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2007年4月

2007年4月29日 (日)

「ビタミンF」 重松清

ビタミンF (新潮文庫) ビタミンF (新潮文庫)

著者:重松 清
販売元:新潮社
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私の苦手な重松さん。痛いんですよ、上手すぎて、痛いんですよ。
なので途中で読むのを止めたくなってしまうのです。
それにお父さん視点っていうのがまたさ、読むの辛いんですよ私。
まぁでも短編集なので「流星ワゴン」より楽しめました。

「はずれくじ」
息子の勇輝は少し優柔不断で、少し優しくて、少しお人よしだ。
ずっと見てきたはずなのに、最近分からない事が増えすぎた。
妻が入院し、勇輝と二人きりになると、話す話題が無いことに今更気づく。
そんなある日、勇輝が補導されたと警察から連絡が入った。
何でこんな時に?苛立ちを隠す事が出来ず、
怒鳴り散らすあまり、また勇輝の事が少し分からなくなった。
断れよ、そんな友達の誘い。断れよ、金魚のふんは情けないじゃないか。
振り返ればもう父親の気持ちを理解できる年齢になっていた、
「宝くじ、買ってみるか」と呟いてみる。

これはダントツによかったですね。
思わず「悪い、オヤジと帰るから!」で泣きました。
息子と父親の関係が、絶妙で、そして、
足元を踏ん張って仲間の誘いを断る勇輝の姿が、目に浮かび、
その努力と言うか「お父さんのために」と言うささやかな思いに泣けました。
でも、父親って本当はこんな事考えているのでしょうかね。
私の父は最強の放任主義、と言うか娘だと思っているのか?
の領域に達しているので、父親なりの子供に対する不安とか期待とか、
そう言う父としての感情がいまいち理解できません。
よく無口で何もしゃべらない父親像が出てくるじゃないですか、
それとも違うし、門限作るような人間では一切無いし、
とは言いつつも久しぶりに実家に帰ると喜んでくれたりするし。
かと言って、嫁にはやらんとかいうタイプではなく。
勝手にしたら?と言う他人行儀な雰囲気が漂うのです。
もちろん、その原点と言うか、親子の愛情みたいのは分かっているのですが、
ふと父重ねた時に、どうもしっくりこないんですよね。
もしくは父親は息子の方が大事なのか。笑
と言うか、うちの場合は息子の方もさらに放任なので関係ないか・・・。
・・・そんな訳で、私は重松さんの本が苦手なんですよね。
今回は感想と言うよりも・・・って感じですが、
何となくこれを父が読んだらどう思うのだろうか、とか、
そんな事を考えながら読んでしまった本でした。

★★★★☆*91

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2007年4月28日 (土)

「陽気なギャングの日常と襲撃」 伊坂幸太郎

陽気なギャングの日常と襲撃 (ノン・ノベル) 陽気なギャングの日常と襲撃 (ノン・ノベル)

著者:伊坂 幸太郎
販売元:祥伝社
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うーん。前作の方が良かったです。
何やら途中で方向変換したりして、伊坂さん的には苦労した作品のようですが。
でもやっぱり彼らがやるのは、強盗でないと、と言う気がして。
あとはもう少し国家が絡んでいるようなのを、
難なくこなしちゃうあたりがよかったのですが・・・。
そう言えば、これで伊坂さんの本制覇です。あとはアンソロジーのみ。
少し悲しいです。笑

それぞれ奇異な特技を持つ男女4人の銀行強盗の話。
嘘を見破る男・成瀬に、演説大好き男・響野と、スリ男・久遠。
そこに体内で時間を正確に刻む女・雪子が加わって絶妙な強盗団が完成する。
最強強盗団の4人がそれぞれに巻き込まれた、それぞれの事件。
しかし、とある銀行強盗をさかいに、突如浮上した「社長令嬢誘拐事件」が、
それらの事件に密接に絡まり始めた。果たして誘拐犯の本当の目的は?
今日もお騒がせ4人組が街を陽気に駆け抜ける。

最後、苦しい感じがしたんですよね、そこが前作の方がよいと思った原因かも。
成瀬が、「田中がいればなんでも出来ちゃうと分かるってしまう」
と言う感じのセリフを言うのですが、まぁまさにその通りだよねと言う感じで。
いや、またそこが面白かったりしたのですが、
今回はスリルが少なかったのと言うか、事件解決!となってから、
成瀬が「実はさ」と真実を語る、みたいな調子で、
響野や久遠と同じく騙されている感があって、煮えきりませんでした。
まさに「手品の種を知って、ショウを楽しめるか?」なんですけど。笑
前作は子供を人質にとられたり~みたいな事もあったので、
緊迫感のメリハリがあった気がしましたが、今回の令嬢を助ける理由が、
何とも曖昧に感じ、いつもなら助けないのに・・・と思わずにはいられず、
強盗の時に巻き込んでしまったからなぁ、と言う仕方なさが微妙でした。
まぁでもカジノとか、まさにギャングだよね!と言うシーンが合って、
とても似合っていましたね。ちょっと成瀬がカジノで勝負して勝つ、
なんて様子も欲しかった気がしますが、久遠の格好とか笑えました。
あとは離婚の話も出てきましたが、私はちょっと意外に感じましたが。
ハズレはありませんので、まったりエンターテイメント的に、
楽しみたい時には最適かと。

★★★★☆*87

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2007年4月27日 (金)

「制服捜査」 佐々木譲

制服捜査 制服捜査

著者:佐々木 譲
販売元:新潮社
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佐々木さん、ダメでした。
何となく「京都迷宮案内」みたいで面白くはあったのですが、
田舎と言う設定だし捜査にマンネリ化が目立ち、うーん・・・と思いました。
どれも「町民→権力者→解決」のパターンを感じがしてしまったんですよね。

警察官人生25年の川久保は、警察の不祥事により玉突き左遷になった。
強行犯係の花形仕事から一変、田舎で単身赴任の駐在勤務にだ。
犯罪発生率最低の健全な町に投げ込まれた川久保は、
右も左も分からぬうち、事件に遭遇、地元警察の杜撰さを知った。
果たして何が正しく、頼りになるのは誰なのか、
試行錯誤の駐在警察官が捜査を始める。

連続短編集です。淡々と安心して読める話ではありました。
きっと解決してくれるだろう、と言う期待がどこかにあって、
その上、意外性が少ない気もして、呆気ない感じがありました。
しかし、今までなら自分よりも格下の相手である警察官に
舐めてかかられた時のむかつきや、事件を解決した時の
「どうだ、見たか」と言う清々しさは良かったと思います。
でも「感知機」で火事が起きた事件の時は煮え切らなかったんですよね、
公園で母親を連れて移動している男が伏線を引かれているのに、
結局違う人が捕まってしまい、一体あれは何だったのか?と。
あのシーンは川久保の駐在としての優しさが書きたかったのだろうか。
出来るならばステレオな方が良かった気もしなくも無い、
少し捻りのある刑事ものです。果たしてそれがいいか悪いかは好みかも。

★★★☆☆*83

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2007年4月16日 (月)

■雑談:表示遅いよね?

こんばんわ。
吉田さんの「悪人」にはまって、抜け出せなくなっている、るいです。
つ、続きが気になっちゃうんです・・!!
と思いながらも、読む終わるのももったいないような(苦笑)
何気に吉田さんはコンプリート済みなので、もう新作を待つしかない。
いや、あとアンソロジーがあったかな。

そうそう、このブログ画面表示鈍くないですか?
遅いですよね?
私だけ?

左側は速いのですが、特に真ん中→右の欄の表示が遅くて・・・
左側のメニューで色々折りたたんだり掲示板つけていたりするからかな。
いっそ右に持ってこようか・・・。
ちょっと改装を予定してみます。
疲れるんですけど、仕事中やっちゃえ、という暴挙に。
学校も始まって、うんざりな毎日が始まりました。
皆さんも、色々頑張って下さい。

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2007年4月15日 (日)

「小生物語」 乙一

小生物語 小生物語

著者:乙一
販売元:幻冬舎
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あとがきの方が面白い、なんて事もある乙一さんの、Web日記を単行本化。
今回はその単行本を文庫化したものです。
裏切らない、面白さ。裏切らない、マニアックさ。
難点は「どこまでが本当か分からない」ただそれだけ。

日記なので、あらすじは省略しますが・・・。
2003~2004年の日記です、デビューしたて頃でしょうか?
約一年分の日記がつらつら描かれています。

思わず、むふふと含み笑いをしたくなる内容満載。
ゲームキューブを鈍器として人を殴ってみたい気分になります。
途中からギャグがヒートアップ&ワンパターンになりちょっと残念ですが、
読んでいると、あぁこの時乙一さんはこの本を書いていたのか、とか、
没になった本の話とか、サイン会の話とか、
色々書いてあり、ファンとしてはとても嬉しい限り。
ソファにいついた「青」も出てきます。
低姿勢で自分を蔑み続ける乙一さんの態度に笑え、大満足。
まぁこれは読んでみたら、としか言えませんが。
面白さはあとがきと変わらず、しっかりたっぷり。

★★★☆☆*85

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2007年4月14日 (土)

【映画】東京タワー オカンとボクと、時々、オトン

20070414_1 
公開日でした。
樹木希林の迫真の演技に、感動しました。
フジカラーのCMのイメージが強かったのですが、さすがですね。
でも個人的には小説の方が好きでした。
かなりの豪華キャスト、オカンの若い頃は樹木希林の実の娘がやってます。
それくらい気合の入ったキャストで、この話、観て損は無いと思いますよ。

あらすじ公式サイトより引用
----------------------------------------------------------------
母と子、父と子、愛と友情、青春の屈託・・・。
あなたにどこか似ている普通の人へ。
陰影、やさしさ、想いの深さを余さずくみとる、血の通った物語。
----------------------------------------------------------------

泣けました。
オカンが抗がん剤で悶え苦しむシーンで、
樹木希林のまさに女優たる姿を垣間見た気がしました。
本当に、凄いのです。嘔吐したり、痛がったり、
そんなシーンばかりが続くのですが、まさに今ここで死んでしまうのでは?
と思うほど、実に見事な、辛そうな演技をしているのです。
その横で見るに絶えず目を逸らすボク、オダギリジョー。
オダギリジョーは実物の人間がいるにもかかわらず、
なかなかな演技をしていました、リリーさんの雰囲気がとても。
オダギリさんは死んだオカンの横で仕事をしている姿が一番好きでしたね。
他は勝地君がオカマ役で出ていたり・・・と多彩なキャスト。
少し残念だったのは、キャストが豪華すぎる事によって、
リリーさんの素朴な過去の感じがちょっと薄れてしまった気がしました。
オカンが死んだ時に、嘆き悲しんでいた火葬場のシーンもカットされてしまい、
オカンがいなくなってどれだけリリーさんが悔やんで、
悲しんで、後悔したのかが表現されていなくて、小説と温度差を感じました。
私は、是非小説を、と言う感じで。
映画やドラマもいいですが、この話に関しては小説が一番です。

*85

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2007年4月12日 (木)

■雑談:やめられない止まらない

最近、本を見るとつい買ってしまう癖がつきました。

非常に危険です・・・。
何て言うか、「一世一代の恋」みたいな感じで、
今すぐ買わなきゃ・・・!!と気持ちが焦るのです。
変な例えですが、もう、なんて言うか止められないって言うか。

心の中では
「どうせいつかは買うんだろ、買っちゃえよ」
「あんた、今日の財布の中身確認しなさいよ」
「早くしないと初版本無くなっちゃうぜ」
「節約のために図書館で借りるって決めたじゃない」
「ほら、お前の好きな作家だし」

と葛藤を繰り広げた挙句、正統派の私はあっさり負けてしまい、
いつの間にか、レジの前に並んで財布を取り出しているのです。
あぁ・・・欲しいんだけどさ。
欲しいんだけど、最近我慢が出来ない人間になっているように思います。
色々買っちゃったしなぁ。
ここ数日でも、かなりの量ですよ。
図書館の本も溜まってるのに・・・!!

でも、こう表紙を改めてみると、読みたくて仕方なくなって、
「買ったのは間違いじゃない!」と思う自分がいるのです。

■ここ一週間で買ってしまった本・・・
------------------------------------------------------------
・「悪人」吉田修一 (1900円くらい)
・「うりずん」吉田修一 (2000円くらい)
・「家日和」奥田英朗 (1400円くらい)
・「マドンナ」奥田英朗 文庫 (500円くらい)
・「空飛ぶタイヤ」池井戸潤 (1900円くらい)
・「小生物語」乙一 文庫 (500円くらい)
・「陽気なギャングが地球を回す」伊坂幸太郎 文庫 (600円くらい)
・「美女と野球」リリー・フランキー 文庫 (500円くらい)
・「幻夜」東野圭吾 文庫 (1000円くらい)
------------------------------------------------------------

余裕で一万超えてました。
書くの途中で嫌になりました。あぁでも読みたい。
しかも今更気づきましたが、重量系が多いですね。
まぁ私に買われてしまった本たちのためにも、
しっかり読ませていただきます。

ちなみに、今は「悪人」と「小生物語」あたりを黙々と。

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2007年4月11日 (水)

「家日和」 奥田英朗

家日和 家日和

著者:奥田 英朗
販売元:集英社
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20070410_1 
新刊をすかさずかって読んでみました、短編集。
日記にも書きましたが実はサイン本です。うふふ。得した気分です。
伊良部シリーズ以外読むのは実は初めてだったのですが、
この本もユーモア路線でした。伊良部は出てないけど、そんな感じの雰囲気。
初め読んで面白さに感激だったのですが、
徐々に慣れるのか一番最初が良くて、最後が微妙に感じました。

「サニーデイ」
42歳の紀子は、夫と子供が2人いる。
何不自由の無い生活だったのだが、何もイベントがなく
過ぎ去ってゆく日々にマンネリ化し、飽き飽きしていた。
そんな時ひょんなことからオークションに興味を持ち、
家にある、いらない物を次々に出品し始める。
落札者の感謝の言葉にそのつど一喜一憂し、
嬉しさを家族に伝えるのだが、誰も相手にしてくれない。
腹が立った紀子は、夫の大事にしていた物を売ってやろうと悪事を働く。

「サニーデイ」は一番目に載っているのですが、私は一番好きでした。
日常の退屈さのあまり、オークションにはまってしまうところや、
落札された時の喜びを、思わず「ねぇねぇ売れたよ!」
と報告したくなるところにとても親近感が持てて、紀子を応援していました。
こっそりと悪事を働き、夫の大切な物を売ってしまう。
だけど、全然使って無いし、必要あるとも思えない、
それに、私を全然構ってくれないのがいけないのよ、と憂さ晴らしするのだ。
でも、子供たちの持ってきた花束に思わず泣ける。
「あぁちゃんと私の事を考えてくれていたのか」と言う感激と、
自分がやってしまった大変な事を思い出す。
紀子の慌てようがまた面白くて、でもそこにはたっぷりと愛情が詰まっている。
求めていた物はサニーデイ。食卓に花を飾るであろう明るい日々が、
紀子に待っている気がして、温かい気持ちになれました。
その他、5本短編が入っているのですが、個人的には後ろに行くにつれ、
あんまり楽しくなかった・・・うーん。順番って決めるの大変ですね。
特に一番最後の「妻と玄米御飯」は、ちょっと自虐ネタと言うか、
自虐ネタだと思っている読者をあざ笑ったかのような話で、
読んでいて素直に笑えませんでした。
作家が出てくるのは分かるのですが、自分にしなくても・・・みたいな。
いや、でも全体的にはとても好きでした。
ほのぼののんびりした、家族の温かさを感じたい時に。

★★★☆☆*87

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2007年4月10日 (火)

「ブルースノウ・ワルツ」 豊島ミホ

ブルースノウ・ワルツ ブルースノウ・ワルツ

著者:豊島 ミホ
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


こちらも、すきま風さんにお借りしました!ありがとうございます^^*

正直、何だか何が言いたいのか良く分からない話でした。
童話のような、そうでなような、ちょっと楽しめない雰囲気が;
取りあえず大人になりたくない子供はキチンと描けていましたが、
そのために用意された周りの設定が、非現実的すぎて、
その上、あまり練られていない為、完成度を下げている気がしました。
豊島さんは現実的な作品が一番です・・・。

メイドを従え豪華な生活を送っていた楓に、弟ができる事になった。
父親に連れられていった先で見たものは、
人間とは程遠い、野生児の男の子だった。彼は楓の弟になるのだ。
始めはいぶかしんでいた楓であったが、
いつの間にか、純粋な野生児・ユキの心に惹かれる所があった。
言葉すら通じないユキから感じる、永遠の子供らしさ。
楓は、自らの葛藤の中でユキを求め始める。

うーん・・・ちょっと残念。
読み始めは、「お?今度は童話?児童書?」と期待したのですが、
子供向けにしては表現が固くて、違うような気がしました。
日本でありながら、シャンデリアがあるような豪華な家に住む楓。
その設定の時点で、何か非現実的な世界を感じてしまい馴染めず、
おまけに言葉の話せない様な野生児が出てくるのを、
一体どう処理して話を進めるんだろう、と心配していました。
これら話が進むにつれ大きな問題になる二点・・・しかしながら、
上手く話に嵌め込まれなかった、と印象が強く、
何が言いたいのか良く分からない・・・と言う感じがしました。
大人に成りたくない少女、それはまるで言葉を話せない野性が、
そうであるように、無理やり成長させられるなんて間違っている。
そう言った気持ちが前面に押し出されていたので、
ブルースノウワルツの意味は判りました。
うーん、でも私はあまり楽しめませんでした。ごめんなさい。

★☆☆☆☆*-

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2007年4月 9日 (月)

【DVD】リリイ・シュシュのすべて

20070408_1
こちらもすきま風さんにお借りしました~ありがとうございます^^*

予想以上に良かったですよ(笑)
何となく感覚的な映画でしたが、市原隼人と蒼井優がとてもよかった。
あと、勝地涼と大沢たかおも出ていて、大満足。
痛いと言っていた内容、個人的になかなか好きでした。
しかしながら、タイトルがなぁ・・・まんまと言うか、逆に分からん。

あらすじ引用
-----------------------------------------------------------
カリスマ的アーティストリリイ・シュシュに心酔する中学2年の雄一。
学校でイジメを受けている彼は、自らが主宰する
リリイのファンサイトリリフィアの中で交わす、
青猫というハンドルネームのリリイ・ファンとのチャットに心癒されていた。
雄一をイジメているのは、星野という同級生。
1年の頃は、剣道部の部員として仲の良かったふたりだが、
夏休みに仲間と出かけた沖縄旅行を経た新学期、星野は突然豹変した。
-----------------------------------------------------------

好きなんですけど、分かりにくい事は確かなんですよね。
まず雄一がサイトの管理人だと気づくまでにとても時間かかる。
軸になるものをカットして、周りをじわじわ攻めて味を出す、
と言う感じなのですが、削りすぎて「ん?」と意味の判らない部分が。
しかしながら、イジメの「リアル」な実態の表現方法が良かったです。
飾らず、ありのままに。お陰で過激なシーンがありますが、
実際の中学校はこんなものですよ。もっと酷いかも?
援助交際を強要されている津田(蒼井優)の、
開き直らないと生きていけない位追い込まれた心や、
どこかで心の浄化を求めている星野(忍成修吾)の壊れた心が、
リリイと言う架空の”神”を通して、とても上手く描かれていました。
人間は極限の状態になると、知らぬ間に何かに縋りたくなる、
その対象がこの映画ではリリイと言う歌姫であり、人間ではない。
いつの間にか人間としての存在を超越し彷徨うあまり、
実体がなくなり人々の空想の世界に潜り込んでしまっている。
そして迎え来る死も、自ら命を絶つ死も、等価であって、同じように儚い。
取りあえず内容は凄く重いんですよ、二人も死んじゃうし、
終わった後にとても考えさせられる内容だと、思います。
それにしても、蒼井優が可愛かった、あと市原君も若っ!
ちょっとトキメキそうでした、内容はトキメク事が出来ない感じですが。
何気に豪華キャストだったりして、こっそりいろんな人が出ていました。
「花とアリス」も楽しみですね。

・・・付け加えるのも難ですが、
撮影現場が栃木だって事で、ほとんど知ってる場所でした。
電車のシーンで「思川」が出てきた時、ちょっと噴出しそうになったり。
真剣なシーンなのに、思川かよ!みたいな。
そう言った意味でもとても楽しめました。言っておくと、かなりの田舎です。

*82

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2007年4月 8日 (日)

「うりずん」 吉田修一

うりずん うりずん

著者:吉田 修一
販売元:光文社
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いや~かなり良かったです。期待は裏切られませんでした。
お薦めですよ~私も図書館で借りたのですが、買いなおすかも。
吉田さんの本の中で今のところ一番は「パレード」なのですが、
それに追いつく勢いですね、と言うか短編と言う分野だったら抜いてるかも。
佐内さんという方が写真を撮って、その写真を元に吉田さんが
短編を書いています。実はお二人は全部終わって編集の時に初めて会ったとか。

「解雇」
解雇された岡野と美里はビーチバレーを眺めている。
目の前では黄色いチームが大差を付けられ負け始めた。
会話の流れで、岡野はボート部だった自分が
強くなりたいと躍起になっていた頃の事を思い出す。
「どっちが勝つと思う?」
もしも美里が「黄色いほうが逆転する」と答えたら、
ここを立ち去ろうと心に決め、問いかける。
ここで終わりだと思った後に、もう一回、
自分にはオールを漕ぐ力があったことを思い出した。

何だか写真があるって新鮮だなぁと思いました。
それに、その写真を見て膨らんだ物語を吉田さんも書いたわけで、
勝手に挿まれた写真だったとしたら、勝手に文章のイメージを作られて嫌、
と思うのかもしれませんが、これは違うのですよ。
吉田さんが写真を見て、眺めて、感じた事をダイレクトに体感できるのです。
そして不思議な事に、眺めていると確かに「なるほどそう感じる」
と納得する事が出来ます。さすがは同じ歳の芸術家のコラボだから?
どことなく佐内さんと吉田さんには似たものを感じました。
平凡の中に際立つ大切な思い、みたいな。
写真の良し悪しって、正直よく判らないのですが、
「わー綺麗!」とか「どれも絶妙なアングル」なわけではありません。
むしろその逆を狙っているのではないか、と言う印象があります。
写真の中に納まっている物や人もとても平凡なのです。
しかし、その写真、と言う中に切り取られた一瞬の中に、
その人、物、時間なりの大切な瞬間が詰まっている、そんな感じがしました。
是非写真を見てから、吉田さんの文章を読んで欲しいです。
その一枚の写真から感じるインスピレーションと言うか、イメージと言うか、
取りあえずそう言ったものを頭に思い浮かべながら読むと、
吉田さんの文章に出てくる登場人物たちがとてもリアルに動いてくれます。
中でも好きだったのは「解雇」「後輩」「野心」だったのですけども。
どれも、平凡で、でも忘れてはいけない一瞬の思いが詰められていました。
短い話なのに、何故か泣けてきたりするんですよね。
ゆっくりと写真を眺めならがら、コーヒーブレイクに最適です。

★★★★☆*94

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2007年4月 7日 (土)

「エバーグリーン」 豊島ミホ

エバーグリーン エバーグリーン

著者:豊島 ミホ
販売元:双葉社
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すきま風さんにお借りしました!どうもありがとうございます^^*

あー良かったです。
なんだか偉そうな事を言ってしまえば、成長したね、って感じの本。
比喩とか、主人公の女の子の気持ちとか、
とても上手くて、すんなりと共感する事ができました。
ちょっとマニアックな内容を含んでいますが、
それは豊島さんが実際になさっていたからでしょうか・・・?
今回はかなりネタバレぎみで書いてるので、気にする方は読まないで下さい;

時は中学生-。漫画家を目指すアヤコと、ミュージシャンを目指すシンは、
卒業式の日に約束をした「10年後にまた会おう」と。
きっと夢を叶え、またこの場所へやってくる事を誓った。
好き、とは違う。ある意味憧れのような、目下のような、
曖昧な関係でありながら、あの時の二人はお互いに支えあっていた。
消えない夢、ずっと心に住み続ける思い出、
そっと胸に手を当てながら、二人は10年後のあの場所へと向かう。

豊島さんの小説を読むと思うことなのですが、
豊島さんはかなり現実的なことを書かれる作家さんです。
それがいい意味での作風だと思いますが、
小説、フィクション、ハッピーエンド、だと思って読み始めると、
突き当たった現実に寂しさを覚える事があります。
と、言うのも私が小説で非現実的なものに現実逃避を求めているから、
主人公は仲間ともども幸せに、問題は全て解決、を探しているのです。
しかし、この本でも分かるように、主人公のアヤコ、
それからシンは、決して結ばれる事はありません。
こんなによい題材を前に、思い悩み必死に格闘しながら、決して結ばれない。
そう、それこそが現実なのです。10年もの間、
お互いが他の誰とも付き合わず、ずっと一人の人間を待ち続ける。
そんな事は現実的には無理なのです。
気持ちは変わりゆき、そして全ては思い出になる。
その現実を突きつけられたとき、儚くて、苦しくて、切なくて
でもどこかで「しょうがないか」と言って涙を流すような、そんな小説です。
勿論その「しょうがないか」は少しの諦めと、現実の確認。
変わり行くものを確かめ、前を見据えなおす、そして思い出はしまっておく。
最後に見せたアヤコの表情が好きでした。
「その小さな残像さえいとおしくて、
私はしかめっつらになるくらい強く強く目を閉じる。」
良い本です。

★★★★☆*91

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2007年4月 6日 (金)

「バッテリーⅥ」 あさのあつこ

バッテリー 6 (6) バッテリー 6 (6)

著者:あさの あつこ
販売元:角川書店
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すみません・・・文庫本を買ったら、
止まらなくなっちゃって最後まで読み終えてしまいました;
色んな本借りてるのに、すみません・・・次は必ずそちらを。
うーん、映画があっさりしていた分、かなりくどく感じました。
こんなに皆うじうじ悩んでいたのかと。

残すは横手との非公式試合のみ。
高校進学を決め野球を引退する三年生もいる、そんなメンバーが、
最後に一度だけ試合をする事を許された。
巧と豪の新生バッテリーの苦悩、卒業する者の思い、
レギュラーで試合に出れない悔しさ、天才・巧の猛球への恐怖と期待。
それぞれの思いを胸に、今最後の試合が始まる。

え?最後どうなったの?
と言うのが一言目の感想でした。なんだが文章の流れからして、
門脇に打たれたような感じがしたのですが、どうだったのでしょうか。
名前を呼ばれたってことは打たれてないんだよね?
爽やかでスッキリしたラストを考えていたので、
ちょっと肩透かしを食らった感じです。
いや、十分爽やかではあったのですけれどもね。
何となく、こう映画のイメージが強くて、巧のお母さんが、
「ガンバレ、ガンバレ、た、く、み」みたいな声援があるのか?
と期待していただけに、そうゆう思いが強かったように思います。
それにしても、やっぱりあさのさんはこの交差する少年達の思いを、
見事に描いているよなぁと感心しました。
文章を読むだけで、まるで映像を見ているように分かるのです。
そして、そこで動く登場人物たちが、何に悩み、戸惑い、焦っているのか、
とても明確に、それでいて曖昧に淡く滲ませながら伝えてくれます。
「豪がキャッチャーじゃなくてもいい」
他の子たちの思いもよかったですが、
私は一番巧のそんな言葉に心が温まりました。
「豪がキャッチャーじゃなくても、俺は投げる」という意味ではなく、
「豪はキャッチャーじゃなくても、傍にいてくれればいい」
そんな巧には珍しい素直な気持ちを、
伝えようと頑張っている姿がとても好きでした。
バッテリーとしてではなく、友達、親友として・・・。
願わくば、映画のような感動のラストを・・・って感じでしたが、
そんな事を差し引いて、物語りに引き込んでくれるあさのさんの力には、
感服でございます。6巻長かったなぁ、でも同時に読んで良かった、
楽しかったと思える本でした。是非、まとめてお読みになってみて下さい。

★★★★☆*89

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2007年4月 5日 (木)

「初恋温泉」 吉田修一

初恋温泉 初恋温泉

著者:吉田 修一
販売元:集英社
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待ちきれなくて買ってしまいました、吉田さん。
タイトルが絶妙な響きがあって、とても好きです(笑)
内容はタイトル通り、温泉に訪れるカップルのお話。
短編5本収録。

「ためらいの湯」
勇次は久しぶりに会った大学の友人と不倫を始めた。
自分にも妻がいるし、相手の和美にも旦那がいる。
話の流れから、2人で温泉へ行こうという話になるのだが、
いざ、こうして不倫どうしの2人が向き合うと、
どこか後ろめたいような、それでいて相手に悪いなと思っているような、
妙な気持ちが湧いて来て、本来の不倫の意味を失っている気がする。
電話から聞こえる妻の声が、そっと勇次の袖を引っ張っていた。

淡々と、だけどとても現実的に日常が描かれている。
ちょっとした事から足を向ける温泉、ふとその湯に浸かりながら、
思う事は日常では味わえない不思議な感覚があるのだ。
不倫同士の旅へ出かける勇次は、ためらいにふと足を止める。
いつも優柔不断で他人に指図ばかりを受けている自分が始める不倫、
それこそは自分の意志があるはずだから、胸を張って進みたい。
しかし、心のどこかでは、やはり妻に悪いなと言う気持ちや、
こうして不倫に付き合ってもらっている和美に申し訳ない、
と言う気持ちが湧いてくるのだ。
その気持ちは正しいようで、正しくない。
そんな気持ちがあるのなら、初めから止めておけばいいのだから。
意気投合して始めたはずの不倫を、ふと立ち止まってみると、
自分はこんな事をしていていいのか、とまた優柔不断になる思いを、
必死に堪え目を瞑ると、そこには空の浴槽しかない。
温かさの無いただ冷たいだけの浴槽が、浮かび消えてゆく。
やはり間違っているのか?自分はこのまま進んでいいのか?
そんな疑問を抱いたままのラストが、とても好きでした。
あとは「純情温泉」も純情なストーリーで吉田さんにしては意外。
かなりラブラブな雰囲気が痛いな、と思うくらいですが、
きっとこの2人は上手くはいなかいのではないか?
と言う疑問も抱えていて素直に喜べない辺りが、いいのかも。

★★★★☆*90

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2007年4月 1日 (日)

【映画】パフューム ~ある人殺しの物語~

200704011

友人に是非観ろと言われたので、早速観てきました。
友人曰く「2回観たいくらいだ」と言っていましたが、
私はそれ程ではなかったかも・・・でも良い作品でした。
しかしながら、感動して泣く、と言うよりは、
神秘の力を授かり生まれてしまう事への恐怖と言うか、
呪い?的な恐ろしさに感服する作品でした。

公式サイトより引用
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パリの魚市場で産み落とされた、世にも稀なる才能
1737年7月17日、パリのセーヌ河沿岸に並ぶ魚市場は、活気と悪臭に満ちていた。
大きな腹を抱えた魚屋の女が、突然店の奥に倒れこみ、
無造作に捨てられた魚のはらわたの上に赤ん坊を産み落とす。
人類に2人といない才能が誕生したことなど、人々は知る由もなかった。
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グルヌイユは類稀に見る嗅覚の持ち主だった。
母親に先立たれ貧相な育ちをしていたが、ある時自分の才能に覚醒する。
初めて出歩く街、初めて出会うニオイ。
グルヌイユはある女性の匂いをいたく気に入ってしまい、
その女性の後を匂いを頼りに追いかける。
女性から発せられる魅力的な匂いに虜になってしまったグルヌイユは、
咄嗟の事で、その女性を殺してしまった。これが全ての始まりになり、
グルヌイユは匂いを永久に保存する、香水を作るために没頭する。
究極の美しい香りを手に入れるため、グルヌイユは次々に女を殺し始めた。

恐ろしいです。何が恐ろしいかと言うと、その才能が。
主人公・グルヌイユには全く悪気は無いのです。
自然に感じてしまう臭い、匂い、ニオイ。
自分はそれを保存し、究極の香りを作るために生まれてきたから、
その責任を果たすためには、人を殺す事もいとわない。
捕まってしまったグルヌイユの「必要だったから」
と言う言葉に全身の鳥肌が立ちました。
そうなのです、彼にとって美しい匂いを放つ人間のニオイが欲しいだけで、
殺した人間の本体は、まさにニオイを得るために
「必要だった」と言う事に過ぎない。
悪びれる事もなく殺した12人の女性の命が、可愛そうな様で、
それでいて仕方が無かったようで・・・。
処刑台の上でグルヌイユの投げたハンカチを必死に追う人間達が、
あまりの素晴らしい香りに跪く姿が、
超越した力に抗えない、人間の貧弱さを描いているようで虚しくなりました。
そしてグルヌイユの死は狂おしく呆気ない。
色々考えさせられる話でした。泣けはしません、多分。

*88

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