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2007年11月 9日 (金)

「NO.6 #2」 あさのあつこ

NO.6  〔ナンバーシックス〕  ♯2 (講談社文庫 (あ100-2)) NO.6 〔ナンバーシックス〕 ♯2 (講談社文庫 (あ100-2))

著者:あさの あつこ
販売元:講談社
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すごい、今週毎日1冊読んでいる。いつまで続けられる事やら…。
あさのさんのこの本は1時間半で読み終わりました。
読みやすいスピード感のある文章。伝わってくる人物の心。
しかし難点なのは、話が展開しない点で。二巻です。

室内環境、勉学システム、異物探索、環境管理…
全てにおいてコントロールされた都市、NO.6。
その完全なるピラミッド社会の上層部に
エリートとして何不自由なく過ごしていたぼくだったけれど、
ある日を境にそれは瞬く間に崩れ去り、運命を変えた。
失ったものは自分以外の全部、手に入れたものはネズミという不思議な少年。

上にも書いたけれど、一番気に掛かるのは話が展開しない点で。
結局のところ、まだNO.6を脱出してから、主人公は何もしていない。
母親からメモを受け取り、昔母と円のあった男性を探し出しただけだ。
この本で主人公がしたのはただそれだけ。
それってあんまりじゃないか、と半分思いながらも、
NO.6を抜け出し揺れる主人公の心に触れ、読み手も動揺する。
規格があり、全てを画一的に記号で表すような、
機械的な街から抜け出した紫苑の気持ちが、
的確、としか言いようがない美しい言葉で表現されているのだ。
この話で難しいところは、読み手の人間が、主人公の紫苑にも、
ネズミにも共感できないという点であろう。
もしくは、私たちは両方の感情を持っているから、
それぞれの心境の波を敏感に感じ取れるとも言える。
「第三の方法」というのが、紫苑のセリフで出てくる。
それはNO.6と西ブロックの境界のにある塀を壊し、一つの国にする事。
この提案はネズミに馬鹿にされ早々に消えてしまうが、
その一つになった国こそが、読み手のいるこの世界なのだ、
と考えると、何やら滑稽で、最強の皮肉ではないか、と思えてきた。
勿論そうなるとは限らないのだけれど、それはあさのさん次第なので。
次巻も楽しみ。

★★★☆☆*84

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