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2007年3月14日 (水)

「Run!Run!Run!」 桂望実

RUN!RUN!RUN! RUN!RUN!RUN!

著者:桂 望実
販売元:文藝春秋
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陸上のお話だから、とちょっと期待して読んだのですが、
初めから終りまで「?」と疑問が多い作品でした。
あの佐藤さんの「一瞬の風になれ」の影響が強すぎたかも知れません。
桂さんならではの、堅物の冷徹人間が徐々に心を開いてゆく、
と言うシーンも何となくインパクトにかける気がしました。

優は陸上のためだけに生きてきた。
箱根駅伝を途中棄権せざるを得なかった父の夢を背負って、
自分は完璧なアスリートになると決めていた。
夢はオリンピック、たかだか大学生ごときが走る箱根なんて目じゃない。
優がアスリートとして完璧な生活をするなか、
優とは別に医学の分野で完璧を目指していた兄が突然自殺した。
兄は何故死んだのか?
突き詰めてゆくうちに優は自分が遺伝子操作された人間だと知る。

うーん。簡単に言ってしまうと、
今まで陸上だけを見てオリンピックを目指していた人間が、
遺伝子操作されていた、と言う事実により夢を諦めなくてはいけない。
と言う話でした。いやはや遺伝子操作はドーピングでひっかかるらしい。
今の時代ってそんなに遺伝子操作が流行しているのでしょうか?
詳しく知らないですが、このテーマについて、ちょっと壮大すぎて、
陸上で纏めるにはインパクトが強すぎるよ、と残念に思いました。
あえて言うのなら、医療とかの分野でクローンはいけないよ、
見たいな感じで主人公か医者とかなら良かった気もします。
今回は親が決めた身勝手な判断によって、子供が洗脳されてしまう、
そう言う世の中が来るのはいけないことだとは、ひしひしと感じました。
例えその事によって夢が閉ざされてしまっても、
子供は走りつづけなければならないのですから。
しかし、さて遺伝子操作を自分がするのか?と聞かれれば、
きっと「しないよ」と言う方が大半だと思うので、
感情移入は難しいかも知れません。
しかしながら洗脳されてされてしまっていた優が、
はたと本当の自分の夢について考えるシーンや、
周りの温かな環境により冷徹な心が段々に解れていく様子が好きでした。
まぁ、でも出来るならそれがドーピングだから、
みたいな自分ではどうしようもない理不尽な理由ではなく、
今までは孤独に練習していたが、温かい仲間に支えられて~・・・
のような一見平凡な内容の方が涙を誘ったのではないか?と思うのです。
今後の世の中が、遺伝子操作が進み、親が子に理想を押し付ける、
なんて時代が来たら、「なるほどね」とすんなりこの本を
受け入れられる日が来るかも知れません。いや、望んではいませんけども。

★★★☆☆*79

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コメント

たしかに感情移入はどの登場人物にも出来なかったですね^^;特に優の母親は愛情が歪んでいたし。。。刺々しかった優が、インタビューのときには清々しい雰囲気だったのが印象的です。

投稿: れおぽん | 2007年3月16日 (金) 21:23

>れおぽんさん

こんにちわ~!
コメント&TBどうもありがとうございます^^*

そうそう、母親の愛情が歪んでいましたね;
うーん優はどこか母親に自分を見て欲しい、
って言う思いで陸上を続けていたって気がするんですよね。
だからラストは精神病が治って、優の事を正面から見てくれた、
的なストーリーになるともっと良かった気もします。
でも遺伝子操作がちょっと重過ぎましたね。

優の清々しいインタビューが良かったですね。
話の中盤まで、最初のインタビューが優だと思っていませんでした。
硬い心がほどけてゆくほどの温かさが良く描かれていたと思います。

投稿: るい | 2007年3月17日 (土) 12:56

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» 「Run! Run! Run!」 桂 望実 [こんな日もあるよね☆]
◆内容(「MARC」データベースより) 目標はオリンピックの金メダル。箱根駅伝は通過点。 仲間なんか必要ないはずだった…。 アスリートとして最高の資質を持つ主人公が知った事実とは? 箱根駅伝に懸ける仲間と走るうちに、閉じかけていた世界が開いていく。 まず第一印象。本が薄い!たったこれだけ?! 同じ陸上を題材にした『風が強く吹いている』は結構分厚い本だったし 『一瞬の風になれ』は全3巻。 比べるものではないと思っていても、つい、ね^^; でも読んでみて納得。 ..... [続きを読む]

受信: 2007年3月16日 (金) 21:24

» 「Run! Run! Run!」桂望実 [図書館で本を借りよう!〜小説・物語〜]
「Run! Run! Run!」桂望実(2006)☆☆☆★★ ※[913]、国内、現代、小説、駅伝、スポーツ、青春 ※詳細な(?)あらすじあり未読者は注意願います。 物語は記者からのインタビューを受ける主人公の姿から始まる。生まれてから30年。そんな主人公が振り返るのは大学時代のこと。 幼い頃より走ることを人生の目標にして日々トレーニングに勤しんできた岡崎優。それは大学時代に箱根駅伝に出場したものの、体調不調で途中退場を余儀なくされた、ネット広告の代理店を営む父親の願いでもあった..... [続きを読む]

受信: 2007年4月 4日 (水) 13:20

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