« 2007年6月 | トップページ | 2007年8月 »

2007年7月

2007年7月31日 (火)

「ドグラ・マグラ 上」 夢野久作

ドグラ・マグラ (上) ドグラ・マグラ (上)

著者:夢野 久作
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する


お薦めいただいたので、読んでみました。ヤヒロさんどうもです。
この本は「本書を読破した者は、必ず一度は精神に異常を来たす」
と言われている、怪奇小説である。本来なら、下巻まで読みたいのだが、
図書館で借りてるためまだ来ない!ので、上巻の感想を書いておく。

ヴウウ……ンンン……という音で私は目が醒めた。
辺りは見たことのない部屋である上に、自分の名前すら思い出せない。
非現実的な状況に混乱していると、若林という奇妙な教授がやって来た。
彼は私の記憶を取り戻す手伝いをしてくれるというのだが、
聞いている内、私は自分が何らかの事件に関与していると知る。
その事件のあらましと、この建物から抜け出すための記憶を思い出すため、
私は正木が残した手順の元、狂人解放治療を受けることになった。

この本は何とビックリ角川文庫の夏の100選に選ばれていたのだが、
どうにもこうにも堅苦しい本である。もっとも内容が精神遺伝であるとか、
物を考えるのは脳髄ではなく、個々の細胞であるとか、
非科学的な事柄を奥深くから掘り下げているため、論文並の文章だ。
しかし、その堅苦しい話をただ書いたところで、
面白みに欠けると考えたのか、作者は、登場人物を精神異常者にする、
ばかりではなく、この本自体も全体が精神異常を起こしているような本
として描かれている。なぜなら、この本はこの本の中の主人公が、
書いたものとされているからである。精神異常者が書いた、
言わば自伝のような進みになっており、異常者特有の気味の悪いほどの
記憶力により事細かに書かれている、と言う設定である。
さらにこの話の中にはさらにこの本と同じタイトルの「ドグラ・マグラ」
が出てきており、これまたどの次元を本質と置くか錯誤させるトリックだ。
そのような歪んだ世界で繰り広げられるのは、正木教授という、
これまた変わった男の精神論・精神異常者論であり、
話の半分以上が、彼の考えや、論文を述べているシーンに費やされている。
いかに人間が皆精神異常者であるか、今の精神論がいかに間違っているか、
熱く述べてあるのだが、振り返ってみれば、書いているのは主人公、
という設定になっているため、このトンチというか、皮肉は物凄いものだ。
おまけにこの建物から脱出するために「自分がキチガイではない証拠」を
書いているはずなのに、話の中で、正木は主人公はキチガイであると、
断言している。のみならず、キチガイの原因となった事件に関しても、
まるで他人事のように述べている。その滑稽さの中にある奇怪さが、
何ともぐにゃりと曲がった世界を作り出し、今まで自分が読んできた文が、
間違っていたのか、と疑う実に巧妙な造りになっているのだ。
構想・執筆になんと10年かかったというこの本は、まさに奇文書。
奇怪に見えるように、導くため、長い論文の中に、重要とされる文章が
繰り返し繰り返し出てきて、読者は引っかかる。
それにしても「胎児の夢」面白かったな、本当だったら、と思うと、
恐ろしいけれども、「本当だったら」なんて言っている私は、
正木教授に怒鳴られてしまいそうですね。
確かに、間違いを肯定している、という事実は少なくない。

*下巻を読んでから

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年7月30日 (月)

「ブルースカイ」 桜庭一樹

ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA) ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA)

著者:桜庭 一樹
販売元:早川書房
Amazon.co.jpで詳細を確認する


今更だが、私はSFやパラレルといった内容が嫌いである。
アニメや漫画のようにもはや非現実的ならいいのだけれど、
中途半端にタイムスリップしちゃう話がとても苦手なのだ。
その点でまずこの本は引っかかっている。
桜庭さんの素敵な文章なので、すらりと読めるのだが、やはり楽しめない。

私の名前はマリー。かつては名字もあったが、今はない。
十七世紀ドイツでは世紀末的な冷夏に悩まされていた。
夏だと言うのに雪が降り、農作物が枯れ、街が萎び始める。
そんな中全ての元凶は魔女の仕業だという、魔女狩りが横行し始めた。
街の女たちが次々と魔女に仕立てられ、殺されてゆく。
いつしか異郷人である私と祖母にも白羽の矢が立ち、
魔女であると濡れ衣をかれられてしまった。このままでは殺されてしまう…
そんな時、私の前に異国の少女が現れた。彼女の名はブルースカイ。

「根本的に何が言いたかったんだ?」と激しく疑問が残る作品だった。
この話は、第一章であるマリーの話、第二章であるディッキーの話、
そして最後にソラの話という三章に分かれている。
この一つ一つの章の中では、それとなく言いたい事が描かれている。
マリーのところでは魔女狩りと言う理不尽な好意の横行を、
「悪魔の仕業」と言う抽象的な概念で描き、それを非難するという姿勢が、
ディッキーのところでは、「急激に大人びる」存在であった女が、
現在では「幼い」女になりつつあるという社会現象がそれぞれある。
しかし全てを通して何を言いたいのか?と見てみると、
あまりにも歪過ぎて、よく分からない、と言うのが正直な感想だった。
最初~中盤にかけて、世界はまるっきり中世である。
その描写は細やかで、丸で違和感なくヨーロッパ風情を味わえてよかった。
しかし唐突に切り替わるシンガポールのために、今まで語ってきた、
マリーの話が水の泡になり、最後の数ページで処理され、残念である。
おまけに最後に出てくるソラが極めつけであり、これは日本の女子高生だ。
勿論描写は桜庭さんなので文句はない。
だけれど、唐突に表れた少女の唐突な死。それがあまりにも無残で残酷だった。
話は全体的にこの少女ソラのために描かれていると言っても過言ではない。
でも、それにしてはマリーの生い立ちの話が長すぎるし、
ソラについての描写が逆に短すぎる、なんともバランスが悪いのだ。
よって、「根本的に何が言いたかったんだ?」ということになる。
もしも桜庭さんを初めて読む方の場合、これは絶対お薦めしない。
是非「少女七竈と七人の可愛そうな大人」をお読みになって下さい。

★★☆☆☆*70

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年7月29日 (日)

「木洩れ日に泳ぐ魚」 恩田陸

木洩れ日に泳ぐ魚 木洩れ日に泳ぐ魚

著者:恩田 陸
販売元:中央公論新社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


ものすごーく久しぶりに恩田さんの本を読みました。
なんと一年ぶり!「夜のピクニック」以来でした(申し訳ない;
本当は図書館の本を先に読もうと思っていたのに、
読み始めたら止まらなくなってしまったのです。
恩田さんの吸引力は凄いなぁ、と今回も思いました。実はサイン本です。

千尋と千秋は、住んでいたアパートを明日引き上げる。
明日になりこの玄関を出たら、二人は別々の方向に歩いてゆくのだ。
いや、今夜の話し合いによっては、もしかしたら二人のうちどちらかは、
この家に死体となって残るのかも知れないのだが……。
良くある愛情のもつれであったら、どんなによかったろうか、
二人は最後に話さなければならない事が一つだけある。
そう、一年前、ある男が死んだ事件の犯人が誰であるかを。

260Pもあるのに、結局語られているのは、
破局の原因と、冒頭に述べられた一年前の話のことだけである。
おまけに主人公の二人はそのアパートから終始出ない。
こんな事を聞くと、さぞかし詰まらない話がたらたら書かれているのか?
と思われるかもしれないが、誤解しないで欲しい。
一つの出来事を読み手を飽きさせる事無く最後まで楽しませるのが、
恩田さんの得意とするところである。これは前回読んだ「夜のピクニック」
にも言える事で、こちらでは主人公たちはただ黙々と歩いている。
ただそれだけなのに、その中には様々なドラマが展開され、
そこに驚きや疑い、喜びや恐怖を味わわせてくれるのだ。
今回の話の根幹を述べてしまうと、主人公の二人はお互いの事を、
一年前の事件の犯人だと思っていると言うところ。
最後まで真実は分からないのだが、男と女、しかも双子(だと思っている)
である彼らは、最後に真実を突き止めるべきだという結論に達する。
決して実らない恋。許される事ない恋。二人は苦しみを必死に絶えるのだ。
そして二人で捜し求めた、生き別れた父親が目の前で死ぬ。
二人の仲が崩壊した理由は全てがそこに何らかの形で繋がっていた。
父親の死、それに双子の兄弟が殺したかも知れないという疑惑、
思い出したくない一年前を少しずつ思い出すにつれ、
忘却・抹消していた過去がつらつらと回り始める。
回想シーンは局部的にリアルに、もしくは夢の中で抽象的に語られるのだが、
そのどれもが、ゆっくりと近づいてくる過去のように生々しく、
読み進める内に鳥肌が立った。二人がそれぞれ持っていた真実が合わさる時、
事件の真相が、ようやく明らかになる。
展開は、過去を探るように、記憶の近辺からじわじわと攻めてゆき、
そして確信を見つけた時の二人の様子に緊張感がありとても良かった。
知りたかった、でも知りたくなかった真実。
ラストは事実は語られないので、本当の事は闇の中だ。
しかし、この一夜で繋ぎ合わされた二人の記憶は、変わらないという、
何とも不明瞭な感じで終わるのだが、最後千秋がナイフをしまうのは、
いつしか「千秋」を忘れ去ったあの日のように、この夜の事を忘れ、
未来に掛かる暗い影を拭い去りたかったのだと分かり、
焦りや焦燥が窺え、安心の中に見え隠れする緊張が良かったと思う。
まぁ残念なのは煮詰まる割りに然程最後に救いがない話であるという点で。
「こころ」のように自殺しなかっただけマシなのか?
久々の恩田ワールド楽しめました。結構買い込んでるのでこれを機に読もう。

★★★★☆*86

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年7月27日 (金)

「観覧車」 柴田よしき

観覧車 (祥伝社文庫) 観覧車 (祥伝社文庫)

著者:柴田 よしき
販売元:祥伝社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


うーん、微妙。ちょっと選ぶ本を間違えたかも知れない。
柴田さんの文章は好きだったのですが、話の展開がどうも;
雰囲気は名探偵コナンの服部と和葉のやりとりですね。
会話中に事件解決。全部トリックは主人公が語る…うーん。面白みが…;
短編集です。

唯の夫、貴之は、数年前に突如失踪した。
「誕生日プレゼントをあげるから」
そう言い残した彼が帰ることを、唯はずっと信じて仕事を続けてきた。
私立探偵…決して儲かる仕事ではないこの職業を続けているのは、
もしも貴之が帰ってきた時に、この事務所がなくなっていると、
悲しむだろうと考えたからだった。依頼を受け調査票を作成する。
そしてその調査によって壊れる家族。この仕事を続ける意味は…?

短編集だと知らずに読んでいたため、一番最初の「観覧車」を読んで、
少し拍子抜けしました。おまけに、読み手にトリックを見せないまま、
キャラクターだけが事件に興奮しているように書かれていて、
面白みが欠けている気がした。事件は主人公達の会話内で終了。
関西弁でノリはよく、楽しく読めるのですが、
その分事件についての描写がイマイチ描かれておらず、
どんな状態に現場がなっているのか分からないまま、終了した感がある。
一番よかったのは「送り火の告発」でした。
引退したアイドルが、アイドルのマネージャーになった理由が、
あぁそんな気持ちになるかも、と共感できとてもよかった。
まぁここでも、事件は会話内で解決なんですけど…。
それと失踪した夫について、これは探偵の空虚な気持ちと掛けているのか?
と思ったりしたのですが、何だか違ったようで、あとがきでは
「唯の7年間の心の移り変わりを…」みたいな事が、書かれていました。
で、結末を言ってしまうと、最後に唯は「男に抱かれたい」と言う。
最初は浮気なんかしないわ、と言っているのだが、それがこうなるとは、
何だかなぁ、と思いました。貴之の面目は?
と色んなところで、うーんと唸る作品でした。
事件物じゃなければ楽しめるかも、柴田さん。

★★☆☆☆*79

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2007年7月24日 (火)

■雑談:夏のお薦め


何だか最近、長編ばっかり読んでいる気がします。
近頃時間さえあれば結構気にせず読めてしまうようになったので、
先日の桐野さんの「柔らかな頬」も実質一日で読み終わりました。
まぁテスト期間中なので捗ったって言うのもあるのですが(笑)

ここまで来たらやはり宮部さんの
「ブレイブストーリー」をどうにかしたい。と思っていたりする。
あの分厚さを見ただけで怖気づいてしまうページ数!
手元にあるものの、今までずっと放置してきたんですよね…。
結構前「模倣犯」読んだ時もヒーヒー言ってたのを思い出し、
つい手が伸び悩んでいたのです。

あとは、京極さんの本たち…これも結構買ってある。
あとは、東野さんの「幻夜」
あとは、桐野さんの「OUT」
どれも名作ですからね、どうにかこの夏に処理したいところです。

そして、合わせて夏にお薦めな本も募集中ですので、
何かありましたら、教えていただけると嬉しいです。

私からは…そうですねぇ、もう読まれているかもしれませんが、

・「DIVE!!」森絵都著
・「ぼくらのサイテーの夏」 笹生陽子著
・「夏と花火と私の死体」 乙一著
・「夜は短し歩けよ乙女」 森見登美彦著

DIVE!!〈上〉 DIVE!!〈下〉 ぼくらのサイテーの夏 夏と花火と私の死体 夜は短し歩けよ乙女

この辺の夏っぽいものを挙げておきます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年7月23日 (月)

「柔らかな頬 上下」 桐野夏生

柔らかな頬〈下〉 (文春文庫) 柔らかな頬〈下〉 (文春文庫)

著者:桐野 夏生
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する


桐野さんの本は読みたい読みたいと思い、結構買い込んでいるのですが、
いかんせん長いので…と言う理由で放置気味でした。
それにしてもテスト期間中の読書って何でこんなに捗るんだろう。
去年は森さんの「DIVE!!」を二日で読了したしなぁ。
この本は個人的には好きだったのですが、選り好みが激しい作品のようです。
直木賞取れそうだな、と思っていたら直木賞受賞作品でした。

高校卒業と同時にカスミは親と故郷を捨てた。
一人東京を彷徨い、たまたま就職した、小さな会社の社長と結婚する。
しかし、子供も生まれ、順風満帆な生活が回り始めた頃、
カスミは急に実家のある田舎町を思い出したのだった。
今の平凡な自分は、あの時望んでいた自分ではない。
そんな思いを掻き消すため、カスミは大胆にも
家族のいる一つ屋根の下で、夫を裏切り不倫をした。
もう家族を捨てても構わない…そう思った次の日、長女・有香が失踪した。
カスミの長い長い苦悩の幕開けだった。

久しぶりに読み終わった後暗闇に鳥肌を感じた作品だった。
何の事はない、書かれているのは、一つの事件のあらましと、
その事件に関わった人間の心境と末路である。しかしながら、
桐野さんの秀逸な文章のお陰で作品の完成度が格段に上がっており、
読後物凄く考えさせられる仕上がりになっている。
失踪した娘を探しつづける母親。
カスミは娘がいなくなったと言う事実に、不倫をした自分の卑しさを呪い、
これでもかと人を疑い、また家族を捨てた自分を責めた。
この呪いは娘が無事発見されるか、死体が見つかるまで続くのだ。
失った娘という存在は、その存在価値を超え、
自分の仕出かした罪滅ぼしへと変貌を遂げてゆく。
その言葉では言い表しがたい、内面のおどろおどろしい心境を、
三つの視点から照らし合わせ描かれており、とても生々しかった。
途中で登場する、末期ガンの内海。彼の存在がカスミを大きく変え、
死に直面する事により、もう自分が癒される事はないと自覚する。
それに気づいた時の、煮詰まった思いが晴れたカスミが好きだった。
もう、終わったのだ。一つの事に区切りをつけるのはとても難しい。
ましてや娘の死などは尚更だろう。そして根底に横たわる故郷への思いも。
それらが全て済み、死に行く内海に寄せる愛がとても美しかったと思う。
この話は、結末を言ってしまうと犯人は出てこない。
カスミや内海が苦しみながら見る夢で妄想を抱くだけなのだ。
娘がカスミが捨てた両親に誘拐された夢、娘が殺された夢。
でもそれは夢でしかない。夢でしかないのだけれど、
最後死にゆく内海がもがきながら見た夢こそが真実だったのかも知れない。
そう曖昧に括られるあたりが、死の儚さと、真実の儚さを映していると思った。
一つ言っておくと、主人公に感情移入は期待できない。
不倫をしたり、人を疑ったり、宗教に癒されたり…
と何事においても中途半端なところがあるからである。
少し関わりがあった人間も後半にかけて一切出てこなくなる。
でも本当の人間て…と立ち止まって考えた時、その冷徹なカスミは、
自分だったりするのではないだろうか、と思えノンストップで読む事が出来た。

★★★★☆*92

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年7月21日 (土)

「最悪」 奥田英朗

最悪 (講談社文庫) 最悪 (講談社文庫)

著者:奥田 英朗
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


タイトルの通り「最悪」な物語でした。
でも「最悪」なんてつけちゃうと、最後まで明るい雰囲気に出来ないのでは、
と不安に思いつつ読んでいたのです、読み終わって「あぁやっぱり」でした。
吉田さんの「悪人」を読んじゃうと、申し訳ないが好感度は低いです。

不況続きの川谷は、自営業の小さな鉄工所を持て余していた。
部品一つを作るのに、何円何銭。そんな細かくみみっちい生活に嫌気が差し、
おまけに工場から出る騒音で近隣住民とトラブルが相次いでいる。
対する銀行員のみどりは、複雑な家庭環境と官僚気質の職場に悩み、
チンピラの和也はひょんな事からヤクザに追われていた。
そんなそれぞれの息苦しい日常から、3人の歯車は、
さらに「最悪」な状態に向かい、進んでゆく。
どん底を見た人間が3人集まった時、果たして彼らはどんな運命を辿るのか?

第一にリアリティの欠如が伺え、途中から読む気が失せてしまった。
「最悪」な3人(実質関係者は4人ですが)が揃ってからの会話は、
まさに滑稽な活劇と言う感じがして、リアリティを感じなかった。
勿論気持ちの葛藤や混乱も分からなくもないのだが、
全てが映像のために書かれたような風があり、
前半積み上げたものが、水の泡になりもったいなく感じたのが原因だと思う。
むしろ前半でも「最悪」に巻き込まれてゆくシーンでも、
もう少しでも滑稽さを出しておけば然程気にならなかったかな、と。
3人それぞれのテーマはとてもよく、小さな工場で病んでゆく男、
堅苦しい組織に縛られる女、悪事を悪事でもみ消される青年など、
絶妙な角度から話が展開されるため、どう話が繋がってゆくのだろう、
とわくわくしながら読むことが出来る。
しかし一番残念だったのは、三人に感情移入しづらいところだった。
特に川谷の気持ちは狂ってるのかそうでないのか、上手く伝わってこず、
そして息子の事が登場するわりに、息子自体は一度も話に登場しない。
様々な最悪な出来事に見舞われながらも、工場と子供を思いやるのか?
と思いきや、途中からは金のことばかりになる。
最後には家族を顧みて、妻の忠告を聞かなかったことを反省するのか?
と思いきや、そうでもなく、ただ狂った人間のまま終局へ向かう。
これは他の二人にも言えることなのだが、誰も自分の行動を反省していない。
こうなるしかなかったんだ、と割り切っているのか、
それとも過去に遡っても、どうせいつだっていいことはなかったと思うのか。
それでも私は少しくらい思うんじゃないか、って考えちゃうんですよね、
「あぁせめてあの時やめておけば」みたいな後悔が。
まぁ結局は…と言ってしまえばそれまでですが、
活劇のようになってしまったお陰で、パニックになった三人の
気持ちの整理が上手く描かれなかったなぁと残念である。
そして読後感がとっても悪い、まさに「最悪」なのだ。
是非とも吉田修一の「悪人」を読んでいただきたい。
比べてしまったら申し訳ないほど、「悪人」は感情描写が秀逸です。

★★★★☆*87

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年7月20日 (金)

「学校の青空」 角田光代

学校の青空 (河出文庫―文芸コレクション) 学校の青空 (河出文庫―文芸コレクション)

著者:角田 光代
販売元:河出書房新社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


狙ったわけではないのですが、瀬尾さんに続いて、
これも若干いじめを含んだ内容でした。
それにしても角田さんって凄いな、昔から文章が変わらない。
昔の方が文章が更に長いする気もする、むしろ私はそっちのが好きかな。
短編集です。

「夏の出口」
大学が推薦で決まり、私はもう進路で悩む事はなくなったはずだった。
だけど、何故か自分がその大学へ進んでいいのか、
その大学で本当にいいのだろうかと疑問が過ぎり、不安になり始めた。
ハルナや夏子たちと約束していた旅行で、今風にはしゃいだり、
彼氏を作ってセックスをしたりという計画も、今考えると、
自分ではないような、そうなってはいけないような妙な気分になる。
私は、決められた路線しか走る事が出来ないバスに、
乗り込む勇気を持てず、今来た道を再び戻ってゆく。

なんて的確な事を語ってくれる本だろうと、とても感動した。
泣いたり、という事はないのだが、思春期に子供が持っている、
ジレンマや解決できないわだかまりを、ありのままに描いている。
真っ直ぐにしか進めない自分の道、自分が仕方なく決めたその進路は、
ずっと前からそうなると思え、進んでしまえば気にならないはずなのに、
ふと立ち止まり、私はこのまま進んでいいのだろうかと不安になる。
本当はもっといい道があって、俗に言われる今風の、
ありきたりでベタな生活を送るにはこの道ではきっと間違っている。
そう思うのだけれど、結局私は同じ道しか歩むことしかできないのだ。
きっとこの迷いは過ぎてしまえばどうしようもない悩みである、
でもどうしても感じてしまう、この解決できない悩みを、
角田さんは解決しないまま、これでもかとリアルに描いている。
答えはわからない、合っているのかも間違っているのかも、分からない。
だけど気づいたら迷い、不安になっていた、と。
そんな様子を、多量の比喩を利用し、事細かに模している。
最近の本では控えめに感じる比喩も、この本(95年発行)では、
かなり大量に使用している。直喩、暗喩、隠喩、様々な方向から、
言葉では伝えきれない心の葛藤を、ありのままに描いている。
主語が一人称でありながら、ここまで押し付けがましくならないのは、
お見事だなぁ、と思いつつ最後まで一気に読めました。
内容はというと、濃いです。
いじめの題材、自分の役割、セックスについてなど。
きっと自分もそんな思いをした事があると、ふと思い出す本だと思う。

★★★★☆*90

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年7月17日 (火)

「温室デイズ」 瀬尾まいこ

温室デイズ 温室デイズ

著者:瀬尾 まいこ
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

学校に蔓延するいじめのお話です。これで瀬尾さん全部かな?
この話で書かれている状況はリアルなのか…?分かりませんが、
主人公たちの不安や葛藤などは、少し共感できました。
でもラストかがなぁ結局いじめに終局はないと感じてしまう。

学校が教室が生徒が、だんだん壊れてゆく。
今止めなければ手遅れになってしまうのに、大人は気づかない。
私の中学校は今まさに壊れようとしていた。
増えつづける喧騒、暴力、いじめ、もうここまで来たら、
後は崩れ落ち、ただただ終わるのを待つしかないのだ。
そんな時、一人「悪」に立ち向かったみちるは、いじめの標的になった。
いじめはどんどんエスカレートする。日々続けられるみちるへの
陰険な嫌がらせを見ていられず、私は学校へ行けなくなった。

生徒は皆、気づかないうちにいじめに関わっている。
いじめている人間もそうだし、勿論いじめられている人間もそう。
そして、周りで傍観している人間もそうである。
このお話にも書かれているのですが、いじめが起こりうる問題として、
生徒の環境の崩れがある。例えば授業への関心が著しく低下していたり、
器物破損が日常化していたり、人を嫌う事が当たり前になっていたり。
しかし根本的なところを突き詰めれば、これらの問題は、
平和な学校に、突然と現れたわけではないのだ。
それは家庭環境が原因であったり、ちょっとした事件が原因であったり、
本当に小さな出来事から、だんだんだんだん影を潜めながらやってくる。
子供達の歪んだ心のストレスの発散場所が学校になり、
そして誰にも止める事の出来ない負の悪循環が始まるのだ。
この話にも主人公もまたいじめられる側と、傍観する側として出てくる。
「崩壊」を目の当たりにし自らの体で感じる事で得るいじめの現状と、
「崩壊」をそっと離れ次第に悪化する様をただひたすら眺めている現状。
二つの立場から描かれた話は、「いじめ」という実態のないものを、
どこか三次元的に表して影響の広さを伝えてくれている。
しかし、なかなか当事者の気持ちを描けていないところが残念だと思った。
学校が怖くなり教室に入れなくなった優子。
彼女はカウンセリングを受けるのだが、至って精神は健康だった。
経験者から言えば、そんな事ありえないと思う。
学校にいけないが、本当は元気。そんな事ってないだろう。
きっと彼女にも何らかの原因や症状があるはずだと思う。
私も以前学校に行きたくない時期があったのだが、親が無神経だったので、
私は嫌々学校に通っていた。気分が悪い時は大抵が保健室にいて、
またある時はカウンセリングの先生と話をしたりした。
私もカウンセリングを受けろと言われた時は「馬鹿にするな」と正直思った。
カウンセリングの先生も私の会話や検査はあまりの正常だったので、
「早く教室に戻って勉強できるようになりなさい」と言った。
しかし、私はある日愕然とする事実を一つ見つけてしまったのだ。
授業中ノートに黒板を書き写している時、ふと数ヶ月前のページが
チラリと目に入り、私は目を疑った。
そのページ書かれた文字は、とても大きく溌剌としていたのだ。
それに比べ、今書いていた文字は、ミミズがのたくった字をしている。
その違いを発見した時、初めて自分が病んでいたのだと気づいたのです。
このようにきっと優子にもその苦しみが出ている部分があると思う。
またみちるだってそうだろう。この話は「いじめ」を書こうとするあまり、
「いじめ」によって生まれる個別の症状を、イマイチ描けていない。
そして学校で先生が刃物を振り回したら逮捕されるから現実的じゃない。
折角学校崩壊の様子が描けているのに、少し残念な気がしました。

★★★☆☆*84

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2007年7月15日 (日)

■雑談:2007上半期ベスト10

今年も半年が終わりました。
早いなぁ、その分年をとったってこと?
あまり考えたくないですが……( ̄± ̄;)

それはまぁ、おいておいて。

今現在、振返ってみて率直に心に残っている順番です。
レビュー下に付いている読了直後の点数とは、
若干違うかも知れませんが、そこらへんは悪しからず・・・。
みんな、時間が経っても記憶の色褪せない素敵な小説たちだと思います。
1月~6月までに読んだ本で出してみました。

-----------------------------------------------
■2007年上半期のマイベスト10 (61作品中)

1位 「悪人」 吉田修一著
2位 「暗いところで待ち合わせ」 乙一著
3位 「ビタミンF」 重松清著
4位 「風が強く吹いている」 三浦しをん著
5位 「東京湾景」 吉田修一著
6位 「対岸の彼女」 角田光代著
7位 「夜は短し歩けよ乙女」 森見登美著
8位 「檸檬のころ」 豊島ミホ著
9位 「フィッシュストーリー」 伊坂幸太郎著
10位 「ボーイズ・ビー」 桂望実著

選考 「空中ブランコ」 奥田英朗著
選考 「MOMENT」 本多孝好著
選考 「しゃべれどもしゃべれども」 佐藤多佳子著
選考 「憑神」 浅田次郎著
選考 「卵の緒」 瀬尾まいこ著
-----------------------------------------------

去年は個別に新たな感想を書いていた気もするのですが、
今年は時間の都合上割愛いたします。
どれもお薦めですので、もしお読みでない物がありましたら、
是非ご覧になってみてくださいね。

気づけば、今年も色々読みましたねぇ。
そして10月にはブログ一周年です。
ここに来てくださる皆様どうもありがとうございます。
日々感謝です。
ラストスパート、オマケに夏休みなので、
たっぷり本を読みたいと思います(*^∪^*)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年7月14日 (土)

「神田川デイズ」 豊島ミホ

神田川デイズ 神田川デイズ

著者:豊島 ミホ
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する


問題なのは、きっとどの主人公とも共感できない事にあると思う。
私は根本的に豊島さんと考え方が違うのだなぁ、
とちょっと打ちのめされた気がする。いや、いい意味で。
でも残念なのは感情移入が出来ないと言う点なのですが。
短編集です。

「どこまで行けるか言わないで」
この映画サークルに入った同級生は、たまたま皆女の子だった。
私と奥村とマルちゃん。向上心の欠片もない映画サークルに、
見切りをつけた私たちは、三人で団結し新たなサークルを作る事にした。
奥村は監督志望で、マルちゃんは女優志望で、私は脚本志望、
そして掲げた目標は「女性向けのピンク映画」を作る事。
誰も手を出していない分野に足を踏み出す、ワクワク感。
そんな明るくふわふわした思いを胸に、私たちは野望だけを語っていた。
次第にやる事が具体化し、実際に脚本を書こうとした時、
私の手は止まって動かなくなった。そしてマルちゃんも…。

連続ではないですが、短編集です。
主人公は毎度違い、話の内容も違うのですが、
共通の人物が出ていたり、本編では語られなかった結果が語られている。
その点ではとても楽しめたし、これこそが現実なのかもしれないと、
ちょっとヒヤリとした様子もうかがうことが出来きて、面白かった。
そして私にとって一番問題だったのは、この短編の誰とも共感出来なかった事。
文章が悪いのか、表現が悪いのか、何なのか、よく分からないのですが、
根本的に、私はきっと豊島さんほど向上心がないからかもしれない。
もしくは、まだ自分は何か出来るはずだ、といきがっているからかもしれない。
そんなところから、ちっとも心を揺さぶられないのでした。
と、言いつつも「どこまで行けるか言わないで」はよかったなと思いました。
何かをやりたいやりたい、とそれだけで抜け出した映画サークルだったけど、
結局自分たちが目指していたのは、とても大きな事だった。
そしてそのぶち当たった壁を越えられる者と越えられない者。
そんな二種類の人間がいて、越えられない人間は、越えられた人間を、
ただ呆然と、少し悔しさを交えて見るしかないのだ、
というとても皮肉っぽい表現がよかったと思います。
ただ、他の話でも言える事なのですが、豊島さんの話は痛いものが多い。
それはとても現実的に描く上で良い事だと思うのですが、
痛い中にも、少し上昇した慰めがないと、
どん底に突き落とされたまま終わってしまうというのは、とても耐え難い。
だって現実だってそうじゃないですか、どん底を見たら、
いつしか浮上するわけです。ずっとどん底にい続けるわけではない。
リアルに痛さを求めるあまり、どうしても排除されがちなその部分を、
もう少し配合してくれたらなぁと私は個人的に思うのでした。
だから、この作品は、全体を読んで一枚絵にするとよいと思う。
一つ目の作品に出てくる主人公たちは、次の、そのまた次の作品では、
徐々に活躍するようになり、彼らの努力が実った事を知る事が出来る。
そうするとやはり安心してしまう私がいるのです。
だから、最後の最後にやっぱりまた突き落とす豊島さんを見て、
「あぁ、あなたって人は…」とふと思ってしまいました。
いえ、それが悪いとは思わないのですが、よいとも思えず、
自分との相違点として受け取るのが一番かも知れないと思った次第です。

余談ですが、夜間部は学校により結構な人数がいます。
なんだかこの本では凄く少ないみたいに書かれていたので…。
早稲田は夜間が小規模なんだろうか?よく知りませんけど;
私の学校は憲法とか刑法とか必修になると軽く200人はいますので。
よく夜なのにこんなにいるなぁ、と自分を差し置いて感心しますよ。

★★★★☆*88

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2007年7月13日 (金)

「となり町戦争」 三崎亜記

となり町戦争 (集英社文庫) となり町戦争 (集英社文庫)

著者:三崎 亜記
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


うーん、何とも言えない後味。あまり美味しくはないような。
確か三崎さんものむさんにお薦めしてもらったような…
もうしわけないです、文章はとっても読みやすいし、好みなんだけど。
でもなぁちょっと狙いすぎかな、と思わなくもない内容でした。

突如、僕の住む町は、となり町と戦争する事になった。
何の前触れもなく決まったそれは、ポストに入っていた
「広報まいさか」に、まるでイベントのひとつの様に書かれていた。
この町で戦争? 半信半疑のまま月日は経ち、開戦の期日を過ぎた。
しかし、町の様子はいつもと変わらない。
いつもののんびりとした風の装いで、温かな光を漏らしている。
これが戦争なのか? 僕が疑問を持ち始めた頃、役所から一通の手紙が来た。

まず、もっと驚くんじゃないだろうか、と思ったりした。
そもそも、この話の舞台になっている世界(とは言っても日本だけど)は、
今の人間の感覚と微妙にずれて描かれているのです。
もしも、実際にこんな風に「となり町と戦争をして復興しよう」なんて、
そんな案が出たとしたら、物凄い数のクレームや罵詈雑言が飛ぶでしょう。
でもこの話では、その部分がやんわりと割愛してあるのです。
戦争はもうすでに行うものとされていて、反対意見はむしろほぼいない。
そんな状況をこの敗戦国日本で作り出せるまでのプロセスが、
どうしても描く事が出来ず、曖昧な心持ちのまま進める事になりました。
一番の問題点は主人公の考えている事が分かりづらいと事にあると思う。
舞台は戦下中ですから、周りの人々は躍起になっている、
そんな姿を見て、我一人関せず、と言った具合に戦争に対し考えがない。
周囲が目まぐるしく動いているのに、取り残される主人公を見ていると、
同じように生きてきたはずなのに、一人自分は違うと言う立場を取れるのか
と疑問が湧きます。微妙なギャップが生じているのです。
まるで異世界にタイムスリップしてしまった様に描かれている、
というのがその原因で、先ほど言った「割愛」によって生まれたものです。
内容はといえば、戦争は見えないところで起こっているということ、
自分が生きるために誰かが犠牲になっていること、
戦死と殺人との区別で悩むべきこと、戦争は何か有益なものと引き換えに、
虚しいものをたっぷり残すこと…色々、色々描かれています。
何も戦争について考えていなかった主人公が、
間接的に戦争に関わる事で、徐々にその恐ろしさに気づいてゆく。
そこには非常のわくわく感もある。そのわくわく感もしまいには、
自分のために犠牲になった人の事を考え、自分を卑しく思い始める。
そんな様子が、的確に描かれているので、何だか主張しすぎな気もして、
狙ってる感が漂っているのですが、内容的にはとてもよいものかと思います。
そんなわけで、小説より舞台の方がよさそうだなぁと思いました。

★★★☆☆*84

| | コメント (4) | トラックバック (2)

2007年7月12日 (木)

「真夜中の五分前 side-B」 本多孝好

真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-B 真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-B

著者:本多 孝好
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


私はAの方が好きでした。
なぜなら「超常現象の奇跡」っていうのが凄く苦手だからです。
だから市川拓司とかだめなんだと思うのですが、
「site-B」は全体的にうーん…と言った感じでした。

二年前出合った、僕の愛していた女が死んだ。
彼女は一卵性の双子で、容姿や性格がそっくりな妹がいる。
事故に遭い、双子の片方が生き残った今、尾崎さんが奇妙な事を言い始めた。
「これは本当にゆかりなのか?」
久々の再会に戸惑いながらも、僕は彼女がゆかりである証拠を探すのだが、
生き残ったゆかりを見るたび、その表情や仕草からかすみを思い出した。
もしかしたら、かすみがゆかりのフリを?疑惑が深まる中、
僕はまた真夜中の五分前に引き戻されてゆく。

とりあえず、ラストが「えー」って感じがしました。
せめて最後はどっちかにしてよ、って思ってしまい、
私にとって、その超常現象的事態は許せないところでした。
途中までは、彼女を泳がせてみればいいのに、って思っていたのです。
水泳に通っていたのはかすみだけなのだから、
泳げたとしたら、かすみ、そうじゃなかったらゆかりだと。
でもこの話では精神世界にまで入り込んでしまって、
何かの偶然で、二人が一つの体に!みたいな、超常現象を肯定して、
僕はどうにも出来ない、といった何だか切ない悩みに変わって残念でした。
結局、人類の歴史三回分の奇跡は、呪われていた?というか、
ここまでの奇跡を起こすのだ、とかそんな事を考えてしまう。
一方で、水穂のシーンはとても好きでした。
主人公が今まで乗り越えられなかった壁が崩れ、飛び越え、
あの日の水穂を好きだった自分に戻りに行く。
冷徹人間というレッテルを自分で作り上げていた主人公が、
ふと、人間の優しさに触れてみようとする瞬間が良かったと思います。
お店がどうなったのか、とても気になるのですが…。
そして迎える最後が何とも苦しいというか、これで良かったのだ、
と無理に決め付けているような、台風一過のような、
静けさが水穂のシーンととてもミスマッチ(狙ったのかな?)で、
あまり好きになれませんでした。Aの時はサッパリ、でも情熱的な感じ、
が良かったと思ったのですが、今回はうーん…です。
あ、読むときは勿論「side-A」を読んでから読んでくださいね。

★★★☆☆*83

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年7月11日 (水)

「強運の持ち主」 瀬尾まいこ

強運の持ち主 強運の持ち主

著者:瀬尾 まいこ
販売元:文芸春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する


何とも胡散臭いお話でした…いや、だって占い師の話だから。
主人公が語る内容は、結局は人生相談。
人生上手く行くかどうかは、最終的には自分次第という本です。
うーん、何だかこの設定で話を進めるにはインパクトが…と思いました。
連続短編です。

ひょんなことから占い師になるこに決めた私は、
ルイーズ吉田として、ショッピングモールの小さな店で働く事になった。
次々にやってくる悩みをもった人々に対し、
初めは数式などを駆使し真面目に占っていたのだが、
いつしかそれさえも面倒になり、私は直感で占いを行う事にした。
他人の性格や、傾向を考えるのは、まるで人生相談のようで楽しい。
しかし、自分の運勢となると、冷静に見ることが出来なくなり…。

うーん、なんだがちょっと私には微妙でした。
一つ一つの題材はいいと思うのです、瀬尾さんらしい温かさもあり。
例えば「ニベア」なんか、心温まる親子愛を感じられて、
凄く好きだったのですが、何となく「占い」で邪魔されている気がする。
主人公もただの人なわけで、結局は騙している?感が漂う中、
続ける善意の行動が、いいのか悪いのか、悩むところです。
そういう職業なのだと諦めるしかないのか…。
「嘘」まではいかないけど、出鱈目な事を言い、お金を取る主人公に、
とても共感できず、折角のドラマが薄れたように感じました。
これなら、役所や何かの窓口で働いているのに、
いつの間にか人生相談が評判になり、人が来るようになった。
とかそういう方が、もっと前向きに喜べた気もしました。
まぁ最終的に言いたいのは、自分の人生の舵を決めるのは、
結局は自分なのだ、という事。占い師は、その決めかねている人の、
その背中をそっと押し、いい方向へ向うようにしてあるのが仕事である。
そう、上手く纏められているので、楽しく読むことは出来ます。
願わくば、もう少しばれないように引っ張ってくれると嬉しかったかなぁ、
途中で「きっと振り向かせたいのは父親だろう」と、
気づいてしまったりして、私の勘が鋭くなったのか、
それとも見え見えな事を、わざわざ主人公だけが気づかないのか…。
瀬尾さんの本は残り「温室デイズ」だけになってしまいました。
気がつけば結構読んでいるものです。次は佐藤さんでも攻めてみようかな。

★★★☆☆*80

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年7月10日 (火)

「格闘する者に○」 三浦しをん

格闘する者に○ 格闘する者に○

著者:三浦 しをん
販売元:草思社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


まったくの興味本意で、三浦さんのデビュー作を読んでみました。
一言目の感想は、「直木賞作家になるとは思えない」でした。
いや、とっても失礼な事を言っていますが、うーん…と唸りたくなる、
そんな作品だったのです。これが「風が強く吹いている」の作者かと、
そう思うと、頑張ったなぁというか、成長したなぁとか思ってしまいました。

くしくも私が生まれたのは政治家の家系であった。
母は他界し、義母と、血を半分分けた弟共に豪邸に住んでいる。
父はおらず、教育ママの義母の鋭い目が光るこの家で、
私はいかにして娘を演じるかを決めかねていた。
自分は政治家になるつもりはないし、確固たる目標もない。
強いて言うのならば、愛している漫画を読みつづけたいと願うだけ。
後継者争いが激化する中、私は就職活動に精を出すカクトウする者になった。

読み返すと赤面のデビュー作と言ったところではないだろうか、と思う。
一番最初に主人公が書いたとされる小説の走り書きがあるのだが、
それがどうにも後に生きてこない。何だか物語の盛り上がりが分からず、
落ちもないまま、ラストを迎え、何ともメリハリがない感じを受けた。
確かに、デビュー作。そんなイメージを受ける作品でした。
その中でも三浦さんらしい様子がうかがえたのは、やはり会話のシーン。
今まさに漫画を読んでいるような、と言うタッチで描かれており、
とても面白いし、キャラクターが活き活きしている。
しかしここにもなんだかなぁ、と思う点があり、
キャラクターの性格がはっきり描かれていない、と残念に感じる。
初めはおしとやかなのか?と感じるキャラクターが、
いつの間にか口うるさいキャラクターに変貌していたり、
主人公はこっそりオタクで地味女なのかと思いきや、煙草をスパスパ……
私だけなのか?わかりませんが、あまりのイメージの不一致に、
このキャラクターはどんな人間を想像して描いているのか分からず、
終始曖昧なまま丸め込まれた感がありました。
物語の最初よりも中盤から後半にかけて筆がこなれて来た感があり、
勢い余ってキャラクターのテンションもヒートアップ、という感じもし、
その上ラストが結局フリーターですか、という展開になり少しいただけない。
カクトウしただけで諦めてんじゃん、とかちょっと思ってしまいました。
色々書きましたが、妄想は面白かったかな。
「彼女を大切にした」男を殴りつける妄想なんかは、
あぁまさにオタクって感じがするな、と微笑ましい感じでした。
お薦めはしませんが、三浦さんの原点を知りたい方にはいいかも。
「まほろ駅前多田便利軒」読みたいな~予約待ち50人くらいです。涙

★★☆☆☆*76

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年7月 9日 (月)

「少女七竈と七人の可愛そうな大人」 桜庭一樹

少女七竈と七人の可愛そうな大人 少女七竈と七人の可愛そうな大人

著者:桜庭 一樹
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する


久しぶりに私の心をグッと掴んでくれる女性作家さんでした。
まったくもって吉田さんや角田さんのような作風ではないですが、
この本は、小説版「彼氏彼女の事情」みたいな(好きな人はきっと好き)、
なんだか不穏な空気と、温かい微笑の混じった絶妙な本でした。

母親が淫乱であったがために、生まれてしまった美しい少女・七竈。
小さな町で異様なまでに美しいと言う事は、それだけで生きがたく、
また男に溺れ姦淫を繰り返す母は、家出性の淫乱女だと巷で有名だった。
そんな肩身の狭い七竈のより所は、親友である雪風で二人は馬が合った。
彼もまたこの世を逸した美しい顔立ちをしており、
七竈は自分と同じ境遇の人間であると信じていた。
しかし、高校に上がり日に日に互いの成長を確認するにつれ、
七竈は自分が雪風と似ていると気づいてしまう。そして周りの人物もまた…。

隠隠滅滅とした雰囲気に、ひっそりと佇む真っ赤な七竈の実と、
さらりと舞う白い雪。そんな様子がピッタリと合う、
とても不思議で、それでいて読みやすいお話でした。
一番惹かれた部分は、母親の不徳のせいで、娘が苦労していると言う点。
ブスで嫌われるならまだしも、美しすぎて生きづらいという、
何とも歪曲した痛みの描き方が好きでした。
おまけに、その美しさが仇となり、親友だと思っていた少年が、
実は自分の異母兄弟かもしれないと複雑な疑念を持たねばならない。
その心情が、つらつらと、時には鉄道と言う渋いマニアックさに逃げながら、
語られている辺りが、まさに考えさせられる部分であり、
そして最終的に母親を自分が許せるのだろうか、という問いに変わってゆく。
中には犬の視点で語られる部分があるのですが(乙一さんみたい!笑)、
人間ではなく動物を介した時の主人公の温かい視線や、
不意に見せた母親に対する態度などが、憎らしくも上手に描かれていて、
これは素敵なお話だと、認めざるを得ませんでした。
特に一番好きだった部分は、母と七竈の口論をさり気無く語る辺りですね。
客観的にみる人間の表情や、言葉、雰囲気が、犬を通して伝わってくる。
ちょっと可笑しな話ですが、その丸みを帯びた視点がとてもよかったのです。
あとは、雪風の一言もよかったかな。もしかしたら、七竈よりも先に、
兄弟であると気づいていたかも知れない雪風の、「さようなら七竈」
と、突き放された切なさと、その前に描かれている二人だけの世界が重なり、
悲しい、でも仕方がなくて、もどかしいけれど、やっぱり一緒にはいられない、
そんな気持ちが照準を見つめる雪風の瞳に写るようで、心に残りました。
親子とは何か、血の繋がりとは何か、人とは違うということは何か、
を考えながら、いかにして自分が親を許す事が出来るのか、
そんなことを考えることが出来る本です。ちょっとだけ許すのは第一歩だと。
おまけにしっとり、さっぱり、心地よい文章ですから、是非に。
個人的にはとてもヒットした本でした。

★★★★☆*92

| | コメント (6) | トラックバック (2)

2007年7月 6日 (金)

「銃とチョコレート」 乙一

銃とチョコレート (ミステリーランド) 銃とチョコレート (ミステリーランド)

著者:乙一
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


一番初めに感じたのは、ほぼ漢字が平仮名になっているため、
妙に躓き、読みづらい。児童書だから仕方がないと言えばそうだけど。
雰囲気は出ていましたね、ちょっと西洋風な感じに浸れました。
まぁ中途半端なライトの「失踪HOLIDAY」よりは私は好きかなぁ。

少年リンツは貧民街に住んでいた。
街は寂れつつあり、暴力沙汰や物乞いが横行している。
そんな中、富豪の家から金貨や宝石が盗まれる事件が続発した。
音もなく参上し、宝を奪って赤いカードを残して去ってゆく怪盗ゴディバ。
その怪盗を捕まえようとする探偵ロイズは皆のヒーローだった。
国中の人々が彼に一目会いたいと躍起になっている。
そしてリンツは怪盗の重要な手がかりを手に入れた。
果たして怪盗ゴディバを捕まえる事が出来るのか……?

今まで何度も乙一さんの長編には文句を言っていましたが、
この本は最後まで止まらずに読むことが出来ました。
ただ一つ思うのは、漢字変換をもう少し増やして欲しかったかな。
読めたけど、面白いかといわれると、うーん……という感じです。
平仮名にして、いかにも児童書向けになっているのに、
血まみれになったり、やたら銃をぶっ放したり、と極悪極まりない。
教育上よくないなぁとちょっと思いながら読んでいました。
むしろ大人向けにしてみたらどうなんだろうと。
内容はと言うと、何でもあり。
怪盗を追う名探偵と、その助手。その雰囲気は、
読み手をわくわくさせる典型的パターンですが、
中盤までは乙一さんの力量でぐんぐん楽しく読めます。
しかしひょんな事から、「名探偵が悪者でした!」という妙な展開になり、
突如話が複雑化して、善悪の判断が怪しくなってくる。
一体何が言いたいのか不明瞭。善人を信じるな、と言うところだろうか。
結局のところ、言いたかったのは父親が怪盗であり、
それは慈善事業のためだった、ということなのに、
その前の部分で散々な目に会い過ぎて、何だか疲れてしまい感動しない。
一番どうしようもないな、と思ったのは、主人公が探偵に裏切られ、
その探偵がこれまた助手に裏切られるところ。この国の人の設定は、
どこまで根性が腐っているだ?と思わなくもない。
「一見悪人に見えるが、そうではない」という設定ならともかく、
善意で渡された(ように見える)パンを、平気で捨てる探偵ロイズ。
君は何がしたいんだ?とちょっと疑問を浮かべながら、
子供だったらこんな展開を楽しむ事ができるのだろうか?と思ったりした。
そして挿絵が怖かった。うーんお薦めはしない。

★★★☆☆*79

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2007年7月 4日 (水)

「真夜中の五分前 side-A」 本多孝好

真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-A 真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-A

著者:本多 孝好
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


「真夜中の五分前」…なんて素敵なタイトル!
とミーハーな気持ちで初めは読みたいと思ったのでした。笑
哲学的なこと書いているのかしら?と期待していたのですが、
そうでもないような、何だか最後に切なさが押し寄せてくる話でした。
傾向的に大崎善生さんのような感じがしました。

僕は会社で孤立した部署の席についている。
ワンマンでやって来た女性課長に従う従順な部下、
そう貼られたレッテルは、あまり嬉しいものではなかった。
悪い噂には尾ひれが付き、社内で手を出した女性の名前まで挙がっている。
五分遅れた時計を眺めながら、仕事なんてただ生きるための糧でしかないと
全てを丸め込もうとした時、僕はある女性に出会った。
同じ顔、同じ声、同じ性格の妹を持つ一卵性双生児の女性に。

うーん「MOMENT」の黒さでは乙一さんを感じたのですが、
今回はなかなかピュアな感じがして、大崎さんぽいかも、
と思いながら読んでいました。失礼ながら大崎さんより好きですが。
個人的にはもう少し哲学的なことを望んでしまいました。
五分前というかその五分の間に起きる何か、みたいに、
少し突っ込んでくれるかしら、と思っていたのですが、そうでもない。
ただいつも五分遅れている時計を見て、過去の思い出を思い出している。
それをいつまでも直さないのは、心のどこかで忘れたくないと思っているのか、
それとも忘れたがる自分の戒めとして、そのままにしておくのか…
そんな切ない心境を読み取る手段として、ひっそりと描かれていました。
対する双子のかすみの登場。同じ顔、同じ声、同じ性格を持ち、
そして同じ人を好きになってしまう双子の姉妹。
結婚を決めた妹ゆかりの恋人を、かすみは死ぬほど好きだった。
しかしそこには越えられない壁があり、自分は決して愛してもらえない。
そんな愛に飢え、自分を見つけようともがき続けるかすみと、
自分を変えた初恋の女を忘れられず、全てを拒絶し消し去ろうとする僕。
二人は曖昧な平行線を描きながら、決してくっつかないのだ。
でもどちらかが少しでも傾き、近づいてきたら…?
そうしたら、いつしかポーカーフェイスを崩す時がやってくる、
その五分を跨ぎ「愛してる」に踏み出すその瞬間が。
そんな様子が、淡々と、でも確実に描かれていて、
そのお陰で最後のシーンで二人が壁を乗り越える時、
とても心に染みるものがありました。
本当の事を隠しつづけるクールな僕の中に潜むのは、
一人のあどけない少女だった、というところが、
私としてはグッとくる?ような。吉田さんの情けない男も好きですが、
本多さん格好つけ男の内情も良いかもしれません。
って私の好みを言ってどうするって感じですが;次は「side-B」でも。

★★★★☆*86

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年7月 3日 (火)

【映画】アヒルと鴨のコインロッカー

2007073_1 
待ちに待って、観てきてしまいました。
公式サイトに伊坂さんのコメントで、
「この映画を観てつまんないっていう人とは、
僕はあまり仲良くなれない気がする(笑)。」と言っていましたが、
私は、どうやら仲良くなれそうでよかったです。笑

「一緒に本屋を襲わないか?」
僕が引越してきて一日目に出会ったのは、
悪魔の様に真っ黒い服を着て、奇妙な提案をする怪しい男だった。
関わりたくないのだが、その男・河崎は残念ながら隣の部屋に住んでいる。
河崎と会話をしたり、本屋を襲ったり…そうしているうち、
僕は、いつの間にかある事件に巻き込まれてゆく。
三年前起きたペット殺し事件と、それにまつわる悲しい出来事に。

泣きました、案の定。
原作を思い返してみると、一体これをどうやって映像化するんだ?
と疑問が湧いていました。文章の中では伊坂さんの巧な文章で、
河崎を二人描く事が出来ましたが、いざ人を配置するとなると、
河崎がドルジであることがばれてしまうからです。
でも、ご心配なく。とてもいい映画に仕上がっていました。
小説を読んでいても、先入観なく観る事が出来、
そして、秘密が解かれた時の、心に響く感じがとても良かったです。
まず、この映画の良い点の一つは椎名役、濱田君がいい味を出している。
はっきり言って、原作は濱田君のイメージではなかったのですが、
あの素っ頓狂ぶりというか、考えていなさそうで考えているところが、
ちょうど物語の中の椎名とマッチして、良い流れが感じられました。
あとは、くどくないところがいい。観ていただければ分かるのですが、
椎名が、河崎の正体を見破ってから、もう一度物語りが回り始めます。
一度出てきた映像、演技なのに、配役が変わり、背景描写を知った後に、
それを観ると、どうしても胸が熱くなり、涙が流れました。
死んでしまった人間に成りすまし、殺人計画を練る。
それはどんなに辛かったろうか、どんなに寂しかったろうか、と考えると、
所々で見え隠れする、彼らの仕草や口癖が悲しくてたまりませんでした。
「ディラン」
そう、瑛太が濱田君に話し掛けるシーンがあります。
一番最初に椎名が聞いたドルジの言葉「ディラン」と、
「うわぁぁぁ!」というドルジの嘆きの後に聞く最後の「ディラン」、
この二つを聞くと、あの時のドルジは、こんな事を考えていたのかと、
しみじみと感じ、あの一言「一緒に本屋を襲わないか?」が、
どれだけ思いつめた言葉だったのかが、よくわかりここでも涙を堪えました。

一つ難点だったのは、この映画お金をかけてないのか?とふと思ったこと。
無言のシーンで小さく「カタカタカタカタ」と聞こえていて、
これはわざとなのか?それともお金がないのかと悩みました。
そういえば、「シッポサキマルマリ」が出てこなかったなぁ。
まぁ音楽は「ボブディラン」、効果音も適切で文句なし。
とても良かったです。一度見て損はない映画です。

*90

■公式サイト
http://www.ahiru-kamo.jp/

| | コメント (4) | トラックバック (3)

« 2007年6月 | トップページ | 2007年8月 »