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2007年11月 7日 (水)

「レインツリーの国」 有川浩

レインツリーの国 レインツリーの国

著者:有川 浩
販売元:新潮社
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なんだかなぁ……あ、初有川さんでした。
有川さんって女性の方だったんですね。
本編をしっかり読み終わってからあとがきで気付いたので、
少し驚きました。読みやすい…けどこの本は頂けない。

伸行はインターネット上のブログで気になる記事を見つけた。
それは、昔流行した「フェアリーゲーム」という物語のラストについてで、
伸行はとても共感すると共に、その記事の筆者に惹かれてゆく。
メールによって次第に相性の良さを実感してゆく二人は、
実際に会ってみようという話になった。
ネット上では容姿も体型も声もわからない。
果たして二人の関係は恋愛に発展するのだろうか……。

まず始めにこの本を一言で表すと「ネット恋愛の仕方教えます」です。
まるで教科書のような順序で、ネットを介した恋愛が進んでいきます。
ここでヒロインは聴覚障害というハンディがあるのですが、
この部分はとても上手く描かれていると思います。
しかし、二人の性格が、どうにも「お手本どおり」と言う感じなのです。
その原因と思われるのが、メール内容以外の文章が三人称だという事。
ストーリー展開に際して、ナレーション的な雰囲気も持つ
有川さんの三人称は、どこか他人行儀で、人物に共感できないのです。
ネットで知り合った彼・彼女が、聴覚障害だったら皆さんどうでしょうか?
失礼かも知れませんが、私はかなり戸惑うと思います。
もしも恋愛に発展しそうだと思ったとしても、
その後の苦労を、知った時点で考え、身を引いてしまうと思うのです。
しかし、伸行はさして惑う事無くポジティブシンキングになる。
その部分にギャップがあり、省略された感情が残念に思いました。
と、いうのも伸行の生い立ちについて、後半に少し出てくるだけでした。
これは読めば分かりますが、「言うべきではない事」として処理され、
主人公の心のうちの葛藤、という事になっています。
だけど、どうでしょう、これでは読者もおいてきぼりです。
これらの物事は一番最初に書いておくべき事柄であるし、
読者まで、まるでネット上の人物として扱われるのはかなり遺憾です。
それに、この部分がないために「ただネットで知り合った」と言う
かなり陳腐な出会いに見えてしまっているのも難点です。
最初に伸行は過去辛い事があり「フェアリーゲーム」に
心救われたことがあったので、この話は彼にとって重要だった。
という但し書きがあると、読み手として納得できるのではないか、
と思います。有川さん次は「図書館戦争」でも読んでみよう。
なかなか読みやすい作家さんではあります。
久しぶりに「ですます調」でした。笑

★★★☆☆*79

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