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2007年2月19日 (月)

「フィッシュストーリー」 伊坂幸太郎

フィッシュストーリー フィッシュストーリー

著者:伊坂 幸太郎
販売元:新潮社
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うふふ。読んでしまいました。
実は予約して買ったんですけど、もったいなくて読むのを躊躇っていました。
さすが伊坂さんだ、と拍手喝采をあげたい作品。
こんなに期待して読んだのに裏切らないって凄いよ、と。
黒澤さん大活躍。「ポテチ」不覚ながら泣けました。
伊坂ワールド的にはちょっと薄味ですが、なかなか良いものです。
短編、4編収録。

「フィッシュストーリー」
俺たちは表舞台から去るに相応しい曲を、ようやく見付けた気がした。
軽快な鉄夫のドラム、疾走する亮二のギターに、
俺の重厚なベースと五郎の低い声が絡み合いながら迫り来る、この曲。
この曲は、誰かに届くのだろうか?
この俺たちのやり切れないこの思いは、誰かに届くのだろうか?
俺たちの一番伝えたい無音空間を、魚が優雅にそしてひっそり泳いでいる。

ホッとする心温まる話でした。
表題作ですけども、その重圧に負けない存在感がありますね。
売れないバンドの最後に出すアルバムには1分間の無音があり、
その無音にはバンドのメンバーが一番言いたかった思いが詰まっている。
何も無い1分間なんて、そんなもの無意味だろう。
しかし、無音によって救われた人間、さらにはその子供・・・
そして世界がと繋がってゆき、謙虚ながらもバンドの思いが伝わり続ける。
「いやいや、無駄じゃないよ君たちの思いは」
と思わず30年前の彼らに伝えたくなる。
清々しい爽快感が、やはり伊坂さんだ、と思わせる一作。

でも一番「ポテチ」が良かったなぁ。
なので今回は2つも感想を書いてしまう(笑)けど、
「ポテチ」の内容は是非読んでから味わっていただきたい。
「重力ピエロ」の要素が詰まった思いが、また違った描き方をされています。
あのホームランの瞬間は鳥肌が立ちました。
「スターの親になりたかった?」と言う思いと、
塩味のポテチを選が大西に認められた時の思い、
重くて、でも温かくて、嬉しくて、
そんな思いがホームランによって爽快に飛んでゆく。
「だって、ただのボールがあんな遠くに」思わず大西の声が
不意にそばで聞こえたようで、思わず私が言ったのではと思うようで、
本を閉じた後に「あぁ」と言う感嘆のため息と、
「あぁ」伊坂さんにまたしてもやられた、としみじみ感じます。

★★★★☆*92

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コメント

こんにちは。
私は我慢できず、発売前日から「もう入荷してるんでしょ」と本屋さんに詰め寄り(笑)、
その日のうちに読んでしまいました。
「フィッシュストーリー」と「ポテチ」、特に「ポテチ」がお気に入り。
(「キリン乗ってくから!」は最高です。)
伊坂さんの描く家族は(親子、兄弟問わず)とても優しいですね。

ところで、「ポテチ」の大西若葉って、『オーデュボン』の“若葉”じゃないですかね???
床に耳をくっつけて、そういうことが子どもの頃から好きだった、みたいなことが書いてあった記憶が…。
誰も指摘する人がいないんで、違うのかな?

投稿: ふぇるまーた | 2007年2月22日 (木) 18:13

>ふぇるまーたさん

こんばんわ!コメントどうもありがとうございます^^*
軽い欝傾向で家で腐っていました、レス遅くなってすみません;
お久しぶりですね!私もちょこちょこ覗かせて頂いていたのですが、
TBやコメントが上手くいかない事が多々;(涙)
また遊びに行かせてもらいますね。

>私は我慢できず、発売前日から「もう入荷してるんでしょ」
>と本屋さんに詰め寄り(笑)、その日のうちに読んでしまいました。

凄い(笑)凄い熱意です・・・!!
私も漫画だったらそんな事をした事もありましたが、なんて。
実は私も前日に手に入っていました、
予約した某本屋さんの隠れ常連だったので、わざわざお電話頂き(笑)
でもなんだかもったいなくって・・・!!
だってあと読んでいない伊坂さんの本「日常と襲撃」と「ILOVEYOU」しか
なくって・・・と考えると、「もうちょっと待ったほうが・・・」
と手を止めてしました。で、結局読んじゃったんですけど(苦笑)

「ポテチ」よかったですよねぇ~私も一番好きでしたね。
「フィッシュストーリー」もおぉ!って感じしましたけども。
伊坂さんの親子・兄弟・家族愛、いいですよね!
それは初めて「重力ピエロ」を読んだ時、私が好きになった要因でもあります。
特に近くにいすぎて判らない、と言うような、
柔らかで曖昧な部分の表現が上手いんですよねぇ。

キリンは、なんだったか他の作品にも出てましたよね?
重さか何かを「○○キリン」とか言う単位で表していたような。

あぁ繋がり系あんまり深く考えず読んじゃいました、今回;
勿論、黒澤さんが大活躍!位は判っていたのですけど。
「オーデュボン」も内容をあらすじしか思い出せないので、
わかりません・・・なのでまた再読してみようと思います。
こういう繋がりがあると、
ただ再読するって言うより張り合いがあっていいですよね。

投稿: るい | 2007年2月24日 (土) 22:09

どうもー

そうですねー伊坂ワールド的には薄味。
中編?集だからってのもあるかもですね。
でも、それがよかった気がします。コレに関しては。
クセがなくて読み易くて、
でも、らしさは出ててって感じで。
おまけに他読んでるヒトにとってはリンクは楽しいですしね。

不思議な2編、
キレイにまとまってウマイ!って感じの「フィッシュ~」
で、「ポテチ」でシメ!な流れがキモチよかったです。
最後よかったすよね~~

投稿: じゅん | 2007年2月28日 (水) 09:39

>じゅんさん

こんにちわ~!
TB&コメントどうもありがとうございます。

そうそう、何となく薄い感じがしました。
主張の濃いキャラが出ていなかったからでしょうか。
中篇だったからって言うのもあるかもしれませんね。
個人的には基本短編よりもこの位あった方が、
何となし読み応え合って好きです。
今回はあっさりだから出せる味っていうのがありましたね、
特に「フィッシュストーリー」何かはそれが顕著だったかも。
淡々とした中に潜むもの、という雰囲気が良い感じでした。
リンクは大体は気づいて楽しんだつもりでいましたが、
反応できなかった部分もありそうです・・・もったいない。
他の本を再読する時に、改めてじっくり読んでみようと思いました。

「ポテチ」〆は、やられた~って感じがしました(笑)
あの爽快感、凄いですよ。
この話の順序・流れでこんなラストが用意されているなんて、
考えもしなかったので、ため息と同時に、凄いの一言ですよ。
ホームラン、最高です。

新しい伊坂味にも出会えた気がしたので、
次回作も大いに期待ですね、楽しみです。

投稿: るい | 2007年3月 1日 (木) 09:40

おはようございすま。るいさん。
作品に翻弄されてなかなか読み進めずにいましたが、私も『ポテチ』は気分よく読めました。
義理の母と彼女の会話、本当に楽しめました。
この二人を主役にしての長編も読んでみたい気がします。

また、どこぞの本でお目ににかかれそうですが(笑)

投稿: ゆう | 2007年3月27日 (火) 09:07

>ゆうさん

こんばんわ!
TB&コメントどうもありがとうございます^^*

>義理の母と彼女の会話、本当に楽しめました。
>この二人を主役にしての長編も読んでみたい気がします。

「ポテチ」良かったですよね。
2人の長編も面白いかも知れませんね!
私は何となく電話が偶然的過ぎて、まさか義母が偽者か?
と途中まで疑っていました(笑)
伊坂さんのことだから、何か引っ掛けガあるのかと思いまして。

またどこぞの本でお目にかかれる日を楽しみに待ちましょうか。
次の作品も楽しみですね。映画も待ち遠しいです♪

投稿: るい | 2007年3月28日 (水) 19:04

 「フィッシュストーリー」、よかったですね。
 「僕の○○が魚だとしたら~」のフレーズも
 物語の根底にさらさらと流れていて、
 しみじみ沁みてきました。

 「ポテチ」もとても好きだったんですが、
 私はラストで爽快感を感じられなかった。。
 うーん。。
 黒澤が何を思ってそういうことをしたのか、
 今ひとつわかってないんですよね。。
 ま、でも全体には好きでした^^

投稿: miyukichi | 2007年9月15日 (土) 20:10

>miyukichiさん

コメント&TBどうもありがとうございます^^*

私も「フィッシュストーリー」が一番好きでしたね。
音が切れるその瞬間が、やはり一番良かったかな。
無言の訴えに魚がふらりと泳いでいる、素敵ですね。

「ポテチ」…ちょっと内容を深く思い出せません…^^;
最近たくさん読んでいるからか、脳が劣化しているからか、
読んだ本の内容をすぐに忘れてしまいます…。
個人的には凄く良かった印象があって、
「あぁ、伊坂さんにやられた」と思った記憶があるのですが。

どれどれもう一回読んでみようかな、と言う気になりました。

投稿: るい | 2007年9月18日 (火) 11:57

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