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2007年9月16日 (日)

「FINE DAYS」 本多孝好

FINE DAYS (祥伝社文庫) FINE DAYS (祥伝社文庫)

著者:本多 孝好
販売元:祥伝社
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本多さん四冊目、短編集です。
うーん、相変わらず言い回しが古臭くてくどいです。
いや、それがとりえなのだし、いい味なのかもしれませんが、
春樹派の私としては、二番煎じに見えてしまうというか…。

「イエスタデイズ」
父親と衝突し、家出をしてから約一年。
その間、家族とは一切連絡を取らずにきたのに、
突然父親から呼び出された。今更何の用だっていうんだ?
不機嫌そうな僕に父親は言った。「昔の恋人を探して欲しい」
僕は鼻で笑いながらも、死にゆく彼の姿を直視できなかった。
余命三ヶ月…そりが合わず大嫌いな父の恋人を探しに、僕は歩き出す。

「MOMENT」の時はさほど感じなかったのですが、
今回の「FINE DAYS」は言い回しのくどさを感じました。
うーむ、最後の「シェード」なんかは前半で飽きてました。
本多さんの話のくどさで語るなら、もう少し魅力的な話ではないと、
読み手は飽き気味になるのではないか、と思いますね。
それがそれが、あまりシンクロしていない過去話だったので。
とりあえず一番良かったのは、さきほどあらすじをかいた
「イエスタデイズ」かと思います。
絶交したはずの父親が急に自分を呼び出した理由は、
昔の恋人を探せという、馬鹿らしい相談だった。
しかし、あまりに性格不一致な父が、昔どんな女性を好きだったのかが
気になり、主人公は結局探しに出かけるのだ。
そして、行方知れずの女性を訪ね、入ったボロアパートの中…
そこには昔の父と、それから恋人が仲睦まじく暮らしていた、と。
この話のいいところは、最後はハッピーエンドではない事だ。
仲睦まじく暮らしていた二人だったが、ここに自分がいる限り、
この二人は上手く行くはずがないのだ。
あまりにお似合いの二人のために、自分の存在を掻き消す覚悟、
なるものを主人公が考えるところが切なかった。
勿論、一人の力で未来なんて変わらないのかも知れないが、
その微妙な葛藤はラストを知っているだけに、より悲しみを増すのだ。
私は「奇跡的な生還」とか「超能力の奇跡で感動」というものが、
とても嫌いである。しかし、この本多さんのさじ加減は絶妙で、
全くいやらしくない。一瞬だけ見た夢…あるいは夢オチなんてもの、
なのかもしれないが、その「夢」が人のためであるというのがポイントだ。
本多さんの主人公は誰かに気を使って、生きているから素敵である。
しかし、一つ問題なのは、女性が魅力的ではないこと。
「FINE DAYS」でも分かるように、「男っぽい女」しか本多さんは書けない。
淑やかな女性の心というのが描かれておらず、どこか他人行儀で、
いつも主人公のそばにいるのは、ボーイッシュな女の子。
実際言葉遣いであっても、こんな女はそうそういないだろう、と私は思う。
そこが、少し残念なんですよね、とか文句を言って終わらせておきます。

★★★☆☆*82

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