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2007年2月 2日 (金)

「エコノミカル・パレス」 角田光代

エコノミカル・パレス エコノミカル・パレス

著者:角田 光代
販売元:講談社
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うーん・・・微妙かも。
実は、初角田さんだったのですが、選ぶ本を間違えたようです(苦笑)
個人的な傾向ですが、一番最初にヒット作を読みたいと思う人間なので、
適当に手に取ったのが間違いでした。
間違いでした、とか言ってそんなに悪い作品は無いんですけどね。
角田さんは女性版吉田修一、な雰囲気。
私は男性作家の方が書く文章の方がどうしても好きなので、贔屓しませんが;

努めていた仕事をやめ、失業保険を待ちわびるだけの男・ヤスオ。
私はそんなヤスオと同棲し、家賃や食費を折半していたが、
次第に嵩みくる金たちはいつの間にか全て私が背負っていた。
いつまでたっても、文句を付けて働こうとしないヤスオには内密に、
メールでの不謹慎な出会いを求めたり、もっと高額収入のバイトを探した。
そんな行動は私を癒してくれているのだとばかり思っていたのに、
あんなにも手に入れたかった金は、結局無意味な物へと変わってゆく。

一番の感想は、細かい・・・。
お金が徐々に困り始め消費者金融へ、そんな迫り来る貧困をリアルに描くために、
財布の中の金額や、借りた金額、買った野菜の値段など、細かく表記されている。
何もやらない恋人、その恋人や自分が増やしてゆく借金、
安易に利用した消費者金融、返しても一向に減らない利息金。
そんな重々しい空気が立ちこめる中、どうにか窮屈な生活を
抜け出してみようとする姿が、少し惨めに感じた。
勿論、どん底から必死にもがいたとしても、実は報われないと言う切なさも。
ようやく貯まった21万円を手に、光輝を未来の自分に見立てて投資している、
遠めで見ればそうとしか見えないのに、当の本人は気づかない。
お金が欲しい、お金が欲しいといい続け、少し手に入れば
「お金があれば何だって出来るのだ」と言う気がし始め、
遂にはお金に自分が飲まれていると言う事に気づかないのだから。
光輝が自分に振り向かないと気づいた瞬間、
振り向いた私は、まるでホームレスのようで醜い人間なのだと知るのだ。
いや、もしかしたらホームレスの方が行く先を探していると言う点で、
私よりもはるか遠くにいるのだろう。
馬鹿にしていた人間よりも、自分が惨めだと思い知る、ラストは焦燥の思いです。
個人的には女性版吉田修一な感じでした。
淡々としている、感情論的面もある、そして会話文が少ない。
そんなところが。
あまり活力を見出そうと言う作品ではなく、
活力を見出せず見出したと思ったら何かに溺れていただけで、
自分は行く先さえも見つけることが出来なかった、と言う作品です。
きもち、重め。

★★★☆☆*81

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