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2007年8月 3日 (金)

「夜の果てまで」 盛田隆二

夜の果てまで (角川文庫) 夜の果てまで (角川文庫)

著者:盛田 隆二
販売元:角川書店
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こちらもお薦めいただいたので読んでみました。
申し訳ない、始めに謝っておく。苦笑
この本を一言で纏めるならば、駆け落ち恋愛小説。
読み始めてから気づいたのですが、とても苦手な分野です。えぇ。
もう、タイトルで気づけよお前って感じです、本当。

恋は人間の人生を狂わせる。
俊介は就職活動を進める傍ら家庭教師のアルバイトを始めた。
それは以前から気になっていた女性・裕里子の息子だった。
家庭教師を口実に会いに行くにつれ、彼女の魅力と、
彼女の複雑な家庭環境の悩みを知ってゆく。
深刻な表情で俯く彼女の横顔を見ていると、俊介は一瞬自分の道を忘れた。
「裕里子さん、ふたりで逃げよう」俊介は裕里子の手を握り走り出す。

あぁ、男の人が好きそうな恋愛小説、というのが第一感想。
私はとても俊介を好きになれなかった。
表面上とても気取った態度をしているくせに、
内情では物事について何も考えていないからである。
情けない一面もなければ、心優しい一面もない。
ただ自分の事と、周りを取り繕うだけで生きている。それが若さなのだ、
という微妙なこじ付けがある気がして、好きになれなかった。
ただ、好き。それは恋愛の第一歩だろう。
駆け落ちをしてまで手に入れた恋は、もっと深いはずだと思う。
しかし、アパート購入した時にも躊躇し、内定を取り消された時にも躊躇し、
結局俊介は裕里子と一緒になり進めるはずの未来の事を考えていない。
考えられないと言うなら、駆け落ちするのはあまりに身勝手だ。
そもそも東京に出てきた理由も、8日あれば彼女を説得できる、
という安直な考えだったのだから、愛が深まるためには、
それ以上の何かが表されないと読者は納得しないはずである。
オマケに途中からスリの仕事を始めるという話で、
結局何が言いたいのか突如に不明瞭になった。
裕里子は「私といるとあなたはダメになる」と言っていた。
それは間違いないだろう、少なからず彼女は俊介の人生に関与している。
でも、突き詰めれば、裕里子のためにとスリの仕事を始めた俊介のように、
裕里子を好き(だと思われる)な正太の不良行為もまた、彼女のせいだ。
と、すると、裕里子はだたの性悪女に成り下がってしまい、
さらに、最後は夫の元に戻ってゆく。え?何が言いたいの?
とちょっと顔を顰めてしまったラストでした。
最後俊介はそれは「自分の子」だと取り返しに行くのだろうか?
何だかそれも間違っている気がするし、また一つの家族が崩壊するだろう。
え?お前はこんな情熱的な恋をしたことないから分からないんだって?
うん、まぁそうなのかもしれませんが、そんな恋をした事ない人にも、
共感を得られる作品が、よいのではないかと考えます。
何がいいのか上手く説明できないけど、私は吉田さんの「東京湾景」
の方が好きなんだよなぁ…うーん、男の情けなさを素直に書いているから?
かもしれない。でも恋愛小説でも読みきることは出来たので、
きっと盛田さんの本は面白いのだと思います…。他の本も読んでみよう。

★★★☆☆*86

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