灯」 青山七恵

窓の灯 窓の灯

著者:青山 七恵
販売元:河出書房新社
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騒がれていたので読んでみようとは思っていたのですが、
ついつい後回しになっていました。あの、ほら、若い人の本って、
当たり外れが激しいから(ボソリ)…と言ってみたり。
いや、一概には言えませんけど、この本は私の好みではありません。

姉さんの喫茶店は風俗街の一角にあり、夜開店する。
様々な男たちが姉さんを目当てにやってきては、
鼻の下を伸ばしながら、店に泊まって翌朝帰ってゆく。
私はそんな姉さんの男たらしぶりに、段々苛立ちが募り始めた。
ところで、姉さんの元で住み込みのアルバイトをする私の趣味は、
隣にあるアパートの窓のうちを覗き見することだ。
始めは他人の行動を盗み見るなんて悪趣味だと思ったが、
自分の私生活が詰まるほど、その眺めが心を落ち着かせ病み付きになってゆく。

一体、何がよかったんだろうか…と本気で考えた本だった。
まず、主人公像がいまいち浮かばず、物語のイメージがつきにくい。
それは「姉さん」と呼ばれる不詳の女もで、やっぱり不詳でよくわからない。
そして夜に開いている喫茶店って言うのも説明がないのでよくわからない。
そんな二人の元に男たちはやってきては、
姉さんと一夜を過ごし、帰ってゆく…。
まず一番押し出されているのは、たぶん処女だと思われる主人公が、
自分は男がおらず、セックスをしたことがない、という密かなる葛藤を、
心のうちで繰り広げている事だ。それは本人は気づいているのかも知れないし、
気づいていないのかも知れない。窓の外から見える隣の家は、
まるで自分の心の中を覗いているように見えてくる。そんなところ。
うん、まぁ言いたい事はわかるんだけど、その他が何とも微妙。
折角の設定が人物描写不足で残念な結果になっており、
本来言いたかった事がよく分からなくなっている。
それに、勝手に怒り出す主人公に、
いや、君にはその前にする事あるんじゃないのか、と思いたくなる。
嫌なら出て行けばいいじゃん、とかね。ここにいる意味が不確か過ぎる。
こんなに描写が曖昧すぎると、人によって意見が違って当たり前だろう。
個人的にはここまで壊滅的になってると、何がよかったんだ?
という疑問が先に来てしまい、楽しめなかった。
見る人によったら、この物凄いアンバランスな様子が、
とてつもなく奇才に見えるんだろう。
よくわからないけど、私はそうは思わない。今後に期待する。

★☆☆☆☆*--

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コメント

るいちゃんはこの作家の本は好きじゃないんじゃないかなあと何となく思った。

私は結構こういうのが好きなんだけど(だから、島本さんとかも嫌いっていうかもしれないね)。

ただ、この本より先に「ひとり日和」を読んだ方がいいと思うよ。
私は先に「ひとり日和」を読んで、「窓の灯」を読んだのだけど、え?何が言いたかったの?と思ったし。ひとり日和の方がまだ後味良い感じかも。

ただ、日常的な話(劇的な何かは起こらないけど)が好きなんだよね。そして同年代女性作家の話が好きなんだよね。私は(笑)

今後に期待しましょう^^;

投稿: すきま風 | 2007年12月30日 (日) 22:21

>すーちゃん

あけおめです。ことよろです。

そうなんだよねぇ、若い作家特有の、悪い言い方をすると
「ちゃらちゃらした感じ」がとても嫌いなんだよね…
どちらかというと、形式を重んじる堅苦しい人間なので、
「いや、その書き方はないでしょう」とか思っちゃうんだよね。
まぁ内容によりけり、だけど。西さんとかは平気だし。
何と言うか、結局直木賞とか取るときは、
そんな文章じゃダメなわけで、だから芥川賞になっちゃうんだよねぇ、
と思ってしまう感じだな。人の事いえないけど。

「ひとり日和」読んでみるね。

私はやっぱり男性作家がいいね。
最近三崎亜記が男だって知って、「あぁやっぱり」と思ったよ。

投稿: るい | 2008年1月 6日 (日) 13:37

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» 窓の灯 [No-music.No-life]
大学を辞め、時に取り残されたような喫茶店で働く私。 向かいの部屋の窓の中を覗くことが日課の私は、やがて夜の街を徘徊するようになり− 夜の闇、窓の灯、ミカド姉さんと男達・・ゆるやかな官能を奏でる文藝賞受賞作。 −−− 青山七恵さんの本です。 前作のひとり日和が割かし私好みだったので、早速デビュー作も借りて読んでみることに。 文藝賞の傾向って、やっぱり似ている。 終わり方がバッサリしていない..... [続きを読む]

受信: 2007年12月30日 (日) 22:24

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