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2007年5月 3日 (木)

「夢を与える」 綿矢りさ

夢を与える 夢を与える

著者:綿矢 りさ
販売元:河出書房新社
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微妙・・・。なんて言うか文章は確かに成長したかも、って気がするけど、
主人公の心の移り変わりの描写が嘘っぽい。
そして芸能人って学校ではいじめられてるようなイメージがあるのは私だけ?
まぁ「インストール」よりは全然よいです。
が、読むように薦めるほどか?と聞かれるとやはり微妙。

略奪愛によって、日本人の母と、ハーフの父の間に生まれた夕子は、
幼い頃からまわりの人間を魅了してしまうほど美しかった。
何の苦労も無く夕子は芸能界にデビューを果たし、
テレビを見る一般人に「夢を与える」人間となった。
「夢を与える」人間は、自ら夢を見ることは許されない。
そんな環境の中、夕子はふと愛情の乏しさを感じた。
欲しい欲しいと願うものでも、決して手に入る事無く失う事を知る。

とりあえず、中盤からラストにかけてが微妙。
最初はとてもワクワクしながら読みました。
前回の「インストール」では、うーん・・・と言う感じだったので、
さほど期待していなかったのですが、文章が格段に成長していて、
大人っぽい印象の分になったなぁと感心していました。
ですが、中盤から、箱入り娘のような状態で育った夕子が恋に落ちるのですが、
その恋に落ちる様子が何とも嘘っぽかったのです。
確かに庶民的な人間に惹かれるのは分るかもしれない。
でも、あまりにもその彼氏素っ気無すぎないか?どこがいいんだ?
と言う気持ちが過ぎってしまい、これならベタなパターンで、
男がすっごく優しくて、デレデレで、でも実は騙してた、
見たいな方が納得できたような気がします。
それと中盤でいい雰囲気だった多摩が、後半であまりにも雑な扱いで、
なんだかなぁ、という感じでした。
「夢を与える」その職業に従事する人間の儚い思い、
まさに夕子は幼い頃からどっぷりその世界に浸かっていたわけで、
設定などの面ではその雰囲気が出ていたと思います。
しかし多分綿矢さんもどちらかと言えば、「夢を与えられる」方の
人間なわけで、「与える」方の気持ちがいまいち空回りに終わった気がします。
それにしてもやっぱり、最後男に溺れ過ぎて、
おまけに騙されたと認めない夕子、と言う場面は妙でした。
普通さすがに怒るでしょう。もしくは放心状態になるでしょう。
と私は考えてしまい、どうにも感情移入できませんでした。
綿矢さんの文章の成長を見るにはいいかも、
でも内容がなぁ・・・、と言うのが私の意見でございます。

★★★☆☆*81

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コメント

読まれましたか~。
今回は、確かに綿矢さんの以前より成長した文章を読むことが出来ましたよね。

ただ、本当にラストにかけての破滅への道というか、物語の構成が痛すぎてやりきれなかったです。

唯一読んでいて救いだった、多摩とのやりとりが・・後半雑に扱われていた感は確かにありましたね。
あれはとても残念でした。

また次作に期待しましょう。

投稿: すきま風 | 2007年5月 4日 (金) 09:04

>すきま風さん

こんにちわ~TB&コメントどうもありがとうございます^^*

読みました、読みました~。そうそう、文章はおぉ!と思いました。
でもうーんやっぱり若い感じは出てますけどね、
まぁそれが味ってやつでしょうかね。
出来るなら私としては今回の文章で「インストール」
なんかも書いて欲しい感じがします。ファンの方に怒られそうですが。

まさしく「破滅への道」笑。
そして何とも嫌な事に中盤から、「あぁきっとこのまま落ちる」
と分かってしまうのがね、って感じです。
でもこの「夢を与える」と言う事を書くなら、
やっぱり「破滅への道」は合ってると思うのですよ。
と言う事は、いかに読者を魅了させるか、の勝負ってわけで。
あのうそ臭い恋愛辺りとかをどうにかしたら、
もっと完璧な「破滅への道」を描けて、良いような気もしたり。笑

多摩が残念でした、本当。
一度も思い出さない、って言うのが何だかなぁと。
素朴な彼氏がいいと思ったとき、普通多摩を思い出すでしょう、
と思ってしまって。ちょっといいかげんな扱いでしたね。

次回作、短いといいな。笑
期待しましょう。

投稿: るい | 2007年5月 8日 (火) 14:41

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私は他の女の子たちよりも早く老けるだろう チャイルドモデルから芸能界へ――幼い頃からTVの中で生き続けてきた美しくすこやかな少女・夕子。ある出来事をきっかけに、彼女はブレイクするが…… −−− 待望の芥川賞受賞後第一作! 綿矢りささんの本です。 これははっきり言ってですね、インストールとも蹴りたい背中&..... [続きを読む]

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