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2007年11月18日 (日)

【映画】クワイエットルームにようこそ

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久しぶりに不気味さ?で鳥肌が立った映画だった。
まぁ「めがね」や「三丁目の夕日」では怖さは感じませんからねぇ。
ちょっと夢野久作の「ドグラ・マグラ」の冒頭を思い出しました。
それにしても内田由紀久々に見ました。

出版社のライターである私は、目が覚めると精神病棟に寝かされていた。
人の気配を感じ起き上がろうとしたが、両手足と体を五点拘束され、
全く身動きがとれない。そんな時隣の部屋から、奇妙な叫び声が響いた。
静けさに広がる狂った女の声が恐ろしく、
自分がこの場に寝かされていると言う違和感に絶えられなくなる。
その時、笑う事を忘れたような、鋼鉄の仮面の看護婦が入ってきた。
酒で睡眠薬を飲んだのを、自殺未遂だと勘違いされたのだ、
咄嗟にそう言ったのだが、昨日の記憶は抜け落ちよく覚えていなかった。
果たして私はこの狂った病棟から抜け出す事が出来るのか。

記憶がないという不安を、とても上手く描いた作品だと思う。
まるで一瞬記憶を失った時とダブるような、真っ白な精神病棟は、
小さな混乱と、安らぎと緊張をもたらす。
蓄積するはずの記憶が吹っ飛び、その抜け落ちた部分を、
他人の口から知らされる時の恐怖と、
段々と欠如が修復された時の安心感と、何かを失う虚脱感とが合間って、
空いた記憶にそれ以上の思いを埋め込むような、温かい気持ちになった。
今回は人を忘れなかっただけ、その分安易な設定であったような気がするが、
混乱と失う悲しさを描くためにはこれでよかった気もする。
今回は久しぶりに内田由紀を見た気がする。
じっくり見ているうち、「あれ?この人こんな顔してたんだ」とか、
思ったりして、違うところで楽しんでいた。
一つ文句を言うのであれば、内田由紀は「演技」が上手い、
しかし、蒼井優は「自然体」が上手い、という微妙なギャップによって、
作品の目指している方向がやや逸れたような気もした。
精神病棟なんだから、色んな人がいるのよ、と言われれば、それまでだが。
何となく、性質が正反対の人間である、と言うのは、
見ていて痛いほど感じた。それのどちらが良くて、
どちらが悪いかは決められないのだけれども、個人的には、
蒼井優は岩井監督のような自然体一直線のようが合う気もするんだけどね、
なんて。でもまぁ全体的に観て良かったと思える映画でした。
話はかなり重いないようですが。

*85

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