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2007年11月 6日 (火)

「東京ゲスト・ハウス」 角田光代

東京ゲスト・ハウス 東京ゲスト・ハウス

著者:角田 光代
販売元:河出書房新社
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微妙…読めないほどではないが、「だから何」感が漂う。
角田さんにしては珍しいなぁ。傾向的には「エコノミカルパレス」と同。
もしかしたら、海外旅行好きの人にとったら、いい作品かも。
私は極力日本を出たくないと思っているタチなので。

旅行から戻りながら、僕はずっとマリコの事を考えていた。
空港に着き、あたりを見回せば、僕を待っている彼女がいるかもしれない。
そんな空想は夢物語だったようで、僕は誰にも待たれていなかったし、
お金もなく、今日泊まるべき家も思い当たらなかった。
そんな時、ふと旅先で出会った暮林さんのことを思い出す。
一泊三百円、食事なし、僕は東京でありながら、「ゲスト・ハウス」
という名の宿に住む事になった。

「ゲスト・ハウス」というのは、よく外国にあるような、
長旅外国人宿泊向けの安い宿の事である。
「僕」はくり返される変哲のない日常から逃げ出すため旅に出た。
そしてその旅にも飽き、戻ってきた「ゲスト・ハウス」では、
何故かまだ旅を続けているような、奇妙な感覚に捕らわれているのだ。
折角戻ってきたのに、一ヶ月も経たぬうち、
すでにその生活のマンネリ化を嫌い、この生活をやめたくなる。
そんな様子が、手にとるように分かり、旅をしない私でも、
なるほどね、と納得して読むことが出来た。
角田さんはヒッピーな人間をこの本に限らず良く出している。
私はイメージ的に角田さんはどう考えてもヒッピー思考には見えない。
むしろとても真面目な考えをする人なんだろうな、
と思うと同時に、きっと真面目すぎてヒッピーのようにはなれない、
微妙な願望のような物があるのではないか、と思うのだった。
まぁ個人的な考えなんですが。
今回もうるさいキャラクターたちが出てくるが、
角田さんが書くその人物には、全て容赦がある。
どんなに狂った人間であっても、理由があり、救いがある。
この話のもう一つのテーマとして、「自分とは違う時間を過ごした人」
についての考え方が沈められている。が、しかし、
この描き方があまり良くないため、結果何を言いたいのか微妙になっている。
主人公の「僕」はマンネリ化していた生活を捨てるために、
当時付き合っていた彼女も一緒に捨ててしまう。
だが、旅でリフレッシュした「僕」は彼女への罪悪感が微塵もない。
それはちょっとおかしいと思うのだ。
置いていってしまった彼女を後悔するならまだしも、
待っているのが当然と言うような態度が、いただけなかった。
ここをきちんと描けていたら、最後呼び止めたシーンで、
もう少し感動を誘えたのではないかと、思っている。
うーん、お薦めはしない。角田さん好きには、まったり読める本です。

★★★☆☆*81

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