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2007年11月28日 (水)

「あおい」 西加奈子

あおい (小学館文庫 に 17-1) あおい (小学館文庫 に 17-1)

著者:西 加奈子
販売元:小学館
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西さん、随分読んでませんでした。
この本デビュー作です。デビュー本にしては、凄い本。
しかし、私は会話文の文末が「だった。」と「。」がついているのが、
やたらと気になってしまった。他の本もそうだっけ?

「あおい」
私はその昔女子高生だった頃、彼氏ではない男の人にレイプされた。
持ち前の明るさで保っていたつもりだったけれど、
その後、男の人に触れるのが気持ち悪くて仕方なくなった。
そしてまたしばらくすると、今度は手当たり次第に男を求めた。
人とセックスをする事など、何でもないことだと思いたかったのだ。
さて、今私のお腹の中には、愛する人の子供がいる。こんな不純な動機で、
それに、この上なく頼りない私は、果たして子供を産むべきだろうか。

西さんの軽やかな関西弁を読んでいると、関西も捨てたもんじゃないと思う。
それはまぁ私の微妙な偏見があるのだが、陽気な関西人を見ると、
あぁ東京人とはやっぱり感覚が違うのだ、と感じるところにある。
だけど、西さんの関西はその明るさがいやらしくなく、
私の中にすんなりと流れ込んでくる気がするのだった。
この本では、主人公が結構嫌な感じの女の子だ。
友だちにしたくないな、と思うのだけど、本の中の「私」も、
きっと自分を友だちにしたくないと思ってるだろうなと気づいている。
確信犯と言えば、響きは悪いが、直したいんだけど直せない、
そんな自分のいやらしさに嫌悪し、苦虫を噛むという様子が上手かった。
おまけにそれにはレイプされたと言う辛い過去も見え隠れし、
主人公が意固地になってしまう行動が、
そこに起因している事が絶妙な感じで虚しさを誘っている。
ただ、少し気になるのが話し口調で物語が進む点で。
私はあまり好きではない。
小説の形を崩せるのも味なんじゃないか、
と考える事も出来るかもしれないが、崩しすぎもどうかと思う。
文体の話口調によって小説と読者の近さを強めるのか、
文章の巧さによって小説に読者を引き込むのか、
私は後者の方が読んでいて気持ちが良い気がするのだ。
まぁ、好き嫌いはありけり。次は「さくら」でも読みましょ。

★★★★☆*86

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