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2007年5月27日 (日)

「ゴーストバスターズ―冒険小説」 高橋源一郎

200705
何だか正直なところ、時間をあけてもう一度読みたいと思いました。
一度じゃ多分この本の良さが分かっていないと思う。
前回の「さようなら、ギャングたち」に引き続き、これは小説じゃない。
まぁでもこっちの方がストーリーと言うか描写があるから分かりやすいかも。

あらすじ(アマゾン引用)
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アメリカがまだ若く、人々に力と勇気が満ちていた時代。ブッチとサンダンスは列車や銀行を襲い、追手と戦うのを仕事にしていた。しかしある日、二人は噂に聞いた謎のゴーストを探しアメリカ横断の旅に出る!全編を貫くパロディー精神。そして詩情も豊かな言葉遊び。21世紀文学を予言する著者渾身の力作。
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図書館で借りてしまったので、気づきませんでしたが、絶版本らしい。
確かに絶版する理由が分かるような、絶対万人受けしないだろうね、
と思うような本。前回の「さようなら、ギャングたち」も、
村上春樹もビックリ、な本だったので、さほど驚きませんでしたけれど。
問題なのは、例えばまたまた村上春樹を挙げてしまうと、
「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」なら、
構造主義と言う哲学ピアジェの理念をより小説的にアレンジし、
ストーリー性を生み出し、巧に人物描写によって、
そんな構造主義やら何も知らない読者に「こりゃ面白い」
と思わせる工夫と言うか、譲歩と言うかが伺えると思うのです。
それが高橋源一郎にはない。
はっきり言ってしまうと「分かる人だけ読んでね」な空気が漂っていて、
そのお陰で絶対に万人受けしないだろうな、と思えてくるのです。
それが「次世代的」や「読者が遅れている(文学の衰退)」
と評価されるべきなのか、ただ単に「読者を捕らえる事の出来ない本」
となるのか、その辺の微妙な判断はしかねますけれども。
ですが、確かに、面白いのです。
言っている事が纏まっていなくて、だから何なの?
と言いたくなるような部分が多々あるのですが、ふとその部分について、
立ち止まってよく考えてみると、自分の中にある混沌の悩みであったり、
人間にはつきものの不条理な世界が表されていたり、
迎え来る次世代に立ち向かい、とうとう自分が先頭に立った時、
さて何をしたらいいのだろうと言う不安であったり。
そんな事が、文章でしか表せない方法で、描かれていたりするのです。
まぁでも、上記の理由から全員に「面白いよ」
と薦められないのが難点ですが、一読の価値はありますので、是非。

★★★★☆*91

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