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2007年7月10日 (火)

「格闘する者に○」 三浦しをん

格闘する者に○ 格闘する者に○

著者:三浦 しをん
販売元:草思社
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まったくの興味本意で、三浦さんのデビュー作を読んでみました。
一言目の感想は、「直木賞作家になるとは思えない」でした。
いや、とっても失礼な事を言っていますが、うーん…と唸りたくなる、
そんな作品だったのです。これが「風が強く吹いている」の作者かと、
そう思うと、頑張ったなぁというか、成長したなぁとか思ってしまいました。

くしくも私が生まれたのは政治家の家系であった。
母は他界し、義母と、血を半分分けた弟共に豪邸に住んでいる。
父はおらず、教育ママの義母の鋭い目が光るこの家で、
私はいかにして娘を演じるかを決めかねていた。
自分は政治家になるつもりはないし、確固たる目標もない。
強いて言うのならば、愛している漫画を読みつづけたいと願うだけ。
後継者争いが激化する中、私は就職活動に精を出すカクトウする者になった。

読み返すと赤面のデビュー作と言ったところではないだろうか、と思う。
一番最初に主人公が書いたとされる小説の走り書きがあるのだが、
それがどうにも後に生きてこない。何だか物語の盛り上がりが分からず、
落ちもないまま、ラストを迎え、何ともメリハリがない感じを受けた。
確かに、デビュー作。そんなイメージを受ける作品でした。
その中でも三浦さんらしい様子がうかがえたのは、やはり会話のシーン。
今まさに漫画を読んでいるような、と言うタッチで描かれており、
とても面白いし、キャラクターが活き活きしている。
しかしここにもなんだかなぁ、と思う点があり、
キャラクターの性格がはっきり描かれていない、と残念に感じる。
初めはおしとやかなのか?と感じるキャラクターが、
いつの間にか口うるさいキャラクターに変貌していたり、
主人公はこっそりオタクで地味女なのかと思いきや、煙草をスパスパ……
私だけなのか?わかりませんが、あまりのイメージの不一致に、
このキャラクターはどんな人間を想像して描いているのか分からず、
終始曖昧なまま丸め込まれた感がありました。
物語の最初よりも中盤から後半にかけて筆がこなれて来た感があり、
勢い余ってキャラクターのテンションもヒートアップ、という感じもし、
その上ラストが結局フリーターですか、という展開になり少しいただけない。
カクトウしただけで諦めてんじゃん、とかちょっと思ってしまいました。
色々書きましたが、妄想は面白かったかな。
「彼女を大切にした」男を殴りつける妄想なんかは、
あぁまさにオタクって感じがするな、と微笑ましい感じでした。
お薦めはしませんが、三浦さんの原点を知りたい方にはいいかも。
「まほろ駅前多田便利軒」読みたいな~予約待ち50人くらいです。涙

★★☆☆☆*76

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