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2007年3月 5日 (月)

「少年アリス」 長野まゆみ

20070305_4
不意に読みたくなって、借りてきました。
図書館でパソコン検索を掛けると、「この図書館にあります」と出るのですが、
一向に見つからないので聞いてみたところ、なんと書庫にありました。
いやはやお手数掛けました、受付のお姉さん、すみません。
でも久しぶりに読めて大満足です。

アリスは作ったばかりの石膏の卵をポケットにいれ、
蜜蜂と一緒に夜の学校へと向かっていた。
蜜蜂はお兄さんに色鉛筆を取ってきてくれと頼まれていたのだ。
人の話を信じやすく冗談の通じない蜜蜂は、真っ直ぐに学校へ向かってゆく。
色鉛筆を取り終えたアリス達は、好奇心で理科室を覗く事にした。
しかし暗いはずの理科室には灯がともり、何やら中から声が聞こえてくる。
そこには人間ではない何かが暮らす世界が待っていた。

久しぶりに読みましたが、さすがは長野まゆみワールド健在でした。
この独特の世界観は長野さんでしか表現できないよなあ~と、
しみじみと中学校の図書館を思い出したりしていました。(昔そこで読んだので)
しかしながら、幻想的な話しながら、きちりと温かさもこめられている、
今回はそこをしっかり味わえたような気がしました。
人の話を真に受けやすく、兄にいつもからかわれている、蜜蜂。
そんな蜜蜂をみてアリスもまたちょっとしたからかいを楽しんで、
兄弟がいる、と言う心強い感覚を味わおうとしている。
でも、幻想的な世界に誘われ、そこに踏み込んでしまったアリスは、
次第に好奇心が恐怖へと変わってゆく瞬間、
「こんなとき、蜜蜂ならどうするだろう?」と思うのだ。
先ほどまでは半ば馬鹿にした部分もあったが、
いざとなった時には蜜蜂は物凄い行動力を見せ、僕は感心していた。
不意にそんな蜜蜂を思い出し、弱気になったアリスが自己嫌悪する姿に、
少年ならではの葛藤や一人っ子と言う寂しさが詰まっている。
こうした日常では起こりえない出来事、長野さんでは幻想的になるわけですが、
それを的確に描き、表現する。
さもすれば、もしかして夢だったんじゃないの?!
と言うような出来事には、恐怖や悲しさ、憎悪などが詰まっていて、
現実では伝えるには生々しい出来事を、そっと語られていました。
よいです、また読み始めようかなぁ~長野さん。
しかしまた書庫取り出しだったら申し訳ない感じなんですけど(笑)

★★★★☆*87

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