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2007年2月

2007年2月27日 (火)

「さびしさの授業」 伏見憲明

さびしさの授業 さびしさの授業

著者:伏見 憲明
販売元:理論社
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ちょっとタイトルに惹かれて借りてみたのですが、なかなか良い本でした。
とは言っても小説ではなく随筆の部類に入るのかと思いますけど。
「シックス・センス」「赤毛のアン」「X-MEN」などが例題に出され、
より読者にわかりやすく問いかけられていて、多々納得する部分がありました。
実は児童書のコーナーにありましたが、内容理解はかなり大人向けです。

【引用】
きみはこの世界なしには生きられないが、
世界は、きみがいようがいまいが関係なく存在し続ける。
その気づきが、きみとこの世界の関わりの出発点であり、
生きることの第一歩だ。

あげられた3つの例題が共通して訴えるのは、
他人が自分をどれだけ無理解か、と言うことです。
「普通」ではない事が、悲惨な自体を招き、
かと言って自分が自分であるためには、他人との違いを求める。
すなわち「普通」ではないものを探しているのだ。
膨大な大きさの世界と自分を比較した時、
自分は何てちっぽけで、儚い生き物なのだろうと思う。
明日私が死んだとしても、その位置に、誰か他の人をよこせばいい。
でも例えば明日友人が死んだとして、
その私にとっての「友人」のポストは、他の人で埋められるだろうか?
答えはノーである。
自分が自分であるために、こんな儚い生き物だとしても、
何人かの誰かには、掛け替えの無い存在になりたい。
そう、読後に思える本です。

個人的に「千と千尋の神隠し」は正直煮え切らない作品でした。
苦労した結果、両親を無事返してもらえて、
最後にはハクとの運命的な出会いを遡り、
清々しい気持ちで賑やかな空想の世界を後にする。
でも、本当に言いたいのはそんな上辺だけの事ではなかったのか、
とちょっと衝撃を受けました。
ハヤオさんが作品に込めた思いが、
そのままこの作者に伝わっているかは不明ですが、
一意見として、こんな見方もあるのだと改めて作品の深さを感じます。
新しい土地に引っ越すというのに、とりわけ楽しくもなさそうな千尋。
整った環境、整った親、整った境遇に育ち何もかもが「普通」でありすぎたから、
千尋は一体どんな「自分」を描いたら良いかさえ判らなくなっていた。
そこで起こるのが親がいなくなる、と言う事。(正確にはブタになる)
今までの一番身近な「普通」が取り壊される事により、
千尋は慌しくそれでいて必死に取り繕うとする。
あんなにも楽しくなさそうだった千尋が、こんな境遇では笑っている、
そこにはこう言った深い意味合いがあるのだ、と思うとなるほど、と思う。
そして迎えるラスト。
空想の世界のキャラクターに盛大な別れを催され、
後ろを振り返らないように、と帰ってゆく千尋。
そう言えば、母親に「千尋、行くわよ」みたいな事を言われた後、
確かに「うん」と言いながら表情は詰まらなそうな顔に戻ってしまう。
ここが私が凄いと思ったこの作者の視点である。
私は名残惜しいのを堪えているのだろう、と特に何も感じてしませんでした。
しかし、千尋は先ほどまであった楽しい記憶や、
そこで得た特別な経験を、一瞬にして忘れてしまっていたのです。
あんなにもイキイキと自分を輝かせた経験を、
今後に生かさない設定ってどうなの・・・?!
と思いますが、この本を読めばなるほど納得します。
「一度あったことは忘れないものさ。思い出せないだけで」
湯婆婆が言ったこの一言。
そうか、ハクや千の名前だけではなく、
こんなところにも掛けられていたのか、と。

キラキラ輝いた自分を私は知っている。
私は自分をキラキラ輝かせてくれる事や物を知っている。
それは千尋のように、いつかどこかで経験している事。
でもそれはまるで夢物語のように儚いものだから、
決して思い出すことは出来ないのだけれど。
いい話でした。
「X-MEN」観てなくて読むのに苦労しましたが、なかなかです。

★★★★☆*90

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2007年2月26日 (月)

「陽の子雨の子」 豊島ミホ

陽の子雨の子 陽の子雨の子

著者:豊島 ミホ
販売元:講談社
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ちょっと抽象的過ぎたんじゃないか・・・と思わなくも無いですが。
この読後の爽快感は「やっぱり読んでよかったかも」
と思わせる豊島さんの魅力的な力が隠れていると思う。
決して表舞台ではない裏の世界での葛藤を、どうか気づいてよ・・・!
と訴えかけられます。やっぱり「底辺女子高生」読んでから読むべきですわ。

幸枝が夕陽と言う男子を連れて来た時、
何故かそいつがあの日の俺であるような気がした。
そう、何もかもが嫌になって家出をし、幸枝に拾われた日の俺だ。
育った環境とかけ離れた世界へ一歩を踏み出す時の恐怖心が、
夕陽の言う、灰色の点々が隅から集まり迫り来る感覚だろう。
4年前を思い出し懐かしさに耽りながら、
俺はあの日を後悔しているだろうかと考えるけれど、
ふとした瞬間に、今の俺は彼女の笑顔ばかりを追いかけているのだ。

伝えたい事がよく判らないあらすじになりましたが・・・。
この話は、夕陽と聡と言う2人の視点によって、
幸枝と言う一人の女性が描かれている作品です。
あまりにも傷つきすぎた過去を隠して、普通を装いながら、
それでいて自分の存在意義を、何かしら掴みたいともがく儚さ。
自分は特別なんだ、と地団駄を踏んで、
でも叶う事の無い思いにまた同じ過ちを繰り返す。
何で私だけ幸福を望む事が許されないの?
と絶望する私(幸枝)をどうか励まさないで、傍にいてくれませんか。
そんな思いを夕陽とそして聡から感じる事が出来る。
悲しいと言うよりは哀しい。
でも、それだけではなく、涙を堪えながら微笑んでいる幸枝を、
そっと見守りたいと思う、そんな話。
全体的には何となくだらだら感と、現実的にありえないでしょう、
と言うちょっと身を引いた気持ちになるのですが、
中盤からラストにかけて幸枝の気持ちを理解するに従って、
徐々に惹かれて行く自分がいました。
しかしながら、別に短歌でなくても・・・といいたい気もします・・・。
どちらにしてもラストがとても好きでした。

★★★☆☆*87

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2007年2月24日 (土)

「暗いところで待ち合わせ」 乙一

Otuiti20112_2 
久しぶりの乙一さんでした~ちょっと手に取ったら一気読み。
初めに一言言うのであれば、「こんなにいい話なら早く読んでおくんだった」
に尽きます。いや、本当に、個人的には「GOTH」に次ぐ、
「ZOO」と同率2位をしめようとしています。
田中れな主演で映画もやっていて(観てないですが)、雰囲気が合っています。
何だよ、乙一さんこんな泣けちゃう小説も書けるんじゃないですか・・・!
と、言うか表紙の怖い写真止めた方がいいと思います、本当に、マジで(笑)

ミチルは視力を失い、そして頼りにしていた父さえも失った。
残った家にはミチルと、彼女を取り巻く闇。
誰もいない家に一人で横になり目を瞑ると、光の無い暗い闇の世界で、
どうせ自分はこのまま死んでゆくのだ、と思っていた。
いつも聞こえるのは家の傍を通る電車の音だけ。
しかし、誰もいるはずのない家の中で、妙な違和感を覚えた。
衣擦れの音がしたり、食器が鳴ったりするのだ。
そんな時、ミチルは駅で起きた殺人事件の犯人が逃走中だと知る。

未だかつて、乙一さんのお話でこんなに幸せを呼ぶ「ビックリ」はあったろうか。
いや、この本を私が読んでいなかっただけなんだけれども。
目の見えない女性の家に潜り込む殺人犯。
無音の中に始まる奇妙な共同生活が、とても不安定でヒヤヒヤさせた。
目の見えないミチルは、自分がこの家を出る事によって掛けてしまう、
他人への迷惑を必要以上に考え、誰もいない闇の世界に染まろうとする。
対する殺人犯アキヒロは、極度に悲観的にしか物事を見れず、
孤独を愛し人を蔑み続けると言う、病んだ心を持ち合わせている。
お互いに世の中を絶望視する傾向があり、人から離れ自分を守ろうとする。
しかし、当然のことながら、人は一人で生きてゆけるはずも無く、
人が人と出会う事を避け続けると言う事は当然無理なのだ。
そんな事をより鮮明に教えてくれるのは、言葉でもなく、態度でもなく、
目に見えないところで伝わる他人の優しさである。
2人が作る、音の無い世界には、
実はたくさんの人を思いやる気持ちと、たくさんの優しさが詰まっていた。
それに気が付いて、2人が詰めようろうとした瞬間、
立ちはだかるのは、「殺人を犯した」と言う壁。
でも大丈夫、そこんとこは乙一さんなんだからどうにかしてくれるって!
と大船に乗ったつもりでページを進めて下さい。
ここは是非読んでから味わっていただきたい。
悔しいですが、乙一さんなのに私は思わず泣いてしまいましたからね(笑)

映画もあとでDVDででも観てみようと思います。

★★★★★*95

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2007年2月20日 (火)

■雑談:のだめ大流行

「のだめカンタービレ」オリジナル・サウンドトラック 「のだめカンタービレ」オリジナル・サウンドトラック

アーティスト:TVサントラ
販売元:ERJ
発売日:2006/12/06
Amazon.co.jpで詳細を確認する

のだめカンタービレ (3) のだめカンタービレ (3)

著者:二ノ宮 知子
販売元:講談社
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何故だかうちの会社で「のだめ」が大流行。

「○○さん、4巻読み終わった?」
「終わったよ~」
「わーい、じゃあ貸してください♪」

と言うような女子高チックな会話が飛び交っております。
私は混ざりませんけど・・・。
だって全巻持ってるし( ̄ー ̄)b笑
そして貸すとボロボロになるのが嫌なので、
極力話題を振られないように頑張っています(嫌なやつ)

いや、別に他の物だったら汚れたっていいのですが、
漫画と本、CDだけは汚れるの許せないんですよね。
と、言うわけで。

うーん、先週見るつもりだったのだめアニメは睡魔に負けてしまいました。
ごめん、関智さん。
今週こそは・・・!

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2007年2月19日 (月)

「フィッシュストーリー」 伊坂幸太郎

フィッシュストーリー フィッシュストーリー

著者:伊坂 幸太郎
販売元:新潮社
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うふふ。読んでしまいました。
実は予約して買ったんですけど、もったいなくて読むのを躊躇っていました。
さすが伊坂さんだ、と拍手喝采をあげたい作品。
こんなに期待して読んだのに裏切らないって凄いよ、と。
黒澤さん大活躍。「ポテチ」不覚ながら泣けました。
伊坂ワールド的にはちょっと薄味ですが、なかなか良いものです。
短編、4編収録。

「フィッシュストーリー」
俺たちは表舞台から去るに相応しい曲を、ようやく見付けた気がした。
軽快な鉄夫のドラム、疾走する亮二のギターに、
俺の重厚なベースと五郎の低い声が絡み合いながら迫り来る、この曲。
この曲は、誰かに届くのだろうか?
この俺たちのやり切れないこの思いは、誰かに届くのだろうか?
俺たちの一番伝えたい無音空間を、魚が優雅にそしてひっそり泳いでいる。

ホッとする心温まる話でした。
表題作ですけども、その重圧に負けない存在感がありますね。
売れないバンドの最後に出すアルバムには1分間の無音があり、
その無音にはバンドのメンバーが一番言いたかった思いが詰まっている。
何も無い1分間なんて、そんなもの無意味だろう。
しかし、無音によって救われた人間、さらにはその子供・・・
そして世界がと繋がってゆき、謙虚ながらもバンドの思いが伝わり続ける。
「いやいや、無駄じゃないよ君たちの思いは」
と思わず30年前の彼らに伝えたくなる。
清々しい爽快感が、やはり伊坂さんだ、と思わせる一作。

でも一番「ポテチ」が良かったなぁ。
なので今回は2つも感想を書いてしまう(笑)けど、
「ポテチ」の内容は是非読んでから味わっていただきたい。
「重力ピエロ」の要素が詰まった思いが、また違った描き方をされています。
あのホームランの瞬間は鳥肌が立ちました。
「スターの親になりたかった?」と言う思いと、
塩味のポテチを選が大西に認められた時の思い、
重くて、でも温かくて、嬉しくて、
そんな思いがホームランによって爽快に飛んでゆく。
「だって、ただのボールがあんな遠くに」思わず大西の声が
不意にそばで聞こえたようで、思わず私が言ったのではと思うようで、
本を閉じた後に「あぁ」と言う感嘆のため息と、
「あぁ」伊坂さんにまたしてもやられた、としみじみ感じます。

★★★★☆*92

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2007年2月16日 (金)

「そのときは彼によろしく」 市川拓司

そのときは彼によろしく そのときは彼によろしく

著者:市川 拓司
販売元:小学館
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微妙・・・。
市川さんってこういう神秘的な感じが好きなんでしょうね。
どこか遠い国に言ってしまった女の子を必死に待つ僕・・・そんなのが。
うーん。私はダメだちょっと、と途中から拒絶反応が出て泣けませんでした。
これ映画化するらしいですよ、主人公は山田孝之らしい。
イメージと合いません・・・私的には加瀬亮ですね、あの背が高いなよなよ感。
そしてヒロインが長澤まさみだって・・・これも合わないな。
香里奈とかそんな我の強い感じなんですけども。

29歳の僕は14歳の僕を思い出していた。
正しく言うのであれば、14歳の僕と祐司と花梨を。
水草の大好きな僕に、絵の才能をもつ祐司、それに人をひきつける少女花梨。
そこには親密な愛と、子供らしい無垢な恋が漂っていた。
あの頃の僕たちはいつだって一緒にいて、同じ物を見ていたけど、
いつしか別れの時はやって来た、でも「さよなら」は言わない。
去り際に押し付けた花梨の唇の感触を僕はまだ忘れずにいる。
水草の溢れる店に一人佇みながら、
僕はずっと忘れられない一人の女の子を待ち続ける。

「そのときは彼によろしく」題名でもあるこの言葉が、
一体誰から誰へ送られた言葉なのだろうか?
と言うのが、私がこの本を読んでみようと思ったきっかけでもある。
しかしながら、暖簾に腕押し、非常に残念で仕方ない。
もしもこの言葉が、もっと違う人物が発していたのだとしたら、
感動的要素が増したのではないだろうか、と思っている。
内容を述べてしまうと、これは僕・智史の父が、彼に向けて発した言葉だ。
しかしながら、この話を読んでいると、父は明らかに脇役でしかない。
勿論、全く場違いだとはいえないが、花梨が夢の世界へと旅立つ時、
あんなにも悩み、そして主人公も衝撃を受けただろう、と言う点で、
私はどうしても花梨が智史へ向けて言うべき言葉ではないだろうか、と思う。
何せこの話の焦点は、中学生の時の幼い恋心が、
今も尚心に住み続け、その人物を求め続けている、と言うものなのだから。
そんな点で疑問を抱きつつ進めてゆくと、
感動をせずにラストを迎えてしまう事になる。
かと言って、晩婚を悩んでいた父が、智史を愛していた事を伝えるなら、
鈴音の話で十分であると思う。死ぬ3日前も話が出来たし、
子供の頃から感謝していた事も話せたはず。そうすると、題名は親子愛を、
ストーリーは恋愛を・・・と微妙なズレが生じてしまい、
果たして何を言いたかったのだろうか?と煮え切らないと言うのが本音である。
内容は他人を思いやる気持ちが溢れていた、と言う気がします。
今回は、題名に拘りすぎて読んでしまった感がありました。
「いま、会いにゆきます」の方が感動しましたね、今度しっかり読み直します。

酷評しました・・・個人的意見なので悪しからず。
でもどうしても納得できなかったんですよね。

★★★☆☆*80

http://www.sonokare.com/

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2007年2月14日 (水)

「幸福ロケット」 山本幸久

幸福ロケット 幸福ロケット

著者:山本 幸久
販売元:ポプラ社
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山本さん初めて読みました~!なかなか好き。
雰囲気は「佐藤多佳子+瀬尾まいこ+伊藤たかみ÷3」
・・・なんて適当な事を言ってみましたが、そんな感じです。
最近児童向けの本をたくさん読んでいる気がする・・・のは気のせいかな?
これも主人公は小学生です。

香な子はお父さんが仕事を辞めたから、引越しして転校する事になった。
今までの吹き抜けつきのゴージャスなマンションから、3階建てのアパートにだ。
どう考えても香な子は前のほうが良かったとしか思えない。
小森と過ごす時間が日に日に楽しく、幸せになってゆくというのに、
香な子の中ではその事が気になって仕方が無かった。
大人は本当の事を子供に話してくれない、だから、
「お父さん、何であの仕事を辞めたの?」と言う言葉を言い出せない。
香な子の心の中では「カターンカターン」とひよこが不気味に揺れている。

自分の父親の退職の理由は何なのだろう?
昔はあんなに輝いて格好よかったお父さんが、あの仕事をやめた理由。
私も香な子と同じようにそれを気にしながら読んでいました。
今まで誇らしく思っていたものや、人が、急に陰る。
何で?理由は?
そう気になりつつも、結局のところいつまでも聞けないでいるのだ。
それは投影した自分のプライドを守るためと、人を傷つけないため。
しかしながら、いつまでも知らずに成長しても言いかと言うと、
そうではなく、子供ながらにそれを理解し
そう言った意味で大人になる事が必要なのだ。
そこでポイントなのがやはりコーモリこと、小森君。
病にかかった母親へ生きるためのエールを送りつつ、
もうそう長くは無い事を、彼は自分の中では知っている。
死んでしまう前に聞いておきたい事。
例えその内容が香な子が悩む、大人びた事柄だったとしても、
「死人に口なし」となる前に、是非死ぬ前にその口から聞いておきたい。
その人と人が分かち合い、繋がってゆく事が大切であり、
きっかけとなる最初の一言がとても重要なのだと訴えている。
それが、もし死にゆく人でないならば、これ幸いな事で、
お互いに理解をして生きてゆけるよね、と。
あの絵は・・・どうなのでしょう。アレだけでロケットですか?
・・・と思ってしまい、ちょっと残念な気もしますけど;
途中恋愛要素もあったりして、とてもよいスパイスになっていたと思います。
お嬢様は必要だったのか・・・むしろお嬢ではなくガチンコ対決の方が、
スリリングでよかったのでは・・・と言うのは私の意見で、
この本はとてもピュアにそして柔らかい恋が描かれています。
うん、是非とも中学生頃に読んでもらいたいですね。

★★★★☆*88

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2007年2月12日 (月)

「熱帯魚」 吉田修一

熱帯魚 熱帯魚

著者:吉田 修一
販売元:文藝春秋
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気が付いたら、吉田さん11冊目でした・・・!!(ビックリ)
凄いなぁ、私がこんなにはまるなんて。
正直なところ文章は、今まで読んだ作家の中で一番好きかもしれませんね。
なんでだろう、ダラダラしてやる気の無い部分をはっきり書いているからか?
それとも理解しているようでし合えていない男女の関係が好きなのか?
判りませんが、何故か読んでいると落ち着くんですよね。
あ、これは短編集です。

「熱帯魚」
俺の家には、真実と小麦、それから光男が住んでいる。
いずれ結婚をするであろう真実とその連れ子・小麦と、
元兄弟で無職の光男、彼ら3人を俺が養っているわけだ。
そこでボーナスを手にした俺は、3人に「旅行へ連れてってやる」
と言ってやったのに、あろう事か光男はその金を持って家出した。
折角タダで旅行へ連れて行ってやると言うのに、
何も金を盗まなくてもいいじゃないか。
俺は惨めな自分にムシャクシャし無我夢中で「追剥ぎ」をする。
しかしそれは「金を取られた悔しさ」なのか、
それとも「寂しくて仕方ない」からなのか、俺にはどうしても判らない。

芥川龍之介の「羅生門」で、何故下人は老婆に追剥ぎを働いたのか。
自分の周りには金が無く、貧しそうな老婆まで襲い、
少しの金を掻き集めようとしたのか?
それとも、誰もいない町で、ようやく出くわした人間(老婆)によって、
今まで抱えていた寂しさが溢れてしまったからなのか?
人間は全て金のために動いているわけではない。
では、金を持って逃げていった光男は、本当に金が欲しかったのか?
光男は傲慢で高圧的な大輔の好意に耐えられず、
しかしながら、寂しそうな様子を見て、金を盗むしかなかったのだ。
大輔は「人に何かをしてやる」事が親切だと思っていて、
尚且つそれが高圧的だとは気づいておらず、
その親切によって自分の周りに人を呼びたがっているのだから。
そんな大輔と、無邪気に遊んでいた頃の大輔とを思うと、
光男は言葉で抗議する事も出来ず、金を盗るしかなかったのだろう。
そこには少しの間でも兄弟であった人間からの戒めや、
出て行ったのに帰ってきてしまうほど光男の優しさが詰まっている。
言葉では表す事の出来ない曖昧な感情を、
「羅生門」の引用によってわかりやすく描かれている。
毎日競るように増えていた100円ライターから、まるで大輔たちの、
仲がよく対等な関係であった頃を懐かしむように泳ぐ様子が伺え、
涼しげで、それでいてほんのり温かい気持ちになった。
この話、よく読まないとよく判らない・・・。
「羅生門」よんだ事がないときついかな?
私的には好きなのですけどね、この3篇どれも。
この本は「衝動に駆られる」がポイントだと思います。

★★★★☆*89

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2007年2月 8日 (木)

「県庁の星」 桂望実

県庁の星 県庁の星

著者:桂 望実
販売元:小学館
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映画が気になっていた作品でした。
何せ母が織田祐二のファンなので「観に行こうよ」とうるさかったのです。
しかしながら、映画の主人公は公務員、
そしてヒロインは柴咲コウ扮する、パートのお姉さんでしたよね?
原作を読んでビックリですよ、ヒロインは子持ちのおばちゃんです。

県庁職員の俺は、県の指令で民間企業に、
1年間研修へ行くプロジェクトに参加する事になった。
研修を受けるからには、店の規則を徹底的に把握し、
この店は何が売れるのか、どうしたら経済が上向きになるのか、
過去の数値データより上昇率を換算して導き出してやろう。
躍起になっていた俺だったが、大変な事が起きた。
なんとこの店には規則が無い。おまけに営業マニュアルさえない。
管理文書が無いなんてありえない、
これじゃ一体どうやって経営していけばいいというのだ。

題材的にはとても面白いと思うのですよ。
だから本屋大賞にノミネートされたのだと思うし。
しかしながら、何でだか文章が単調に感じてしまって残念。
全て物事は契約書で成り立っていると言う堅物の県庁職員・聡と、
独自の判断でその人に合った柔軟な対応を求められるスーパーのパート二宮。
その2人の間には厚い壁が存在し、自分が正しいと主張して
そりが合わず、話を聞いてみようと言う気も無い。
でも実際のところ、聡は人の事を考えると言う能力が欠落し、
二宮は不正を繰り返し低迷しつづけるスーパーに安住し向上心が無い。
どちらも足りない部分があり、それを補う事が大切なのだ。
2人の心の隙間が徐々になくなって、1つの目標を目指すようになった時、
物凄い達成感と新しい追い風に身震いを感じた。
願わくば・・・ですが、何かもうちょっと、こう・・・。
「あの人と私たちが協力したら凄い事になるかも・・・!」
と二宮を興奮させても良かったような気がした。
まぁそれは口下手な二宮、と言う設定からして、
難しいかもしれないけど、何となく勿体無い気がした。
二宮と息子の関係はよかったですけどね、あの後どうなったか気になったり、
食事にがっつく母親に向ける親しみのこもった優しい視線が好きでした。
問題は正攻法に移るまでが坦々としすぎていたのと、
桜井が挫折してイライラとした聡が、
どんな思い変わったか詳しく書いて欲しかったような気がするかな。
でも最後は好きですけどね、「やる気の欄」最高です。

★★★★☆*89

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2007年2月 6日 (火)

「ノルウェイの森 上」 村上春樹

ノルウェイの森〈上〉 ノルウェイの森〈上〉

著者:村上 春樹
販売元:講談社
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あぁ、やっぱりいいわ、春樹さん。と、安心させてくれる作品。
何回目だろう?4回くらい読んだかも。
「これって官能小説じゃないの?」何て聞いてきた人がいましたが、
違います、官能小説じゃありません。恋愛小説です。
そこんとこ、重要ですから。
しかしながら「ノルウェイの森」ってどの曲なんだろう?
探してみたけど、どれがそうなのか判りませんでした。

恋人同士の直子とキズキ、そこに僕。
こうした輪のような3人の関係は、とても心地がよく温かな空気が流れていた。
キズキの親友は僕であり、僕の親友はキズキだったし、
直子もそう言った点で僕を好いていてくれていたのだ。
しかし突如として起きたキズキの自殺は、
その親密な関係との代償に、僕とそして直子を酷く混乱させた。
数年後、そんな心に古傷を抱えながら再会してしまった僕たちは、
さらに傷ついたり、それでいて懐かしい空気に恋焦がれたりした。
だが、次第に悪化する直子の心の傷は、彼女自身を深く蝕んでゆく。

もう何回か読んでいますが、それでも色あせない輝きが素敵ですね。
そして毎度の事ながら、直子の
「『ノルウェイの森』を弾いて」の部分で鳥肌がたつのです。
いや、別に何とも無い一文なのですが、冒頭の僕ことワタナベが、
頭を抱え身悶えるほど何かを思い出す曲「ノルウェイの森」、
その発端となる彼女の一言に、思わずブルリと身震いしてしまうのです。
それぞれ悩みを抱える登場人物たち。
しかしそれは傾向であり、そう言った悩みは誰だってみな抱えている。
でも、直子のように爆発してしまうほどの衝撃になるには、
さて、どんな思いから来るのでしょうか、と言うのがこの作品。
姉の死、両親との不仲、幼馴染の死、キズキ以外を愛してしまう罪悪感、
直子にはそんな思いがごちゃまぜになって、
僕の言う「不完全な」体を保ち続け、そしてそれを治す事が出来ないでいる。
そんな葛藤が、頑張りたい、でも頑張ると壊れてしまうと言う葛藤が、
とても美しく描かれて、やはりこの味は春樹さんしか出せないと思う。
一番はそれを客体が説明をする部分であり、
その弱っていく様子を、僕がある意味淡々と眺めている様子が、
よりその哀しさを引き立たせる役目を担っていて、その上、
その死をもまた受け入れなくてはいけない僕の思いが辛さが、伝わってくる。
そして、それにはやはり「ノルウェイの森」と言う曲が必要で、
何故かしら付きまとうこの曲が、僕が直子の訴えを聞き続けている証拠なのだ。
突撃隊のように真っ直ぐ生きる人間を皆は笑っている。
でも、僕が言うように彼は少々真面目すぎるだけで笑われるような人間ではない。
だけど、そんな真っ直ぐに生きている人間さえも、
この歪んだ世の中には耐え切る事が出来ない、世知辛いよなのだと。
下巻~楽しみです。
後でゆっくり読みます。

★★★★★*98

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2007年2月 4日 (日)

■雑談:VSモロゾフ

映画を我慢して結局モロゾフでケーキ。

勢い余ってホール買いです。

だって・・・だって・・・!!食べきれると思ったんです、あの時は!!(←悪い癖

■経過はこちら↓

200702041

じゃ~ん!!

すごい、私がワンホールなるか・・・。

200702042

う・・・つら・・・。

200702043

ギブです。

すみません、ワンホールなんて身の程知らずでした。

いや、本当申し訳ない。

明日・・・も食べれるか判らないので、

会社のお姉さんにでもカットしてあげよう。

あぁ自分、馬鹿ですね、本当。

何やってるんだ・・・。

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2007年2月 2日 (金)

「エコノミカル・パレス」 角田光代

エコノミカル・パレス エコノミカル・パレス

著者:角田 光代
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


うーん・・・微妙かも。
実は、初角田さんだったのですが、選ぶ本を間違えたようです(苦笑)
個人的な傾向ですが、一番最初にヒット作を読みたいと思う人間なので、
適当に手に取ったのが間違いでした。
間違いでした、とか言ってそんなに悪い作品は無いんですけどね。
角田さんは女性版吉田修一、な雰囲気。
私は男性作家の方が書く文章の方がどうしても好きなので、贔屓しませんが;

努めていた仕事をやめ、失業保険を待ちわびるだけの男・ヤスオ。
私はそんなヤスオと同棲し、家賃や食費を折半していたが、
次第に嵩みくる金たちはいつの間にか全て私が背負っていた。
いつまでたっても、文句を付けて働こうとしないヤスオには内密に、
メールでの不謹慎な出会いを求めたり、もっと高額収入のバイトを探した。
そんな行動は私を癒してくれているのだとばかり思っていたのに、
あんなにも手に入れたかった金は、結局無意味な物へと変わってゆく。

一番の感想は、細かい・・・。
お金が徐々に困り始め消費者金融へ、そんな迫り来る貧困をリアルに描くために、
財布の中の金額や、借りた金額、買った野菜の値段など、細かく表記されている。
何もやらない恋人、その恋人や自分が増やしてゆく借金、
安易に利用した消費者金融、返しても一向に減らない利息金。
そんな重々しい空気が立ちこめる中、どうにか窮屈な生活を
抜け出してみようとする姿が、少し惨めに感じた。
勿論、どん底から必死にもがいたとしても、実は報われないと言う切なさも。
ようやく貯まった21万円を手に、光輝を未来の自分に見立てて投資している、
遠めで見ればそうとしか見えないのに、当の本人は気づかない。
お金が欲しい、お金が欲しいといい続け、少し手に入れば
「お金があれば何だって出来るのだ」と言う気がし始め、
遂にはお金に自分が飲まれていると言う事に気づかないのだから。
光輝が自分に振り向かないと気づいた瞬間、
振り向いた私は、まるでホームレスのようで醜い人間なのだと知るのだ。
いや、もしかしたらホームレスの方が行く先を探していると言う点で、
私よりもはるか遠くにいるのだろう。
馬鹿にしていた人間よりも、自分が惨めだと思い知る、ラストは焦燥の思いです。
個人的には女性版吉田修一な感じでした。
淡々としている、感情論的面もある、そして会話文が少ない。
そんなところが。
あまり活力を見出そうと言う作品ではなく、
活力を見出せず見出したと思ったら何かに溺れていただけで、
自分は行く先さえも見つけることが出来なかった、と言う作品です。
きもち、重め。

★★★☆☆*81

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2007年2月 1日 (木)

■雑談:センター評論文

miyukichiさんにつられ、センター試験を遅ればせながら解いてみました。
勿論、国語です。
それ以外やる気になら無いって。
楽しみ~とか浮かれていたはずが・・・予想以上の長さにノックアウト。
「こんなの解いてたのか?私。よく集中力持ってたなぁ」と感心しました。
でもね、時間が無くてまだ

「第一問:評論文」

しか解いていないのですが、結果的を先に言うと42点でした。
あ、勿論50点満点ですからご注意を。
さすがに国語で持っていたような偏差値だったので、
これを落とすわけにはゆきませんよ、まったく。

(ア)○
(イ)○
(ウ)○
(エ)○
(オ)○
(2)○
(3)×
(4)○
(5)○
(6)○

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