« 「つくもがみ貸します」 畠中恵 | トップページ | 「理由」 宮部みゆき »

2007年12月21日 (金)

「幸福な遊戯」 角田光代

幸福な遊戯 (角川文庫) 幸福な遊戯 (角川文庫)

著者:角田 光代
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する


さすがはデビュー作。纏まりがありません(笑)と言うと怒られそう。
賞を取った「幸福な遊戯」は今の角田さんの面影がありますが、
その他2作はちょっと暗中模索しています、という感じがしました。
よくぞ角田さんを見つけてくれましたね、と海燕賞には感謝を。

私と立人とハルオは、共同生活を始める時、
同居人同士の不純異性行為禁止と、それだけを決めた。
私とハルオは、立人がいない時に、いとも簡単にそれを破りセックスをした。
だからと言って何が変わるわけでなく少しばかりの親密感が生まれたのだった。
しかし、円満に続いていた共同生活は終わりを告げる。
ハルオが出て行き、立人も帰ってこなくなった。
もう直らないと気づいているのに、私が必死にそれを引き止めようとするのは、
この共同生活を本当の家族みたいに自分が勘違いしていた事に気づき、
それでも気づかないフリをし続けているからだ。

短編集ですが三本中「幸福な遊戯」がスバ抜けていい作品である。
読んでいくとまだ書きなれていないのか、
角田さんらしい書き方を身に付けていないのか、
時折詰まるのだが、遊戯が終わり、最後の一ページを読むと、
「あぁこれが角田さんだよね」と心を震わす事が出きる。
この本からも分かるように、角田さんは家族関係の話が多い。
特に今回三本は全部そう言った傾向があるので、
初期であるからこそ、伝えたい何か、というものがダイレクトに書かれて、
楽しいとか上手い、とかいう以前に勉強する事が出来た。
しかしながら「無愁天使」と「銭湯」はちょっと…
「あぁまだ勉強中でしょうか」という纏まりのない感じがする。
と、言うのも、今の角田さんがとてもコンパクトでありながら、
するりと言葉をつむいでくれるような言い回しを身に付けている、
というところで比較してしまう、と言うのが原因だろう。
何作か角田さんを読んでから読んだ方がいいかもしれません。
これだけを読んだから、何とも苦しい感想になるかも…?

★★☆☆☆*73

|

« 「つくもがみ貸します」 畠中恵 | トップページ | 「理由」 宮部みゆき »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/126354/9518957

この記事へのトラックバック一覧です: 「幸福な遊戯」 角田光代:

« 「つくもがみ貸します」 畠中恵 | トップページ | 「理由」 宮部みゆき »