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2007年11月12日 (月)

「ぼくはきみのおにいさん」 角田光代

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これ小学生のときに読みたかったなぁ、と思った本でした。
特に大事件は起きず終わりますが、しっとりした中に、
思春期の子供の感情が、とても正確に描かれています。
若干マセてる気もしますが、なかなか良い本です。

来年の中学受験に向け塾に通い、勉強漬けの毎日が続く。
夏休みになり私が気付いたのは、昼間何故かお父さんが家にいる事だった。
お父さんは私に気付くとバツが悪そうな顔をし、
「アユコが生まれる前の父さんは」と私の知らない話をする。
お父さんと私と、それからお母さんの微妙な距離感…
そんな時、私は「おにいさん」に出会った。
昔生き別れたはずの彼と私は本当の「家」を探しに出かけることにする。

もしかしたら、自分はこの家の子供じゃないかもしれない。
そんな動揺と、次第に広がってゆくお父さんとの距離を胸に抱え、
本当の家を探しに、自ら父親に背を向け歩き出す心境。
それは少しドキドキして、後ろめたくて、緊張する。
もしも本当の本当に自分がお父さんとお母さんの子供ではなかったら…
けれどきっとアユコはそんなことまで考えていない。
胸の空く感覚と寂しさが過ぎるだけで、
心のどこかでは、決してそんなはずはないと思っているのだ。
自分の知らないお父さんの楽しそうな様子を思い描く事で、
自分がいなかったとしたら、と考え、
でもやはりそうであって欲しくはなくてと揺れ動く様が、
「おにいさん」という存在を利用して巧みに描かれている。
実際に考えたら、彼が兄ではない事くらい分かるはず、
しかし「もしかして」と信じてしまったのは、窮屈だった生活から、
是非とも抜け出したいと思ったから。
そう考えれば、若干の無理も許せるかも知れません。
児童書ですし。なかなかまったりしたい時に良い本です。

★★★★☆*87

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