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2007年3月 3日 (土)

「卵の緒」 瀬尾まいこ

卵の緒 卵の緒

著者:瀬尾 まいこ
販売元:マガジンハウス
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良いお話でした。
これは現実的にはこんな事ってあんまりないだろうな、
なんて思いつつもいつの間にかその愛情に頷きました。
瀬尾さんが書く温かさの源ここにあり、と言う感じですね。
家族の愛を感じました。

「卵の緒」
僕は捨て子である。
薄々感じ始めていたその疑惑を、どうしても確認したくなった。
僕には父さんがいない、だから色々な事を聞くのを躊躇っていたけど、
青田先生は例え父親がいなくても、親子の証に「へその緒」があると言う。
僕が母さんにそう問い詰めると、母さんは渋々小さな箱を取り出した。
蓋を開けてみると、そこには卵の殻が入っていた。

捨て子、とは少し違うけれど、血の繋がらない子を進んで育てるのに、
この話はちょっと奇異な理由ではないか、と思ったりもした。
別に不妊で悩んでいるわけでもない若い女が子供を引き取るのだから、
それ相応の理由があってもいいはずではないかと。
しかしこの母親は幼い育生を見た瞬間に、
その子供を手に入れたいと心から懇願するのだ。
ちょっと妙ではないか・・・と思わなくもない。
でも本当の母親が我が子を産み、手にした瞬間、
それって多分この母親と同じ気持ちになるのではないかと思った。
又、ずっと子供が出来ず悩んでいた夫婦などが、やむを得ず里子を貰い、
そうしてやって来た血の繋がらない子を見た時、そう思うのでは?と。
そう言う人たちにとっては、血の繋がりなんて些細な問題なのだろう。
確かに大きくなった時に、こうして育生が自分の生い立ちを知ったように、
母親はちょっとした話を設けないといけないかもしれない。
だけど、そんな面倒まで省みずに引き取り、育て上げたのは、
きっと他の誰よりもその子供に愛情があるからであり、
例えその愛情が「へその緒」の様に形ある証拠として残らなくても、
この抱きしめた時の温かさは誰にも負けないでしょう?と。
良いお話でした。
そんな愛情が羨ましいです。

★★★★☆*90

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コメント

 こんにちは♪
 読まれたんですねー。
 TBさせていただきますね☆

 「卵の緒」って、うまく言うなぁって思っちゃいました。
 血のつながりも尊いけど、
 血でつながっていない絆もまた尊い。
 じんわりとさせられるお話でした。

投稿: miyukichi | 2007年3月 4日 (日) 18:59

>miyukichiさん

こんにちわ~!
TB&コメントどうもありがとうございます^^*

読みました~凄く温かいお話でしたね。
本当、読後に
「あぁ私もこれだけ愛情注がれていたら、人生変わっていたかも」
と本気で思いました(笑)
ちなみに昔母に「川で拾ったんでしょう」と聞いたら、
「違うわよ、捨てたのに戻ってきたのよ」と言っていたのを思い出しました。
よくぐれなかったものですよ、まったく。

「卵の緒」って言うと読む前は、あの黄身の周りに付いている、
白くてキョトキョトしたものを思い浮かべていたのですが(笑)
イメージがガラリと変わりました。
上手く表されていますよね。
血のつながりでない絆も尊い、本当です。
だから人間は別れの時に泣くのでしょうね、と思います。
まぁちょっと話はズレてしまうのですけども。

良いお話でした^^*

投稿: るい | 2007年3月 5日 (月) 10:32

るいさんこんにちは!

瀬尾さんのお話はどの作品もテーマが重いわりに暖かく
希望がもてる作品ばかりなので大好きです。
その割にページ数が少なくよくあのページ数でうまくま
とめるなと感心します。
育生君が無邪気でとても良い子に育ってるよね、お母さ
んの新しい恋人ともうまくあわせてるし結構大物なきが
します。
お母さんがまた面白くて育生君を言い含めると言葉など
笑いにあふれてます。
血のつながりなんて関係ない愛し愛されればそれは立派
な家族なんだってことですね

投稿: せつら | 2007年3月11日 (日) 11:26

>せつらさん

こんにちわ!レスが遅くなってしまってすみません;
コメント&TBどうもありがとうございます^^*

>瀬尾さんのお話はどの作品もテーマが重いわりに暖かく
>希望がもてる作品ばかりなので大好きです。
>その割にページ数が少なくよくあのページ数でうまくまとめるなと感心します。

私もそう思います!
あのふんわりした感じ、大好きです。
私が一番最初に読んだのは「幸福な食卓」でしたが、
そこでも深刻な事なのに明るく前向きに纏められていて感心しました。
これは瀬尾さんにしか出せない素敵な味だなぁと読むたびに思います。
育生君、よくぐれなかった、と言う感じで(笑)
こう言う明るいお母さんで、たっぷり愛情を注がれてそだったから、
彼なりに自分の中で整理できるような温かい人間に育ったんでしょうね。
血の繋がりはとても重要かも知れませんが、
でもそれ以上の愛情と言うか、深い関係があるんだよ、
って訴えられた気がしましたね。
と、言う事は血が繋がっていても愛情がなくちゃダメなんだよ、
ってことですね。とても温かい気持ちになりました。
瀬尾さんの本もなかなか図書館で借りられないのですが(涙)
他の本も読んでみようと思います^^*

投稿: るい | 2007年3月14日 (水) 11:18

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