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2007年9月22日 (土)

「しゃばけ」 畠中恵

しゃばけ (新潮文庫) しゃばけ (新潮文庫)

著者:畠中 恵
販売元:新潮社
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あぁ私ダメだこの作風…と久しぶりに撃沈した畠中さんでした。
いやはや申し訳ない。キャラクターや設定のよさは認めます。
面白いと思います。アニメでやってくれたら、楽しんで見ると思います。
ですがやはり小説として私の口には合いませんでした…。

体の弱い若だんなには、幼い頃からの遊び相手の佐助と仁吉がいた。
昔から気づいていたのだが、この二人は「人」ではない。
人型をした妖……彼らは祖父の言いつけどおり、
若だんなを守るために遣える、用心棒であった。
体調に浮き沈みがありながらも、ようやく若だんなが、
家の薬問屋の店先に立てるようになった頃、
辺りでは物騒な事件が頻発し始めた。薬屋ばかり狙った殺人事件に、
若だんな、それから佐助と仁吉が立ち向かう。

何で主語を統一しないんですか?という一点に疑問が残る作品でした。
主人公である「一太郎」は「一太郎」だったり「若だんな」だったりする。
佐助や仁吉でさえも「佐助」だったり「犬神」だったり「手代」だったり、
とりあえず呼び方が多すぎるのである。
それも会話の中で呼ばれるのならまだしも、
地の文の語り口でやるのだから、正直たまったもんじゃない。
気合を入れて読んでいないと、ふとした瞬間誰が誰だか分からなくなるのだ。
これは作風と言うより、むしろ読み手への不親切に当たるのではないか、
と私は思うのだが、みなさまはどう思われるのだろうか。
そんな事を考えながら読んでいたので、申し訳ないが物語の魅力が、
若干下がって見えたのは否めないところである。
物語はお武家時代に生きる、跡取り息子と、とある妖怪たちの物語。
振り返ってみれば、ポジティブな意味で妖怪をつれて楽しく生活する、
みたいな話は今までなかったように思う。(小説版「犬夜叉」のような)
この話は一般的なお江戸な世界に、上手く妖怪を登場させ、
その上滑稽な雰囲気を醸し出す、と言う上でとてもいい設定になっている。
その融合は面白いのだが、言ってしまうと、逆に物語としての面白味がない。
例えば、浅田さんの「憑神」(妖怪じゃないが)のような雰囲気が、
出ていたとしたら、手放しで面白いといえたと思う。
それが出来ない原因は、妖怪の描写が極めて少ないからである。
こんなにも楽しい妖怪たちがたくさん出てきているのに、
説明が少ないから、特殊能力や、どんな形態をしてるのか、
どんな変化を遂げるのか、イマイチわらからないのだ。
ただ、「こいつは妖怪で言ってる事が人間と少しずれる」程度の配役なら、
正直いる意味がないんじゃないのか、と冷静に見ていると思えてくる。
語られるのは病気がちな一太郎の事ばかり。
特に最後の松の助のくだりも、途中から一太郎が結局戦うわ、
勝利したら、家にやってくるまで松の助の事をさっぱり忘れるわ、
一体どれを重点的に話を進めたいのかよく分からなかった。
個人的なイメージとして、時代物って入り組んでいない話が、
売りな気がするのだ。平穏で平凡な主人公が、ひち騒動巻き込まれ、
最後はお武家や主従関係の潔さを生かした結末。
その枠を越えたと言えば越えてしまったような、崩れたといえば、
崩れてしまったような、なんだか中途半端な後味の残る作品だった。

★★★☆☆*80

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コメント

 こんばんは♪

>何で主語を統一しないんですか?という一点に疑問が残る作品でした。

 これ、まったく同感でした。
 はじめのほうなんてとくに、すごく混乱しました^^;;
 「え? これもしかして誰のこと?」みたいな。
 マンガだと問題ないんでしょうが、
 絵がない小説だと、ちとツライですよね^^;;

 続編の「ぬしさまへ」のほうがいいらしいです。
 てことなので、もう1作くらいは読んでみようかな。

投稿: miyukichi | 2007年9月25日 (火) 21:34

>miyukichiさん

こんにちわ~TB&コメントどうもありがとうございます^^*

そうそうそう。
そうなんですよ、ちょっと喧嘩売ってるのかと思いましたね。
いや、私の記憶力に(笑)
これが気になって気になって、
本筋のお話が結構が疎かになりがちでした。
何か意図があってあぁしたんでしょうかねぇ?
ちょっと気になっちゃうくらい不親切でしたよね。

これドラマ化だったんでしたっけ?
知らなかったです。誰が一太郎なんでしょうねぇ。

「ぬしさまへ」ですか、うーん。私も読んでみようかしら。
確かにもう一作チャレンジしてみる価値はありそうですよねぇ。

投稿: るい | 2007年9月26日 (水) 11:36

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 畠中 恵:著 『しゃばけ』  しゃばけ (新潮文庫)畠中 恵新潮社このアイテムの詳細を見る  2001年の日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。  時代小説って、かつては周五郎とか藤沢さんとか  ハマったことはあったものの、  このところ敬遠気味でした。  が、今秋、TVドラマ化されるとのことで、  興味を覚えて読んでみました。  (要するに、単なるミーハーですね^^;;)  主人公は、薬種問屋・長崎屋の跡取り息子・一太郎。  この一太郎は体が弱く、外出も制限されているが、  ある夜、人殺... [続きを読む]

受信: 2007年9月25日 (火) 21:27

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