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2007年10月10日 (水)

「NO.6 #1」 あさのあつこ

NO.6(ナンバーシックス)〈#1〉 (YA!ENTERTAINMENT) NO.6(ナンバーシックス)〈#1〉 (YA!ENTERTAINMENT)

著者:あさの あつこ
販売元:講談社
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近未来SFファンタジー……いやぁ、まさに私が嫌いな分野でして。
しかし、この本は随分前からすきま風さんにお薦め頂いていたので、
ここぞとばかりに借りてみました。人気でいつもないんですよねぇ図書館に。
あさのさん久しぶりでしたが、やっぱり読みやすいです。
あさのさんは只今「ラスト・イニング」も読んでおります。

室内環境、勉学システム、異物探索、環境管理…
全てにおいてコントロールされた都市、NO.6。
その完全なるピラミッド社会の上層部に
エリートとして何不自由なく過ごしていたぼくだったけれど、
ある日を境にそれは瞬く間に崩れ去り、運命を変えた。
失ったものは自分以外の全部、手に入れたものはネズミという不思議な少年。

ただ一つ残念だったのは、そんなにエリートばかり選りすぐっているなら、
主人公以外にも都市に違和感を覚える者がいても可笑しくないだろうという点。
このお話は、法哲学(実は得意分野)で言うところの、
「プロテスタント的信仰共同体」というものである。
新興宗教のように意向にそぐわない物は排除され、NO.6を追われるのだ。
統制された世の中で、まるで主人公だけか覚醒したように、
他人と違う事を考えているのは何だか不自然である。
小さな頃から英才教育を受けていたなら尚更であり、
そう言った意識を持つまでのプロセスが書かれていない。
話は主人公が覚醒した瞬間から始まっているのだから、
むしろ、そうなるために選ばれた人間なのだ、と言えなくもないが、
私は超常現象の奇跡や、偶然の連発続く小説が好きではないため、
ちょっとばかり不満が残る設定なのであった。
その他はあさのさんらしくとても楽しく読める。
SFだけれども、描写は秀逸なので、「これは何?」と思うところもない。
本当ならば高校生位の少年が背負う生と死の重み、
詰め込まれすぎた不必要な情報の虚しさ、
その何とも言えぬ思春期の複雑な内情を、SFという異世界の中にも、
きちんと存在し、血が通っているということを教えてくれた。
登場するニヒルな少年ネズミと、優秀、だけど偏った思考を持つ紫苑の、
不確かな人間模様。果たして彼は仲間なのか…?それすらも分からぬまま、
思わず足が動き出すさまをリアルに描いている。
次巻に期待~でも図書館にはなかったなぁ。予約しなくては。

★★★☆☆*84

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コメント

あ、3巻からなら最新刊まで持ってるので言ってくれれば貸しますよ!

そうか~るいさんはSF駄目だったんだよね。
でも、話が展開していくうちに紫苑とネズミの内面とかがどんどん深く見えてくるので面白いよ。

ただ、物凄く話の流れがゆっくりだし、なかなか続編が出ないのが痛いんだよねえ。

結局サイン本見つからず、最新刊は普通に買ってしまった私です。

投稿: すきま風 | 2007年10月11日 (木) 22:07

>すきま風さん

ごめんよ~また遅くなってしまった!!(>△<)
最近時間がなさ過ぎる…(号泣)
体力もないしなぁ…どうにかしたい今日この頃です。

そうそう、SFダメで…。
でろでろの恋愛小説の次にダメなのだ。
といいつつ、銀河英雄伝説とかは読むんだけど(笑)
「NO.6」はなかなかそんな私でも楽しめたよ!
さすがあさのさん、って感じで二時間弱で読んじゃいました。
続きが気になる…でももう6巻も出ているのか…と考えると、
一体どんだけ展開するんだ?とちょっと怖いね(笑)
まぁ「バッテリー」で身に染みているので、
そこんところはあさのさんの味、という事にしましょう。

実はあさのさんのサイン本…昨日ゲットしたのさ。
でも「NO.6」ではなく、「12のなんとか」と言う、
ちょっと暗そうな新刊の。
まぁ、あさのさんはあさのさんだから、ということで。

今図書館で二巻を手に入れたよ。
以外に回ってくるのが早いので、今んとこ大丈夫そう!
新刊に近づいたら、借りるかもなので、よろしくです^^*

投稿: るい | 2007年10月24日 (水) 11:43

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