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2007年9月 4日 (火)

「サウス・バウンド」 奥田英朗

サウス・バウンド サウス・バウンド

著者:奥田 英朗
販売元:角川書店
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これは最高です。奥田さんちょっと見直しました。笑
コンセプトは伊坂さんの「魔王」と同じ感じですが、
申し訳ないがはっきり言って、断然こちらの方がいい。
「キンちゃんプシュー」や「これ、大豆ですから」でお馴染みの
豊川悦司扮する映画も見てみたくなりました。これははまり役です。

世の中は色々複雑だ…平凡な小学生である僕がこんな事を感じるのは、
元過激派であるお父さんが、毎日のように戦っているからだ。
「俺は税金を払わないぞ」「文句があるのか、国家の犬どもめ」
いつもは家でゴロゴロしているくせに、こうして口論を始めると、
水を得た魚のように元気になり、オマケに息子の僕にも格好よく見える。
でも僕にとってはいい迷惑だ。絶対にお父さんのようにはなりたくない。
そろそろ修学旅行という頃、またもお父さんは学校に喧嘩を吹っかけた。
ついには警察に連行…世間に疎まれた僕たちは沖縄に移住する事になった。

奥田さんなのに少し泣きそうになりました。笑
なのに、っていうのも失礼ですが、本当よかったのです。
僕の一家は、父親の過激な行動・発言で、
東京から追い出される形になるのですが、その理不尽さと、
父親の真っ直ぐの中にある、本当は正しい部分に僕は気づかないのだ。
右翼とか左翼とか、オマケに生まれる前の出来事なんて、
子供である僕にはさっぱりわかりっこないし、
平凡に無難に世間に乗って生きたい…誰もがそう思うだろうが、
この父親がいることによって、それは絶対に叶うわけはない。
僕のちょっとした諦めと、父親を敵視する気持ちが伝わり切なくなった。
その上一見不必要に見える、中学生不良との乱闘も、
生き抜くためには逃げる事が出来ないのだ、といった教訓が含まれていた。
そして、僕は父親の理不尽な動機で沖縄に飛ぶ。
そこで待っていたのは、何もない、だけど美しい自然だった。
全てが今までの東京の生活と正反対で、今までのうるさい友人はいないし、
周りの人々はおおらかで、隠し事をせず、全てを譲り合う。
それが少し寂しかったり、この島は素晴らしいと再認識したり、
そう成長してゆく中、僕は父親が誇らしい存在なのだと気づくのだ。
「でも絶対お父さんのようにはならない」
そういいながら、笑って認められるようになった瞬間、
これまでの苦労を帳消しにしてくれ、こんな暮らしもいいのでは、
と前向きに思えるようになる。その表現がとてもよかったと思う。
何よりこの小説でいいと思うのは、お父さんが頗るカッコイイのだ。
「学校には行くな!」「電気はひかん!」「警察はすっこんでろ!」
頓珍漢な事をいい、大暴れし、回りに大迷惑をかけるのだが、
よくよく考えてみれば、話の筋は通っているし、
断固として貫く姿勢を見ていると、どうしても憎む事が出来ない。
奥田さんは後半で調子付くと、登場人物総動員の、
てんやわんやの展開にする傾向があるのだが(とても読む気が失せる…)
今回は元過激派と言う事で、それがいいスパイスになっていたように思う。
最後、結局父親はアカハチの生まれ変わりかも…?!みたいな終りが、
個人的にはあまり好きではないのだが、それを差し引いても、
笑いあり、切なさありの良い感じに纏まっていたと思う。
主人公が小学生でなく中学生でもいい気がしますが…それはまぁさて置き。
過激派をよくここまで物語に盛り込み語ってくれたと、
今回は珍しく拍手喝采をおくって終わります。笑 映画楽しみです。

★★★★☆*92

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» 映画「サウスバウンド」 [happy♪ happy♪♪]
トヨエツの個性あふれる父親ぶりがおもしろい 西表島の住民の方?の出演もあり 手づくり感あふれる作品に仕上がっているのが とても親近感があって良い たまには何も考えないで観れる おもしろ映画も良いね 10/6(土)〜公開 ... [続きを読む]

受信: 2007年9月29日 (土) 19:03

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