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2007年6月15日 (金)

「MOMENT」 本多孝好

MOMENT MOMENT

著者:本多 孝好
販売元:集英社
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初本多さんでした。何となく佐々木譲さんのような、
乙一さんのような、そんな感じの雰囲気をもった方でした。
最後まで浮上しない低空飛行が何ともいえませんが、
好きな感じの作家さんです。次は「正義のミカタ」読んでみたいなぁ。

主人公・神田のアルバイト先の病院には、こんな噂があった。
「死に際の人間の願いを叶えてくれる人がいる」という必殺仕事人伝説。
院内の清掃がてら、様々な患者と接触する神田は、
ひょんな事から、その噂の人物、必殺仕事人の役を引き受ける事になった。
もう死ぬと分かっている人間が、最後に一つ願う事、
それは華々しい物ばかりとは限らない。
人間は最後に何を考えると思う?投げかけられた言葉を胸に、
神田は患者の最後の望みを叶えるため、奔走する。

死を扱っているからもう少し明るくすればいいのに、と思ったりしました。
だってヒロインが葬式屋さんで、しかも彼女は両親を事故で亡くしている。
そもそもそこですでに、ダークな感じがするではありませんか。
その上、必殺仕事人の内容も、願いがどれも陰険過ぎるように思う。
死に際で嘘をつき、最後の最後まで人を陥れようとする老人、
死という恐怖を、怨念と共に他人に押し付けようとする少女、
借金返済のために、自殺し生命保険を手に入れようとする男……。
どれもこれも、まったくあり得そうな話で、思わず引き込まれました。
最後の望みさえも、恨みや怒りや虚しさに当てる彼らの荒んだ心が、
とてもリアルに表現されていて、「死」について考えさせられました。
そこは凄くよかったと思うのです。しかし、暗すぎる。
上記のような精神が病んだ患者も当然いるでしょう、
もしくは苦しいから殺してくれ、という人もきっといるでしょう。
でも、そうではない人もいると思います。
例えば生き別れた息子に一目会いたいとか、
忘れられない味の料理があるとか、そういった素朴な望みをもった人です。
誰もが歪んだ精神ばかりを持っているわけではないと言う事。
そこに見え隠れする、死への恐怖を掻き消すため望む温かいもの。
それが描かれていないというか、最後は打ち消されて、
結局ダークな感じに纏められ、これでよかったのか?と疑問が残る。
いや、疑問が残るのも人生だ。といわれればそれまでですが、
でも極力疑問を残さず書かないと、必殺仕事人の存在が薄れてしまいますし。
暗いまま、明るくなる事無く、終結に……
何となく虚しさ、儚さばかりが残る、後味の悪い感じがしました。

★★★★☆*86

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コメント

どうも。

乙一さん本多さんっぽいんですかー
ちょっと気になってる方なので読んでみようかと思います。

ところで、「MOMENT」の続きがあって、
HPで読めるの知ってます?
一応、以下にアドレスコピペしときます。
http://www.shueisha.co.jp/bunko-moment/index.html

「正義のミカタ」もいいですが、
「真夜中の五分前」結構スキです。
感想お待ちしてます。

投稿: じゅん | 2007年6月22日 (金) 18:21

>じゅんさん

こんばんわ~コメント&TBどうもありがとうございます。

うーんそうですね。
乙一さんと佐々木さんを足したような……ってのが正しいかな?
まぁそれを差し引いても乙一さんはお薦めなので読んでみて下さいね^^*
お薦めはこんな感じ。
【黒乙一】「GOTH」「ZOO」「夏と花火と私の死体」
【白乙一】「暗いところで待ち合わせ」

もう一つの「MOMENT」!!
知りませんでした~情報どうもありがとうございます^^*
早速読んでみますね、冒頭からして温かい結末をちょっと期待です。

「真夜中の五分前」もお薦めとの事で!
楽しんで読みますね、AとB両方手にあるうちに読もうと思います。
(図書館の貸し出しは二週間……涙)
またお邪魔しますね。

投稿: るい | 2007年6月22日 (金) 22:20

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「MOMENT」本多孝好 死を間際にした人の願いを なんでも叶えてくれる仕事人がいるらしい。 ひょんなことから、 その仕事人になった主人公は、 いろんな人の最後の願いを叶えようとする。 本多さんは、本屋でよく見るし、 某サイトで伊坂さんが、自分より...... [続きを読む]

受信: 2007年6月22日 (金) 18:15

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