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2007年9月10日 (月)

「ステップファザー・ステップ」 宮部みゆき

ステップファザー・ステップ (講談社文庫) ステップファザー・ステップ (講談社文庫)

著者:宮部 みゆき
販売元:講談社
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おうおう、宮部さんも久しぶりになってしまいました。
結構前に弟から単行本「ブレイブストーリー上下」を譲り受けたのですが、
未だにあのブロックに手をつけられませぬ。
まだ長編をどっしり読む気にはなれませんねぇ。折角の夏ですが…。
連続短編集です。

ここはどこだ? 屋根の上で雷に打たれると言う、
奇跡的な不運に廻り合った、プロの泥棒である俺は、
痛む体を押さえてあたりを見渡した。
「気分は」「どうですか?」
突然聞こえた声に反応し見上げると、そこにはそっくりな顔が二つ。
哲と直。双子の二人は、可愛い顔とは裏腹に、事があろうが俺を脅し始めた。
「僕たち、あなたの指紋をとっちゃった」かくして俺は、
未婚でありながら子供の面倒を見る、ステップファザーになった。

一つ残念なのが、主人公の「俺」の人格がよく分からないという点。
まったく子供に興味がなかったが、子煩悩な人間になる、
というのは伝わってくるのだが、基礎情報があまり語られていないので、
「俺」がどんな風貌で、どんな嗜好の持ち主でという当たりが欠如している。
ここがぐっと描かれていたのなら、最後のシーンでもう少し感動したのでは?
と思わなくないのだが、「ステップファザー」でありながら、
滑稽で、おまけに爽やかな余韻を残すためには、これでよかったのかな、
と少し思ったりする。個人的には前者なのですが、
まぁ過去を描かない人物描写も、人に思い込みを持たせない意味で、
良いと思うので、このへんは好みの問題かと思います。
話の全体は、先ほども言ったように、子供に無関心の未婚男が、
妙な双子の「擬似お父さん」を演じるにつれ、何やら愛情が湧き、
父親、されど他人、というとても曖昧な感情が生まれ始める。
その様子が微笑ましく描かれており、尚且つ、いつしかこの生活が
終わりの来ると、少し遠い目で描かれているような心温まる作品だった。
連続短編の内容はほぼ推理ですが、宮部さんらしく、無理のない展開、
状況証拠の筋道が立っている、と言う点で、違和感なく読むことが出来た。
娯楽として息抜きで読むのに最適な小説ではないかと。
「夢にも思わない」など曖昧に長いより、私はこちらの方が好きです。

★★★★☆*88

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