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2007年11月 4日 (日)

「町長選挙」 奥田英朗

町長選挙 町長選挙

著者:奥田 英朗
販売元:文藝春秋
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今一番新作であると思われる「家日和」を読んだ時、
「あぁ奥田さん行き詰まってるなぁ」と思ったのですが、
この本を読んでみたら、この時点ですでに行き詰まっていたのね…
と言う感じでした。これは題材が悪すぎる。

「町長選挙」
役場に勤める宮崎が転勤になったのは、人口三千人の離島だった。
この島では四年に一度町長選挙が行われる。
「クリーンな選挙を目指す」…そんなポスターもむなしく、
その選挙は、凄まじい票獲得戦略が繰り広げられるのだった。
島は小倉派と八木派と真っ二つに分かれ、当選した派閥が天下を取る。
ポケットに手を入れられたと思ったら、札束をねじ込まれていたり、
痴呆症患者の選挙権をむりやり手中にいれたりと命がけ。
双方から迫られた宮崎は、精神的に衰弱し伊良部に助けを求めるのだった。

奥田さんは描写力はあるのに、ワンパターンである。
それはこれまで読んできた6冊で分かった事だった。
元コピーライターの人にいうのも難かと思うのだが、
何ともストーリー構成が画一的で微妙である。
その結果として生まれたのこがこの本であると言っても過言ではない。
伊良部シリーズはとても面白い。
この本だって、もしもこのストーリーを奥田さん本人が考えたのなら、
とても面白いし、こんな話し思いつくなんて凄いや、と尊敬する。
しかし、この本に書かれているのは、いつかの出来事……。
そう、まだ記憶に新しい球団買収や、ホリエモン騒動など、
実際に現実にあったことを、偽名を使って書いただけのものである。
勿論、伊良部が登場しているからには、ストーリーは事実ではないが、
この「どっかで聞いた事ある」感がとても、皮肉っぽく素直に笑えない。
そう言った面で一番良かったのが、事実にない「町長選挙」だった。
だが、これも伊良部が離島に出張してくる、など、
いつもの伊良部シリーズとは一味違い、島騒動に重点を置かれているため、
主人公の苦しみが問題解決によってスッキリする、という面では、
ちょっとインパクトが薄い物となっていた。
あぁ何で奥田さんはラストシーンに登場人物全員を終結させ、
てんやわんやの展開にしてしまうのだろうか……。
私はその傾向が折角の前半ストーリーを消してしまうように見え、
なんだか楽しめない。「最悪」も「サウスバウンド」もそうだった。
もしや奥田さんの長編は皆そうなんだろうか…と疑問を抱きつつ、
次は「真夜中のマーチ」でも読んでみようと思います。
これも映画化らしいですね。

★★★☆☆*85

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